ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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大いなる闇の目覚め3rd

アビドス高等学校。

砂漠化が停止し、オアシスの再誕と守護神の復活。

また、謎の蛇型機械生命体と数多の神秘が溢れる大地。

寂れていた街は見違えるほどに整っており、

最盛期程ではないが活気にあふれた街に戻ってきた。

 

「ティガの巨神を

コードネーム『ウルトラマンティガ』と命名」

「ウルトラマンティガは敵か?味方か?」

「ウルトラマンティガに迫る」

 

小鳥遊ホシノは生徒会室に設置してあるテレビから

流れ続けるニュースと言う名のくだらない討論を

流し見していた。

 

「ホシノちゃん、手伝ってぇぇぇ」

 

「もぅ…ユメ先輩……ぇ゙」

 

何か水に濡れたのかボディラインが見えるほどに

ピッチリとした制服は同性であろうと欲情を湧き立たせる事もあるだろう。

 

「何があったんですか!」

 

「ひぃん…水道管が破裂しちゃったの!

近くを通りかかったヘルメット団の子に

水道管止めてもらったんだよ」

 

「うへぇ……」

 

ヘルメット団、アビドスのヘルメット団は犯罪者だが

どちらかといえば日本のヤクザの様に義理と人情を

通している。理由はマドカに恩があるからだろう。

作れない口座を開いたり、青空教室をしたり、

砂漠での過ごし方等を事細かに教えていた。

今では黒寄りのグレーの自警団的な立ち位置になり、

稀にアビドスで勉学に励むこともある。

だが、もっぱら修理工や運送業をしており不良ながら

アビドスではなくてはならない存在でもある。

 

「……彼女たちもさすがに水道工事は出来ませんよね」

 

「うん、私等じゃなくて業者に頼め!

私たちはヘルメット団であって、修理工じゃない!

って怒られちゃった」

 

「修理工して資金稼ぎしてるのに何を今更」

 

「それで、業者の人に連絡したら明日来てくれるって!」

 

「ユメ先輩、よかったです」

 

「うん!ついでに他にも老朽化してないか確かめないと」

 

ユメはのほほんとしているが、

生徒会長としてやる事は知っている。

例え生徒が自分一人でも、ソレを親身になって教えてくれた

たった一人の教師が居たためだ。

 

「とりあえず、着替えましょう」

 

「クシュンっ」

 

可愛らしいクシャミをしながら、ユメは頷いた。

その時だ、廊下をパタピタと走る音とカツカツと

乾いた音がする。

 

「ん!お義父さん、お土産頂戴!」

 

「シロコ、お土産はトリニティで売ってた

クッキーとビスケットのセットだ」

 

「おいしい!」 

 

「よしよし」

 

ユメとホシノの顔が青ざめる。

 

「ユメ先輩?!先生が帰ってきちゃいましたよ!!」

 

「ひぃん…着替えないよぉ」

 

「とりあえず閉めましょう!」

 

慌ててしまっていたのだろう。

マドカなら事情を聞けば帰るなりしただろうが、

今の2人は服装で動転しており、

そこまで考えが纏まって居なかった。 

 

「入るぞ」

 

「ホシノ先輩!お土産あるよ!」

 

マドカが中に入るとホシノが生徒会長の椅子に座っている。

いない間に代替わりしたのか慣れた手つきで作業するホシノに何処か納得した表情を見せる。

 

「…ユメの代わりか。偉いぞ、ホシノ」

 

「あっ…ありがとうございます」

 

「トリニティのお土産だ。皆で食べると良い」

 

「お義父さん!ラーメン食べたい!」

 

「ちょ…シロコちゃん!先生にたかるのは」 

 

「良いさ、放課後食べに行こう…と」

 

「お義父さん?」

 

「悪い、保健室借りていいかい?ちょっと、疲れが」

 

「ん!」

 

マドカが立ち去ると濡れた状態のユメが机の下から出てくる。

 

「着替えてくる」

 

「そうしてください」

 

ホシノは呆れながら部屋を出るユメを見送った。

 

「お義父さん、今日はどうしたの?」

 

ベッドの上で横になる。シロコはまるで犬のようにちょこんと頭だけをベッドに乗せ、マドカをみていた。

 

「……お義父さん、眠い」

 

「寝るならベッドだ」

 

マドカの右腕の中に収まるように小さなシロコが入り込む。

耳がピョコンと動き、ソレを左腕で撫でてやると

微笑みながら瞼を下ろす。

 

「おやすみ」

 

「ん」

 

マドカ自身、疲労困憊だったのに帰ってきた。

ソレは自分の本来の居場所たるアビドスに戻りたいという、

強い意志から。

 

「あら……マドカ先生にシロコちゃん」

 

数十分程した時に入ってきたのはノノミだ。

まだ、中学生ながら『アビドス復興対策委員会』

のメンバーに名を連ねている。

本来の歴史であれば、廃校寸前だったアビドス。

しかし、この世界ではゆっくりとだが復興が始まっており、

生徒会メンバーと協力者により『復興対策委員会』が発足、

ヴァルキューレと共に治安維持や受け入れを行っている。

 

「……マドカ先生、トリニティで戦ったばかりなのに」

 

連日流れる怪獣災害とソレに対抗している者達のニュース。

一部の権力者は其れ等の行動に心無い言葉をしていることも。

 

「あっ!ノノミちゃん!!」

 

「ユメ先輩、大きな声は……」

 

「……シロコちゃんとマドカ先生、寝ちゃってるね」

 

「はい、本当の親子の様で」

 

「……どうしよう。マドカ先生に相談したかったのに」

 

「なら、起こしちゃいましょうか?」

 

ゆさゆさと揺らされ、その衝撃で意識が浮上する。

 

「……寝かせて欲しかったな」

 

「ソレは夜です!

あと、今回も先生のところでお泊まりですからね!」

 

「了解、それでご要件は?」

 

「そうなんです!先生にお話があって……」

 

ユメから聞かされた問題は1個人では、どうしょうもない。

行政関係の問題であった。

 

「人が増えれば、ソレに応じてトラブルも増える。

ヴァルキューレ警察学校の人員は増えてるんだろ?」

 

「はい、でもアビドスへ帰ってくる人が後を絶たず。

今ではアビドス高等学校初等部である

『アビドス公立第一小学校』が復校。

私の通っている『私立ネフティス中学校』も

廃校が決定しているのですが人口増加に伴い、

入学希望者も増えてしまいました」

 

「…確か、私立ネフティス中学校はノノミ。君の期で」

 

「はい…廃校予定でした。そのせいで整備不良もあって。

連邦生徒会の定める基準を満たせていないんです。

ソレにネフティス参加の為、アビドスから支援は受けられず」

 

「…そうか、私立だからね。ノノミ。君には悪いが、

ソレはネフティスがどうにかしなければいけない問題だ」

 

「…すみません」

 

「そんな…先生」

 

「ユメ、予算は有限だし行政が扱える資金は

その市民に還元されるべきなんだ。

この場合、行政とはアビドス生徒会。

そして、市民はアビドス自治区の皆さんだ。

そして設備の復旧や修繕も行政の仕事だよ。

私立とは個人や民間団体が運営する物だ。

私立ネフティス中学校はセイント・ネフティスが運営し、

教員もネフティス所属の職員が行っている。

つまり、アビドス自治区及び生徒会が入る余地は無い」

 

「……」

 

「ユメ先輩、大丈夫です。マドカ先生もすみません。

ソレに、廃校は決定事項ですし」

 

「こればかりはね。

それに、元々私立に入るというのはその家庭の自由さ。

別に公立でも問題はないのだから」

 

「うぅ……難しい」

 

「はぁ……それで……人口増加のシワ寄せか」

 

私立ネフティス中学校の廃校は決定事項らしく、

ノノミから手渡された書類にはネフティスからの

制式な書面であり、更に関係改善の一環として

〘私立ネフティス中学校の設備の寄付〙が記載されていた。

 

「ありがたいね、小学校はどうしようもないが

中学校の設備は使わせてもらおう。

業者の手配は……ネフティスの子会社か。

これを期に、アビドスへ復帰しようとしているね」

 

「はい…現在、アビドスは観光資源もあります。

砂嵐と砂漠化の原因が倒された今、その……

ハイランダーと協力して鉄道の復旧工事をと」

 

「……動きが速すぎるが、

此方としては喜ばずには居られない」

 

「ひぃん……ついていけないよ」

 

「ん……お父…さん」

 

「シロコも起きたか。丁度いい、生徒会室へ行くよ」

 

そして現場では真顔のマドカ、ホシノ、ノノミ。

シロコを膝の上に乗せて撫でるユメがいた。

 

「ユメ先輩、しっかり」

 

「ホシノ、駄目だ。ユメに腹芸は出来ない。

ネフティスとハイランダーとの会談の時は呼んでくれ。

すぐに行くから。

あと、この件の主導はホシノという書面も必要だ」

 

「……うん、私じゃ皆の足を引っ張っちゃうし。

先生に支えて貰って何とか半人前だし」

 

「ユメ、それは違うぞ。

表裏のないお前は誰よりも強い、

お前は忘れたかもしれない。

でも、俺は忘れてない。俺は転校を進めたが、

お前は言った。学校見学に来てくれた1人の生徒の為によも、

私はアビドス高等学校を残さなくちゃいけないんですと」

 

「人の強さは腕っぷしだけじゃない、人の強さは心強さ」

 

マドカは暗い顔のユメを優しく撫でる。

 

「……先生、ありがたい」

 

「アホ毛先輩、顔赤い」

 

「ひぃん…シロコちゃんがいじめる」

 

「…まったく」

 

そう思いながら時間を見れば既に17時を回っていた。

 

「買い物をしながら帰るぞ、夕飯は何が良い?」

 

「ハンバーグ!」「カレー食べたいです!」

 

「シロコとホシノからの提案だ。ユメとノノミは?」

 

「私達もそれで、」

 

「先生、頑張りますね!」

 

「手伝ってくれるのは良いけど、ハンバーグ。

ちゃんと空気抜かないとだからな?」

 

それはまるで一つの家族のようなもの。

だが、その家族の崩壊はだんだんと近づいてきていた。

 

 

 

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