ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

17 / 32
暗黒の支配者

百鬼夜行でのオビコ事件から3日が過ぎた。

この日、GUTSに本格的に対怪獣用多目的支援戦闘機が

ロールアウトした。

〘ガッツウィング1号〙〘ガッツウィング2号〙

これが空中戦力の新たな要である。

共に垂直離陸が可能な機体となっているが、

武装量で言えば『ハミングバード』の方が上である為、

使い分けがなされる事になる。

 

「ハミングバード、帰還しました」

 

「……重武装にしても戦えるエンジン搭載。

優秀なヘリだよ、ハチドリは」

 

ガッツウィングがロールアウトした事で、

SRTに繰り下げでハミングバードが配備され、

ハミングバード部隊まで編成された。

更に、GUTSと連携をとり再び現れだアントラーの討伐さえ、

やってのけたのだ。

 

「ティガが消えても、やっていけるか?」

 

自室に戻り、そんな事を思ってしまう。

GUTSのメンバーは最早素人ではない。

自分たちで指揮し、機転を利かせ怪獣と対峙してきている。

未だ目覚めぬユメと、ユメの代わりにアビドスをたった一人で

運営しているホシノ。

サポートとして、ノノミは居るだろうが心労は想像に難くない。

 

「まだ…来ないのか」

 

マドカはじっと待ち続けていた。

それは何処か怪しさを感じさせながら、

不思議な友情を紡いだ相手。

〘至急、伝えたいことがあります〙

とスマホに連絡が入り、自室でずっと待っていた。

 

「お待たせしました、マドカ先生」

 

「いや…違うな、確かに待った。問題は?」

 

黒服が入室してくる。顔は異形である筈だが、

その雰囲気が怯えているのを理解させる。

 

「此方を……見て下さい。

これが……これが闇、ましてや…キヴォトスにこの様な」

 

それは闇の中で蠢く存在、人類を見下すような視線。

見るもの全てを恐怖させ、世界を闇で包み込まんとする

超古代から地球に存在する支配者。

 

「……ガタノゾーア」

 

「ガタノソア?それはラブクラフトの」

 

「それは、この怪獣いや…邪神を知った者が書いた創作だ」

 

超古代都市ルルイエに現れると言われる闇の邪神。

「大いなる闇」とされ、3000万年前の超古代文明を滅ぼした元凶である。それが、鼓動をしまるでカメラ越しに理解しているかのごとく、視線を向けてくる。

 

「コレは……コレは何処で」

 

「オデュッセイアの

…ポイントA13と貴方方が呼んでいる海域で。

元々、鼓動の様な音が聞こえるという報告があったらしいのですが、オデュッセイアは自力で調査しようとした様です」

 

「……その報告すら上がっていない。

不味いぞ、奴が目覚めれば……世界は闇に……」

 

そう会話をしている時、地面が激しく揺れる。

ティガたるダイゴにひしひしと、悪感情が伝わってくる。

時は来た、支配者の目覚めだと。

激しい気持ち悪さが身体中を巡る。

 

「……コレは………」

 

黒服のカメラ映像が気泡を立てている。

邪神は見つけたのだ、己を倒しうる存在を。

己に対抗しうる存在と、その弱点を。

 

「先生、聞こえますか!オデュッセイアから緊急通信!

謎の都市が浮上!その中から多数の怪獣が……」

 

「部室に向かう!黒服、アビドスを、ホシノ、ユメ、シロコ、ノノミを頼めるか?」

 

「…生憎、私はホシノさんに」

 

ダイゴは直ぐ様、自身のリボルバーと適当な紙に一筆する。

 

「これを、渡すんだ。頼む」

 

「………わかりました。帰ってきてくださいよ。

私は、まだまだ貴方と語り合って居ない」

 

ダイゴはGUTSの制服を羽織り、部室兼司令室に入る。

 

「オデュッセイアの状況は!」 

 

「映像出します!」

 

「…コレは」「酷い」

 

それはシビトゾイガーが市民を食い殺している映像だった。

武器を持つものは撃ち殺しているが、数が足りない。

ましてや、ほぼ無限と思える数が彼処からでてきている。

 

「あの都市は……超古代の都市。ルルイエだ」

 

ティガがそう言った瞬間、ルルイエの前に巨体が浮上した。

全人類の敵にして、超古代文明を滅ぼした最強の怪獣。

〘邪神ガタノゾーア〙

 

「………お前達はシビトゾイガーを」 

 

「先生は」

 

「遺言だ」

 

ダイゴはそう言うとGUTSの通信端末をイルマへと投げた。

誰が見ていようと関係ない。それは、言うなれば運命なのだ。

あの時、ユザレに言われた。戦わなければならないと。

自分は、もうテレビを見ていた少年ではない。

一人の大人だ、だが本来命をかける理由などないだろう。

と、かつての自分ならそう言った。

 

「やるしかない………あぁ……怖いな」

 

恐怖が心の底からでてくる。

だが、それ以上に光がある。

守りたい、護りたい、衛りたい。

力なら、ここにある。覚悟なら、とっくにできている。

 

「ティガァァァァ!!!!」

 

胸元のポケットからスパークレンスを取り出し、頭上に

掲げる。そして、温かな光と共にウルトラマンティガが、

D.U.上空に姿を見せる。

既に太陽は消え、闇に染まった雲が大空をおおう。

邪神による世界の作り変えは始まってしまった。

 

「ハッ」

 

それは己の命を削る技、テレポーテーション。

ティガはD.U.から一瞬にして、オデュッセイアの海域まで

転移した。

 

「ハッ!」

 

オデュッセイアを襲っていたシビトゾイガー。

それらが、ティガのタイマーフラッシュによって瞬時に灰となる。気休めでしかない。でも、やらないなんて選択肢はない。

例え自分の力が少なくなろうと、救える生命を救わないのは…

〘ウルトラマン〙じゃない。

 

「テェア!」

 

「ーーーーーー!」

 

まるで像の様な重々しい鳴き声がティガの耳に届く。

海域、ルルイエに辿り着きティガはガタノゾーアと向き合い、

ファイティングポーズを取る。

 

「テェア!」

 

一旦距離をとり、ハンドスラッシュをティガ放つ。

顔を狙ったそれは、生物であるなら本能的に防ぐ筈の攻撃だ。

 

「/////";;;;;!!!!」

 

しかし、ガタノゾーアはまるで嘲笑うかのようにティガの

ハンドスラッシュを、その身で受け止め、猛るように鳴く。

ティガは水しぶきを上げながら、ガタノゾーアへと格闘戦を

果敢に挑む。顔面を只管に殴る、蹴る。

それに怒ったのか、ガタノゾーアは目から怪しい光を輝かせた。

それはティガの目が眩むほどに強烈かつ、気持ちの悪い光。

ティガの光が優しく、温かな物であるなら。

ガタノゾーアの放った光は、果てしなく深く、冷たい深淵。

 

「ウェア?!」

 

海上に太い触手が現れる。それらはティガを打ち、

ガタノゾーアから引き剥がした。

更に、海の中を触手が迫る。ティガはそれにいち早く気付き、

背中に迫る触手を掴んだ。

 

「ハッ?!」

 

だが、触手はそれだけではなかった。

海の中を駆け巡り、ティガの脚を奪い転倒させる。

ティガは起き上がり、直ぐ様ガタノゾーアへと攻撃

しようとする。

 

「アァッ」

 

だが、起き上がりと同時に触手がティガの首へと巻き付いた。

 

『ティガ、頑張って!』『立ち上がって!ティガ!!』

 

『頑張れ…ウルトラマン!』『ティガ!!!!』

 

聞こえない筈の声が耳に届く。

きっと、きっと先人たちもこの声を聞いていたのだろう。

不思議と拳に力が籠もった。

 

「ンンンン――ハッ!」

 

額のティガクリスタルが輝くと、ティガの姿が変化する。

体色はレッドとシルバー。そして、筋肉質となった姿。

〘ティガパワータイプ〙

 

「フンンンッ!」

 

ティガは直ぐ様、自身の首に巻き付いた触手を引き千切る。

 

「!!!!、ーーー!」

 

この時、ガタノゾーアは始めて痛みを感じ悲鳴をあげる。

ティガの攻勢は止まらない。

ティガは己の右ストレートをガタノゾーアの顔面に叩き込む。

 

「ハァ!」「タァ!」「トゥア!」

 

「ーーーー!!!」

 

右ストレート、左フック、そして右オーバーハンドパンチを

ガタノゾーアの顎に叩き込む。

今まで火花一つ飛び散らなかったガタノゾーアの肉体が、

ティガの攻撃を受け火花を散らし、更に悲鳴まで上げている。

だが、ガタノゾーアはやられてばかりではない。

海面が蠢いた。

まるで蟹のハサミのようなものが先端についた触手が

ティガを狙う。

ティガは反射的にハンドスラッシュで迎撃し、

もう一つの界面の蠢きに対処する。

同じ様な触手が首目掛けて飛んでくる。

今度はハンドスラッシュが間に合わず、両手でハサミを掴み、

触手を止める。だが、まだ細い触手が残っていた。

ティガの顔面を狙った触手だが、

逆にティガによってハサミで斬り落とされる。

 

「!!!!!!」

 

知っている。

彼は、マドカ・ダイゴはエネルギーを使いすぎた事で、

目の前のガタノゾーアに敗北した。

ティガ、ダイゴもエネルギーは使っているが、

今のところ肉弾戦をメインとし、まだ無事である。

 

「デェアッ!」

 

ガタノゾーアの外殻は強靭だ。

それこそ、パワータイプとなって始めてダメージを与えられる

と言った程に。だが、同じ物ならどうだろう。

ティガはガタノゾーアからハサミを引きちぎり、

それをガタノゾーアに向ける。

何をする気か理解したのだろう、ガタノゾーアが叫ぶ。

 

「ヘェア?!」

 

それは戸惑いだった、

今にもガタノゾーアを倒そうとしたティガだったが、

動きを止めてしまった。

 

「ーーーーー!!!」

 

ガタノゾーアはニタニタと笑いながらティガを嬲る。

その子は、こんなところに居て良い筈ではない。

ましてや、いるはずのない少女。

 

(……ホシノを……人質に)

 

偽物、だという根拠も無ければ本物でないと言う根拠もない。

ティガは己の生徒を殺せない。

 

「ウェア?!」

 

火花を散らしながらティガは吹き飛ばされる。

それだけではない。

ガタノゾーアはまるで見せしめにするかのように、

ティガを触手で吊るし上げ、その肉体をハサミで貫く。

光の粒子がまるで血のように流れ、ティガのカラータイマーが

点滅していく。

 

『やっぱり……勝てっこないよ』

 

『なんで……私は……私は普通に生きていたかったのに』

 

悲痛な叫び、絶望に打ちひしがれる声がする。

ガタノゾーアの耳にもそれは届き、ニタニタと喜び、

ティガを甚振る。

 

『……』

 

『……せ………』

 

『………せい………』

 

薄れゆく意識の中で確かに声がする。

カラータイマーはもう消えかかっている。

 

『先生……助けて……助けて………マドカ先生』

 

「ンンンン…ハッ!」

 

その声が聞こえた。聞こえた気がした。

ティガの生命はもうない、ならばやることは一つ。

いや、2つだ。

ガタノゾーアは驚く。

虫の息だった筈のティガは額のティガクリスタルを輝かせ、

マルチタイプへと変身する。

それだけではない、ティガが瞬いているのだ。

まるで生命を燃やすかの如く、激しく燃えている。

グリッターティガではない、マドカ・ダイゴの生命の光を、

燃やし尽くしガタノゾーア。邪神を倒すという覚悟の光。

 

「シャイニングティガ、生命の光ですか。

……護れなかった私が言えた義理はないですね。

マドカ先生」

 

ティガは光である。

ティガは肉体すら超越した存在なのだ。

たからこそ出来る、だからこそ………出来ると決めた。

 

「ハァ!」

 

それは〘ティガ流ウルトラダイナマイト〙。

ティガの光を爆裂させ、闇を祓う最強にして、

最期の決死の一撃。

 

「ーーー!!!!」

 

ガタノゾーアが消滅する。

ティガと言う光を受け、邪神と言う闇は祓われる。

 

「……あれ、私は」

 

「お昼寝タイムか?ホシノ」

 

「先生……いつ帰ってたの?

そうだ、シロコちゃんとノノミちゃんに――

先生、眩しいよ?」

 

ホシノの前には確かにマドカ・ダイゴが立っている。

だが、眩しすぎてその顔を見ることができない。

 

「シロコとノノミ、それにユメ」

 

「ねぇ…先生、帰ろうよ。アビドスに。ねぇ…お願い……

お願いだから……」

 

マドカの光が強くなる。それにつれ、ホシノを包む光がより

暖かく、温もりがある物へと変わっていく。

 

「シロコちゃん……お義父さんと寝るって言うんだよ、

まだ、甘えたがりなんだ。ねぇ…先生……だから」

 

光がなくなると、ホシノはアビドス分校の校庭に立っていた。

 

「なんで…………なんで…………」

 

ホシノは泣く、何故、どうしてと。

彼女の正面には片膝を付き、優しくアビドスを見下ろす、

〘石化したウルトラマンティガ〙があったのだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。