ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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オビコを見た! 2

「……平和ですね。まるでD.U.に居るみたいだ」

 

「うふふ…この地区は元々農村地帯だったのですが、

企業の発展等により、成長区の一つとなっています。

観光地等はありませんが、住みやすさは高い場所ですよ」

 

「はぇ………」

 

整備された道だけでなく、最新式の車も走っている。

学園外企業も多数あるようで、百花繚乱だけでなく、

ヴァルキューレ警察学校の生徒も多数見受けられる。

 

「ここは他校との交流地点でもあります。

アチラの山岳地帯、見えますか?」

 

「はい、森が開けてますね」

 

ムナカタがそう言えば、アヤメは話す。

 

「ホテルが建設される予定地です。

この地区は観光地から離れている訳では有りません。

だいたい、30分から1時間程度で行くことができます。

そこにホテルを配置することで、より活性化が望める。

という訳です」

 

「しかし…その、値段は」

 

「観光地が近くにあると言っても、ここは開発区。

見えるのは山岳地帯です。バードウォッチングや、登山、

アスレチック等も設置する予定ですが、一番は観光地に

泊まるよりも安いという所ですね」

 

「…そうですか」

 

「観光地……アビドスにも……いや、しかし」

 

雑談を続けていると、目的地に到着した。

 

「皆様、ようこそ。此方が、オビコ対策本部です」

 

数十人の生徒がマドカ、ムナカタ、シンジョウの3

人に頭を下げている。

マドカは代表として一歩前に立ち、彼女達に敬礼を返した。

 

「…オビコ事件解決のため、ご協力お願いします」

 

それは本来彼女達の言葉だろう。

だが、マドカは協力させて欲しい。

そう、裏で伝えているのだ。

 

「えぇ、GUTSの皆様。宜しくお願いします」

 

アヤメの言葉と共に対策本部へ入る。

そこでは12件にも及ぶ襲撃事件とその被害者の情報が

黒板に掲示されていた。

 

「学年も、年齢も、すべてが違う。

生徒かと思えば、市民も襲撃を受けている」

 

「一転して、発見場所は常にここ。

参道付近にある古井戸の前です」

 

「はい、しかし我々もカメラを設置しましたが、

常に忽然と被害者が現れるのです。

オビコは常に、闇から闇へ移動しています」

 

「闇から…闇とは?」

 

「はい、我々だけでなくヴァルキューレの生徒も含め、

一度オビコを追跡したことがあるのです。オビコは暗闇の中を、まるで、転移するかのように消えては現れるを繰り返し、

我々は被害者を増やす結果となってしまいました」

 

「ですが、我々の捜査で一点はっきりしたことがあります。

オビコには実体がある。一度、オビコを攻撃した生徒が居ました。その際、オビコは何と中華鍋で攻撃を防いだのです。

つまり、私達の攻撃はオビコに通用する。そして、オビコは」

 

「……姿を消す。透明化しているわけではない」

 

「えぇ、貴方方GUTSには私達以上に超常現象や事件に対して、

一律の長があるとお聞きしています。

そして、GUTS顧問、マドカ・ダイゴ先生。貴方の手腕を、

知恵を、私達にお貸しください」

 

「はっ!」

 

マドカは敬礼でその言葉に応えた。

そして、夜の闇が迫る18時。

マドカ達はオビコの捜索を一人一人行っていた。

理由は一つ、常に一人でいる場合に襲われているからだ。

 

「チャルメラ?」

 

ラッパの音が不気味に闇の中を響く。

マドカがハイパーガンを構えながら歩く。

だが街頭の光りに照らされ、

昔ながらのラーメン屋台が立っているだけだ。

 

「……小腹が空いたな」

 

時間も時間だ。

警戒中、各々食事も摂る様に指示していた。

自分もラーメンなら良いだろうと考え、

屋台の暖簾をくぐった。

 

「いらっしゃい」

 

「大将、オススメは?」

 

「家は醤油一本よ」

 

「では、普通盛り1つ」

 

「へい」

 

5分ほどするとマドカの前に醤油ラーメンが置かれた。

アビドスの有名店、〘柴関ラーメン〙にも見劣りしない匂い。

レンゲで軽くスープを啜ると、

海鮮だしのあっさりとした旨味が口の中に広がる。

 

「……縮れ麺」

 

縮れ麺に絡み付いたスープ。

柴関ラーメンは豚骨ベースのこってりとした者とは違い、

アッサリとしたもの。

味わい深く、何処か懐かしい味だ。

 

「……お客さん、ここの人じゃないね」

 

「……あぁ、GUTSの顧問をしてる」

 

ラーメンを食べながら話す。

顧問も、大将も理解しているのだ。

だからこそ、今は店主と客という立場で、他には一切ない。

その意思を込めて話す。

 

「大将。アンタがオビコ、だろ?」

 

「……話には聞いていたが、優秀な漢らしいのぉ」

 

「……人質を取られてるからな。ワカメも美味い」

 

「天然物だ、ワシは傷付ける前に美味いラーメンを食わせる。

それが、せめてあの子らにできる事じゃ」

 

「…なんで、襲う」

 

「……都市の発展で人の子らは闇を忘れてしもうた。

ここはかつての景色はなく、儂の思いでは奪われた。

それが許せん。儂は、あの景色を守る。あの景色を取り戻す」

 

「…ごちそうさまでした」

 

丼を置き、片付けるのを待つ。

 

「…オビコ、お前は」

 

「すまんが、御主にも眠ってもらおう」

 

片付けが終わるとオビコはマドカに向って、

鍋を向けた。その中から黒いスライム状の生命体が

現れ、引き込もうとする。

 

「ふっ…く……」

 

ガッツハイパーを抜き、緊急用の照明弾を打ち上げる。

 

「ぬっ……」

 

「まて!オビコッ!」

 

屋台を引きながら車と同じ速度で走るオビコ。

夜の闇に笑い声とチャルメラが響き、人々を怯えさせる。

 

「見つけた!」

 

「ひっ……車と同じ速度で?!」

 

「シンジョウ、撃てッ!!」

 

何故かハンヴィーに乗っていたシンジョウが

脇道から飛び出した。

アクセルを踏みしめるが、それと同じ速度で走るオビコ。

それだけでなく、シンジョウに対しても薄ら笑いを

浮かべながら恐怖をあおる。

 

「オビコ、今日こそは!!」

 

「百花繚乱の娘っ子か……だが」

 

アヤメは三八式歩兵銃をオビコに向け、撃つ。

しかし、弾丸は貫通し後ろに走っていたハンヴィーの

右前タイヤを破裂させた。

 

「ちょっと……嘘?!」

 

「なっ…!じったいが……ない?!」

 

ハンヴィーをどうにか止めようとシンジョウはハンドルを切る。

 

「きゃぁぁぁぁぁ」

 

しかし、それなりの速度が出ていた為かハンヴィーがスピンし、

壁に衝突してしまう。

 

「シンジョウ、無事か!」

 

「……なんとか…」

 

エアバッグに埋もれながら返事をする。

直ぐ様オビコを見るが、既にかなりの距離があった。

 

 

オビコは闇の中を走る。

追いかけてくるものは居ない、その日。

GUTSと百花繚乱はオビコに完全に出し抜かれた。

 

翌朝、結局一晩中オビコを探し周り出し抜かれを繰り返した

捜索メンバー達。6時間ほど眠り、昼ごろから対策会議が始まった。

 

「まず、市民から事故の件で苦情が」

 

「…ごめんなさい」

 

「シンジョウさんは大丈夫です。撃ったのは私ですから」

 

アヤメとシンジョウは互いに申し訳なさそうに話すが、

今はそれどころではない。

 

「実体が無い訳じゃない。俺はあの屋台でオビコと話した」

 

「話した?マドカ先生、いったい何を」

 

「オビコは、昔の街を取り戻すと言っていた。

今のような摩天楼ではなく昔の景色を守り、取り戻すと」

 

「オビコが……そんな事を?」

 

「信じる信じないはソチラが決める事だ。

俺個人だが、オビコと和解することも出来ると思いたい」

 

キリエル人の様に根本的に理解できない敵対者ではない。

オビコはただ、悲しんでいるだけなのだ。

 

「きゃぁぁぁぁぁ」

 

「なんだ?!」

 

それは闇に聞こえていたはずのチャルメラ。

それが何故か対策本部内から聞こえ出した。

 

「……ここか!」

 

ーニヤリ

 

開けた瞬間、悪どい笑みを浮かべたオビコがパッと消えた。

そして、町中でチャルメラが聞こえるという報告が相次ぐ。

 

「闇………そうか、影だ!オビコは影を移動しているんだ!」 

 

「了解です!総員、影を探しなさい!」

 

クローゼット、ベットの下、車の中、光で影になっている

場所にオビコは現れ続けた。

そして、何時間もオビコとの追いかけっこが続く。

 

「…今晩中にオビコを確保するなりしましょう。

この地区の大まかな照明を停めるように指示しています。

病院等はどうしようもありませんが、

ビルの照明が付くことはありません」

 

「後は……後はオビコが何処に」

 

マドカは原作を知っている。

だからこそ、オビコの考えを理解していた。

 

「……オビコにとって、今の闇こそが目的だ。

お前達、目的が達成できたらどうする?」

 

「それは……帰ります。やること無いですし」

 

「シンジョウ、先生はオビコになって考えろと」

 

「……私がオビコなら、見晴らしの良い場所に向かいます。

まだ、開発が済んでおらず、なおかつ、かつての風貌を

残しているだろう場所。そして、街を一望できるだろう」

 

「…旧展望台か」

 

そこは都市開発によって失われようとしている場所。

かつては市民の憩いの場であった、古くからある展望台。

 

「此処に住む人なら、皆この展望台からの景色を忘れない。

私の…始まりの被害者がそう言っていました」

 

「いくぞ……GUTS出動!」

 

「「ラジャーッ!」」

 

対策本部を飛び出し、ハンヴィーにのる。

目的地はわかった、だからこそ………

マドカは最後まで悩んでいた。

 

 

 

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