ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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遺されたもの

「……」

 

〘ウルトラマンティガは邪神ガタノゾーアに勝利した。

しかし、その代償は大きくアビドスの大地にて

再び眠りについて1ヶ月が経とうとしていた〙

 

「ホシノ…先輩?」

 

「シロコ、どうかした?」

 

「ううん……なんでもない」

 

ティガが、マドカ・ダイゴが石となってからホシノは変わった。

まるで、失った者を埋めるかのように自分を偽って生きていた。

黒服と言う胡散臭い男は、マドカ・ダイゴの友人であった。

だからこそ、信じた。信じて、何故こうなったか話を聞いた。

アビドスの生徒を守るように依頼された事、だがホシノだけ、

邪神ガタノゾーアの眷属に連れ去られた事。

深く謝罪されたが、結局は自分のせいだったと言うのが、

ホシノを深く傷付けた。

 

「コレは、貴方が持つべき物です」

 

それはS&WM19。マドカの愛用しているリボルバーだ。

ホシノにはそれがどんな物よりも、果てしなく重かった。

使い込まれながら、手入れは欠かさずされていた。

それを、押し付けられるように受け取ったが覚悟がなかった。

だから、弱い小鳥遊ホシノをひた隠し、

強く皆を導いた大人を、マドカ・ダイゴを

小鳥遊ホシノというキャンバスに描いた。

 

「……また、か」

 

それは再三たるD.U.からのティガ像移転の申し込み。

内容としては、

〘キヴォトスの守り神たるティガを皆に見て欲しい〙

とD.U.へ輸送するという物だが、実際はティガを

〘兵器〙として研究ようとしているだけである。

 

「…面倒だな、政治って」

 

拒否する旨を伝えると、直ぐ様追い打ちのような書簡が届くが、

マドカが集めていた連邦生徒会の脅迫の証拠と、連邦生徒会の

発言データをクロノススクールに流出させ、アビドスは被害者であるとし、逆に連邦生徒会へ攻撃するに至った。

 

「弱みは握るもの、ですよね。マドカ先輩」

 

政治的役割も、マドカ・ダイゴが教えてくれた。

今、梔子ユメは生徒会長という立場を失い今小鳥遊ホシノが、

アビドスの生徒会長となった。

いくら連邦生徒会でも他の自治区に働き掛けるのは、

それ相応の理由がいる。

 

『GUTS、怪獣を討伐』

『GUTS顧問マドカ・ダイゴが行方不明』

 

ガタノゾーア、邪神とキヴォトス中で言われた存在によって、

遺体すら残らなず消えた市民シビトゾイガーと呼ばれた怪物に

捕食された市民。ガタノゾーア、そしてルルイエはキヴォトスに

深い闇を遺した。

キヴォトスの守護者と言われるようになったウルトラマンティガ

も石像となり、今怪獣と戦っているのはGUTSと自治区それぞれの治安維持部隊だ。

アビドスでは治安維持部隊は居ないが、

そのかわりにカタカタヘルメット団や不良が緊急時、

ホシノの指揮のもと動いている。

どれもこれも、マドカ・ダイゴという個人の紡いだ絆。

信頼の現れだ。

 

「……アビドスで受け入れも出来るのに。彼女達は」

 

自分達は不良であると言い、

アビドスへ帰化する事を拒絶しつつ。

まるで日本のヤクザの様にアビドスという島を

護るために働いている。

この頃は砂漠から飛んでくる砂を掃除しながら、

ガラス製品を作るなど本当に不良かと思える事をしている。

活気の戻ったアビドス。生徒は今だ少ないが、

来年の入学希望者は多い。

 

「…先生、いい加減動いてよ。日当たり悪くてしょうがない」

 

悲しい目をしながら、窓から見えるティガな石像へそう呟く。

 

「梔子ユメは昏睡し、マドカ・ダイゴは石化した。

貴女はそれでもアビドスの為に働くと?」

 

「何時から居た、黒服」

 

受け継いだM19リボルバーを黒服へと向けるホシノ。

その目には数多の感情が浮かんでいる。

 

「……マドカ・ダイゴは死んではいません」

 

「なに?」

 

「マドカ・ダイゴは光となったのです」

 

「どういう…意味だ」

 

「かつて、ウルトラマンティガは光となり肉体と魂を分け、

この世界から旅立ちました。もし、その逆ができるのなら。

光を、ティガの魂の象徴たる〘カラータイマー〙へと、

照射できたとしたら?」

 

黒服の声に、言葉に手を伸ばしたくなる。

マドカ・ダイゴが帰って来る、梔子ユメはまだ昏睡している。

今なら、と。どす黒い感情がホシノを巡る。

 

「彼は、マドカ・ダイゴは私を友人と呼んでくれた。

私も、彼を、マドカ・ダイゴを友人と思っている。

私は、友人を救いたいのですよ。ホシノさん」

 

甘味な言葉だった。

だが、目の前の存在はかつて自分を利用するために近付いた。

今、干渉が少ないのはティガが、マドカ・ダイゴが居たから。

友情を知り、興味を知り、

マドカ・ダイゴの絆が紡いだ一人だから。

 

「駄目だ、先生ならそう言う。

黒服、お前のそれは誰かの犠牲なくして成り立つのか。

先生は、誰かの生命を使っての蘇りなんてきっと、望まない!」

 

「……ほぉ」

 

光を照射する。

その言葉を聞いた時、ホシノの中に不思議と考えが浮かんだ。

生命の光、きっとそれがウルトラマンティガを蘇らせる

一端なのだろう。

 

「……良いでしょう、ですが忘れないで下さい。

私も貴女も、マドカ・ダイゴを取り戻したいという気持ちに、

何一つ偽りがないという事をね」

 

黒服は消えた。最後の言葉、それに何一つ嘘はないだろう。

それを不思議と理解できる。理解できるからこそ、

黒服の言葉を拒否した。

 

「コレで良い……コレで良いよね……先生」

 

ティガの石像が答えることはない。

 

 

 

 

 

 

「お義父さん…おはよ」

 

シロコは石像となったティガに毎朝、挨拶する。

石化しているが、触れてみると変わらない温かさがある。

正直、ホシノも触れば良いと思う。

触ると暖かさと、心地よさが身体中に広がるのだ。

 

「ん……眠い」

 

正直、ティガの、マドカの下でテントを張って

寝ようとすら思える。

アビドスは砂漠だから雨は滅多に降らず、

暑い日差しはティガがそれを防いでいる。

洗濯物は学校で洗えれば良いし、乾かすのも基本的に

砂が怖いから皆、部屋を作っての乾燥だ。

 

「シロコちゃん、どうしましたか?」

 

「ノノミも寝るべき」

 

ティガのつま先に枕を置き、

レジャーシートの上でシロコは横になる。

ノノミはあらあらと思いながら、シロコのようにティガの

つま先で眠る。

ティガの胴体も間近かは見たのは始めてだ。

この巨体が動き、石化したのだから現代科学もといミレニアムも

匙を投げるしかない。

 

「眠くなりますね」

 

「ん………」

 

その日はそよ風が吹いているのみ。

シロコとノノミはゆっくりと目蓋を下ろした。

 

「…お義父さん?」

 

「シロコ……どうして?」

 

夢だろうか、一緒に居たはずのノノミはおらずシロコのみ。

正面にはクリスタルに囲われたGUTSの制服を着たダイゴが

立っていた。

 

「今助ける」

 

「待て、シロコ?!」

 

ダイゴの静止も聞かず、愛用のアサルトライフル

『WHITE_FANG_465』を乱射する。

しゃがむ事もできない狭さのクリスタル内で、

ダイゴは怯えることなく

 

「大丈夫だ、シロコ」

 

「……お義父さん」

 

「俺は何時から、目覚める。眠ってるだけさ。

必ず、必ず起きるから……ホシノを支えてやってくれ。

ユメは昏睡状態だし、きっといろいろと背負い過ぎるはずだ」

 

「……ん…、みんなで待ってる」

 

「あぁ、その時にシロコの大好きな食事を作るさ」

 

「約束!」

 

距離が離れていく。いくら走っても、ダイゴに近づけない。

 

「……アビドスを、頼んだぞ」

 

 

 

 

「ん………」

 

「す………す…………」

 

目覚めたシロコの隣では、まだノノミが眠っていた。

よほど気分が良いのか、微笑んでねている。

 

「頑張る……だから、お義父さん。ステーキ食べたい」

 

泣き言は言わない、泣き言の代わりに約束だ。

ティガは何も言わない、ティガは動かない。

 

だが、シロコには十分だった。

 

 

 

 

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