ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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地底鮫ゲオザーク
地底鮫ゲオザークMark2
合体怪獣ゲオザークIII 
登場


崩壊のアビドス1

 

「それで、シャーレの先生。長いな。

肩書ばかり長いと面倒だ。

アズマ、君は何故まだアビドスに居るんだ?」

 

校長の椅子に座りながらパソコンを弄くるマドカは、

客席に座っている存在に声を掛けた。

 

「えっと……その、

どうせなら先輩として色々と教えて貰えると嬉しいと言うか」

 

アズマ・コウタは各学園を巡りながらも、

何故かアビドスを現在の拠点として活動していた。

アビドスは現在、連邦生徒会が唯一手出しできない土地。

そこにシャーレという組織の長が居るのは問題にもなり得る。

 

「まぁ良いさ、仕事だ。

ホシノ達と関係が改善していなくてね。

幸い、娘が手伝ってくれるらしい」

 

「ん!お義父さんと行く!」

 

「よしよし……」

 

「えっと、何をしに」

 

マドカはゆっくりと歩きながら話す。

 

「アビドスは自分でやるしかないんだ。

犯罪者を捕まえるのも、捕まえたとしても誘拐犯扱い」

 

「……聞きました。

マドカさんが居なくなってから大変だと」

 

「大変……その一言で片付けて欲しくない」

 

アビドスの分校の教員更衣室。

そこにマドカ・ダイゴと記載されたロッカーを開ける。

 

「え?」

 

「ベネリM4だ、使えるか?」

 

「え?いや、え!?」

 

「校長も働く、それがアビドスだ。

手伝え、ウチの治安維持委員会がこの区域で違法薬物を

売り捌こうとしている売人の情報を手にした。

中には生徒もいる、保護したい」

 

「お義父さん、私聞いてない」

 

「話してないからな。

安心しろ、ホシノ達生徒会メンバーは居ないが

ヘルメット団が協力してくれる手筈だ。

怪獣災害を隠れ蓑にしてやってきた屑どもだ。

矯正局にも叩き込めん、アビドスから叩き出す」

 

「えと、その後は」

 

「D.U.でも何処でも好きな所で商売させる。

アビドスは表も裏も親密なんだ。

そこに余所者が入り込めば直ぐに分かってしまう」

 

その言葉にアズマ・コウタは顔をしかめた。

それも彼だけではない。

 

「それはアビドス以外がどうなっても」

 

人形になってしまったウルトラマンタロウだ。

ティガの力を再び手にしたマドカでも、

力が完全に戻りきって居ないためかタロウをもとに戻す事は

未だに出来ていない。

 

「…良いと言えるんだが、

生憎だが俺も悪人を野放しにはしない主義だ。

ゲヘナ方面に送る手筈だ。作戦は伝えてある。

アビドスが捕らえることが出来ないのなら、

別の組織に捕まえてもらえば良い。

薬物の売買はゲヘナ側でも問題だ」

 

「…素直じゃないな、マドカ」

 

「ウルトラマンタロウ、

俺は光だ、闇じゃない。闇すらも光に変えてやる」

 

それはマドカ・ダイゴの決意。

守護者として戦う覚悟のある姿である。

 

「……GUTS」

 

「戦うなら、この制服じゃないとな。

GUTSハイパーは使えない、リボルバーは渡してある。

だからこれだ」

 

そう言いながらマドカはグロック17を見せる。

 

「……判ってると思うが、生徒を撃つことにもなる。

これはお前に対する試験でもある。

戦う覚悟だ、宇宙人いやこう言おう侵略者は人間に擬態する。

お前の知っている生徒に擬態した侵略者を撃てるか?

その為にも、生徒を撃つという経験が必要だ。

人を撃つ経験が必要なんだ。

俺は撃てる、ホシノに擬態されようと、

シロコに擬態されようと、

俺の護りたい者達に擬態されても撃てる。

本物じゃないからだ。ホシノもそうだった。

だからあの様な行動に出たんだ」

 

マドカはホシノの気持ちを理解している。

理解しているからこそ、苦しいのだ。

 

「……わかりません、でも僕は先生として」

 

「お前の先生としての価値観なんて重要じゃない。

やるか、やられるか。相手はお前が死ぬ事を知らない。

死にたくないなら、戦うしかない」

 

準備が終わったマドカはシロコにアイコンタクトを送り、

アビドスの車両格納庫へと向かう。

 

「お義父さん、これ前に話したプレゼント」

 

「シロコ?!ありがとう!」

 

「ん!皆でお金貯めて買ったよ。

ノノミが半分以上出してくれたけど」

 

「……後で皆にも言わないとな」

 

それはかつて使っており、

現在はGUTSの支援ビークルへとなってしまった愛車の

ハンヴィーに瓜二つの車両。

 

「防弾ガラス、強化装甲、 

ん!ノノミのミニガンでも壊れない」

 

ドヤァとハンヴィーのボンネットを

叩きながらの表情にマドカは微笑む。

そして、ワシャワシャとシロコの頭を撫でた。

 

「お義父さん、やめて……」

 

「さぁ、乗り込め。」

 

マドカは笑顔を向けながら促す。

それは純粋に嬉しいという感情だけではない。

それをウルトラマンタロウは感じ取っていた。

 

(マドカ、君は)

 

それは何処か知っている苦しみと悲しみ。

ウルトラマンタロウにとって、

大切な友人だったかのウルトラマンのように

マドカには何処か影がある。

そう思えてならなかった。

バギーはアビドスの市街地に入る。

中でもとりわけ治安の悪い区域だが、近いうちに消滅する。

マドカ・ダイゴの帰還によって、アビドスの砂時計は

改めて動き始めるのだ。

 

「…俺を見た瞬間襲ってくる。

しかも焦点の合っていない瞳、しかも……」

 

「仲間同士で殴り合った?」

 

それは悲惨な現場だった。

銃撃なら怪我程度で済むキヴォトス人が、

鉄パイプやバット、中にはナイフで刺しあったかのような

ケガをしている生徒がいる。

 

「怪我人の手当てをします、マドカ先生とアズマ先生は」

 

「大丈夫、お義父さん達は私が護る」

 

「シロコ、頼んだよ」

 

「ん」

 

ヘルメット団の不良達も何処か不安げな顔だった。

不良を気取っているとしても、実際は子供だ。

怖い物は怖い。

 

「大丈夫だ、君達に何かあっても、俺が…俺が助ける」

 

「…え……ありがとうございます、先生」

 

それはマドカの戦士ではなく、先生としての一面。

生徒に寄り添い、子供を導こうと、助けようとする

大人の責務を果たそうとする姿。

 

「アァァ」

 

「こんなふうにね」

 

屋根から飛び降りてきた生徒に向かい、

ベネリM4を容赦なく撃ち込み吹き飛ばす。

そして、そのまま持っていた結束バンドで瞬時に拘束した。

 

「うぅ……うぅぅ…」

 

「意識があるのか?あれだけ酷い落ち方したのに?」

 

「えっと、マドカさん。この子は」

 

「不良だろうな……でも、なんだ」

 

「ぐぅぅぅぅっ!」

 

「くっ!離せ!」

 

いきなり目を見開き、マドカの方左腕のに噛みつく。

振りほどこうとすればする程、歯が肉に食い込んでいく。

 

「お義父さん!」

 

「つぁ……」

 

シロコのサブマシンガンが噛み付いていた生徒の頭を撃つ。

だが、一向に気絶する気配がない。

それどころか、噛む力を強めて行きGUTSのジャケットから

ポタポタと赤い液体が垂れ始める。

 

「許してくれ」

 

マドカは生徒の頭を抑え、その腹部に激しい蹴りを入れる。

体勢を崩した生徒を壁に押さえつけると、

そのまま首を絞め始めた。

 

「マドカさん!」

 

「わかってるさ、でもなこうでもしないと俺が危ない」

 

息ができず、呼吸困難になっていく生徒は泡を吹き始め

完全に動きを止めた。

心臓は動いているが、意識は完全に落ちている。

 

「撤退だ、情報が遥かに足りない」

 

「でも、他に生徒がいるかも」

 

「俺達じゃ止められない!

出来ることと、出来ない事を考えるんだ。

くそ……君はゲヘナに伝手はあるか?」

 

「はい、その風紀委員のチナツと」

 

「よし、俺の伝手は2年で途切れてる。

当時の生徒会メンバーのお陰で今回の作戦が成り立った。

成り立つ筈だった。一度、アビドス校舎に戻り治療しよう。

ヘルメット団の皆は」

 

「はい!この区域の警備に努めます!」

 

「いや、解散してくれて構わないんだけど」

 

「私達もアビドスの一員ですから!」

 

「……転入するかい?

正直、ヘルメット団に所属してるよりも連邦生徒会からの

立場は激しく悪くなるけど」

 

「……まだわかりません。

でも、マドカ先生が戻ってきたのなら私達は

転入もやぶさかじゃありません!」

 

マドカの紡いだ絆は確かにある。

それをアズマは尊敬の眼差しで見つめる。

自分よりも全てにおいて先輩な存在。

性格は似て非なるものであるが、

空想の中の存在が目の前にいる。

ヒーローとして、みんなを助けている。

 

「僕も……なれるのかな…」

 

「アズマ、なれるさ。君も先生なのだろう?

まだ成り立ての新人だ。

私も教官になったばかりは緊張したものだ」

 

「ありがとう、タロウ」

 

タロウとアズマのパートナーが離れているのに気付いた

ヘルメット団の所属の生徒が近づく。

 

「大丈夫ですか?アズマ先生」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

ニコリと笑い、共に進む。

そして、これが2人の先生と2人のウルトラマン。

そして、アビドスにとって苦しい戦いの幕開けでもあった。

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