ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

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崩壊のアビドス2

負傷し応急手当で済ませた身体で、

アビドス校舎に戻ったマドカを待っていたのは

ホシノからの苦言だった。

 

「校長が一番危険な事をするなんて何考えてるんだよ!

マドカ先生が居なくなったら私は…私達はどうすれば」

 

「ホシノ、悪いとは思ってるし心配もかけた。

でも、今説教を受けている暇は無いんだ」

 

「……わかった、シロコもこれからは『私』に

話を通す様に」

 

「ん、お義父さんの為にも」

 

シロコの言葉に満足気に頷き、改めて保健室に向かう。

生徒会メンバーが全員揃っているのだが、

やはりマドカからしたら見慣れない。

 

「君達は……その、どうしてアビドスを選んでくれたんだ?」

 

「ここが私の故郷だからです。

アビドスが好きだからじゃ駄目ですか?」

 

「私も同じです。2年前から同級生も居る。

ガラガラだったのは、小学生まで。

見たことのないアビドスがここにあるんです。

私は、活気溢れるアビドスにしたいんです」

 

新入生2人の言葉に微笑みが溢れる。

自分の努力は無駄じゃ無かったのだ。

ティガという理由がありつつも、

変わらず今アビドスは不安定な状況にある。

それでも、アビドスを選んでくれる生徒たちがいるのだ。

 

「マドカ先生、聞かせてよ。この歯型は」

 

「錯乱した生徒に噛みつかれて、

まぁ、気にするな。ウルトラマンだからな。

二、三日もすれば傷跡になる」

 

「…その自分は良いって言うのはさ、本当に」

 

「説教は要らないと言ったろう、今は俺の話を」

 

「俺の話を聞け?なら何で私の話も聞かないのさ!

ただ心配だった!力になりたかった!なのに…

なのに…なんで?」

 

「…俺がウルトラマンだからだ」

 

「理由になってないよ!

ウルトラマンだから一人で背負うの?

ウルトラマンだから人一倍戦うの?

なんで…なんで先生は私にも背負わせてくれないの?

なんで…なんでなのさ!

梔子ユメは、無条件で先生からの愛をもらってる!

なのに…なんで私は駄目なの?なんで」

 

「ホシノ、

俺をそう思うのは君が植え付けられた恐怖からだ。

吊り橋効果や」

 

「違う!違うんだ!私は……私は」

 

ホシノの心からの叫びすら、否定される。

それに耐えられるほど、彼女は強くない。

だからこそ、彼女は現れた。

 

(眠りなさい、ホシノ)

 

(え?)

 

「…久し振りね、ティガ。いえ、ダイゴ」

 

「…誰だ、誰なんだ君は」

 

場の空気が変わった。

ホシノだが、ホシノではない存在。

そして、それに呼応するように彼女も姿を見せた。

 

「…カミーラ、かつて闇の三巨人として世界に仇なした存在」

 

「あら、泥棒猫のユザレじゃない。

三千万年ぶりかしらね」

 

また、ユメもその雰囲気を変えていた。

普段ののほほんとした雰囲気はなく、

鋭くだが優しさの残る気配。

 

「ユザレに…カミーラって…超古代の」

 

「あら、そっちの冴えない男は私たちを知っているのね」

 

「アズマ・コウタ。

ダイゴとは違いこの世界の代表に求められた男性」

 

「…俺とは違う?どういう」

 

「ダイゴがキヴォトスに来たのは運命。

闇へ対抗する為に、闇を祓うため。

私は、ユメを通して貴方を見ていた」

 

「そんなことの為に己の子孫を使うのね、ユザレ」

 

「貴女とは違う、カミーラ。

娘の転生体に憑依するような女ではないわ」

 

ユザレとカミーラの関係は冷めきっている。

ティガという恋人を奪われたカミーラ。

そして、ティガという大切な存在を手にしたユザレ。

 

「…なら聞かせてくれ。何故、俺にスパークレンスを」

 

「貴方はティガであるが、ティガではないからよ。

私達を裏切り、その女と共に進んだティガではない。

私はティガを愛しているわ。でも憎いのよ」

 

「……だから俺にダークスパークレンスを」

 

「そうね、貴方はティガの子孫。

直系かしら、瓜二つよ。

それは貴方も…いえ、貴方達が知っているでしょう?」

 

カミーラはそう言って場にいる皆の顔を見た。

ティガ、マドカ・ダイゴに瓜二つだった存在。

 

「えぇ……ティガは私との約束を果たそうとした」

 

「そして倒された、己の子孫に。ダイゴに敗れた」

 

ユザレは苦しそうな顔をするが、

カミーラはそれを見て笑っている。

 

「……聞かせてくれ。ユザレ、カミーラ。

何故、今現れた。何故、俺の決断の邪魔をする」

 

「…ダイゴ、貴方の選択はティガも選べなかったもの」

 

「そうよ、光であり続けると言う事は

かつて降り立った私達と同じように生きる事。

終わりなき戦いに身を投じ、絶望する。

私のように」

 

「……絶望なら、とっくにしてるさ。

俺は子供の時に怪獣に家族を、友達を踏み潰された。

その時に、ティガ、ダイナ、ガイアが助けてくれた。

でも、誰も覚えてない。誰も信じない。

でも、俺は救われたんだ。ティガに。あの包み込む光で。

俺はただ、光を信じたいだけだ。

キヴォトスにも救いようがない奴がいる。

アビドスはそんな奴等の攻撃に晒されてる。

でも、此処にいる生徒を護りたい。それだけだ」

 

「人を愛する事をしないと言うの?」

 

「……ダイゴ、貴方の心は今」

 

「俺の心?そんなものはあの日の瓦礫の下に置いてきた!

暗く、血溜まりの残り続けるあの場所に!

俺はアビドスの校長で、…ウルトラマンだ!」

 

それはマドカ・ダイゴが今まで隠してきた言葉。

だから戦えた。だから光になれた。

絶望はとっくに知っているから。

自分と同じような存在を作りたくないから。

そのくせに、全てを助けられないと知っている。

そのくせに、アビドス以外は二の次である。

 

「……マドカさん、それは違いますよ」

 

「何を」

 

「マドカさんは、マドカさんは優しい人です。

わかってるんでしょ!だから、自分から壁を作って、

皆から離れようとしている。

大人だから、自分が異物だから。貴方はそう思ってる。

だから、ウルトラマンティガという一側面だけを、

皆に押し付けて自分は離れようとしている」

 

「何を」

 

「わかってるんでしょ?怪獣に襲われた。

運がなかった、生きてたのは運が良かったからだって!

なのに、なんで自分で背負うんですか!」

 

「俺は…俺はウルトラマンティガで……

俺は、GUTSの顧問で」

 

「…辛かったら、俺だってなきます!

皆そうなんですよ!痛ければ叫ぶし、

悲しければ気分が下がる。楽しければ笑う!

貴方は、ウルトラマンティガ以前に、人間でしょうが!」

 

それは同じ人間として言われる言葉。

マドカはそれを否定したい、マドカは光だと。

ウルトラマンティガであると。

 

「貴方は、貴方はマドカ・ダイゴだ!」

 

「俺は」

 

「…マドカ、もう良いのよ。私の子」

 

「ユザレ」

 

「梔子ユメは私の転生体、しかしマドカ・ダイゴ。

貴方は我が子、貴方はもう良いの。

私は、貴方に背負わせたかった訳では無い。

因縁は私達がかたをつけるべきものだった」

 

「ダイゴ、良くやったわ。貴方は私とティガの子。

ホシノは我が子の転生体だけれど、貴方は私とティガの子。

もう良いのよ」

 

「…カミーラ、何を言うの」

 

「ユザレこそ、ダイゴはホシノと結ばれる存在。

我が子である」

 

「マドカは私とティガの子、アビドスの光となる存在」

 

「……3人の母親か」

 

喧嘩を始めたカミーラとユザレを前にしても、

マドカは落ち着いていた。生みの母、魂の母2人。

そして、後輩と、魂の母2人との会話でマドカは

己の始まりを思い出す。

 

「…俺は、ヒーローになりたかった。

皆を守れた、ウルトラマンティガに」

 

テレビで見たウルトラマンティガ。

マドカ・ダイゴの葛藤と苦痛、

それを忘れウルトラマンティガとして戦うことばかりしてきた。

マドカ・ダイゴと違う選択をしたと言いながら。

 

「俺は、二人が笑っていられるアビドスを作りたかった。

あぁ、そうだ。楽しかったんだ。ユメがフワッとして、

ホシノが叱って俺が宥める。

そこに、シロコが娘になって、

ノノミがいつの間にかメンバーで、

皆で柴関ラーメンで……」

 

そうだ、自分はヒーローじゃない。

元はただの人間だった。確かに選ばれた、導かれた。

でも、根本は変わっていない筈だ。

 

「……そうだ。俺は俺は一人じゃない。

今までも、一人で闘ってきた訳じゃない」

 

「お義父さん、大丈夫?」

 

「石像になってる時のせいか……俺は忘れてたな。

たとえ、力が強くたって一人きりじゃ戦えない。

強く未来を求めても、俺一人じゃ届かないし、意味がない」

 

「…ユザレ、カミーラ、そして後輩。ありがとう。

俺はウルトラマンティガという『光』である以前に、

マドカ・ダイゴという『人間』だ」

 

「…そう、ホシノに謝るのよ」

 

「……ダイゴ、貴方の選択を尊重します」

 

カミーラとユザレか消え、ホシノとユメが戻る。

話を聞いては居たのだろう、二人とも目でマドカを見つめる。

 

「俺が護りたいのは世界じゃない。

俺の手の届く人達を護りたい、だから護るんだ。

手の届く範囲の人達と幸せに生きるために」

 

「マドカ先生」

「私は……」

 

「…シロコ、ノノミにも言ってなかったよな。

ただいま、今帰ったよ」

 

それは約1年半以上見ていなかった微笑み。

ユメ、ホシノ、シロコ、ノノミとアビドス上級生や

青空教室を受けた不良達しか知らない、マドカ・ダイゴの、

先生としての笑顔。

 

「おかえり、お義父さん」

 

「あぁ、シロコ。そしてユメ、ホシノ、ノノミ」

 

「ユメ先輩、ホシノ先輩、ごめんなさいね!

えーい!」

「ん!手伝う!!」

 

「え…ちょ!二人とも」

「な?!」

 

シロコとノノミに押されると、

マドカに抱きつく形になる二人。

 

「えと……お帰りなさい、マドカ先生」

 

「え…あの……おかえり。マドカ先生」

 

「あぁ……」

 

マドカは二人の頭を優しく撫でる。

たった3人のアビドス高等学校、懐かしい日々。

その延長線上の世界が確かに帰ってきた。

 

 

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