ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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DECAGRAMMATON/第三セフィラ・ビナー(BINAH)
ウルトラマンティガ
登場


光を継ぐもの

_アビドス自治区の砂漠には衛星にも映らない、未知の物質で作られたピラミッドが存在する。

 

それはキヴォトスという学園都市にてまことしやかに語られている。かつて、マンモス校として栄華を誇ったアビドスも今は生徒2人だけという廃校を待つ状態。そこに一人の成人男性が居た。

 

「………先生?」

 

「あぁ、大丈夫だよ」

 

スーツ姿の男性がアビドスの砂漠を2人の生徒と歩いている。

 

「先生、先生はどうしてアビドスに」

 

「……頼まれたからかな。何処かの誰かに。助けて欲しい、救ってあげて欲しいって」

 

男性は優しく自分の胸程度しかない少女の頭を優しく撫でる。

 

「あっ!ホシノちゃんにマドカ先生!」

 

「ユメは、今日も元気だね」

 

「うん!マドカ先生も何時もありがとうございます!!」

 

「俺が出来ることなんてそんなに無いよ。ヘイローもなくて、戦えない。出来るのは精々、傷の手当てと掃除、勉強を教える事だけ」

 

「でも、先生が居たから」

 

本来の歴史ではアビドス高等学校は借金返済に追われる未来。

しかし、マドカという教師が居たためか借金という借金は特にない。それどころか、アビドス自治区が切り売りされるという事実はない。

 

「…かつての生徒会長は責任が強すぎたんだ。環境を無理に変えることはできない。自然の神秘だ。流されるままとはいかない。でも、その対応を間違えてはいけない」

 

「自治区を切り売りしようなんて、そんなの」

 

「……アビドス自治区は砂漠だ。そんなの、二束三文で叩かれるのは目に見えている。ユメは今年で卒業だけど、ホシノは寂しくないかい?」

 

「なんですか?私は別にウサギじゃないんですが」

 

ムスッと少し膨れた顔を向ける少女の頭を微笑みながら撫でる。

もとより、キヴォトスは歪な世界だ。神秘という物が溢れ、外界と完全に遮断されている。かと思いきや、外界と繋がることもある。マドカもそのようにしてキヴォトスを訪れた。

 

「……先生、先生はもしアビドスが無くなったら」

 

「ユメ、俺は大丈夫だ」

 

アビドス高等学校において、大人という心の支え。

だからこそ、梔子ユメは生徒会長という重荷を、小鳥遊ホシノは

自分の心を打ち明けられる存在を。失うのが怖かった。

 

「……そう言えば、あの先生の机にあるその人形って」

 

マドカの机の上には書き終えた書類とレッド、シルバー、パープルの3色が入った人型の人形が飾ってある。

ボロボロになり、色褪せているがマドカはソレを大事そうに見つめている。

 

「……これは……この人形はウルトラマンティガ」

 

「ウルトラマン…ティガ?」

 

「ティガ?ティガってアビドスの伝承にある光の巨人のことですか?」

 

「どうだろうね、でも少なくともこのウルトラマンティガは……俺の光だった。幼い日、どんなに辛くて苦しい日でもティガが、助けてくれたんだ」

 

「先生の……ヒーローって事ですか?」

 

ホシノの問いに優しく答えた。

 

「ティガはヒーローじゃないよ。ティガは人間さ、同じ人間なんだ。ただ、救いたい、守りたい。その意思で戦う一人の人間なんだ」

 

マドカ・ダイゴ、名を借りているキャラクターが光となり現代に蘇った超古代の戦士。それが、ウルトラマンティガ。

テレビの画面で幼い日に見たソレをマドカは決して忘れない。

時は静かに経っていく。アビドスからの人口流出を抑えることは叶わず、一部の企業から砂漠の買い取りという話が持ちがあることもある。しかし、それでもユメは首を縦には振らない。

重要なのは、未来に残すことなのだ。

 

「……うへぇ……先生……熱いよぉ………」

 

「ふぅ……クーラーボックスの中に色々入ってるからホシノを呼んで飲んで良いよ。俺はもう少し掘っておく」

 

「うん!ホシノちゃん!ホシノちゃん!!」

 

「なんですかユメ先輩、休憩まで時間は」

 

「マドカ先生が休んでいいって!クーラーボックスの中身も飲んで良いって」

 

「なら先生も呼んできてください!」

 

「ちょっと…俺はまだ」

 

今、3人が行っているのは宝探しだ。ユメとホシノは何故か水着になり、ビーチサンダルとスコップ片手に穴掘り。

ユメ曰く、汗をかくのは一緒だから水着でやるのが良い。

マドカはそれは違うと思ったがホシノが賛成したため、許可を出した。

 

「まったく、キヴォトス人は良いよな。普通砂漠では紫外線で火傷までするんだぞ?それが暑いのと、日焼け程度で済むんだ」

 

「聞きました。キヴォトスの外では違うんですよね。特にユメ先輩なんて」

 

「うへぇ……マドカ先生から怒られてるから忘れ物は無いよ」

 

「……砂漠に出る時はコンパス。水分補給、食料、そして武器弾薬だ。ユメは射撃センスはない。でも、銃を撃てば遭難者の発見が楽になるんだ」

 

「ひぃん……何度も聞いたのに」

 

「何度でも、俺も銃を持ってるし」

 

マドカは肩がけのホルスターからスミス&ウェッソンM19の4インチモデルを取り出す。装弾数は6発ながら、腰のベルトは改造され、合計で60発もの357マグナム弾が装着してある。

 

「よし…!休憩終わりだ、もう少しだ。頑張ろう!」

 

「ひぃん……熱いよぉ」 

 

「ユメ先輩!」

 

スコップ片手に掘り進めていくと、ユメが叫んだ。

 

「……あった!って……これ」

 

ユメは石の塊のような何かだった。持ちてのような物があるが、奇妙な石という印象しか受けない。

 

「こっちも見つけました!お宝です!!」

 

「物無しは俺か、今そっちに行く」

 

「私も……とりあえず、車に」

 

ユメは見つけた石を車に乗せ、ホシノの元に走った。

 

「すごいです!お宝です!」

 

「……なんで?」

 

「凄い」

 

ホシノが掘り当てたのは金色に鈍く輝く塊だった。

直径は軽く10cm程の歪んだものだが、マドカはホシノに許可を取り、掘り当てたソレを確認する。携帯型の金属分析器を使い、成分を調べる。

 

「金だ」

 

「本当ですか!」

 

「あっ……あぁ……」

 

「先生!掘りましょう!!」

 

「わかったよ!ユメも」

 

「はい!」

 

3人で協力し掘り進める。

すると疎らではあるが合計で6つ程の同じ大きさの金塊が見つかった。

 

「……嘘だろ」

 

「凄い!凄いですよ!!」

 

「……うん、ホシノちゃん」

 

「……明日は授業はキャンセルだ。この金塊をインゴットに出来る所を探そう」

 

「そうですね、肌寒くなってきました」

 

「うん、これは先生が保管しててもらえますか?」

 

「いや、俺よりも君たちのほうが……盗むかもしれないんだ。人を容易く信用しちゃ」

 

「自分から盗むっていう人はそう居ませんし、先生なら信用できますから」

 

金塊をインゴットに精錬し、売り払う。ソレだけでかなりの金額が手に入った。なんと言っても、金塊は純金であったのだ。

精錬した業者もミレニアムサイエンススクールのお墨付きであり、信頼度は高い。そのままミレニアムに売るという流れになり、合計で90kg、10kgインゴット9本にもなった。

1本当たり相場より凄い高めの190万円。

それが8本で1520万円の臨時収入が手に入った。

 

「凄いですよ!今日だけでこんなにも……」

 

「でも、宝探しばかりする時間はないぞ?きちんと勉強していないと」

 

「むっ…わかってます。私が生徒会長になってもユメ先輩も手伝って貰います」

 

「へ?!ホシノちゃん!私、大学行くのに」

 

「大学の休みで構いません。それとも、後輩を1人だけで置いていくんですか?」

 

「ひぃん…ホシノちゃんの言葉の暴力」

 

「ふふっ……まったく」

 

ハイランダー鉄道学園の列車でD.U.までは来れる。

ソレ以降は車だ。

 

「あっ……そう言えばコレ忘れてました」

 

助手席のホシノがドアについたスタンドに入れてある石を取る。

それに対して後部座席のユメが話した。

 

「それ、昨日私が見つけたんだ。奇妙な石でしょ?」

 

「ユメ先輩ですか?」

 

「石?見せてくれないか?」

 

マドカは一度車を脇に止め、ホシノから石を受け取った。

それをマドカは良く知っている。確かに石、いや石化しているが自分がかつて触れていた玩具と同じもの。

違うのは石らしくひんやり冷たく、何処か心を吸い寄せられる物がある。

 

「……先生?!」

 

マドカが我に返ると目の前の石が変わっていた。

プラスチックではない、既存の金属とも違う肌触り。

石のように冷たく、金属の様に様に滑らかなだ。

 

「なんで………スパークレンスが」

 

その声が上がると同時に、アビドスの大地が揺れた。

 

「……巨大な蛇?アレって」

 

「アレはビナーだ!昔からアビドス砂漠に居る化け物だよ!」

 

マドカはアクセルを踏みしめる。

車に向かってレーザーが放たれるが、華麗なドライビングで回避していく。

 

「先生!どうするんですか!!」

 

「ビナーを砂漠に誘導する。2人は飛び降りるんだ。ヘイローを持ってるなら何とかなる!」

 

「そんな!先生は」

 

「………大丈夫。校舎で会おう」

 

マドカは2人が飛び降りたのを確認するとアクセルを強く踏み、大きく円を描きながらビナーに迫る。クラクションをけたたましく無らしながらただ、ビナーを誘導している。

ビナー、そう呼称されたAIははじめから車を狙っていた。

それは遥か昔から存在する莫大な神秘、超古代の存在が神と崇めた存在。だからこそ、ビナーは許せない。

 

ーDESTROY

 

破壊、その意志のみがビナーを包みこむ。

口を開き、ビームがまるで咆哮のように車両へと放たれる。

爆発等というものじゃない。塵一つ残すことなく、車両は消滅した。

 

「あっ……いや……」

 

「ふざ……ふざけるなぁ!」

 

ビナーはソレを見届けると静かに向き直る。最優先排除対象を殺害したが、次が居る。自分を殺しかねない。悪魔が此処に居る。

ビナーの動きは砂漠慣れしており、予想よりも俊敏だ。

砂漠を這うスピードも全速力の車と同程度。

全長は有に100mを超える巨体はその鋼の体でホシノとユメに迫る。

 

「……誰か…………先生」

 

「くっ!」

 

怯えるユメを抱き寄せ、ホシノは目を瞑る。だが、いつまでたっても、肉体が潰される感覚が無かった。

 

「ーーーー!!!」

 

金切り声のような機械音が響き、ホシノが目を開けると口を開けずっと上を見続けるユメ。それに合わせるように自分も振り返ると、そこには光が居た。光の巨人が居たのだ。

 

「……先生…マドカ先生!」

 

巨人は頷き、ビナーを吹き飛ばす。

光が収まり、太陽にその姿が映し出された。

身長53m,体重4万4千トン、飛行速度マッハ5。

パープル、レッド、シルバーの3色の戦士。

 

「先生が……ティガに……ウルトラマンティガに」

 

アビドスの守護神と呼ばれた超古代の戦士が今、蘇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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