ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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影を継ぐもの3

「今から話すのは、全て真実だ」

 

「聞きましょう」

 

マドカ・ダイゴの意識は、肉体は覚醒に近づいていた。

ケムール人から生徒を救い、ホシノ達の前に瞬間的にだが

姿を現すことができる程度には。

変身には多大なデメリットがあるが、人間にも戻れるように

なる筈だった。問題は一つ、ケムール人だ。

ケムール人から救う為に力を使い、

囚われていたウルトラマンタロウに光を分け与える為に、

自らの分身体を貸し与え、力を授けた。

だが、それが間違いだった。

マドカ・ダイゴはそれを間違いとは思わない。

だが、ティガの中に巣食う闇。ガタノゾーアの怨念が、

それによって力を増してしまった。

更に巨大化したケムール人から放たれた破壊光線により、

ティガは己を護るために石化を解いてしまった。

それによって闇が溢れ出すのを恐れた《マドカ・ダイゴ》が

自身を石化させたのだ。問題はこの時だ。

ティガの意志の中に眠る超古代の魂と、

今に生きるマドカ・ダイゴという男の

〘魂〙が反発し合った。

マドカ・ダイゴは闇としてティガの闇の側面をおしつけられ、

世界に放逐されたのだ。

 

「……ティガの闇?」

 

「君は知らなかったのか……ティガはかつて闇の巨人だった」

 

「申し訳ありません、そもそも闇の巨人とは」

 

「かつて、巨人達は皆光だった。

だが、自然を穢す超古代の人間に愛想をつかし、

人間守るのではなく、世界を護るため。

そして闇という強大な力に惹かれ闇を手にした巨人が居た」

 

黒服はその言葉に納得した。

闇、邪神の事を考えれば納得しか出来ない。

今の人間も強大な力に惹かれている。

自分が手を貸している企業もその一つだ。巨人がそうでない

保証など何処にもありはしない。

 

「愛憎戦士カミーラ。ティガの元恋人だ。

 剛力戦士ダーラム。ティガの戦友にして、親友だった。

 俊敏戦士ヒュドラ、此奴は……なんなんだろうな」

 

マドカの話に黒服も首を傾げる。

 

「なんなんだろうなとは……」

 

「カミーラや、ダーラムとは違う。

ティガを内心毛嫌いし、殺したいとも思っていた巨人だ。

そもそも、此奴が始めから光であったとは思えないほどに」

 

「人間と同じですよ、善人と称される物にも内側では

ドス黒い悪というのは存在します。

巨人も同じなのでしょうね」

 

「……だな。そして、最後に」

 

「……やはりそうですか」

 

「あぁ、ウルトラマンティガいや、ティガダーク。

ティガはその後、ユザレ達一部の世界を真に護ろうとする

超古代の人間と触れ合い、光に戻った」

 

「……闇の巨人を倒したのですね」

 

黒服は顔を下に向けるが、マドカは本当の事は話さない。

話さず、じっと漆黒のスパークレンスを見つめる。

これを手にした時、懐かしいと感じた声がした。

その声には贖罪と、哀しみ、そして愛が合った。

 

(カミーラは、何故俺にスパークレンスを)

 

手元にあるダークスパークレンスはティガダークに

変身する為のものである筈。

これを手渡したのは本来ならカミーラであり、

そもそも存在する筈がない。

きっと何らかの力で彼女が授けたのだと思えた。

 

 

「……そう言えば、新たな巨人像を発見しまして。

私、個人的に有している技術を用い、光となるデバイスを

作り上げたのですよ」

 

「……誰に渡した?」

 

「…ホシノさんですよ。貴方の光を受けた彼女なら、

貴方を呼び起こす事が出来ると思いましたが……」

 

「…ホシノなら、きっと大丈夫だろう。

強すぎる力に呑まれる事は無いと思いたい。

……くっ」

 

「アドレナリンが消えてきたんですよ。

麻酔もありますから、今は寝ていなさい。

ホシノさん達の事はご安心を。私が身を以て守ります」

 

「たのむよ……友よ」

 

マドカは黒服に麻酔を撃たれ、ベットで横になる。

 

「はてさて、どうしたものですかな」

 

黒服が悩み始めた時、スマホに着信が入る。

 

「はい、此方は」

 

『黒服!アイツは誰だ!』

 

それは怒号だった。

普段の小鳥遊ホシノとは思えないほどに低く、

憎しみのこもった声。

 

「彼奴とは、どなたの」

 

『先生だよ、マドカ・ダイゴ!皆お久しぶりですや、

帰ってきてくれて嬉しい。そう言ってる!

あの、ユメ先輩でさえも!でも、私とシロコは違う!』

 

「わかりました。

今、ホシノさんのスマホに座標データを送ります。

今夜2400時、シロコさんの二人と共に。

バレてはいけませんよ」

 

『おい!黒服、まて!!』

 

スマホを切り、座標データを送る。

そして、静かに電源を落とした。

 

「良かったですね。

どうやら貴方の生徒の中にも、素晴らしい目を

している人が居るようです」

 

眠るマドカに微笑み、黒服は時間になるのを待った。

たった数時間だが、その間が酷く楽しみだと感じていた。

 

そして、物語はホシノへと変わる。

 

「彼奴、喋るだけ喋って」

 

ホシノはスマホを握り潰しそうな勢いで物陰から

生徒や不良へと微笑むマドカ・ダイゴの偽物を見ていた。

GUTSの制服を身に纏い、先生と同じ声。先生と同じ姿で、

変わらずに声をかけている。

ユメも、ノノミも……本物でないと理解できていない。

 

「ホシノ先輩、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ、シロコ」

 

シロコは天性の感とも言えるものでそれが偽物だと見抜いた。

あと、約束を忘れていたからである。

マドカ・ダイゴは約束を忘れない、絶対に。

 

「今日の24時、シロコ。私についてこれる?」

 

「ん……お義父さんに会いたい」

 

「お義父さん…そうだよね。うん」

 

ホシノの中でマドカ・ダイゴの偽物と話すユメに再び、

深い憎しみが宿る。何故、自分は梔子ユメでないのか。

自分なら、マドカ・ダイゴを間違えはしない。

マドカ・ダイゴを思い続け、彼から思い続けられたのに。

マドカ・ダイゴにとって、小鳥遊ホシノは生徒。

では、梔子ユメはどうだ?生徒か?違う。

もっと、もっと深い関係なのだ。

少なくとも、ホシノが入学するまでユメは一人だった。

一人でマドカ・ダイゴと共に生活し、

マドカ・ダイゴを理解した気になっていた

 

「駄目……ユメ先輩は……ユメ先輩は…………」

 

激しい嫌悪感と吐き気がする。

自分は今何を考えた。大切な先輩に。

自分を導いてくれたもう一人に。何を思った。

 

「貴女は私の娘ね」

 

時が止まった。

 

「誰だ!」

 

それは何処かホシノに似た女性、

体型は決して似ていないが髪色や目元は似ている。

 

「私の名は、カミーラ。あなたの…母親かしら」

 

「……それは」

 

違うとは言えなかった。頭では理解している。

両親はキヴォトスに居ないが、少なくともこの女ではない。

だが、魂では違うのだ。魂が母親だと、大切な人だと

ホシノの中で叫んでいる。

 

「……何をしにきた」

 

「そのスパークレンスは違うもの。

少なくとも、貴女と相性が良いとは言えないわ。ホシノ」

 

「……関係ない。先生の為だ。力は使う」

 

「……それで父親を殺す事になっても?」

 

「父親?」

 

「そう、ティガ。私の恋人にして、夫。

そして、闇を裏切った巨人」

 

「……先生の事か」

 

「……ダイゴではないわ。ティガの事。

ホシノ、貴女は選択する必要があるわ。力を求めるか、

それとも父親に殺それるかを」

 

カミーラの言葉が終わった瞬間、ホシノの視界が揺るいだ。

まるで異次元に広がる迷宮を落下するかのように平衡感覚が

失われ、立っているのがやっとになる。

 

「まて……」

 

「ティガを倒しなさい、ダイゴを救いたいのなら」

 

カミーラが消え、時が戻る。

 

「ティガを……倒す」

 

ホシノは自らの持つスパークレンスを握る。

光はそこにある。力がそこにある。

 

「ティガを………倒す、先生の為に」

 

 

 

 

 

0時、ホシノとシロコは夜の廃墟に居た。

いくらアビドスに活気が戻ったと言っても最盛期には程遠い。

まだまだ廃虚は多くある。

 

「来たぞ、黒服」

 

「ホシノ先輩、アレ」

 

それはボロボロの外套を身にまとう誰か。

ホシノとシロコはそれぞれ銃を向け、

何時でも撃てるようにしている。

 

「……うっ……」

 

ドサリという音と共に地面に伏す姿、シロコは警戒しながらも

倒れた人影に近づく。

 

「……シロコ、肩を貸してくれ」

 

「……うん」

 

その声をシロコだけじゃない、ホシノも聞いていた。

 

「……シロコは何回か来ていたが、ホシノ。お前とは」

 

ダイゴが話そうとするとホシノはその胸に抱き着いた。

涙を隠すことをせず、ただ今までを懺悔するように泣く。

 

「私が……私が居たから先生は……」

 

「大丈夫だ、誰が居たからとかじゃない。

俺の選択だった。俺は戦う事を選んだ。

ホシノ、済まない。アビドスを背負わせてしまった。

本当なら、俺が」

 

「……違う、私が弱いから……私は、

私はシロコちゃんや、ノノミちゃんよりも歳上なのに…

怯えて居たから、先生に会いたいって思ったから」

 

「お義父さん……血」

 

「先生!」

 

「大丈夫だ、すぐに治る」

 

「感動の再会の中、申し訳ありませんが……

本題に入りましょうか」

 

「なっ…黒服!」

 

「ホシノ、よせ。彼は……俺の親友何だ」

 

「は?」

 

それは聞いたことがないほどに冷たかった。

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