ウルトラマンタロウ
登場
ウルトラマンティガか石となり、2年の歳月が流れた。
梔子ユメは昏睡状態から回復しかし1年留年し、
1年前に卒業した。
ホシノへの引き継ぎは愚か、
まともに何もできていなかったのだ。
せめてもの償いとして、追加で1年アビドスで過ごし卒業した。
今では大学に通いながら、時折アビドスの手伝いをする。
という、ダイゴに伝えた生活をしている。
ホシノはと言えば、300人程度に増えた生徒の統轄者。
アビドス高等学校生徒会長として、日夜活躍していた。
「ホシノ先輩、コレ。連邦生徒会から」
「うへぇ…またティガの事か?シロコ、面倒だから捨てといて」
「ホシノ先輩、コレ…連邦生徒会ではなく連邦捜査部S.C.H.A.L.E(以後シャーレ)からですよ」
「シャーレ?何その、理科で使う道具みたいな名前」
「連邦生徒会を束ねる連邦生徒会長が失踪する以前に、
呼び寄せた先生の活動拠点として立ち上げていた機関との
事です」
「先生……先生ね、」
ノノミの言葉にホシノは、
窓から変わらず校庭に鎮座するティガの石像を眺める。
もう、あの日から1年以上が経過した。
にも関わらず、ティガは動く気配が一切ない。
「私にとって、先生は一人だけだ」
机の上にある写真、ダイゴの家でハンヴィーと一緒に撮った物。
左側にユメ、右側にホシノ、肩車されるシロコと、
ホシノの右隣にいるノノミ。
今、アビドス生徒会にいる新メンバーは写って居ないが、
もう取れない集合写真。
プルルルプルルル
スマホの通知音がなる。
相手は名前も表示される程に大切な人。梔子ユメ。
「はい、小鳥遊ホシノ」
「ホシノ…ちゃん……助けて…………あづい~………
迷子……ガクッ」
自分でガクッなんて言うのだからまだ余裕はあるだろう。
だが、梔子ユメのアレさはよく知っている。
「何してんだ!もう………」
ホシノは慌ててシロコを呼んだ。
「ホシノ先輩、なに?」
「ユメ先輩が遭難してる!ドローン出せる?!」
「アホ毛先輩、何してるの」
「本当にそうだね!」
「ホシノ先輩、市街地のカメラ見てみますね」
「ノノミ、よろしく」
結局、1時間後日陰で休んでいる梔子ユメと優男が見つかった。
優男の方は黒いスーツズボンと半袖シャツ。
両者、荷物は最小限しか持ってきていないようだ。
「あの……ありがとうございます」
「助かったよぉ~!ありがと、ホシノちゃん!!」
「ハンドガンを撃つのは良い選択でした」
「もちろん!先生との約束だもん!」
「私、そんな約束したかな?」
「違う違う、マドカ先生の」
「マドカ先生?」
「あの、貴方は」
「私は、連邦生徒会のシャーレの先生だよ」
正直、普通のサラリーマンのようにしか見えない。
アビドスからダイゴを奪った連邦生徒会長と奴等の直々の
下僕の様な存在、正直ホシノには嫌悪感しか無かった
「じゃぁ、先生は」
「ティガを見に来たんだ」
「観光なら、まぁ…良いか。ようこそ、アビドスへ。
砂漠に眠る守護者の街へ」
同時刻、アビドスの路地裏。
太陽の光も入らない場所で、一人の生徒は逃げていた。
ヘルメット団所属の不良だが、今ではアビドスと仲の良い
存在だ。そんな彼女を追う存在があった。
「くそ………なんだ……なんなんだ!」
彼女と働いていた仲間はスーツを着た
身なりの整った男に路地裏まで案内された。
正直、淫らな事をするつもりならそれ相応の報復はするし、
なにかするならぶちのめすつもりだった。
だが、人型に近い形状だが縦に長く目は左右の位置がズレた
異形の頭部を持ち、個別に動かし違う方向を向く事ができるほか、後頭部左側にも第三の目がある姿に変化した。
「フォッフォッフォッ」
頭には先端がラッパ状に広がった突起が付いており、
そこから噴射された液体で彼女な友達は消滅した。
すぐに理解したのだ。これは自分が対処できるレベルじゃない。
だが、ありえないほどにその異形の足は速かった。
道を邪魔するようにそこいらにあった物を倒しても、
それを軽やかにジャンプしてよけ距離を縮めていく。
「いや………誰か……助け」
「フォッフォッフォッフォッフォッ」
友達と同じ運命を辿るのだろう。
キヴォトスから消え、友達がどうなったかも伝えられず、
自分も同じ運命だと涙が止まらない。
走り続けた足に力は入らず、その場にしゃがみ込んでしまう。
「アハッ…アハハハハ」
狂ったように笑う、異形はゆっくりと近づいてくる。
恐怖しすぎたのかスカートまで温かく、
何が起きたのか冷静に理解できた。
恥ずかしいと言った感情はない、今此処にあるのは。
「私、死ぬんだ」という虚無感だけだ。
「待て、ケムール人」
「フォッ?」
その時、激しい光がケムール人と呼ばれたそれを襲った。
何が起きたのか、理解できない。でも、その光は暖かく、
優しい。
「……先生?」
かつて、自分たちに青空教室を開いてくれた恩人。
死んだという噂まで流れていた人がそこにいる。
「逃げろ、速く!」
不思議と足に力が入った。
振り向かず、助けてくれる人、少なくとも不良の話を聞いてくれる存在達の場所へ走る。
「……ハァハァハァ」
ティガ見える、守護神が、守り神が。
「ちょっと…貴女どうして」
黒髪猫耳の少女が支えてくれた。
「エイリアン……仲間が………先生が……先生が………」
伝えられる言葉は伝えた。既に限界を超えて走ったのだ。
もう、意識を保つのも出来なかった。
「大丈夫、必ず…私が助ける。任せて」
銀髪で犬のような耳の少女、よく知っている。
大切な、恩師の義娘なのだから。
「ティガだ!凄い!ウルトラマンだ!!!」
「…まぁ、始めて見た人はそんな感想だよ」
(……マドカ先生)
特撮好きな先生はティガも知っていた。
このキヴォトスでは現実にティガがいたそれだけで、
先生の心は童心に返っている。
「……あれ?シロコちゃん」
「ん…アホ毛先輩、久し振り。ホシノ先輩はお帰り」
「シロコ、どうしたのかな?」
ホワイトファングを持ち、重武装のシロコをホシノは止めた。
まるで戦争に行くかのような風貌な上、生徒会室に置いておいた筈の、IRONHOLSまで持ち出されている。
「多分、宇宙人。少なくとも一人やられた」
淡々と事実だけ述べるシロコに周囲は怯える。
「宇宙人?エイリアンってこと?!」
「ん……そう、所で貴方だれ?」
「えっと、シャーレの先生です」
「ん、なら先生。よろしく、ノノミには言ってある。
私が1時間しても戻らなかったら、後よろしく」
「ちょっと、シロコ?!」
シロコはそのまま走り出し、市街地へと駆けていく。
「……アヤネ、あの子が出てきたのはここ?」
『はい、シロコ先輩。でも、不思議です。
件の生徒が出てくる前、光が一瞬だけ……』
「ん…気にしなくて良い」
光、それだけで誰が何をしたのか理解できた。
生徒の先生という言葉、光、全てが繋がる。
「帰ってきてる……でも、足りない」
クリアリングを続けながら、持ち前の感覚を生かして進む。
弾は予備もきちんとある、ソレに怯えることはない。
シロコにはとても弱くて、キヴォトス最強の守護者にして、
保護者がついている。何かあれば、きっと、必ず助けてくれる。
「……変な液体」
ネバネバした液体をサンプルとして試験管に詰める。
昔、政治を理解できるほど天才では無かったが今は理解できる。
連邦生徒会は少なくとも、アビドスに関わりたくない。
今の軍事的トップは少なくとも、義父が喧嘩を売った相手だ。
実際、凶悪犯罪が起きてもSRTは来ないし、怪獣災害が起きても、来たのはGUTSのみ。その時はシロコ、ノノミ、ホシノが
GUTSと連携して怪獣を倒した。
しかも、怪獣がなぜか金でできていたためGUTSに1割譲渡し、
ミレニアム、ゲヘナ、トリニティに3-2-1の割合で売り捌いた。
そう、シロコには怪獣との経験もある。
本当なら銀行強盗をして遊びたいが、
マドカの義父を悲しませるのは居た堪れない。
「……?」
気配がする。
まるでゴキブリのように人類に嫌悪感を思わせる何か。
シロコは自分の感覚に任せてホワイトファングの引き金を引いた。
「フォッ?!」
変な悲鳴が響く、緑色の液体が地面に飛び散り
自分にもかかってしまっている。
「……汚い」
倒した感覚は無かった、おそらくは逃げたのだろう。
「………今度は倒してやる」
緑色の液体をサンプルとして回収し、帰路につく。
だが、重武装のアビドス生徒が来ていた。
しかも、後輩に率いられている。
「ん……みんなお迎えご苦労」
「ご苦労じゃないです!何してるんですか!」
「宇宙人と戦った」
「は?!」
後輩、黒見セリカは頭が真っ白になる。
「ミレニアムのラボ行ってくる」
2年で、ミレニアムは特殊事案の場合の為。
要請を受けた学園にラボを設立したのだ。
「いや、先に報告して!!」
「帰ったら話す」
マイペースにそう言いながら、
ミレニアムのラボに向けて走る。
それは約束のため、今でも時折会う義父との約束。
「…ん、アビドスを守ってる。お義父さんも起きて」
シロコは約束を護る。少なくとも、ダイゴの帰還までは。