ブルアカに生徒以上の神秘を入れてみた   作:影後

7 / 33
バラージの遺産4th

後日談

アントラーとアントライオンの攻撃により、

D.U.は甚大な被害を受けた。

しかし、その反面落ちていたSRTとヴァルキューレに対する

『市民の評価』は少なからず上がることになった。

命懸けで市民の為に働いてくれた2校の生徒。

死んでしまった者達を忘れない為の慰霊碑も建てられた。

 

そして、数日後マドカはGUTSの代表として

防衛室メンバーとの会議を行っていた。

 

「事前に知識があれば対処出来たのでは?」

 

「俺の責任を追及したいなら、俺はGUTSを抜けるだけだ。

俺はお前達に無理やり徴兵されたんだ。

マスコミにデータを流す用意は有るぞ」

 

「……出来るとでも」

 

「生憎だが、既にその用意は有る」

 

「……不躾な物言い。大変申し訳ございません」

 

マドカの尊大な態度に根負けする。

だてにアビドスという、狙われた場所で教師はしていない。

非合法でも情報が命を救う事を理解している。

 

「怪獣災害に対する責任は誰にもありません。

カヤさん、あまり先生を困らせないように」

 

「…防衛室長、すみません」

 

ピンク髪の生徒は静かにマドカを睨んだ。

 

「怪獣は基本兵器では倒せない」

 

「GUTSにはミレニアムより提供されました。

レーザーを基本兵装として頂きます。無論、マドカ先生も

レーザー。ミレニアムからですと『GUTSハイパー』。

『ハイパーガン』と呼称されています」

 

「それはGUTSの隊員に支給されると?」

 

防衛室長は静かに頷き、言葉を続ける。

 

「はい、GUTSに関して各学園から許可が降りました。

『怪獣災害及び超常現象や怪事件の捜査』に関して

超法規的措置として各自地区での自由行動を認めるという、

書面にサインも貰っています」

 

「……俺に何をさせたい」

 

「知恵と力を。貴方はヴァルキューレの生徒を救助し、

怪獣に対しても幅広い知識がある。私は、防衛室長になった。

なったからには、キヴォトスを守る義務がある。責務がある。

お願いします。協力してください」

 

今まで表に出なかった防衛室長がマドカに深々と頭を下げる。

 

「なら、一つ頼みがある。ミレニアムとの兵器開発は

俺を主導にして欲しい。怪獣は陸や海だけじゃない。

空からも来る。今のキヴォトスは、空に対して無警戒すぎる」

 

「わかりました。すぐにでもご連絡致します」

 

「そうだ、以後救助活動等はおやめください。

GUTSには莫大な資金がかかっています。

その認識をお忘れなく」

 

会議が終わり、GUTSの部室に戻る。

 

「先生!」

 

「イルマ、ヤナセ、シンジョウ、ホリイ、ムナカタ、ヤズミ

全員を今すぐ部室に集めて欲しい」

 

「え…はい!」

 

イルマはスマートフォンで直ぐ様全員を部室に呼ぶ。

メンバーが到着するとマドカは話始めた。

 

「GUTSに対してこの前のレーザーの様なミレニアム製の

対怪獣特殊兵装が開発される。主導は俺だが、

お前達にもミレニアムに赴いてもらう。まだ未定だが、

近い内にあるだろう。要望は考えておけ。

また、防衛室だけでなく各生徒会から

『怪獣災害及び超常現象や怪事件の捜査』に関して

超法規的措置として各自地区での自由行動を認める

という結論が出た」

 

「それは……」

 

そう、GUTSにとってありがたい事だ。

連邦生徒会の、いやSRTの特捜チームとして全生徒会に

認められたのだから。

 

「以後救助活動等はやめろという指示が出た。

GUTSには莫大な資金がかかっている。

その認識をお忘れなくだそうだ」

 

「それは……それは……見捨てろと!

私達に市民を見捨てろと仰るんですか!」

 

「知ったことか、この発言はカヤとか言うピンク髪が

俺に向かって勝手に言った台詞だ。

録音されてるとも知らずに馬鹿な女だな」

 

「録音ですか?」

 

ムナカタが質問した。するとマドカは『ネクタイピン』

を指差しイタズラ少年の様に微笑んだ。

 

「スパイグッズらしいぞ」

 

「お前達に告げる。人命は何よりも優先される。

一人でも多く救え。だが、自分の命は捨てるな」

 

「「ラジャー!」」

 

マドカはそう叫ぶメンバーを見ながら、

『それはスーパーGUTSだろう』と関係ない事を考えていた。

 

 

 

翌日、第二の故郷たるアビドスにマドカは帰っていた。

ハンヴィーが砂を掻き分け、運転しなれた砂漠を

まるでレースするように自由に走っている。

 

「□□!□生!!先生!!!」

 

「あれ、ホシノにユメ?バギー直したのか?」

 

「ひぃん……ホシノちゃんの運転が荒いよ〜」

 

「ん!風が気持ちいい!」

 

「…ホシノさん……気持ち悪い……です」

 

ハンヴィーを停めるとホシノの運転するバギーも停まる。

中から笑顔のシロコ、目を回したユメ、吐きそうな少女

の3人が降りてくる。

 

「先生!何してるんですか!

砂漠で危険運転してる車両があるって連絡来て!

私達、急いできたら見覚えのあるハンヴィーで!」

 

「どぉどぉ……ほら、くじらさんのぬいぐるみ」

 

「あっ……って物で釣らないでください!」

 

「ごめん、ごめん」

 

危うく『くじらさん』に心奪われる瞬間だったホシノだが、

直ぐ様理性を取り戻しマドカに詰め寄る。

 

「兎に角さ、一度校舎に行こうよ」

 

「そうですね、犯罪者は捕まえないと」

 

「ひぃん…先生、あの後ろ乗せてください!

ホシノちゃんの運転怖くて」

 

「ユメ先輩!私も今だけです!」

 

「お義父さん、銃座座らせて」

 

「気をつけるんだぞ」

 

アビドスまでは風を感じられる程度に安全運転で走る。

1週間程しか経過していないにも関わらず、

アビドスはかつての活気を少しずつ取り戻していた。

砂を片付ける清掃員、砂を回収しガラスに加工する業者。

かつてアビドスを離れていった人たちが確かに戻っている。

校舎について、車をおりアビドス市街地を歩く。

 

「……懐かしいな」

 

自分がアビドスに来た日。

本名を捨ててマドカ・ダイゴを名乗った日。

その全てが思い出される。

アビドス分校校舎の校長室の校長席に座らせられ、

他の生徒はソファに座る。

 

「なんで校長席が」

 

「ん!お義父さんがアビドスの校長先生だから!!」

 

シロコのドヤ顔と周りの頷きでどうしようも無いことを

悟り、そのまま席に座る。

 

「あの……マドカ先生ですよね?

その、ご挨拶がまだで……」

 

「セイント・ネフティスのご令嬢たる十六夜ノノミさん。

君が此処に居るのは、危険な事だと思わなかったのかい?」

 

マドカはGUTSの顧問としてではなく、

アビドスの教師としてノノミと話す。

 

「アビドスに残った市民は、少なからず君の家。

セイント・ネフティスに対して悪感情を抱いている。

俺が来るよりも前の事件さ、でも当時から此処に生きる人

からすればそれは裏切りなんだ。

君がセイント・ネフティスのご令嬢と分かれば、

心無い人は君に嫌がらせも行うだろう」

 

「それでも……私はアビドスの為に働きたいんです!

今、アビドスがあるのはマドカ先生が居たからです。

私は、セイント・ネフティスは何もできませんでました。

だから、だからその令嬢たる私が」

 

「そんな理由でアビドスに来てほしくないね」

 

ノノミの言葉をバッサリとマドカは切り落とす。

 

「俺は君が来てからの日々を知らないけど、

数日間で俺の義理の娘と生徒達と友人だろ?

ただの使命感だけで学生生活させるほど

アビドスは腐ってないよ。アビドスはね。

身分証もない、ヘイローもない砂漠を遭難していた俺を

受け入れてくれた第二の故郷なんだ。

俺はアビドスが好きだ。砂漠しかない?

違うさ、新しい観光名所もある。

君にも、アビドスを好きになって欲しい」

 

「え?」

 

「だから……なんていうか…そうだね。

進学先は自分の目で選んで欲しいんだ。目で見て、

肌で感じる。きっと親のしがらみとかあるかもしれない。

でもね、一番は何処の学校で自分が一番楽しい

学園生活ができるかなんだよ。こんなご時世だ。

尚の事、忘れないで欲しいんだ」

 

その言葉に暗くなる。

アビドスでもニュースになっているD.Uでの怪獣災害。

行方不明者総数不明、死者15名。

腕だけの発見や制服のみの発見。

今でもD.U.では救助活動いや、捜索活動が続いている。

行方不明で苦しみ続けるか、

死者となったのを知り苦しむか、

今D.U.はその2つに悩まされている。

特に、ユメとホシノは始まりの怪獣災害に巻き込まれた。

正確には怪獣ではないが、死を覚悟した程だ。

 

「うん、湿っぽい話は終わりだ。

オススメのラーメン店が有るんだけど……

皆が良ければ行かないかい?」

 

「行きたいです!」

 

「ん!お義父さんの奢り!」

 

「ユメ先輩!シロコちゃんも」

 

「あの……私もですか?」

 

「子供は大人の脛齧りで良いんだよ。

ほら、おいで」

 

『アビドスの変わらない日常』

それがマドカの心を癒やす唯一無二の存在だった。

 

 

 

ミレニアムサイエンススクール古代史研究会。

その発表により新たな事実が判明した。

D.U.に現れた怪獣は『アントラー』と『アントライオン』。

古代キヴォトスのトリニティにおいて存在した

古代文明『バラージ』その文献の中で『文明の破壊者』

と呼ばれていた怪獣であった。

穴を掘り、地盤を破壊する。都市の重みで大地は沈み、

更に沈んだ先ではアントラーとその眷属たるアントライオン

が捕食しに来る。

 

「先生だけでなく、ミレニアムの古代史研究も

仲間に引き入れるべきでは?」

 

「元々、ミレニアムとは協力関係です。

それに現れた怪獣に関しては先生の方が知っています。

ですが……」

 

連邦生徒会はミレニアムの古代史研究に、

各自治区の伝承等の解析を要請。

ソレだけで少なくとも20種の怪獣伝説が浮上した。

 

「コレがどうなるか……先生。お願いします」

 

防衛室長は静かにそう呟いた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。