「親友って何それ…何でこんな奴が!」
「彼とは、GUTSからの付き合いだ。
時に怪獣やキヴォトスに眠る古文書についても
調べて貰っていた。
時に、俺自身が赴けない場合彼に手伝って貰い、
怪獣の監視もしてくれた。アビドスにも色々と便宜をな」
「ホシノさん、私は貴方の神秘より友情を取った。
いえ、むしろ親友と言ってくれた彼についてなら、
私は負い目しかない。私は貴女を護るように頼まれましたが、
邪神には敵わなかった」
「……!」
それはホシノも思っていること。
それが黒服という生理的に受け付けない相手と同じというのが、
只管に嫌だった。
「それで、黒服さん。本題って?」
「そうでしたね。今、アビドスにいる偽物。
アレはティガです」
「ティガ?ティガはお義父さん」
「えぇ、マドカさんもティガですがマドカさんは2代目。
今、アビドスにいる存在は正真正銘、超古代の時代。
キヴォトスで闇の尖兵と戦い、守護神として君臨した
ウルトラマンティガ、その人です」
「…?よくわかんない」
「簡単に言えば、記憶は別として、何もかもが
マドカさんより上なドッペルゲンガーです」
「つまり、偽物」
フンス!と倒す意気込みを上げるシロコにダイゴは微笑む。
「待って……ティガなら、何で先生を」
「ガタノゾーアに闇を植え付けられ、残ってた光も、
不良と、ウルトラマンタロウを助けるのに使い果たした。
残ってるのは闇だけ。ティガは、俺を闇の尖兵だと。
第二の邪神になる前に倒す、そういう事だ」
「そんな……だって……」
そう、マドカの闇の原因はホシノにある。
捕まったから、邪神に人質されマドカは己の命を賭けて、
確かに救った。救ったのだ。
その代償が、命を狙われるなどあってはならない筈だ。
「光と影、始まりは一つ。しかし今は2つに別れ、
互いに敵として殺し合う。何とも救いがたい」
「俺達、ウルトラマンは救いなんて求めてないさ。
……俺は戦う、俺の命を賭けて。ティガを倒す」
「お義父さん……お義父さんは何でそこまで」
「そうだよ!先生、私が……私が彼奴を!
ティガを殺す!私がマドカ先生の居場所を
…姿を奪った彼奴を!だから、だから先生は」
「ホシノ、お前の…お前達の手を赤く染める
必要なんてない。俺が戦えば良いんだ。安心しろ、
俺もウルトラマンだ。そう簡単に、負けるように
やわじゃない」
マドカはそう言いながらも、傷口は赤く染まっている。
汗もかいている。本当は立っているのさえ、苦痛な程の重症。
それなのに、今ホシノとシロコの前で笑っているのだ。
「信じてくれ、お前の…アビドスの校長を。
自分の養父を。だから……返してほしい。俺のリボルバーを」
「いや……渡さない……先生は」
「ごめんな」
ホシノの胸にスタンガンを当てるマドカ。
一瞬にして身体の動きが止まり、力が抜けていく。
その後、黒服が首元に何かを注射すると
ホシノはその場に倒れる。
「…シロコ」
「駄目、お義父さん。」
「駄目じゃない、シロコ」
「駄目!」
シロコはサブマシンガンを構えるが、銃身はぶれている。
カタカタと震え、それでもマドカを狙う。
「なら、撃て!撃てば俺は止まる。どうした!」
「……」
「でき……ない」
「だろう、だから俺がやる。安心しろ、目覚めた時に。
同じ顔は顔は2つと無いさ」
シロコすらも制圧したマドカは深い呼吸をする。
「黒服、丁度いい。見ていろ」
「……なんと」
マドカの傷口の回復が早まっているのだ。
常人ではありえない、トリニティの正義実現委員会には
超回復とも言える神秘を宿す怪物がいるが、
マドカは黒服が知る限りそんな神秘はない。
「ウルトラマンだからだ、この程度の傷ならな。
こんなふうに、力を…光を込めれば」
「貴方の光はなくなったのでは?」
「闇を光に変える、それがウルトラマンだ」
そう、ティガダークにしかなれない今のマドカ。
しかし、闇を光にする事はできる。
だが、それでも勝てないのだ。
「……恨まれるな、皆に」
「麻酔の影響で熟睡しています。
起きるとして、6時間後かと。
……決着は?」
「夜の内に」
「えぇ、ホシノさん」
「なっ……」
「黒服、本当に刺したな」
「注射はしないと、マドカさんを騙せませんから」
マドカに何かが撃ち込まれる。
それはホシノに注射した筈の麻酔薬だ。
「大丈夫、マドカ先生の為なら私は………何でもするから」
マドカが眠ったのを確認したホシノは黒服に改めて、
向き合う。
「黒服、約束だ。先生とシロコを守れよ」
「えぇ、マドカさんとシロコさんを必ず」
ー深夜 アビドス高等学校分校舎
その日はマドカ・ダイゴの帰還ということで
学校にお泊りする。という企画を持ち上げた梔子ユメにより、
シャーレの先生を含めた全員がアビドスの校舎にいた。
「……保健室か」
ホシノの目は既に復讐者となっている。
愛する人を奪わんとする男。
愛する人を別人だと理解できないあの女。
愛する人と同じ先生という立場の大人。
其れ等全てが、ホシノにとって憎たらしいものだった。
だからこそ、愛する人のリボルバーを構える。
「あれ…ホシノ先輩?」
「な?!」
バン
という破裂音と激しい閃光、
そして一瞬でそこにいた生徒を見てしまった。
同じ生徒会メンバーであるセリカだ。
「あっ……ぐぅ………」
手元が狂ってしまったのか、
脳天を狙っていた筈の弾丸は肩の方にズレていた。
「マドカ校長!?ホシノ先輩、なぜ!」
「……セリカ、退くんだ。その偽物は殺すべきだ」
「わかんないよ!なんで…なんで先輩が」
セリカはシンシアリティでホシノを撃つが、
それは躱されリボルバーの洗礼を受ける。
「ホシノ!何をして!!」
「ちっ……面倒な!」
ホシノは保健室の窓を撃つと外に飛び出す。
校庭にはサーチライトのように照明が光り輝き、
ホシノを照らす。
「……ホシノちゃん!なんで先生を」
「そんな紛い物を、
本物と見ている貴女に言う筋合いは無い。
ノノミにもだ!かかってこい、ティガ!お前を殺し、
マドカ先生の居場所を…マドカ先生の命を守る」
「くっ……あの闇の尖兵の……良いだろう」
そして取り出したのは石化したスパークレンス。
それを見た瞬間、ホシノは絶句する。
自分が保管していたものだから、ユメにも渡さず、
隠すようにしていたのだから。
「私は……お前を……許さない」
「……光よ」
石化したスパークレンスとホシノの
スパークレンスは同時に輝く。
そしてアビドスの上空に二人の巨人が目覚めたのだ。