ロクでなし魔術講師と氷輪丸   作:洟魔

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ロクアカの世界って風系や炎系が活躍して氷系がほとんど出てこれてないからもしも氷輪丸のような力があったらどうなるか試してみたくて書きました!後悔はしてません!笑


学院テロ編
1話


 

 

そこは地獄だった…

辺り一帯が氷と炎につつまれ、冷気と熱気が入り混じり、死体で溢れかえって血の海ができていた。

 

そんな地獄に1人の少年が座り込み、何かを抱えながら涙を流して泣いている。少年は全身に血を被っているものの外傷は数える程しかない。

少年に抱えられた何かは少年と同じくらいの少女だ…少女は全身から血があふれ出ており、まさに今死に際にたっていた。

 

「--○○○○○○○!!!」

「----○○○○…」

少女に向けて少年は泣き叫びながら何かを言っている。その時、その言葉が聞こえたのか少女は何かを言った後、最後に少年の頬を手を伸ばし微笑みを浮かべながら力尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

「起きなさい!!ユキト=フローズン!!」

「ぅんん…」

夢の中で懐かしき過去を見ていた彼は少女の怒声で目を覚まして枕がわりにしていた教科書から頭をあげ彼女に視線を向けてため息をつく。

 

「うるさいよ、フィーベルさん」

「なっ--!うるさいですってー!?だいたい貴方はいつもいつも--」

ぐちぐちと説教を始める少女の名前はシスティーナ=フィーベル。アルザーノ魔術学院の生徒であり、ユキトと同じ教室で魔術を学ぶ学士である。

アルザーノ帝国魔術学院はアルザーノ帝国が魔導大国として名を轟かせる基盤を作った学校であり、常に最先端の魔術を学べる最高峰の学び舎で魔術師育成専門学校である。

彼等はここで魔術を学び、日々魔術の研鑽に励んでいるのだ。

その一人がシスティーナである。

純銀を溶かし流したような銀髪のロングヘアと、やや吊り気味な翠玉色の瞳が特徴的な少女であるが、その生真面目過ぎる性格で講師にズバズバ言うこともあり学院では「面倒臭い女」「講師泣かせのシスティーナ」「ミスリルの妖精」「付き合いたくない女」などと言われている。

「だからうるさいって言ってるでしょ。それに文句があるならオレに1科目でも成績で上回ったら聞いてあげるよ」

「くっ!なんで貴方みたいなのが首席なのよ」

そんなシスティーナの説教を耳から受け流している男子生徒、ユキト=フローズン。

彼を一言で表すなら『問題児』だ。言動は基本穏やかだがキレたり舐められてると感じたら講師相手でも乱暴になり、態度は常に眠たそうにしており実際に授業中は寝ている。まさに問題児な彼だが成績は何故か非常に優秀。

あらゆる科目で彼は首席から外れたことはないほどに優秀で、魔術師の階位は二年次で既に第三階梯(トレデ)までに至っている。

優秀であるシスティーナでさえまだ第二階梯(デュオデ)に昇格したばかりなのに魔術師として彼は自分よりも先にいることがシスティーナは納得いかなかった。

 

「まぁまぁ、システィ。まだ先生は来てないんだから、ねぇ?」

横からシスティーナを宥めに入るのはシスティーナの親友であるルミア=ティンジェル。

綿毛のような柔らかなミディアムな金髪と、大きな青玉色の瞳が特徴的な少女。清楚で柔和な気質がその容姿や立ち振る舞いから匂い立ち、その清楚と整った顔立ちはまるで聖画に描かれた天使のように可憐だった。

そのルミアの言う通り、授業中にも関わらずまだ講師は来ていない。

以前に魔術を教えていた講師は突然に辞めて、代わりに非常勤の講師が訪れるはずなのだが、いまだに姿を現さず。

大陸屈指の魔術師であり、最高位である第七階梯(セプテンデ)まで至ったセリカ=アルフォネア曰く『まぁ、なかなか優秀な奴だよ』という前評判は早くも瓦解しそうな勢いだった。

いまだ現れないその非常勤講師に苛立ったのか普段から不真面目な態度を取るユキトに矛先が向けられたのかもしれない。

「ユキト君ももう少し寝ないで授業聞かなきゃだよ?」

ルミアが優しい物腰で声をかけると--

「分かったよ…悪かったね…」

ユキトはシスティーナの時とはうって変わって素直に言うことを聞いただけでなく謝罪までしていた。

「なんでルミアの時は素直なのよ!!」

その事にシスティーナはそう叫ばずにはいられなかった。このやりとりを見てもわかるように問題児であるユキトはルミアにだけは素直になるのだ。

「あはは…」

これにはルミアも苦笑いしかできない。

 

(ルミアはアイツに似てるからどうにも素直になっちゃうんだよね…)

 

 

 

--そうこうしていると

「あー、悪ぃ悪ぃ、遅れたわー」

がちゃ、と教室前方の扉がどこかで聞いたような声と共に開かれた。どうやらその噂の非常勤講師とやらが今、やっと到着したらしい。すでに授業時間は半ばも過ぎている。恐らく魔術学院設立以来、前代未聞の大遅刻だ。

「やっと来たわね! ちょっと貴方、一体どういうことなの!? 貴方にはこの学院の講師としての自覚は──」 

早速、説教をくれてやろうとシスティーナが男を振り返って……硬直した。

「あ、あ、あああ──貴方は──ッ!?」

「…………違います。人違いです」

 

システィーナの知っている人なのか、先ほどのユキトへの不満がどこかに霧散してその非常勤講師の方に向けられるも男は教卓に立ち、黒板に名前を書く。

 

「えー、グレン=レーダスです。本日から約一ヶ月間、生徒諸君の勉学の手助けをさせていただくつもりです。短い間ですが、これから一生懸命頑張っていきま……」

「挨拶はいいから、早く授業始めてくれませんか?」 

苛立ちを隠そうともせず、システィーナは冷ややかに言い放った。

「あー、まぁ、そりゃそうだな……かったるいけど始めるか……仕事だしな……」 

すると、先ほどまでの取り繕った口調はどこへやら。たちまち素が出てきた。

「よし、早速始めるぞ……一限目は魔術基礎理論Ⅱだったな……あふ」

 あくびをかみ殺してグレンがチョークを手に取り、黒板の前に立つ。途端にクラス中の生徒が気を引き締める。システィーナもグレンに対するさっきまでのわだかまりを捨て、その一挙手一投足に注視し始めた

 

クラス中の注目が集まる中、グレンは黒板に文字を書いた。

 

 

自習。

 

黒板に大きく書かれたその文字に、クラス中が沈黙した。

 

「えー、本日の一限目の授業は自習にしまーす」 

さも当然、とばかりにグレンは宣言した。

「……眠いから」 

さりげなく最悪な理由をぼそりとつぶやいて。

「……………………」 

沈黙が支配する。圧倒的な沈黙がクラスを支配する。

 

 そんなクラスの面々を置き去りに、間違っているのは自分じゃなくて世界だとでも言わんばかりに堂々と、グレンは教卓に突っ伏した。 

十秒も経たないうちに、いびきが響いてくる。

「……………………」 

沈黙が支配している。圧倒的な沈黙がクラスを支配している。

 そして。

「ちょおっと待てぇええええ──ッ!?」 

システィーナは分厚い教科書を振りかぶって、猛然とグレンへ突進していった。




ユキトのイメージ画像

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