今回は前話でチラッと出てきた「ある人」が出てきます!
お気に入り登録者がどんどん増えていってるのを見るのが楽しみで仕方ないです笑
これからもどうぞよろしく!
それではどうぞ!!
7話
放課後のアルザーノ帝国魔術学院、東館二階。
その時、魔術学士二年次生二組の教室は、びっくりするほど盛り下がっていた。
「はーい、『飛行競争』の種目に出たい人、いませんかー?」
壇上に立ったシスティーナがクラス中に呼びかけるが、誰も応じない。クラスメイト達は皆、一様にうつむいたまま、教室は葬式のように静まり返っている。
「……じゃあ、『変身』の種目に出たい人ー?」
やはり、無反応。教室は静まり返ったままだった。
「はぁ、困ったなぁ……来週には競技祭だっていうのに全然、決まらないなぁ……それにユキトも今日は早く帰っちゃったし…」
システィーナは頭を搔きながら、黒板の前で書記を務めるルミアに目配せする。
ルミアは一つ頷き、穏やかながら意外によく通る声でクラスの生徒達に呼びかけた。
「ねぇ、皆。せっかくグレン先生が今回の競技祭は『お前達の好きにしろ』って言ってくれたんだし、思い切って皆で頑張ってみない?ほら、去年、競技祭に参加できなかった人には絶好の機会だよ?」
それでも、誰も何も言わない。皆、気まずそうに視線を合わせようとしない。
「無駄だよ。皆、気後れしてるんだよ。そりゃそうさ。他のクラスは例年通り、クラスの成績上位陣が出場してくるに決まってるんだ。最初から負けるとわかっている戦いは誰だってしたくない……そうだろ?」
そんな中クラスでユキト、システィーナに次ぐ優等生ギイブルがそう言う。
〈魔術競技祭〉
アルザーノ帝国魔術学院で年に三度に分けて開催される、学院生徒同士による魔術の技の競い合い。それぞれの学年次ごとに、各クラスの選手達が様々な魔術競技で技比べを行うという選手達にとっては思いっきり魔術を使える祭であり、そんな祭を見に来る大人達にとっては優秀な人材を見繕ういい機会でもある。事実、この競技祭には学院の卒業者……魔導省に勤める官僚や、帝国宮廷魔導士団の団員も数多く来賓している。
それに今回の競技祭にはアリシア女王陛下も来賓される。
その為、皆は陛下の前で無様な姿を見せなくないと思っている。
「それにさ、今回の優勝クラスには、女王陛下から直々に勲章を賜る栄誉が与えられるんだ。これにどれほどの価値があるのか、君にもわかるだろう? システィーナ。だから、だだこねてないで大人しく出場メンバーを成績上位陣で固めるんだ。これはこのクラスのためでもあるのさ」
「ギイブル……貴方、いい加減に──」
それでもシスティーナは全員で競技祭に出たいと言うが、ギイブルは成績優秀者で出場メンバーを固めるべきだと言う意見に怒ろうとした時だった。
ドタタタタ──と、外の廊下から駆け足の音が迫ってきたかと思えば……次の瞬間、ばぁんっ!と、派手に音を立てて教室前方の扉が開かれた。「話は聞いたッ! ここは俺に任せろ、このグレン=レーダス大先生様にな──ッ!」
両袖に腕を通さず羽織ったローブが、無意味にバサリと翻る。開け放たれた扉の向こうには、人差し指を前に突き出し、不自然なほど胸を反らして、全身をねじり、流し目で見得を切る、という謎のポーズを決めたグレンがいた。
その頃ユキトは
「うわぁーここが魔術学院なんだね!立派だねー!」
「感動するのは良いけど迷子にならないでね?ここただでさえ広いんだから探せないよ?」
学院内をある女性と歩いており、その女性が学院を見て子供のように感動していたのが面白かったのか横でからかっていた。
「も〜!ユキ君ったら!お姉さんをからかわないの!」
「ハイハイ、分かったよ…お・姉・さ・ん」
「まったく…」
その女性はからかわれていることに気づくとユキトを愛称で呼び注意するがユキトは悪びれた様子を見せずに謝る。
「ふっお前たちは仲がいいな」
すると前方からユキト達に声がかけられる。
「あ!セリカさん!」
「ど〜も…」
そこに居たのはセリカ=アルフォネアだった。2人はセリカに気づくと女性は笑顔を浮かべて元気に、ユキトは怠そうに挨拶をする。
「ん?ユキト、なんだその怠そうな返事は?相変わらず生意気なやつだな!ふっ!そんなんだからチ・ビのままなんだぞ?」
「…誰がチビだ!!」
そんなセリカはユキトの返事が気に入らなかったのか、ユキトをからかうとユキトはキレ、セリカに突撃しようとするが
「ちょ!……ユキ君ストップ!?落ち着いて?ね?…ヨシヨシ。セリカさんもあんまりユキ君をからかわないでくださいよ?止めるの大変なんですから」
「ああ、悪かったなユキト」
「…ふん!」
ユキトと一緒にいた女性がユキトを捕まえ、頭を撫でながら落ち着かせ、セリカに文句を言う。セリカもからかいすぎたと思ったのか素直に謝り、ユキトは落ち着いたは落ち着いたが少し不機嫌になったようでそっぽを向く。
「じゃあグレンの教室に行くか!今の時間だとちょうど競技祭のメンバー決めをしてるだろうからな。特別賞与目当てで…」
「特別賞与?」
そこでセリカはグレンの教室に行こうと提案し、歩き始めるがユキトは特別賞与という言葉に疑問を持つ。
「ああ、競技祭で優秀な成績を収めたクラスの担任講師にでるものだ。グレンのやつ今月の給料を全部ギャンブルでスったらしい…だから特別賞与は何がなんでも欲しいはずだ。」
「ギャンブルって…」
「グレン君…」
そしてセリカが詳細を話すと2人は呆れて言葉もでなかった…
「ま、あいつはやる時はやるやつだ。競技祭のメンバーもいつものような成績優秀者の使い回しなんかじゃなく、もっと面白いものになってるだろうな。…………着いたぞ!」
そうこう話してる内にグレンの教室の前に着いていた。
「じゃ、私とユキトから入るからお前は呼んだら来てくれ」
「はい!」
「んじゃ入るぞ〜」
そしてセリカ、ユキトが先に入ることになり、女性は待ってるようにと言われ返事をし、それを確認したセリカは扉を開いて中に入り、ユキトも続く…
その頃教室の方ではグレンが乱入した後、競技祭のメンバー決めにクラス全員を当てはめていた。
ちなみにユキトは勝手に『決闘戦』に入れられていた。
当然、意義を申し立てるものもいたがグレンが理由を言うと納得しメンバー決めが無事に終わった時だった。
「やぁ諸君!お邪魔するぞ」
突然、教室の扉が開けられ現れたのはセリカだった。その後ろからはユキトが入ってくる。
「アルフォネア教授?」
「急にどうしたんだろ?…それにユキト君まで」
「なんだよセリカ、急に入ってきやがって…なんの用だよ?それにユキト。お前も競技のメンバー決めをサボってんじゃねーぞ?まぁそんなお前にはこのグレン様が特別に決めてやったぞ〜!ガハハ!」
急な事に皆が戸惑う中グレンはセリカに嫌そうな顔をしながら質問をし、ユキトには注意をしながらも種目を決めてやったといい最後には高笑いしていた。
「え〜『決闘戦』って…まぁ良いけどめんどいな…それにしてもホントに全員が活躍できるようにメンバーを決めるとは…セリカさんの言ってた通りだね」
「ふふん!だから言っただろ?グレンは優秀なやつを使い回すなんてくだらないことはしないと…もし、そんなことをしていたら灰にしてやったさ、なぁグレン?」
そんなグレンに対しユキトは面倒くさがりながらも了承し、セリカは自慢げに言ってグレンに聞くが
「……ヤダナー、ソンナコトシナイ二キマッテルジャナイカ…ダラダラ」
グレンは片言で喋りながらも冷や汗をダラダラと流していた。
実はグレン、最初は使い回しをしていいとは分かっておらず、適切な人選でメンバーを決めたのだが、決まった後で使い回しが毎年の恒例だと発覚。それを聞いた後にはシスティーナを特に多く使ってやろうと考えていた。
「何だその喋りは?…まぁいい、ここに来たのはグレン、お前に会わせたい奴がいてな。それとそいつはここの副担になるからそれも兼ねて紹介に来た。ユキトはそいつをここまで連れてくる案内役だ」
セリカはグレンの喋りに違和感を感じながらも放置し、ここに来た目的を言う。
「会わせたい奴?それに副担って…」
「先生、この間オレが言ったこと覚えてる?近いうちに懐かしい人と会えるって言ったよね?」
「ああ、言ってたな…誰のことか分かんなかったが」
グレンはセリカのその言葉に戸惑うが、そこにユキトが質問をし、グレンは戸惑いながらも答えると
「じゃあきっと驚くと思うよ…ああ、会う前にこれだけ言っとくね?良かったね」
「良かったって…それはどういう」
「おーい!入っていいぞー!」
その答えにユキトは謎のことを言うが、グレンはさらに戸惑い、ユキトに聞こうとするがその前にセリカがその人物を教室に呼ぶ。
「はーい!」
すると扉の向こうから返事が聞こえ、続いて扉が開けられその人物が中に入ってくる。
「……え?…おま!…なんで!…」
その人物に最初に反応したのはグレンだった。普段の眠たげな表情は一瞬で消え、驚きが顔全体に現れて言葉を失う。
「……システィ?」
次に反応したのはルミアだった。ルミアはその人物の顔を見た瞬間親友のシスティーナの名前を言いながら隣のシスティーナとその人物を交互に見る。
その人物はその2人の驚愕をよそに堂々と教室に入り教壇まで歩くと生徒達に向き直りながら笑顔で自己紹介を始めた。
「初めまして皆さん!!今日からこのクラスの副担任になりました、セラ=シルヴァースです!講師は初めてなので不安ですが皆さんと一緒に頑張っていけたらと思ってます!どうぞよろしくお願いします!」
「「「「「おおおおおお!!!美人女講師きたーーーー!!!!」」」」」
セラの自己紹介が終わると生徒達(主に男子)の絶叫が響き渡った。
女子達も
「綺麗な人だね〜!」
「ええ、まさに大人の女性って感じよね〜」
とセラの魅力的な容姿に羨望の眼差しを向けるものもいた。
その様子を見ていたユキトはチラリとグレンの方を見てから
「それじゃ、自己紹介も終わったことだし解散しようか!競技祭のメンバー決めも終わったんでしょ?」
と解散をすすめる。そういうのもグレンはセラが入ってきてから驚きで石のように固まっており、その様子じゃこの状況が進まないだろうと思ったためだ。
(先生はセラさんに聞きたいことが山ほどあるだろうからね、それにセラさんも先生と話したいと思ってるだろうし)
そしてその様子を見たセラはユキトが自分とグレンが話せる機会を作ろうとしている事を察すると
「ん〜ホントはもっとみんなと話したいけどもう放課後だから帰るのが遅くなっちゃうもんね……それじゃあまた明日ねみんな!それと教えてくれてありがとね!”ユキ君,,!」
と言ってユキトの頭を撫でながら礼を言う。
その光景を見たクラスの皆は……
「「「「「「「「「頭撫でなでだとーーーーーー!!!!!!ユキトてめぇ羨ましいぞクソがーーーーーー!!!!!」」」」」」」」
と男子達が大きく喧騒しだす。中には血の涙を流しながらユキトを睨んでいる者もいる。
「ちょ…セラさん、こんな大勢の前でやめてよ…」
これにはさすがのユキトも動揺しセラに文句を言うが…
「え〜いつもは何も言わずに大人しく撫でさせてくれるのに!それにセラさんじゃなくていつもみたいに”セラ姉さん,,って呼んで?」
セラはさらなる爆弾を投下する。
「「「「「「「「「セラ姉さんだとーーー!!!お前いったいどんな関係なんだーーーーーー!!!!」」」」」」」
案の定それを聞いた男子達はまたもや騒ぎだす。
「あーー!!もう!めんどくさいなお前ら!!ただの親しい知り合いだっての!!これでいいか!!セラ姉さんもいいよね!!」
「うん!よく出来ました!」
その男子達にイラつくユキトは大声で聞かれたことに答え、セラにも確認すると、セラはその返しに満足したのか笑顔でそう答え離れていき、そのまま解散した。
___
教室で解散した後、グレン、システィーナ、ルミア、ユキト、セラの5名は、屋上に来ていた。
(はぁ〜えらい目にあった…それに先生とセラ姉さんだけ屋上に呼ぶつもりだったのにこの2人まで来ちゃってるし…)
と、ユキトは考えていた。ユキトは最初、グレンとセラだけを屋上に連れ出して事情を話すつもりだったが、それを近くで聞いていたルミアがついて行くと言い出した。それに便乗するようにシスティーナも願い出た結果、予想外の人数が集まったのだ。
(それに……)
ふとユキトはある方向を見る。
「…………」ジー
(この視線がなぁ……落ち着かないよ…)
そこにはユキトをジッと見つめているルミアがいた。実はルミアはユキトとセラのやり取りの時からジト目でユキトのことを見つめていた。ユキトはその視線をずっと感じていたためとにかく落ち着けなかった。
「セラ…なんだよな?」
「うん、久しぶりだねグレン君…」
ユキトがしばらく考えていると我慢の限界を迎えたのかグレンがセラに尋ね、セラは肯定する。
「本当にセラ…なんだな?…でもあの時お前は死んだはずじゃ…!」
その答えを聞くと、グレンは泣きそうになるも何故セラが生きてるのか分からず詰め寄りながら聞く。
「え?…死んだって…セラ先生はここにいるじゃない」
「どうゆう事だろ?」
事情が分からないシスティーナとルミアは戸惑うばかり…すると
「確かにあの時セラ姉さんは死んだ…いや、死ぬ寸前だったよ」
そのグレンの疑問に答えるようにユキトが発言する。
「死ぬ寸前ってお前いなかっただろ?……あの時セラの身体は氷みてーに冷たくて…心臓も止まって…まてよ…まさか!」
「そう、オレはあの時死ぬ寸前だったセラ姉さんの身体を冷気を使って超低温にする処置をした。そうする事でセラ姉さんの身体の機能を一時的に停止させ、出血を止め、傷口の腐敗を防いだ。心臓についても超低温にすることで心停止から脳を死なせないようにする必要があったからね。後、出ていけなかったのは2人を見つけたのと同時に戦闘になったからだよ。横目で見ながら何とか処置をしたんだ」
ユキトの発言からグレンは、その時の状況を振り返り、何かに気づくとユキトに目を向けそれに対しユキトもその時やったことを話した。
「その後は簡単だよ。戦闘が終わって、先生がその場から離れたのと同時にセラ姉さんの身体を回収して体温を元に戻した後に魔術で回復して、蘇生したってわけさ。ただ一時的とはいえ死ぬ寸前だったことに変わりはないから前のような魔術行使はできなくなったけど…」
「ユキ君の言った通り私は1回死にかけた…それに魔術も前みたいには使えない…けど生きてる。生きてまたグレン君に会えた!そのことがすごく嬉しいんだ!」
ユキトが全て打ち明けると、セラが続くように今の心境をグレンに話した。その表情は後悔など微塵も浮かんでおらず、ただ嬉しいと訴えていた。
「俺も…俺もだよセラ…お前が死んだと思った時、俺は絶望した。けど今またお前に会えてる。だから…まぁ…その……嬉しいよ」
グレンはセラの言葉に同意しつつも最後は誤魔化すように言っていた。
そしてユキトに向き直ると
「お前もありがとなユキト……セラを助けてくれて」
「オレもセラ姉さんには死んで欲しくなかったからね…」
そう礼を言い、ユキトもそれに返す。
しばらくしてグレンは思い出したかのようにユキトに向き直ると
「てかユキト、なんで今までセラが生きてることを教えてくれなかったんだ?」
「ん?いや、会った時に教えようとしたんだけどね……セリカさんがサプライズにちょうどいいって言って聞かなかったんだよ…」
「あのやろ…!」
そう質問するとユキトは疲れたように答えると、グレンはセリカに悪態をついていた。
「ところでルミア、いつまでジト目で見てくるのさ」
「…………」フン
ユキトはいつまでも見てくるルミアに耐えきれずそう聞くが、ルミアは取り合わずにそっぽを向く。
(困ったな〜…何か怒ってるっぽいし…)
「え〜……じゃあ後でなんでも言うこと聞くから…ね?それで勘弁してくれない?」
「ッ!…ホントになんでも?!」
「う、うん」
ユキトはたまらずルミアにそう言うと、ルミアは途端に態度を変えユキトに詰め寄り、ユキトはその圧に首を縦に振ってしまう。
「フフ…じゃあ勘弁してあげる!」
するとルミアは笑顔になり、何やらウキウキしている。
(何をされるんだろ……)
その様子を見たユキトは何をルミアにされるか不安で仕方なかった