「私が見たエイリアンはこんな感じ」
シロコによって描かれたそれは不気味といっても過言ではない。
「其奴だよ…其奴が………友達を消したんだ!」
だが、それが被害者によって証明され
アビドス生徒会のメンバーの顔は曇る。
「GUTSに依頼する?」
「え?GUTSがあるの?!」
「不可解な事件用の特捜チーム。
多分、キヴォトスで一番エイリアンや怪獣対策で
経験があるチームです」
「連邦生徒会所属なのに知らないの?」
ノノミの言葉に驚いた先生にそんな言葉を言ってしまう。
『GUTSは半年程前に解散していますね。
この1年以上、まともな被害が無いとのことで、
連邦生徒会防衛室長権限で………』
そう話すのは彼の持つスマホ、シッテムの箱の中にいる
アロナだ。
「調べてみたら、半年前に解散だって。
理由はえっと、『防衛室長権限』らしいよ」
先生の言葉が終わる寸前に、
バンっと机にヒビが入るほどに強烈な一撃が
ホシノから聞こえてくる。
「本当に……ろくな事をしないな。お前達は!」
「ホシノちゃん!落ち着いて!!ねっ!」
GUTSはマドカ・ダイゴが作り上げたチームだ。
ある意味ではアビドス生徒会とは姉妹である。
そんな存在はとっくに失われていた。
それが許せなかった。
『先生、ですがGUTS解散にあたり装備とメンバーの
大半はミレニアムに接収されていますね』
アロナからの情報を受け、先生は話す。
「あの……ミレニアムにGUTSの大半が居るみたいなんだ。
ちょっと私が連絡してみるね」
先生はシッテムの箱を使い、ミレニアムの知人にして、
シャーレのメンバーNo.1たるユウカに連絡する。
『はい、ユウカです』
「あっ、ユウカ?そのGUTSって分かる?」
『何処でそれを?ソレに何故先生が?』
「今、アビドスに居るんだけど
エイリアンに生徒が襲われたらしくて」
『わかりました。ですが、GUTSの大半が卒業しています。
残っているメンバーも前線ではなくオペレーターです。』
そう言われた先生は少しばかり落胆してしまう。
GUTSとはウルトラマンティガに登場した
防衛チームである。
もしかしたら、そんな彼等に出会えたかも
と言う淡い希望があったのだ。
そう、いわば楽観である。そもそも、人間とは自分が体験して、
始めて楽観という物が消えるのだ。
「ホシノ先輩、学校よろしく。私はやりに行く」
「待って、なら私も手伝えるかも」
「……?」
「その絵、多分ケムール人だよ」
「ケムール人?」
知っているのか?という意味でシロコは問いかける。
「誘拐宇宙人と言って、頭の上から変な液体を出して、
人を攫うんだ。しかも、足も車より速い」
「……それだけ?」
シロコはその情報で正直、倒せるとふんだ。
「あと、とある電波に弱いとか………」
「わかった、もう一度攻めに行く。
ついてくる人は先生以外にいる?」
「なら、私が」
「ノノミは駄目、武器が大きすぎる。
路地裏だから、小回りの利く武器にするなら良いよ」
「はい!これがあります!」
そう言ってノノミが取り出したのはハイパーガンだ。
エネルギーキャップも3つある。
「…一応聞くけど、誰の?」
「マドカ先生の物をGUTSの皆さんから貰いました!」
「……ずるい」
「マドカ先生、GUTS…ガッツハイパー……
もしかして、マドカ先生ってマドカ・ダイゴって
名前だったりする? 」
「ん…お義父さんの名前はマドカ・ダイゴ」
「あっ…ウルトラマンティ」
その時、ユメが先生の口を覆う。
「ーーー!!!!ーーー!!!」
「ちょっと…先生、此方来てね!」
少し離れた所で耳打ちする。
(…先生がなんで知っているか知らないけど、
マドカ先生はティガ。そして、あの石像がマドカ先生なの)
(?!)
原作を知っている先生からすると、
ティガが石化したと言うのは理解できない。
(2年前、マドカ先生は邪神と戦って相討ち。
詳しくは私も知らないけど……お願い、ホシノちゃんの前で
絶対にマドカ先生の話題だけは止めて)
ほわほわしたユメではなく、泣きそうな顔で話す。
先生も理解したのかすぐ頷いた。
「……ん、お帰り二人とも。それで、メンバーは決まったよ。
私、ノノミ、そして後輩のセリカ」
「十六夜ノノミです、よろしくお願いします」
「黒見セリカです、その…よろしく」
「シャーレの先生だよ!よろしくね!」
フレンドリーに話し、距離感を掴む。
どうしてか、シャーレというだけで警戒されているが、
そもそも初対面の大人を信じるのはおかしいと納得し、
シロコが言うケムール人の下へ向かう。
「ここ、ここでエイリアンと戦った」
不気味な路地、多くてツーマンセルまでだろう。
「ん…私と先生、ノノミとセリカで」
「はい、生きますよ!セリカちゃん」
「えっ…はい……ノノミ先輩」
ハイパーガンを構えながらノノミとセリカは別れ道を進む。
戦闘経験があるシロコがお荷物を持つのは仕方ない。
「先生、武器ある?」
「……一応」
先生が出したのはシャーレの紋章のあるコルト・ガバメントだ。
マガジンは見当たらないが、仕方ない。
「敵はエイリアン、問答無用で撃って」
「でも、話は」
「無駄、既に1人やられた。誘拐なら、足とか撃って」
シロコはマドカと約束している。
このアビドスを守ってくれと。それに、危険になれば、
きっと、必ず、帰ってきてくれると信じている。
「進むよ」
「うん」
シロコはホワイトファングを構えながら路地を進む。
「ねぇ、マドカ・ダイゴってどんな人だったの」
素朴な疑問を問いかける。
シロコは耳をヒョコヒョコと動かしながら、
静かに話した。
「…お義父さんは、キヴォトスで一番弱かった。
でも、リボルバーの腕は一流で生徒を問答無用とはいかないけど、撃つ時は撃つ人だった」
「……はぇ」
知っているマドカ・ダイゴなら絶対にしないと思いながら、
シロコの言葉を聞く。
「怪獣とか、宇宙人にやたら詳しくて、指揮も完璧だった。
アビドスにいるカタカタヘルメット団も、
お義父さんに青空教室されてから、犯罪しなくなったし、
今、カタカタ土建とか、色々してる」
「更生もしてたんだね」
「ん……、でも、他の学校には興味無かった。
お義父さんがGUTSに入ったのはアビドスが
人質に取られたから。それがあって、私達は
お義父さんから離れ離れになった」
「え?人質??」
「……詳しくは知らない。
先輩も、お義父さんも教えてくれなかった」
まだ小さかったシロコは伝えなかった。と言うより、
伝えたくは無かった、だが成長するにつれ知ってしまった。
断片的な知識ながら、記憶にあるマドカの荒れようを
思い出せば簡単だった。
「あれ?ここ、さっきも………」
「先生、やられた。多分、私達は捕まった」
ノノミとセリカは静かに路地を進む。
暗闇と言う訳では無いが、エイリアンを見たことがない
セリカはずっと怯えたままだ。
「大丈夫ですよ、セリカちゃん。
私達にはティガがいますから」
「……石になっちゃってますけどね」
今のキヴォトスでティガに助けられたことのない学園生徒は
ほぼ居ない。特に、アビドス生まれアビドス育ちの
セリカにとって、ティガは守護者であり
御伽噺から飛び出してきたヒーローだった。
それが最終決戦で相討ちになり、アビドスに戻り石化。
世界を救ったヒーローを近くで護りたいという意思から、
アビドスに入ったのだ。
「ノノミ先輩、ノノミ先輩は……」
「2年前、キリエル人に襲われました。
セリカちゃんも知っている元生徒会長のユメ先輩。
彼女がキリエル人に襲われ、入院中に再び。
でも、助けてくれたんです。ティガが……」
マドカ・ダイゴ、アビドス生徒の為、
アビドス自治区の為に奔走しウルトラマンティガとして、
キヴォトスを護り最期に討たれた英雄。
でも、死んでは居ない。必ず、必ず舞い戻る。
「誰!」
「フォッフォッフォッ」
「セリカちゃん!」
ハイパーガンを撃つノノミだったが、
まるでアクション映画のように路地を登り回避した。
「そんな!?」
「ノノミ先輩!」
「くっ…」
ノノミが銃口を向けたがもう、間に合わなかった。
謎の粘液を飛ばされたノノミが消える。
でも、不思議と笑っているようにセリカには見えた。
「うそ………」
「後輩に手を出すな」
ホワイトファングの弾丸が迫る。
背後から撃たれたケムール人は痛みに喘ぎ、
そして怒りの目を向ける。
「フォッフォッフォッ」
「不味い…シロコ!セリカを連れて逃げよう!
巨大化するつもりだ!」
「……絶対倒す」
アビドスの街が破壊される。
そして、身長30m。体重1万5千トンのエイリアンが、
アビドスに現れた。