「何処までも―何処までも貴様は
我々の邪魔をする!」
それはキリエル人達の怒り、
ダイゴは知らないが別の世界に現れたキリエル人は
その世界のウルトラマンたる『ウルトラマントリガー』
と人の光の化身として現れた『ウルトラマンティガ』に
倒された。
「我々はこのキヴォトスに貴様が来る前から来ていた!
それを、貴様ら悪魔は」
キリエル人が炎に包まれる。
怒りの炎、ティガを、ウルトラマンを倒す為、
キリエル人という異次元生命体が融合した姿。
(お前達を、お前達を許す訳には行かない)
「ハッ」
「アァ?!」
それはティガの―神秘の光。
ダイゴがとあるウルトラマンの能力を参考に作り上げた、
次元を超える者達へ終末を送るための処刑場。
それをホシノは見ていた。
「ー世界が、揺らめいてる」
「GUTSです!!大丈夫ですか!」
「SRTです!動ける方は避難にご協力ください!」
ティガの足元でGUTS、SRT、
そしてヴァルキューレの生徒が走り回っている。
人を救い、皆を守るために。
「光が……我々を……おのれぇ……何をした!」
(お前達をこの次元に、キヴォトスとズレた次元に隔離した)
ティガのカラータイマーが始めから鳴っている。
ピコン、ピコンと。
だが、それでもキリエル人を逃がす訳には行かない。
「貴様……だが、その代償はあるか!
ティガ、貴様を倒し、人間共を」
「ハッ!」(うるさい)
話しているキリエロイドの顔面ににティガはストレート、
そして蹌踉めいた所に間髪入れずにアッパーを入れた。
「デュア!デェア!」
まるでリングの端に追い詰められたボクサーの様に、
キリエロイドへ反撃を許さず連続して攻撃を行う。
「舐めるな!」
「ハッ!」(舐めてない、倒すだけだ)
キリエロイドのパンチをいなし、そのまま背負い投げる。
「凄い……せん……ティガの動き、靭やかだ」
「それだけじゃない、自分のペースに持っていってる」
「ハァ!」
「ぎぁあ」
キックされたがそれを理解して居たようにティガは
距離を取り、ハンドスラッシュを放つ。
「猪口才な!」
ティガという怨敵の存在に弄ばれる事に怒りを隠せないのか、
キリエロイドは益々単調な動きになっていく。
「……ハッ」
ティガは、ダイゴは、彼のように。
マドカ・ダイゴの様に優しくはない。
大切な家族を襲われ、数多の生命も奪われた。
そんな相手に手加減や、
優しさを覚えるほど聖人じみては居ないのだ。
ティガは迫ってきたキリエロイドの後ろに入り込む。
それはとあるアニメーションで行われたプロレス技。
背後から両足を内側から引っ掛け、
両手をチキンウイングで絞り上げる関節技。
『パロ・スペシャル』
「くぁぁぁぁ」
痛みに叫ぶキリエロイドをティガは容赦なく責め立てる。
ゴキュリという生々しい事と共に掴んでいたキリエロイドの
感触が消えた。
「?!」
「馬鹿め」
ティガの一瞬の隙を突いて、
キリエロイドはパロ・スペシャルから逃げ出し、
息焦燥と言った状態ながらティガに向き直る。
「貴様は……何処のお前よりも野蛮だ」
(人を支配する事しか考えていないお前達に言われてもな)
「ほざけ!」
左ストレートがティガに迫る。
だが、その程度ではティガと戦うには不十分だ。
キリエル人はティガを研究して来たが、
マドカ・ダイゴという大人を研究しては居なかった。
SRTに入ってから、いや入る前からだ。
マドカ・ダイゴは常に家族を守る為に自らを鍛え、
自らを弱者であるからこそ護られる訳にはいかぬと鍛え、
教師として導く者として自らを鍛えてきた。
格闘技、射撃、スタミナ、全てを鍛えてきた。
ティガの技、能力を研究してはいただろう。
だが、キリエル人は自分が見下している人間を研究しようとは
思わなかったのだ。
「ぐぁぁ」
キリエロイドを地面に叩きつけそのまま、
仰向けになっている相手の両足を、
それぞれのわきの下にはさみこみ、
そのまま相手の身体をまたぐようにステップオーバーして、
相手の背中を反らせて背中・腰を極める技の
ボストンクラブへ移行する。
「凄い……スポーツみたい」
「相手はヒールじゃなくて、明確な敵だけどね」
ティガは緩めるどころか段々と反らせる角度を上げていく。
「!!!!!」
声にならない悲鳴と共に絶望の音が響く。
「貴様…貴様!それが……それが光の戦士の」
(認めたな、自身が光の戦士では無いと)
「なっ……」
(そうだ、お前達キリエル人は神ではない。
ただの傲慢なだけのヒューマノイドだ)
「黙れぇぇぇぇ!!!!」
「デェェア!」
迫ってきたキリエロイドに正拳突きを行い吹き飛ばす。
そしてティガは両腕を腰の位置まで引き前方で交差させた後、
左右に大きく広げて光を変換した破壊エネルギーを集約し、
L字型に腕を組んで右腕全体から放つ白色の超高熱光線
『ゼペリオン光線』を倒れたキリエロイドに放った。
悲鳴なく爆散していくキリエロイド。
だが、その魂は残っていた。
「なぜだ……貴様…何をするつもりだ!!」
ティガは胸のカラータイマーへ残った光エネルギー集約する。
そして一気に解き放つ技『タイマーフラッシュ』を
キリエル人の魂に向けて照射した。
「貴様……貴様ぁぁぁ」
怨嗟の声を響かせながら、キリエル人は消えていく。
キヴォトスにその存在を証明してくれる者は居ない。
次元の狭間で魂ごと、ティガに消滅させられたのだ。
「……ハッ」
光の結界を解除し、ティガは空を飛んだ。
そして、ゲヘナへと降り立った。
「なんだ!いや……あれは………ウルトラマンティガ?!」
当時の万魔殿の主は瓦礫の中から生き残りを
仲間と共に救助していた。
そして、ウルトラマンという奇跡を目の当たりにしたのだ。
『クリスタルパワー』
ティガは自身の光を瓦礫の中の生徒、
傷ついている生徒、救助活動を行っているに分け与えた。
「聞こえる……此処に居るぞ!」
「此方にも…」「目を覚ましたぞ!」
「力が…漲る」「良かった……良かったよ」
死んでいる者は助からない。
助けられなかった、
だが生きているものは助かる余地がある。
「なんで……なんでもっと速く来てくれなかったの!」
「……皆…皆、ただ騒いで、ただ生きてただけなのに」
誰かが叫んだ。続く様に、ティガに慟哭が響く。
そんな力があるなら、もっと速くと。
「ウルトラマンは神ではない。救えない生命もあるんだ」
それはティガからのテレパス。
それを受けた生徒達はただ、ティガの去った方向を見ていた。
ティガはけたたましく鳴り響くカラータイマーに焦る事なく、
ゲヘナからトリニティへと向かい同じことをした。
それはあくまでも自己満足だ。
文句を言われようと構わない。
アントラーの時、この様な事はしなかった。
それは一重に生きている者が少ないというのもあった。
SRT内に作られたマドカ・ダイゴ専用の部屋。
最上級のセキュリティが成された此処で、
マドカは生活している。
「……ウルトラマンは神ではない」
それはウルトラマン、ハヤタ・シンの言葉。
ウルトラマンメビウス、ヒビノ・ミライへ向けた言葉だった。
「神ではないのなら、貴方は何なのでしょうか」
「何者だ!」
ハイパーガンではなくS&W M19を向ける。
ハイパーガンは生徒に向けて撃ってもダメージが入ってしまう。
ヘイローがあっても火傷させてしまう物は気軽に撃てない。
「どうも、はじめまして。マドカ・ダイゴ先生」
それは黒いスーツをした無機質な何かだった。
声もする、気配もある。だが、人間や動物的な気配がない。
「私は……そうですね、とある方に名付けて貰ったのです。
それが気に入ってからずっと『黒服』と名乗っています」
これがマドカ・ダイゴと以後親友となる黒服との出会いだった。