ヒューイ確保、ルミア救出
かくして前代未聞のアルザーノ帝国魔術学院自爆テロ未遂事件は終わりを迎えた。
一人の非常勤講師と一人の生徒の活躍により、最悪な結末の憂き目を逃れたこの事件は、関わった敵組織のこともあり、社会的不安に対する影響を考慮されて内密に処理された。学院に刻まれた数々の破壊の傷痕も、魔術の実験の暴発ということで公式に発表された。
だが、誰にでも好奇心というものはあるもので、どこから出たのか分からない噂等が色々流れ、中にはかつて女王陛下の懐刀として帝国各地で密かに暗躍していた伝説の魔術師殺しや、各地で噂されている氷結の処刑人、世界を滅ぼす悪魔の生まれ変わりとして密かに存在を抹消されたはずの廃棄王女、死んだはずの講師の亡霊が事件の裏に関わっていた。……等といった鋭い噂話等も流れていたが、人は飽きる生き物、1ヶ月もすれば誰の話題にも上がらなくなった。
学院には以前となんら変わらない、平和で退屈な日常が戻って来たのだ。
そして今回の事件の後、事件解決の功労者としてグレン、システィーナ、ユキトは帝国政府の上層部に密かに呼び出され、ルミアの素性を聞かされた。異能者だったルミアが様々な政治的事情によって、帝国王室から放逐されたということ。帝国の未来のために、ルミアの素性は隠し通されなければならないということ。そしてグレン、システィーナ、ユキトの三人は事情を知る側として、ルミアの秘密を守るために協力することを要請された。
事情を知ったグレンは驚き、システィーナはルミアとは今まで通り、姉妹同然の親友として一緒にいたいと言い、ルミアにとってもそれはとても嬉しかった。
そしてユキトは
「前も言ったけどオレはルミアの味方だよ。こんなことで変わりはしないさ。それにオレもルミアと同じだしね」
そう言って手を出すとそこに突然氷が創り出された。
「…え?いま詠唱…!?」
「…それって…!」
システィーナとルミアはその現象を見て驚き…
「やっぱか…ユキト、お前の正体について答え合わせしてもいいか?」
「大丈夫だよ」
グレンは納得するように言うとユキトに聞くとユキトは了承する
「ならまずはお前は軍人か?」
「正確には元軍人だね。ちなみに先生がよく知ってる所属だよ」
「てことは特務分室か」
「正解!改めまして元特務分室執行官No.20《審判》ルト=フォールだよ、久しぶりだねグレン」
グレンは次々に質問していき、ユキトはそれに答え正体を明かした。
「なるほどな、その氷にあの刀…特徴的だもんな」
「まぁあの頃は偽名に認識阻害のローブ着てたから顔は分からなくて仕方ないね…いやでもグレン以外のメンバーには顔見せたことあったね。グレンはタイミングが無かったから見せてないけど」
「なに!?俺以外は知ってたのか!」
グレンがユキトからの情報で驚いているのを横目にユキトはルミアの前に行き、手のひらの氷を見せる。
「ルミアは察したと思うけどこれは魔術で創った氷じゃない。これはオレが『凍結能力』の異能で創った氷だよ。つまりオレはルミアと同じ異能者なのさ」
「ユキト君も私と同じ…そっか…!」
ユキトはルミアに自分も同じ異能者だと話し、ルミアはユキトが自分と同じだと少し嬉しそうにしていた。
すると、同じくユキトの異能に驚いていたシスティーナが
「…刀で思い出したわ!ユキト、あの刀は何なのよ!【トライ・レジスト】が付与されてた相手の剣を凍らせるなんておかしいわ!」
ユキトに聞くとユキトはシスティーナの方へ向き魔術で愛刀を取り出した
「フィーベルさんが気になっているのはこれかな?これは氷輪丸といってオレの愛刀だよ。一応
「
「!?ユキト君すごい…」
「つってもユキト以外使えはしねーがな」
「使えない?それってどういうことですか?先生」
「この刀にはある特徴があってな、それが冷気を常に放出しているってとこだ。それだけなら問題ないって思うかもしれないが問題はその冷気の量だ。並のやつなら触っただけで凍死まっしぐらさ。まぁその分使いこなしたらたとえ【トライ・レジスト】を付与してても貫通するけどな」
システィーナはその事を聞いた瞬間青ざめ
「凍死って…ユキト君!!大丈夫なの!?」
「落ち着いてルミア。オレは自分の
ルミアはユキトに顔を近づけ問い詰めるがユキトは問題ないと言う。
ユキトの
「あ、それより先生。一つ知らせたいことが…」
ユキトはルミアを自分から少しはがし、グレンに体を向けてそう切り出す。
「なんだよ?」
「近いうちに懐かしい人と会えると思うよ」
「なんだそりゃ?何かの予言か?意味わかんねー」
ユキトは謎めいたことをグレンに言い、グレンは混乱しユキトを呆れた目で見る。
「ま、そのうち分かるよ」
そう言い残しユキトは笑みを浮かべながらその場を離れる。
その数日後、ユキトの言った通りグレンにとって非常に嬉しい再会があった。
ユキトの言う懐かしい人とは誰でしょね笑