ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

6 / 33
バラージの遺産3rd

「ヒィ……いやぁ…いやぁ…!」

 

市民がハンドガンをアントライオンに向けて乱射している。

家族は目の前で捕食され、砂に埋まった。

自分も足を齧られまともに歩けない。

それでも、怪物に食われて死ぬなんて嫌だ。

 

「うそ……弾づまり?!来るな!来るなよぉ!」

 

 

「市民を発見!」

 

「うそ……まだ避難が完了してないの!」

 

アントライオンを撃とうにも現在地は市民と

射線が被っている。

 

「セイは市民を!私が背中を撃って」

 

レナは背中に回ろうとするが、セイがそれを止めた。

 

「駄目だ!間に合わない!!」

 

「助けて……見捨てな……」

 

市民は最期まで手を伸ばしたが、赤い鮮血を飛び散らしながら

蟻地獄の中へと消えていく。

 

「……なんで…助けられたかも」

 

「レナ、かもじゃ駄目なんだ。此処に入るに当たり、防衛室長から言われたろ?被害は最小限にしろ。立て、アントライオンを射殺するぞ」

 

「……ごめんなさい」

 

それは誰に対してか。

目の前のアントライオンに捕食された市民に対してか、

それとも覚悟が足りなかった事に対してか。

どちらにしても、今レナは覚悟を決めた。

 

「まだ居るかもしれない。捜索を続ける」

 

「…先生は知ってたのかな」

 

「私は部長と共に一度だけ先生の指揮下で戦った。

だから言える。あの人は『軍事的知識』がある」

 

「?セナ、そんなの当たり前じ」

 

「先生は外から来たらしく、キヴォトス以前の経歴は不明だ。

でも、憶えてるか?先生のチェンバーの確認や動作確認は

『スムーズ』だったんだ」

 

「そんなの当たり前じゃない。武器なんて」

 

「いや……先生の相棒は357コンバットマグナムだ。

今までリボルバーしか使っていた例が無いんだ。

にも関わらず、流れるように行っていた。

先生はおそらくは警察組織の特殊部隊、または軍人だな」

 

「それに何の問題が」

 

「問題はないさ。

むしろヴァルキューレの連中の指揮下に居るよりも良い。

本来ならヴァルキューレ警察学校のSWAT的立ち位置として、

SRTは発足した。だが、今は違う。ヴァルキューレ自身も

SWATを編成する動きがある。正直、ありがたいな」

 

「なんで?」

 

「お役御免じゃなくなる。それに先生が来たSRTには、

きっと『ミレニアム製』の最新兵器も送られてくる。

SRTがなくなっても、SRTを名乗れる」

 

「そんな……SRTが無くなるなんて」

 

「連邦生徒会にツテがあるからな。色々とあるらしい。

SWAT発足に伴い、SRTは縮小される予定だったのが、

対怪獣災害の為、完全に独立した軍事組織に格上げ」

 

「ならGUTSは」

 

「いずれ来る新生SRTの特捜チーム。

今は私達SRTの人員が大半を占めているけど、

来年からはキヴォトス全域から才女が呼び寄せられるらしい」

 

「え?なら今の私達は」

 

「教官役だよ。マドカ先生はきっとSRTを去るだろう。

なら、マドカ先生からできるだけ知識と技術を学び、

私達は怪獣災害に対抗できる人員を育成する側に」

 

会話を続けようとした瞬間、大地が揺れる。

ビルがその振動で沈んでいき、巨大な穴が広がる。

 

「此方、マドカ!全員無事か!どうした!返事を」

 

「レナとセナの2名は無事です!」

 

「シンジョウ、ホリイ両名共に!」

 

「……此方はイルマが瓦礫で倒れた。初期地点に戻れ

そこで合流するぞ」

 

通信機から聞こえてくるマドカの声に2人は頷くと

その場を走る。

 

「お前達…シンジョウとホリイはまだか」

 

ファイアーマンズキャリーでイルマを抱えているマドカ。

直ぐ様ハンヴィーの後部座席に座らせると武器を捨てる

 

「お前達はシンジョウとホリイが到着しだい、

徒歩で撤退だ。死にたくなければ金属製品は捨てろよ」

 

「あの、どういう」

 

その時だ。

アントライオンを大型化させた様な怪獣が大穴から姿を

現した。

 

「奴は磁力怪獣アントラー。

磁力光線で金属類を奪うだけじゃない、

レーダーも使用不可能にしてくる化物だ」

 

「怪獣なら私達が」

 

「戦いにもならんさ。奴は磁力怪獣。

電子機器は奴の発する電磁波と磁力でお釈迦。

金属類は……ほら、奴の顎に吸い込まれてる」

 

「うそ……」

 

マドカはガンベルトを腰から外し、命令を与えた。

 

「GUTSはメンバーが合流次第、SRT校舎に撤退。

その後、長距離砲撃によりアントラーを撃滅せよ」

 

「しかし、先生は」

 

「2ブロック先に病院がある。念の為だ」

 

「そんな!先生は」

 

「必ず戻る」

 

先生と声をかけた瞬間、ビルが崩れマドカはそれに呑み込まれる様に消えていった。

 

「……丁度いい」

 

瓦礫に呑まれながらも奇跡的に空間が出来ていた。

胸からスパークレンスを広げる。

すると、光が瞬いた。

 

 

 

「/////」

 

アントラーが叫んだ瞬間、ビルが弾ける。

避難は完了していない、ヴァルキューレもSRTも

一人でも多く救う為に未だ行動している。

 

「……あっ……」

 

ビルの瓦礫に潰される。

その瞬間に、光が彼等を包み込んだ。

身を開けると巨大な身体が瓦礫から守っていた。

 

「……ティガの……巨人」

 

アビドス巨人伝説。

今、D.U.でアビドスの守護神と呼ばれた

『ウルトラマンティガ』が始めて姿を見せたのだ。

 

「あっ……ありがとう!」

 

ティガはその声に頷くとアントラーに対して、

ファイティングポーズを取る。

 

(……何とか…何とか空き地に)

 

アビドスとは違い、D.U.は摩天楼とも言えるほどに

高層ビルが多く、キヴォトスで栄えている街だ。

アビドスはすぐ近くに砂漠があるから楽に戦えるが、

それと同じように戦えばメビウスの第1話の様に、

都市は瓦礫に変わるだろう。

 

「ん……ハッ!」

 

顔の前で腕をX字に組む。

ティガの額のクリスタルが輝き、赤いティガ。

パワータイプへと変身した。

 

「///2?!」

 

アントラーを穴から引き擦りだす。

目的地は無い、空き地ならある。

壊れようが、もう知らない。

テレビの世界のマドカ・ダイゴは救えない事を悔む

『優しい青年』であった。しかし、マドカ・ダイゴの

名を借りている彼は『取捨選択のできる青年』である。

全ては守れない、これは仕方のない事なのだ。

 

「デェア!」

 

「!!!!!」

 

アントラーを背負投げ、地面に叩きつける。

パワータイプだからこそ可能になった

力に物を言わせたファイトスタイル。

気分は『ヴァージョンアップファイト』の時の、

『ウルトラマンガイア』だ。

休ませる事なく、叩きつけ、持ち上げ、投げ落とす。

だが、アントラーもやられてばかりではいなかった。

 

「デュォ?!」

 

アントラーは磁力光線でビルをティガに向けて倒す。

背中からの不意打ちにティガはアントラーから目を離す。

地面に土煙を上げながらアントラーが消えていく。

だが、逃げたわけではない。

 

「ェァ?!」

 

「!!!!」

 

アントラーの鋭い顎がティガの左足を傷付ける。

そのまま砂の中に腰まで沈み、目の前にアントラーが姿を

見せる。ガチン、ガチンとまるでハサミのように顎が動く。

 

「/////!!z!z」

 

「デュアッ゙」

 

ティガの首を切り落とさんとするかの如く、

鋭い顎が襲い掛かる。それを両腕で防ぐが、

ティガの傷は決して小さくない。

何度も何度も顎が襲い掛かる。

ティガの皮膚から光が粒子となって空へ舞う。

ティガは血を流さない、そのかわりに光が流れる。

 

「ティガの巨人ばかりに良い格好はさせないさ!」

 

「-///yz!?.!????」

 

それはレーザーだった。

アントラーの顎の付け根に白色のレーザーが放たれ、

火花を散らしながら入れた顎が地面に刺さる。

あまりの痛みにアントラーは退く。

ティガはその隙を見逃さない。

 

「ハァッ!」

 

粉塵と共にティガは大きくジャンプし、大地に再び立つ。

カラータイマーは点滅している。

だが、ティガは心配していない。

 

「巨人!私達が…私達が援護する!

だから……だから……トドメは任せた!」

 

見覚えのあるハンヴィーからシンジョウの声が聞こえた。

ティガは静かに頷くと距離を取る。

 

「此方だ!くらえ!」

 

レーザーが何度もアントラーに放たれる。

火花を散らしながら緑色の体液がそこら中に拡散される。

ティガは両腕を左右から上にあげ、

胸の前に高密度に集めた超高熱の光エネルギー粒子を

アントラーに向かって放った。

『デラシウム光流』

アントラーの背中から当たる。

ビナー戦の様な間違いは犯さない。

貫通しないなら、より力を込めれば良い。

 

ティガのカラータイマーの点滅が激しくなるにつれて、

デラシウム光流の勢いが増していく。

そして、遂にアントラーの身体をデラシウム光流が貫通した。

 

「……人間の科学力以上の………」

 

デラシウム光流が貫通したのを確認したティガは放つのを

止めた。それと同時に、アントラーは体内からエネルギーが

溢れ、大規模な爆発を起こし粉微塵へと変わった。

 

「ハッ!」

 

空を飛ぶティガ、アントラーは倒した。

後は人間の仕事だ。

 

「あぁ……思い……」

 

ティガから人間に戻ったダイゴは2人のヴァルキューレ生徒

を抱えながらゆっくりと歩いていた。

額けら血を流し、助けを求めて隠れていたのだ。

ティガの時に気付き、何とか救出できた。

正直なところ、アントラーとの戦闘の余波で

死んでいてもおかしくは無かったのだ。

 

「先生!」

 

叫び声が聞こえた。

額に包帯を巻きつつ、確かな足取りで走ってくる生徒。

 

「イルマ?!一人持ってくれないか?」

 

「救助活動しに向かったって聞いてたけど、本当に」

 

「瓦礫に埋まってた。折れてるかもしれない」

 

「SRTの医療部が臨時の野戦病院を開いてます。

そこに運びましょう」

 

瓦礫の先へ進むとGUTSのメンバーが指揮を執っている。

 

「窓先生、ご無事……その2人は」

 

「瓦礫の中にいた。野戦病院に運びたいんだが」

 

「それはどの位置で?まだ中に人が居るか」

 

「なら、救助隊だけじゃない。荷物運びも連れて行け」

 

「荷物運びですか?ですが……」

 

「遺体回収も必要になる」

 

「…!」

 

「……死体は見慣れるようになる。

お前達はその覚悟位はして、SRTとヴァルキューレに

入ったんだろう?」

 

マドカの言葉に場が凍る。

人の生死なんて、そんな覚悟がある生徒は居ない。

 

「怪獣は天災だ。人は簡単に死ぬ。

此処に居る全員に告げる。『なれろ』」

 

そう、慣れるしか無いのだ。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。