13番目のプルと赤い彗星   作:サクラモッチー

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今回も毎度お馴染み日常回。


夏の思い出

宇宙世紀88年7月。

本格的に夏になってきたからなのか、コロニー内では太陽のジリジリとした暑さが徐々に強くなっていた。

でも、暑い日々が続くと自然と涼しいものを求めてくるわけで....

 

「あ〜、冷たくて気持ちいいなぁ〜」

 

今の私は、パパやシャアと一緒にコロニー内にあるプールに来ていた。

私が暮らしているコロニーでは夏の時期限定でプールが解放されていて、私達と同じように涼しさを求めてやって来る人が多いのだ。

 

「ジャーヴィスもパパもおいでよ!!」

 

パラソルのあるところで座っているジャーヴィスとパパに対し、手を振りながらそう言う私。

一方、手を振る私の存在に気がついたジャーヴィスとパパはというと

 

「あぁ、分かった」

「パパ達もすぐ行くよ」

 

そう言った後、プールの中に入って行った。

でも、シャアはプールの中に入ったのはいいものの....何故かそのまま固まっていた。

....アレ?

 

「ねぇジャーヴィス....もしかして泳げないの?」

 

私がそう尋ねると、シャアはウッとした顔になった後

 

「....久々すぎてどう泳げばいいのかが分からないだけだ」

 

と言った。

 

「でも、それって泳げないってことだよね?」

「.......」

 

私の言葉に対し、無言になるシャア。

そんなシャアを見かねたのか、パパば助け舟を出すようにこう言った。

 

「ジャーヴィス、とりあえず私達が手伝うから泳ぐ練習をしようか」

「..........」

 

そんなわけで、私とパパは急遽シャアのために水泳教室をやることになったんだけども

 

「そうそう!!そんな感じだよ!!」

 

ジャーヴィスはものの数分で泳げるようになっていた。

流石は赤い彗星、水泳もお手のものってわけね。

 

「フン、意外とあっけないものだったな」

「それ、敵を倒した時に言うセリフだよね?」

 

さっきまで泳げなかったのに、自信満々になっちゃってるなぁ。

まぁ、それでこそ赤い彗星って呼ばれる由縁なんだろうけど。

そう思いながら、プールで遊んでいると

 

「!?」

 

どういうわけか足を滑らせてしまい、私はそのまま溺れてしまった。

 

「「パンジー!?」」

 

まずい、早くプールから出ないと....でも、上手く泳げない.......

何とかしたいのに、何とかできないこの感覚....これが溺れるってことなのかな.......

....私、死ぬのかな?

と、そんなことを思っていると

 

「おい!!しっかりしろ!!」

 

私はシャアに抱き抱えられる形で助かるのだった。

 

「じゃ、ジャーヴィス.......?」

 

ケホケホと咳き込みながら、そう呟く私。

....何か恥ずかしいな。

 

「無事か?パンジー」

「う、うん、何とかね....」

 

シャアの顔を見ながら、私がそう言うと.......彼が安堵したのか、ホッとした顔になっていた。

.......そういえば、シャアって前よりかは優しい顔をするようになったな。

そう思いながら、私はシャアに抱き抱えられていると

 

「パンジー!!無事か!!」

 

慌てた様子のお父さんがやって来た。

 

「あ、うん。ジャーヴィスのおかげで何とかね」

 

私がそう言うと、お父さんもまたホッとした顔になった後

 

「良かった....」

 

と呟いた。

 

その後、私はパラソルの下でちょっとだけ休憩してからシャアと遊んだ。

遊んだと言っても、水の掛け合いだけどね。

でも、ただの遊びでもシャアの闘争心に火をつけたのか....物凄い勢いで水をかけ始めたので、私も応戦するかのように水をかけまくった。

それから数時間後、プールを後にした私達は今日の思い出話を語りながら、家へと帰り道を歩いていた。

 

「プール、楽しかったな〜!!」

「あの時はどうなることかと思ったけど....パンジーが楽しめたのなら何よりだよ」

 

私の顔を見て、ニコニコと笑いながらそう言うパパ。

.....よかった、元の優しいパパの顔だ。

そう思っていた時......ふと、シャアの方を向くと、彼はいつものクールぶった顔をしていたものの、何だか楽しげな雰囲気を出していた。

この様子だと、シャアもプールを楽しんだみたいだね。

 

「....ジャーヴィス」

「何だ?」

「あの時、助けてくれてありがとね」

 

私がそう言うと、シャアは目を丸くすると

 

「.....私はお前の死ぬ姿が見たくなかった。それだけだ」

 

ポツリとそう呟いた。

そんなシャアを見たパパはニコニコ笑っていて、パパの視線に気がついたシャアはそっぽを向いた。

.....可愛いなぁ。

そう思いながら、私はジャーヴィスの手を握った。

 

「......パンジー?」

「ジャーヴィスの手、大きいね」

 

ニカッと笑いながら私がそう言うと、シャアは

 

「......そうか」

 

その手を握り返す形で私の手を握った。

多分、この記憶は一生忘れないんだろうなぁ。

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