「アレは空を飛んでない!撃って!」
「でも…ティガ……先生が居るし」
「シンジョウ!何のためのSRTなの!
ティガに……先生に全て任せるつもり!
連戦なのよ!」
「…でも」
ティガ、マドカ・ダイゴとゴルザは肉弾戦を続けている。
青だった肉体は赤く染まり、ゴルザとの激しいプロレスが続く。
動きは緩慢になっているが、パワーはゴルザを上回っている。
それでも、ティガは連戦だ。しかも、完全な不意打ちを受け、
右脚に傷を負ったのか、庇うように戦っている。
「デェアッ?!」
ゴルザの尻尾を回避できず、右脚に当たる。
激しい痛みに襲われ、屈んだ所にゴルザがティガを覆うように
被さって来た。全体重を入れたボディプレス。
ソレを通常のティガなら踏ん張り、返すこともできただろう。
だが、今は脚を痛めており肉体と重量を完全に支えられない。
大地に倒れ、背中を激しい痛みが襲う。
ゴルザはティガへトドメを刺すため、その首を圧し折らんと
馬乗りになり、ティガの首を両手で絞める。
パワータイプのパンチがゴルザの肉体を何度も何度も
殴るが、ゴルザは決して離さない。
(まずい…このままじゃ)
負けるわけにはいかない、相手は怪獣だ。
しかも闇の尖兵である。
それが光の…ティガの戦い方でなくとも、
勝たなくてはいけない戦いなのだ。
負けられない戦いなのだ。
(負ける……ものか!)
ティガはゴルザの右目に親指を突き立てた。
光の戦士の戦い方では決してないだろう。
だが、救う為には自分は決して死ねないのだ。
「!!!!!!!」
ゴルザの悲鳴。
しかし、それでもゴルザは手を離しはしない。
ティガは左目を潰す、しかしそれでも離さない。
どんなにダメージを与えても、
ゴルザはティガを仕留めるために命を消費する。
「止めろぉぉぉ!!!」
叫び声がした。
ティガは見た、マドカ・ダイゴとしての生徒が。
SRTの仲間がゴルザの額に全ての攻撃を集中させていた。
「ハッ!」
ハチドリからの攻撃とティガのパンチ。
それによりやっと抑えていた両手を離す。
ティガはそのまま腕を胸の前で十字で組み、
マルチ・スペシウム光線を放った。
理論上、あのウルトラマンの必殺技に匹敵する火力。
いくら、パワータイプで光線技の火力が
マルチタイプよりも光線の威力が低いと言えど、
ゴルザの頭を貫通するには十分だった。
ーピコンーピコンーピコンーピコン
ティガのカラータイマーが点滅し始めている。
ギリギリだった。
「先生!!」
ハチドリに乗っている皆が手を降ってくれている。
ティガはそれに静かに頷き、手を振り返す。
「先生!逃げてぇ!!!」
「デュァァァッ!!」
それは闇だった。
ティガに纏わりつくように闇がティガを覆う。
「ンンンッハッ!」
額のティガクリスタルが輝き、
ティガがマルチタイプに変わる。
そして、タイマーフラッシュを行い纏わりつく闇を
打ち払う。
(そんな……合体怪獣?!)
闇が消えた時、自分の知らない怪獣が立っていた。
ゴルザにメルバの被り物が被さった様な合体怪獣。
「!!!」
メルバの怪光線とゴルザの破壊光線が同時にティガに
襲い掛かる。
あまりの衝撃に油断してしまっていたティガは守る事も、
回避することも出来ず直撃を受けてしまう。
ーピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン
メルバ、ゴルザという連戦。
そして目の前の怪獣、ティガはその怪獣にハンドスラッシュ
を放つ。
胴体に火花が飛び散るが防御力も上がっているのか、
ティガのハンドスラッシュ程度ではびくともしない。
「!!!!!」
ゴルザとメルバの合わさった様な鳴き声。
闇の尖兵に負ける訳にはいかない、
自分を義理の父と言う少女に教え、導いてきた生徒達。
そして、来る未来に生きる者達の為に。
(負ける訳にはいけない)
「ティガが……ティガの巨神が輝いて」
それは人の光でも、超古代の巨神の光でもない。
マドカ・ダイゴという個人の光。
火事場の馬鹿力としか言えない瞬間的な光。
合体怪獣の突進を受け止め、地面に倒す。
今度はティガが馬乗りになり、合体怪獣にチョップを
何度をぶつける。
「ーーーー!!、!」
合体怪獣も負けてはいない。
持ち前のパワーを生かし、ティガを吹き飛ばす。
だが、ティガは即座に受け身を取ると
額のティガクリスタルに光を集める。
『ティガパワータイプ』
2度目のタイプチェンジ。
ティガは合体怪獣の尻尾を掴むとまるで、
砲弾投げの様に回転し合体怪獣を投げ飛ばす。
「!!!!」
だが、メルバの翼の為空を飛んでいく。
ならば、ティガも対応するのみだ。
『ティガスカイタイプ』
ゴルザと合体したためか、速度はメルバよりも遅い。
それで俊敏性の高いスカイタイプと競うなど、
馬鹿げているにも程がある。
「ハッ!」
ランバルト光弾を連続して撃ち出す。
ティガスラッシュが効かないのであれば、
より高火力の技を命中させれば良い。
通常のランバルト光弾よりも威力は下がるが、
ティガスラッシュに比べれば何倍も高い火力だ。
合体怪獣の翼が折れ、自由落下を続ける。
「デュア!」
だが、ソレを許すティガではない。
ティガスカイキックを行い、着地前に更に追撃だ。
落下のダメージだけでなく、
加速のついたティガスカイキックで合体怪獣はふらつき、
頭を揺らしている。
ティガは両腕を胸の前で交差させたあと、
瞬時に水平に伸ばしてから上にあげて
超エネルギー・ランバルトを集約し、
両手を左腰に置いてから、爆発力の高いエネルギー光弾を
右腕で投げ付けるように素早く撃つ。
牽制としてではない、確実に倒すと決めた必殺技。
『ランバルト光弾』
合体怪獣は鳴き声一つ上げることなく、
ランバルト光弾を受け大きな爆発と共に消えていった。
ティガは空へと飛び立ち、戦いは終了したのだ。
「つぅ………うっ………」
だが、変身者たるマドカの肉体は悲鳴を上げていた。
怪獣の3体連続討伐。
肉弾戦で受けたダメージも回復しきれていない。
「……ユメ、ホシノ、シロコそれに…ノノミ」
ヘリのローター音が聞こえてくる。
ラベリングして現れるGUTSのメンバーに安心感を覚え、
マドカの意識は闇に落ちた。
「……先生」
そして、作戦終了後SRTへ帰るヘリの中でマドカは
端末を操作していた。
「…今回のことは他言無用だ。
破られるなら!俺は逃げるぞ」
「なんでや?!ティガが!
先生がいれば怪獣なんて問題あらへんことや!」
「…馬鹿なのか?」
ホリイの言葉に素で返す。
「キヴォトスは学園都市だ。
ソレを守るのはSRTたるお前達だろう!
巫山戯るなよ!俺はな、キヴォトスを守る義務はない!
アビドスを護っていたのは居場所だからだ!
ソレを…あろうことかお前はたった一人に、
ウルトラマンティガに背負わせるだと?」
GUTS、その名を冠する部隊だからと何処か
希望を持っていた。だが、実際は違った。
「せやかて!先生が居てくれたら100人力」
「俺が、ウルトラマンティガが居なくなればどうする!
教えてやる、俺は無敵じゃない。今日も死にかけてる。
俺は、自分の命を常にBETしたギャンブルを続けてる。
胸のカラータイマー、アレは俺の命の限界だ。
アレが無くなれば俺は死ぬ。
俺が死んだら、お前は逃げるのか?
ホリイ、お前は……何のために此処に居る?
守ってもらう為か、それともSRTとして、GUTSの
メンバーとしてか!甘ったれるなよ。自分の力で
守る事も出来ない奴など無意味だ」
「いや……僕はそんな……そんなつもりじゃ」
「先生、言い過ぎです」
「……お前達もだ。戦えないなら、戦う気がないなら
GUTSを去れ。今日わかった」
ーあの時、D.U.でのはまやかしだったのか
ティガとして、人々の前で戦ったあの日。
GUTSは真に防衛隊だった。ウルトラマンと共闘し、
怪獣を倒した。今回はホリイだっただけかもしれない。
だが、それでもティガはマドカは苦しい。