ロクでなし魔術講師と氷輪丸   作:洟魔

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遅くなってすみません!!

これから仕事が忙しくなると思うので1ヶ月ほど開けたいと思います。次の投稿は近々したいと思いますのでそれがテロ編の最後になります!
突然すみません!


5話

───

「あ、先生」

「ユキトじゃねーか、どうしてここに…」

「フィーベルさんがここに連れてかれてね…」

「なるほどな…じゃあ一緒に行くか。お前優秀だしな」

「分かった」

ユキトがトイレから出て、システィーナが連れ去られた実験室に着く頃、グレンも学院入口のテロリストを無力化し、学院内に入りながらこのテロを起こしたヤツらのことを考えていると、ある実験室の前でユキトに会った。グレンがユキトにそこにいる理由を聞くとシスティーナのことを伝えられ一緒に行くかと誘われる。是非もないためユキトも即答し扉を開けるとそこには、こちらを見ながら涙を流し、押し倒されて今にも辱めを受けそうなシスティーナと、誰か来るとは思っていなかったのか扉の方を目を見開いて見ているチンピラ風の男がいた。

それを見てグレンは何を思ったのか

「すまん。邪魔したな。ごゆっくり……」

そう言って、開いた扉をゆっくりと閉めて──

「行くな閉めるな助けなさいよ──ッ!?」

システィーナの叫びに、グレンは渋々といった表情でため息をつきながら、再び扉を開いて部屋の中に入ってくる。

「何やってんの先生?ふざけてる場合じゃないでしょ…」

「いや~てっきり両者合意の上でやってる、ちくしょうバカップル爆発しろ的展開かと思ったのだが……やっぱりそういう胸くその悪い展開だったの?」

「んなわけあるか──ッ!?」

そんなグレンにユキトは呆れて注意をし、システィーナは叫んでいた。

 

一方、グレンの出現にあっけに取られていたチンピラ風の男ジンだったが、すぐに我に返ってシスティーナから飛び退き、グレンに向かって身構えた。

「何者だテメェらはッ!?」

「一応、この学院で講師やってる者です。一応、先生として忠告するが、お前、そういうの一応、犯罪だぞ? いくらモテないからってだな、一応……」

「だから何言ってんだあんたは…」

グレンは何かズレたことを言っていた。まるで不良生徒に説教するような接し方だ。それに対してユキトは再び呆れていると

グレンが3節詠唱しかできない事をシスティーナは思い出した。ユキトのこともいくら1節詠唱が出来てもこの男の超高速1節詠唱には勝てないと思い2人に向かって叫ぶ

「だ、だめ……ッ! 先生、ユキト逃げて!」

「お前、助けろっつったり、逃げろっつったり、一体どっちなんだよ?」「いいから早く! 先生とユキトじゃそいつには敵わない!」

「もう遅ぇよッ!」 

痺れを切らしたジンが近くにいたグレンに指を向けた。 

それに応じ、グレンも手を動かす──が、遅い。

「《ズドン》ッ!」

瞬時に呪文が完成し、ジンの指先からる電光がグレンを情け容赦なく──

「…………は?」

 黒魔【ライトニング・ピアス】は起動しなかった。

呪文完成と共に、指先から飛ぶはずの電光が一向に発生しない。

「くっ……《ズドン》ッ!」

ジンは再度、呪文を唱える。結果は同じだ。

「ど……どうなってやがる……ん?」

その時、ジンはグレンが手に何かを持っていることに気づいた。

「愚者の……アルカナ・タロー?」

総数二十二枚からなる大アルカナのナンバー0、愚者のカードだ。

「てめぇ……なんだ、そりゃ?」

「これは俺特製の魔導器だ」

グレンがカードの絵柄をジンに見せつけながら言った。

「この愚者の絵柄に変換した魔術式を読み取ることで、俺はとある魔術を起動できる。それは──俺を中心とした一定効果領域内における魔術起動の完全封殺」

「な……」

「残念だったな。お前の呪文詠唱速度がどんだけ速かろうが、もう関係ねーよ」

「魔術起動の……遠隔範囲封印だとぉ?」

確かにシスティーナ達が受けたような、魔術の起動を封印する術式はある。黒魔【スペル・シール】と呼ばれる魔術だ。だが、それは付呪が前提であり、しかもこの魔術に限っては相手の身体に直接呪文を書き込み、魔

術効果を付与するという特殊な手順を踏まなければならない。実戦でそんな手間のかかることを許す魔術師はいない。それに対し、グレンは紙きれ一枚をちらっと見るだけで広範囲にわたる魔術起動を完璧に封殺できると言うのだ。

「ふ、ふざけんな、なんだそりゃ!? そんなデタラメな魔術、聞いたコトねえぞ!?」

「そりゃそうだろ。俺の固有魔術(オリジナル)だからな」

固有魔術(オリジナル)だとぉ!? テメェ、その域に至ってるっていうのかッ!?」

そのやりとりを、かたわらで見ていたシスティーナは戦慄と共に驚嘆していた。魔術師同士の魔術戦において敵の魔術を遠距離から一方的に封殺できるなら、それは無敵の力だ。ワンサイドゲームどころの話ではない。グレンが三節でしか呪文詠唱できなくたって勝率は百パーセントだ。いや、この固有魔術前提で戦うなら、魔力効率の悪い一節詠唱なんて、そもそも必要ない。

「ぐ……ぅ」

ジンは自分が完全にグレンの術中に嵌まってしまったことを悟り、脂汗を垂らした。が。

「まぁ、これを使ってる間は先生も魔術使えないけどね」

『は?』

ユキトが不意につぶやいたその言葉に、システィーナもジンも思わず目が点となった。そして数秒間沈黙が続いた後、その沈黙を破ったのはジンだった。

「ぎゃはははは──ッ!? お前、馬鹿じゃねーの!? 魔術師が自分の魔術まで封印しちまってテメェどうやって戦う気なんだよ!?」

そう言ってゲラゲラと笑っていると

「いやいやアンタ程度を相手するのに魔術なんていらないでしょ」

と、ユキトが蔑むように言う。

「…あ!?なんだとガキ!!」

「ユキト!危ない!」

そんな事を言われたジンは当然キレて、ユキトに向かって突進していきそれを見たシスティーナはユキトに叫ぶ。__が。

 

 

「だ、か、ら!」

ユキトはそう言いながらしっかりと踏み込み、ジンの目の前に一瞬で現れジンが突進してくるのにタイミングを合わせ腹に拳を当て吹き飛ばし、さらに背後に周り背中を蹴飛ばしてグレンの方に飛ばしていた。

「…ガッ!」

「アンタ程度に魔術なんていらないって言ったんだよ。ほら先生!」

「ふぐッ!?」

グレンの方に蹴飛ばされたジンは、今度はグレンに顔面を殴られ吹っ飛ぶ。

「て、てめぇら、ふざけるなよっ! 魔術師が肉弾戦で雌雄を決するだと!? てめぇら、魔術師としてのプライドはねーのか!?」

とジンは喚くが

「お前、そんなに魔術以外で倒されるの嫌なの? もう、しょーがねーな。じゃあ、これからお前に放つ一撃は【魔法の鉄拳マジカル☆パンチ】っていう伝説の超魔術な? 今、開眼した」

「は?」

啞然とするジンに向かって、グレンが拳を構えて突進した。

「魔法の鉄拳──マジカル☆パァアアアアンチッ!」

そう言ってグレンはジンの側頭部に蹴りを放っていた

「説明しよう。【魔法の鉄拳マジカル☆パンチ】は、なんかよくわからない魔法的な力で、パンチの二倍と言われるキックに匹敵する威力が出る、なんかもう凄い魔法のパンチなのだ」

「ていうか……パンチじゃなくて実際に、キックだった……だろ……」「ふっ、そこがなんとなくマジカル」

と最後に言いながらジンは気絶、システィーナはジンに少し同情し、ユキトは何度目かの呆れを見せていた。

 

---

その後、各自持っている情報を出し合いすり合わせをしていき、グレンはセリカと通信にて連絡をとり終わると

「そういえばユキト。お前なんで俺の固有魔術(オリジナル)のこと知ってんだよ?というかお前何もんだ?」

そう言って嘘は許さないといった風にユキトを見つめる。その目は疑っているのもあるが、それ以上に先生として心配しているものだった。

「それは……って先生後ろ!!」

ユキトが話そうとした瞬間、グレンの後ろに突如現れたポーン・ゴーレムに気づくと声を上げ、各自その場から離れる。

グレンはポーン・ゴーレムを渾身の右ストレートで殴るも_

「こいつら、竜の牙を素材に錬金術で錬成された代物じゃねえか!?ち、硬ぇ!?」

多少、のけぞらせたがそれだけだ。ひびの一つも入っていない。

それを見たユキトはある呪文を唱える。

「《我・空間を開きしもの・次元の扉よ開たまえ》」

すると魔法陣から刀が出てくる。その刀の柄は水色の紐で結ばれており、鍔は花弁にも似た十字状になっている。刀身は長く、全体的にユキトの背丈より少し長めの刀だった。

「その刀……お前まさか!?」

「どうやら説明はしなくていいみたいだね」

その刀を見たグレンは驚いており、そのグレンの反応で自分が何ものか分かったと思いユキトは説明が省けると思いながらポーン・ゴーレムを刀で切り伏せた。

「それより先生、ここじゃジリ貧だ。あの男は置いて通路に出よう」

「ああ、行くぞ白猫!」

そう言ってユキト達は実験室から通路に出るが、ゴーレム達もユキト達を追いかけてくる。

「おい、ユキト。お前の正体は分かったがあのゴーレム達粉々にできないか?」

「できるはできるけど、ただその場合ここの被害が大きくなるからここは先生にお願いするよ。これ使って」

そんなやり取りをしながらユキトはグレンにあるものを渡す。

「おいこれって!……お前あれやれとか鬼か?」

「今はそれが最適解でしょ?」

「はぁ、わかったよ。おい白猫。お前は先に行ってお得意の《ゲイル・ブロウ》を即興改変で広範囲に持続的に続くように改変しろ。節構成はなるべく三節にしてくれ。ユキトと俺は白猫が改変できるまでの時間稼ぎだ」

ユキトがグレンに渡したのはとある魔術を起動するための触媒なのだが、その魔術はとんでもなく燃費の悪いものなのでグレンはやるのを戸惑うが、ユキトの言う通りこの場では最適解なので覚悟を決め、システィーナに呪文の改変を指示しながらユキトと一緒にゴーレム達を相手していくがグレンは実戦からだいぶ離れていたせいでブランクがあり、動きのキレがなくそこをユキトがカバーしていた。

 

(やっぱりこのゴーレム硬いな。それに数が多すぎてキリがない!)

(ちっ…ブランクがあるせいで身体が思うように動かせねぇッ!今はユキトがフォローしてくれてるが…白猫早くッ)

 

ユキトとグレンはゴーレム達を無限とも思える時間抑え込んでいると…

「先生!ユキト!完成した!」

システィーナが叫んだ瞬間、グレンとユキトは待っていましたと言わんばかりに踵を返し、システィーナの方に向かって駆け出していた。当然、ボーン・ゴーレムの群れがその後を追って来る。

「何節詠唱だ!?」

「3節です!」

「よし! 俺の合図に合わせて唱え始めろ! 奴らめがけてぶちかませ!」

グレンとユキトはギリギリまでゴーレム達を引き付けながらシスティーナのところまで下がる。そして_

「今だ、やれ!」

「《拒み阻めよ・嵐の壁よ・その下肢に安らぎを》--ッ!」

システィーナの魔術が放たれる。遥か廊下の彼方に向かって駆け流れる風の壁は迫り来るゴーレム達の進行速度を劇的に落とした。だが──

「だ、だめ……完全には足止めできない……ごめんなさい、先生、ユキト……ッ!」

即興ゆえ威力が足りなかったのか。ゴーレム達は気流に逆らって少しずつにじり寄ってくる。連中がここまで辿り着くのは時間の問題だ。システィーナは脂汗を垂らした。

「いや、十分だよ。ね?先生」

「ああ、良くやった白猫。お礼にいいもん見せてやるよ!」

そう言ってグレンはユキトからもらった触媒を指で弾いて左手で掴み、右の掌を左手に合わせ呪文を唱え始めた。

「《我は神を斬獲せし者・我は始原の祖と終を知る者・__」

「…え、それってアルフォネア教授の…!?」

「《其は摂理の円環へと帰還せよ・五素より成りし物は五素に・象と理を紡ぐ縁は乖離すべし・いざ森羅の万象は須く此処に散滅せよ・遥かな虚無の果てに》─ッ!!ええい! ぶッ飛べ、有象無象! 黒魔改【イクスティンクション・レイ】──ッ!」

グレンが呪文を完成させると巨大な光の衝撃波が駆け抜ける。

その射線状にあった物……ボーン・ゴーレムの群れはおろか、天井や壁まで、光の波動は抉り取るように全てを吞み込み、一瞬で粉みじんに消滅させていた。

「す、凄い……こんな、高等呪文を……」

「い、いささかオーバーキルだが、俺にゃこれしかねーんだよな……ご、ほ……っ!」

「先生!?」

システィーナがグレンが放った魔術に感心していると、グレンが血を吐いて崩れ落ち、システィーナが慌てて駆け寄る。

「先生お疲れ様です、これどうぞ」

するとユキトがグレンに自分の魔力が詰まった魔力石を渡す。

「まったくお前のせいでクタクタだ。後は頼むぜ」

「分かったよ」

そう言ってグレンはユキトからもらった魔力石で回復し始めた。

 

しばらくするとかつん、と。 破壊の傷痕が刻まれた廊下に靴音が響いた。

「【イクスティンクション・レイ】まで使えるとはな。少々見くびっていたようだ」

廊下の向こう側から姿を現したのは── ダークコートの男──レイクと呼ばれていた男だった。そしてレイクの背後には五本の剣が浮いていた。

「それにそこの男子学生も相当な手練れのようだ」

「それはどうも、さて、先を急いでるんでね。そこを通してもらおうか。…あ、先生とフィーベルさんは離れててね」

レイクはユキトのことを警戒し、ユキトはグレンとシスティーナを巻き込まないように下がらせる。

「いいのか?死に体とはいえそこの講師と一緒なら勝機が上がるかもしれんぞ?」

「いいんだよ、オレ1人で十分だからね」

「ふっ勇敢なのか、はたまた蛮勇か、その選択後悔するなよ!」

「なら後悔させてみてよ!」

そう言いながら両者駆け出し、ついにユキトとレイクの戦いが始まった。

 

 

2人の戦いは時間が経つごとに激しさを増していっていた。

レイクは背後にある五本の剣を操作しながら、合間合間に魔術を放ち、ユキトはその剣を愛刀で全て捌きながら、魔術を無力化していく。

(なるほど…大体分かった。あの五本の剣の内三本は自動剣、残りの二本は手動剣ってかたちだね。恐らく自動剣は手練れの剣士の技をコピーしてるんだろうね)

(まさかただの学生に捌かれるとは思っていなかった。剣術の腕が凄まじいな…それにコイツすでに五本の剣すべての動きを読んでいるな…ふっ蛮勇ではなかったか)

 

互いに相手を観察しながら情報を集め、決定打に繋がる一手を探っていく。

「貴様、ほんとに学生か?」

「失礼だな、ちゃんとした学生だよ《雷槍よ・狂い咲け》」

言葉を交わしながらユキトは刀を持った右手と反対の左手の指をレイクに向けるとそこから5つの閃光が放たれるが…

「…甘い!」

レイクはそれを剣で受け止める。しかし衝撃が大きかったのか剣の動きが一瞬止まった。ユキトはそれを見逃さず次なる一手を打つ。

「霜天に坐せ・氷輪丸!」

そうユキトが唱えると、ユキトの持つ愛刀が変化を起こす。柄尻には長い鎖で繋がれた龍の尾のような三日月形の刃物が現れる。更にはユキトの魔力が一気に増え、床には氷が張っていき、刀身からは氷の龍が出てきていた。

「な!?」

「……なに…あれ…!?」

その変化にレイクは驚き、システィーナは唖然としていると…

「じゃあいこうか!」

ユキトが仕掛け初め、刀身から出ている氷の龍をレイクに向かって放った。

「ッッ!」

まさか氷の龍が来るとは思っていなかったのか、レイクは驚きながらも剣で受け止めようとするが…

「これは!?」

氷の龍がぶつかった瞬間、剣がすべて凍り付いていた。

「よそ見してていいの?左腕…見てみなよ」

「ッッ!?」

その結果に驚愕していると、ユキトがレイクに言う。レイクは自身の左腕を見るといつの間にか柄尻から繋がっている鎖が左腕に巻き付き凍らされていた。そして氷はどんどんレイクを飲み込みやがて身体全体を凍らされていた。

「この氷……その刀…思い出したぞ。そうか貴様があの氷結の処刑人か…」

竜霰架(りゅうせんか)

そう言いのこし、レイクは氷に覆われた後、ユキトに砕かれた。

 

---

レイクを倒した後、ユキトは転送方陣のある転移塔の螺旋階段を登っていた。転移塔の前には侵入者を撃退するゴーレムがいたが一瞬で凍らせて無力化し、最上階の大広間まで辿り着くと扉を開ける。

「ルミア〜!来たよ〜」

「…ユキト君?その声はユキト君!」

緊張感なんて知らないというふうに普段通りの声でルミアの名前を呼ぶと暗闇の中からルミアの声が聞こえる。

次第に暗闇にも慣れてくると転送方陣の真ん中にルミアがいるのが見える。そして…

「やっぱりあなたが黒幕だったんだね____ヒューイ先生」

「さすがですねユキト君。いつも寝てばかりいたので君のことはあまり分からなかったんです」

ユキトは黒幕の正体を見破っていた。元々今回の計画でルミアのいる2組だけが補習になったのは前任の担任であるヒューイが突然いなくなったから。そしてその日に教授達や講師達は帝都に行かなければならない。そんな偶然が重なりあった日に都合よくテロリストが来れるなんてありえない。だからユキトは原点を思い出し、1番その可能性が高い人物を予想しており、それが当たったということだ。

「さて、ルミアを返してもらうよ」

「ええ、いいですよ。ただしこれが解ければですがね…」

ヒューイはルミアを返せと言われるとあっさりと頷いたが、問題はルミアがいる足元の転移方陣だった。

「白魔儀【サクリファイス】か…それに先生の魂に直結してるみたいだね。間に合わなければ学院ごと吹き飛ぶとかかな?」

「おや、そこまで分かりますか。そうです。これが発動すればこの学院全て爆破されますよ」

「そんな……ユキト君…逃げて…」

ユキトは方陣の種類と発動された場合の結果を予想し、ヒューイはそれを認めた。それを聞いたルミアは絶望し、ユキトに逃げるよう懇願していた。

「ルミア、月のネックレスは持ってる?」

「え、う、うん。持ってるよ」

そんな中突然ユキトはルミアにネックレスを持っているか聞き、ルミアは懐から月のネックレスを取り出した。

「それを渡した時に言ったはずだよ?オレは君の味方だよってね。だから信じて待っててよ」

「……やっぱりユキト君があの時の人だったんだね…!わかった!信じてる!待ってるから!」

ユキトの言った言葉はかつてルミアが恩人に言われた言葉であり、その言葉でルミアは今まで何となく気になっていたユキトの正体が確信に変わり、笑顔を浮かべ信じると口にした。

「やっぱり気づいてたんだ…さて!すぐに終わらせるとしようか」

そう言ってユキトは方陣に近づいていく。

「ユキト君、君の解呪の腕前は分かりませんがこの転移方陣はすぐに解けるものではありませんよ?それとも私を殺して止められると?君なら分かっていると思いますがそれはオススメはしませんよ?」

そんなユキトにヒューイは忠告をするが…

「そんなことしないよ。だからこの方陣凍りつかせて砕こうかと思って」

「え?」

その後に言われたことにヒューイは疑問を浮かべる…すると

 

「《凍獄の黑氷よ・万物を凍てつかせ・無に返せ》

ユキトが呪文を唱えると、左手から黒い冷気が溢れ出て方陣を覆うと瞬時に凍りつき、方陣諸共粉々に砕け、砕けた氷の欠片が宙に舞った。

「なっ!」

「すごい…それにキレイ…」

これにヒューイは驚き、ルミアは感動していた。

 

「まさかこれ程とは…しかし不思議ですね。計画は頓挫したというのに……どこかほっとしている自分がいる」

「それは先生が生徒のことを大切に思ってる証拠だよ」

ヒューイはユキトのやったことに驚きながらも計画が破られ、ルミアが無事な事に安堵を覚えていることを不思議がっていると、ユキトはそれを生徒のことが大切にしている証拠だと言う。

「さて、先生。少し眠ってもらうよ?」

「ええ、……いや、最後に1つ。僕は一体、どうすればよかったんでしょうか? 組織の言いなりになって死ぬべきだったのか……それとも組織に逆らって死ぬべきだったのか。こうなった今でも僕にはわからないんです」

そうヒューイはユキトに言う。

「ならオレも最後に1つ。自分の人生は自分で決めるものだよ。他人に人生を決められて死ぬなんて論外だ。だから自分の心に正直に生きていくことが大切だとオレは思うな」

「……そうですか、なるほど、生徒に教わるとは教師としては少し恥ずかしいですがありがとう…ユキト君」

そのヒューイの話を聞いたユキトはそう答え、ヒューイはその答えに納得するとお礼を言う。

「じゃ、おやすみなさい」

そしてユキトは魔術でヒューイの気絶させる。

「さ、ルミア。待たせたね…おいで?」

「…うん!」

「…ッとと」

「ありがとう!ありがとう!ユキト君!」

「無事で何よりだよ…」

そしてユキトはルミアに声をかけ、ルミアは笑顔でユキトの元に行き、抱き着きながらお礼を言う。そんなルミアにユキトは頭を撫でながら無事を喜んだ。

 

 

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