ホシノ、ユメと和解ができ心機一転とは行かないが、
かつてのように。ウルトラマンティガ=マドカ・ダイゴ。
ではなく、一人の人間として、マドカ・ダイゴとして、
アビドス高等学校の一教員だったあの時の様に、
振る舞い始めた初日。
「お義父さん!」
「ほっと……しっかしシロコも大きくなったよ。
出会った時、ホシノより小さくて肩車も」
「ん!」
「っと、痛いなぁ」
割と強めに殴ったつもりのシロコだったが、
何事もないようなマドカに頬を膨らませる。
「あ…」
「お義父さん、ストーカーがいる」
「ちっ!違いますよ!私はストーカーじゃないです!!
シロコちゃんにとっても、先輩なんですよ!!
てか、昔は一緒に遊んでたのに!」
「嘘、ハミ。久しぶりだね」
「酷い!」
それはヴァルキューレ警察学校の制服を着た少女。
元ヴァルキューレアビドス高校前警察署署長。
本名《三日月ハミ》年齢18歳の3年生である。
「あれ、ハミじゃん。久しぶり」
「わぁ、ハミちゃんだ!」
「ホシノさん!ユメさん!久しぶりで……あれ?
ホシノさん、何かイメージ変わりました?
何処となく、マドカさんに似た様な…
似てない様な……」
ハミは大体2年ぶりの再会となるホシノに悩む。
ホシノとしてもあまり突っ込んで欲しくない為、
話題をそらした。
「そういえば、どうしてアビドスに」
「あっはい、その……助けてください!」
「うへぇ?」「ハミちゃん?」
アビドスに新たな闇が迫っていた。
ハミからの救援要請を受けたアビドス生徒会は、
緊急事態宣言とし会議室へ
ハミ、マドカ、生徒会メンバー、シャーレの先生アズマ。
そしてウルトラマンタロウのみを入れ、
他の生徒には厳戒態勢で警備をさせていた。
「え…いや、ここまで?」
「ハミ、聞かせてくれ。
アビドスを去った君が、何故戻ってきたか。
そして、何を背負っているのかを」
マドカは神妙な顔つきで、ハミの前に居る。
それは大人というだけじゃない。戦士の顔つきだ。
「ヴァルキューレの所轄に移動になった私ですが、
何故か公安局の方に引き抜かれたんです。
理由としましては、アビドスでの対怪獣経験に対する評価。
そして、私は見てしまいました。
カイザーコーポレーションの記載が入った極秘データ。
何故、それが公安局にあるのか。それ自体理解てきません。
でも、誰もいないからと、興味本位で見てしまったんです」
ハミは震えながら話す。
「そこには、機械獣。
人間によって、私たちの技術によって作られる機械の怪獣。
開発コード『ゲオザーク』と呼ばれる存在でした。
私は、それを見てしまいヴァルキューレ、公安局、から
追われる存在となってしまったんです」
「……人工的な怪獣?」
「はい、ゲオザークが何処を襲うのか。
何処にあるのか、まるで想像がつきません。
でも、私は……私の正義を信じてそれを公表した。
過ぎたる力は身を滅ぼす、きっとそうだと信じて」
「でも、そんなのニュースに」
「真実消されたと思います。
そもそも、リークも間に合ったかどうか」
「まって、シャーレなら」
「証拠もなしにですか?
はっきり言いますが、
私はヴァルキューレの極秘情報を抜いたスパイです。
連邦生徒会長からしても、七囚人とかと同じ扱いです。
お願いします…助けてください」
それはアビドスに対して無用な火種を持ち込む事。
だが、マドカは頷く。
「受け入れる、それにゲオザーク。
俺達は心当たりがあるんだ、一度襲われているし」
「あの時の…機械鮫」
「あぁ、アビドス砂漠にはカイザーPMCの基地がある。
利用料も取っているし、そこだけ自主警備もされている。
アビドスにありながら、アビドスの主権が唯一及ばない。
まったく、俺が居る時なら絶対主権及び撤退命令を下せる
様に話はつけたのに……」
「え、じゃあ」
「ハミは私たちアビドスの仲間だよ!よろしくね」
「はい!三日月ハミ、これよりアビドス警察として!
皆さんの為、アビドスの為に粉骨砕身、頑張ります!
連邦生徒会!ヴァルキューレ!皆滅べばいいんだ!
私の友達は此処にしかいないんだ!!」
「え、ハミちゃん?」
「ホシノしゃん!」
「おー…よしよし、」
ホシノに抱きついたハミ。
ハミもホシノとどっこいどっこいの身長体型であり、
何というか18歳にはまともに見れない。
「今失礼な事考えたでしょ、マドカ先生」
「いや、考えたら2年前で成長期は終わってたのか?
でも、それにしても……」
「口に出すなよ!」
ポカポカとマドカの胸板を殴るホシノの頭を撫で、
一同の緊張をほぐした。
「…そうだ、ハミの制服を準備しないとな」
「はい、よろしくお願いします。マドカ先」
ハミの言葉を聞こうとした瞬間に、
アビドス校舎に激しい爆発が巻き起こった。
「敵襲!」
「マドカ校長、傭兵バイトの襲撃です!
今すぐ安全な場所に避難を」
「してる余裕はない、俺はライフルを取ってくる。
アズマ、君はアビドスとは関係ない。逃げ」
「逃げません!僕はシャーレの先生です。
マドカさん、見ててください。僕の力を」
そう言うと、アズマは謎の端末を手にしながら前線に向かう。
マドカはそれが何なのか理解できないが、
そんな事を気にする余裕はない。
職員室と言うなの武器庫から、
スプリングフィールドM14とガンベルト、防弾チョッキ。
そして、ホルスターの2代目の相棒S&WM194インチモデルを
取り出し、弾倉を確認する。
「…いったい何処の」
「マドカ・ダイゴだな」
「なに」
それは黒尽くめのアンドロイド。
恐らく、外は陽動だったのだろう。
アサルトライフルを構えたこのアンドロイドが、
武器庫でもある職員室。
アビドスでも比較的奥にある場所に入れたのだから。
(…皆、すまない)
「おおおおお、覚えてなさい〜!」
「アルちゃん三流の悪党みたいなこと言ってる〜!」
「さ、三流!?
私達は一流のアウトロー……いや、帰るわよ!」
襲撃の主犯だったのは、
ゲヘナ学園所属2年生陸八魔アルを社長とした
企業『便利屋68』と雇われの傭兵バイト。
いくら便利屋のメンバーが先鋭と言っても、
アビドスの主力、生徒、そしてシャーレの先生アズマが
指揮する者達に勝利は難しい。
「これがシャーレの先生の力なんだ」
「まぁ、戦いやすいと思うよ?」
ホシノはユメの言葉に素っ気なく返すが、
頬が上がっているのは誰の目に見ても明らかだ。
「ホシノ先輩、素直じゃないね」
「えっと、ホシノさん。
その、そんな性格でしたっけ?」
「ハミさん、ホシノ先輩はマドカ先生の真似をしてるんです。
クールで格好良くて、憧れの男性って」
「ノノミ?!」
戦闘後の落ち着き、
だからこそ勝利に酔いしれ誰もが忘れていた。
「そういえば、マドカ先生は?」
「え、僕より先に出て職員室に」
「…まって、それから誰でもいい!
マドカ先生を見たか!!」
ホシノは周りで戦闘をしていた生徒全員に大声で確認する。
誰も反応がない、だからこそ嫌な予感がした。
「アヤネ、マドカ先生は今」
「えっと……ビーコンは……職員室から動いていません!」
オペレーションしている一年生、
奥空アヤネがそう叫ぶとシロコがいの一番に駆け出した。
「シロコ、待って!」
それに続くようにホシノも走り、皆が追いかける。
シロコの鼻に嫌な匂いが染み付いてくる。
鉄錆のような重苦しい血の臭い。
「これは…」
シロコが見たのは顔面と首の繋ぎ目を撃たれたのだろう、
アンドロイド。
そして、脇腹と脚から血を流して座り込んでいる
マドカの姿だった。
「お義父さん!」
「そんな…嘘だ……マドカ先生!!」
だが、問題はさらに巻き起こる。
「作戦は成功か…ふふ、ふふ…フハハハハハ。
ゲオザーク、ゲオザークMark2!アビドスを破壊するのだ!」
カイザーPMC理事の言葉により、人工怪獣。
地底鮫ゲオザーク、ゲオザークMark2が砂漠へ解き放たれた。