ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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表裏の巨人2

「どうしたんだい?ユメ、それに君達も」

 

アビドス分校にある校長室。

そこで、スーツに身を立つんだマドカ・ダイゴと

ソレを支える砂狼シロコ、

そして包帯を交換する小鳥遊ホシノ。

 

「……あの、マドカ・ダイゴさんですよね」

 

一番先に口を開いたのはシャーレの先生だった。

その言葉に頷き、語り始める。

 

「俺はマドカ・ダイゴ、又の名をウルトラマンティガ。

まさか……助けたのに攻撃されるなんて思わなかったよ。

ウルトラ兄弟No.6。ウルトラマンタロウ」

 

「君はこのキヴォトスの外から来たのか?」

 

「あぁ、俺はキヴォトスの外にいた。

怪獣に街を破壊され、家も、友人も、家族も失った。

そこに、ティガ、ダイナ、ガイア。

光の巨人達に救われたんだ」

 

「……あの、マドカ校長。今まで居たマドカ校長は」

 

「アレの名は、ティガ。

超古代のキヴォトスで最強を誇った光の巨人だよ。

俺は、ウルトラマンティガとして邪神と戦った。

なんとか倒したが、その代償は大きく身体の中に邪神の

怨念ともいうべき物が植え付けられたんだ。

だから、自分を石化させ闇を光に変えていた。

かつて、ティガがそうしたように」

 

つまり、ずっと闇と戦っていた。

シロコは知っている、ティガの石像の足元で寝れば

常にマドカ・ダイゴを夢に見たから。

話したのは1回きり、それ以降は常に狭い透明な牢獄に

ずっと囚われていたのだから。

ホシノは苦しむ、邪神に魅入られ取り込まれたのは自分の

せいなのだから。

そのせいで、ティガというマドカ・ダイゴの偽物が生まれ、

今この様な状況となっているのだから。

 

「つまり……偽物は」

 

「そう、ティガはマドカ・ダイゴと容姿が瓜二つ。

更に言えば、同化していたんだ。記憶もある程度有していた。

だから……悔しかったし、悲しかった。

まぁ、ホシノとシロコは直ぐに分かってくれた。

まさか……ホシノが単身殺しに行くとは」

 

「もう……マドカ先生に傷付いて欲しくなかったので」

 

それはかつてのホシノの様な言葉。

マドカ・ダイゴを真似るのではなく、小鳥遊ホシノとして、

今話している。

 

「でも……殺す必要は」

 

「シャーレの先生、名前は確か……アズマ・コウタ。

だったね、ウルトラマンは神じゃない。

ましてや、対話でどうにかなる相手じゃない。

俺はアビドスを守りたくて、ホシノ、ユメ、シロコ、ノノミ、

そして新入生達の未来。ソレを護るために戦っていた。

会いたかった、守った生徒に。君にはまだ判らないだろう。

俺はキヴォトスで生き、死ぬ事を選択した。

だから……だから戦ったウルトラマンとして。

マドカ・ダイゴ、GUTSとして。

ソレを否定された、相手も同じウルトラマンティガ。

偽物じゃない、俺も彼も本物のウルトラマンティガであり、

それぞれの思いがあった。

俺は会いたい、衞りたいという願い、

ティガはユザレとの約束を、誓いを守るという意志、

そこに曲げられる物は存在しなかった。

それに…あそこで勝たなければ意味がない。

ホシノはティガを襲撃した。

指名手配犯になるのは目に見えている。

君達は、ティガをマドカ・ダイゴだと思った。

ユメ、君も……」

 

「……ッ」 

 

梔子ユメは絶望した顔で耳を塞いでいた。

マドカ・ダイゴの目は今見えていない、

治ると言う話を事前に聞いていたがマドカの目を撃ったのは、

梔子ユメ。つまり、自分自身で恩師に、家族に等しい男性に、

自分自身の意思で、大怪我を負わせたのだ。

 

「……マドカ、君に聞かせてほしい。

君は、このキヴォトスを」

 

「守る…いや、護りたい。

でも、アビドスのほうで仕事が多くてね。

当分は校長としての業務に専念するかな。

ほかにも、ミレニアムとか色々とGUTSの顧問として

動かなくちゃならないだろうし」

 

「それは……」

 

「それに…邪神は倒せていない」

 

マドカはタロウとアズマを睨むように、

そして大切なことを伝える視線を贈る。

 

「邪神ガタノゾーアは生きている。

肉体は破壊しただろうが、あの闇の主は死んでいない。

彼奴は蘇る、俺はまだ万全じゃない。

そして、ウルトラマンタロウ、アズマ、君達も万全じゃない」

 

「……だが、君は倒したのだろう!

ウルトラダイナマイトで!」

 

「ウルトラダイナマイト…貴方の技を参考にした。

ティガの本質は光だ。人の光がある限りティガは蘇る。

そして、それはガタノゾーアにも言えることだ。

ガタノゾーアはキヴォトスで産まれ、世界の抑止力でもある。

だが、本質は全てを支配するという欲求の塊だ。

そして、伊達に3000万年の…いや、地球誕生から、

闇という不確かな存在として君臨し続けた存在。

奴は肉体を滅ぼしても、蘇る。奴の魂を、

確実に倒さない限り世界に未来はない。

そして……もう一つ、もう疲れたのさ。

背負わせてしまった馬鹿な大人、

そしてその影を追う者達。

君にも言おう、敵は倒せ。引き金を引く覚悟を憶えるんだ。

君は、誰かを撃ったことがあるかい?

勿論、生徒というべきかな」

 

「……ありません、でも」

 

「守らなければ、守れない。守ってもらう事に価値はない。

教師とは教え、導くもの。そして、導く為には時に、

武力がいる。一度戦い、倒してそれでやっと、

話を受け入れてくれる人達がいる。

アビドスの不良達がそうだ。俺、ホシノ、ユメ、が戦い、

過激な不良は矯正局送りにした。

今の不良達には青空教室や、時にアビドス校舎を開放して、

学び舎としてきた。

……だから聞こう、アズマ・コウタ。君に、死ぬ覚悟。

撃つ覚悟、そして背負わせる覚悟があるのか?

君は、不本意だろう。だが、ウルトラマンになった。

だが、そのダミースパークとタロウがいれば、

君じゃなくても良い。分かっているのか?」

 

それはウルトラマンとして、先人としての言葉。

アズマに酷く重く伸し掛かり、

逃がそうとする視線は何故かマドカへと向かってしまう。

 

「まだ分からなくていい。でも、話そう。

君が、先生であり、ウルトラマンである限り。

敵は宇宙人や怪獣だけじゃない、生徒も敵になる。

僕のように。連邦生徒会も敵になる」

 

「それは……」

 

「覚悟が必要なんだ。背負い、見捨て、選ぶ覚悟が。

俺は……選んだ、何を背負い、何を見捨てるのかを」

 

「……マドカさん、貴方の選択は」

 

「…アビドスを護る、俺を救ってくれた生徒への、

この街への感謝と借りを返すために」

 

マドカはそうハッキリと告げた。

キヴォトスではウルトラマンティガを神聖視している。

アビドスの守護神というだけではない。

ゲヘナとトリニティにおいては、

キリエル人からの攻撃から数多の命を救われた記録もある。

その中でのティガの復活、アビドスへ連絡が来ない訳が無い。

 

「……それで、君はどうするんだい?」

 

「一度、シャーレに戻ります。

でも、それでも……」

 

「進むんだ、前にずっと。

諦めなければ、未来は必ずあるさ」

 

その日の夜はマドカは校長室のソファで眠った。

家に帰る時間もなければ、移動手段もない為だ。

 

「マドカ先生!」「マドカ先生だ!!」

 

「おはよう、授業はちゃんと受けるようにね」

 

「はい!」

 

ヘルメット団の生徒もマドカの前では普通の生徒だ。

青空教室ではなく、人数の増えたアビドスで共に

授業を受ける姿に思わず笑みを零す。

分校とはいえ、活気が戻ったアビドス。

それはマドカが望んだものでもあったからだ。

チャイムが鳴り、放課後になる。

校長室にて書類仕事をしていながら、

2年ぶりに人間として聞く鐘の音に懐かしさを覚える。

 

「お義父さん!」

 

「ここでは校長先生だぞ、シロコ」

 

「ん、ホシノ先輩はどこ?」

 

「いや、おれに聞かれても」

 

マドカは書類仕事ばかりしていたため、

他のことを知らないのだ。

GUTSの再編成やミレニアムにあるハンヴィーの変わりの、

新しい車両の購入など手続きがたくさんあってしまう。

 

「だから、私は会って欲しくない!」

 

「でも……私は…………」

 

「梔子ユメ、お前が……お前が先生を撃ったのに!」

 

それは外から聞こえてきた怒号、

ホシノとユメの声だ。

 

「……ホシノ先輩とアホ毛先輩、

昔みたいに戻れないのかな」

 

「……俺が行こう」

 

マドカは校長室の扉を開き、廊下へ進む。

ホシノとユメだけではない。

ノノミ、セリカ、アヤネも居る。

 

「ホシノ先輩、話を」

 

「先生に助けられた上、

先生のハイパーガンも受け取ったノノミちゃん。

君も判らなかっただろ、口を出すな!」

 

「先輩!」

 

「ホシノ先輩落ち着いて!」

 

セリカとアヤネはホシノを落ち着かせようとしている。

ホシノも1年生なうえ、マドカに合った事のない後輩に

理不尽に怒りをぶつけるほど馬鹿じゃない。

 

「ホシノ、ユメ、喧嘩はよせ」

 

「喧嘩じゃない!裏切り者を……」

 

「私は……」

 

「ホシノ、しょうがないさ。判るはずがない。

むしろ、俺からすればホシノとシロコが俺を判ったのが

驚きなんだぞ。普通、ほぼ同一人物の区別が」

 

「なんで……なんでこの女の肩を持つんですか!

なんで……私よりも、私よりも長いから?

私だって…私だって先生と一緒に」

 

「ホシノ、大丈夫だ」

 

マドカほまるで娘を抱き締める様にホシノを抱いた。

 

「え……」

 

「大丈夫だ、大丈夫」

 

「違う……違う!!」

 

ホシノは一瞬だが、それに嬉しさを感じてしまった。

だが、それを受け入れてしまえば自分は、自分の気持ちは、

二度とマドカに届く事はない。

 

「なんで……なんでなの…私のほうが相応しいのに!

なんで貴方はこんな女を選ぶの!」

 

「ホシノ……ちゃ」

 

「選んでないさ、俺は選べない」

 

「……なん……」

 

マドカは笑顔ではなく、無表情になる。

その雰囲気をホシノは知っている。

マドカが初めてティガになったあの日と、

ホシノが囚われたあの日、覚悟を持った男の目だった。

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