13番目のプルと赤い彗星   作:サクラモッチー

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今回はシャア視点のお話。
かなりシリアスかも?


【番外編】赤い彗星の贖罪

シャア・アズナブルは、かつて自身の策略のためにハマーン・カーンを利用した。

そして、その行動は結果としてハマーン・カーンという少女の心を傷つけ、怪物へと変化させた。

当時の彼はその行為を仕方のないことだと割り切っていたのだが.......グリプス戦役後、キグナス家で居候するようになってからは徐々に自らが犯した罪の数々に対し、思い悩むようになっていた。

そんなシャアに対し、パンジーやベネットは励ましていたものの....宇宙世紀88年10月31日に起きたコロニー落としにより、彼はハマーンを止めるという名目の贖罪のため、キグナス家を後にした。

 

キグナス家を後にした彼は、貨物船を乗り継いだ末にネオ・ジオンの拠点の一つへと到着。

そして、ネオ・ジオンのとある軍人に接触した。

その軍人は彼の正体がシャアだと気がつくと、すぐさま彼に協力した。

 

そんなわけで.......ネオ・ジオンの一部の軍人の協力を得たシャアは、ハマーンのいるアクシズへと潜入。

ハマーンへの報告という名目で彼女の目の前に現れた。

ハマーンは最初、雰囲気の変わった彼をシャアだと認識していなかったが....彼女のニュータイプとしての力が働いた結果、ハマーンは目の前にいる男がシャアだと気づくと、顔色を変えてこう罵った。

 

「貴様....よくもズケズケと私の目の前に現れたな!!」

 

そんなハマーンの罵詈雑言の言葉に対し、シャアは一言も反論することなく全て聞いた後....彼女の目を見つめながら、こう言った。

 

「ハマーン....お前がそうなってしまったのは私が原因だ。なら、お前の気が済むまで私を罰すればいい」

 

シャアがそんな言葉を放つと、ハマーンは分かりやすく動揺した。

それもそのはずで....何しろ、ハマーンが知るシャア・アズナブルは目的のためならどんな戯言も吐く男というイメージだったのだが、彼女の目の前にいる男.......シャアは自身の罪を認め、ハマーン本人から殺されることを望んでいた。

そんなシャアを見たハマーンは、彼から自らの命を犠牲に戦いを終わらせるという覚悟を感じ取ったのか

 

「お前の命一つで戦いが終わるとでも思ったのか?馬鹿馬鹿しい!!」

 

と言った後、彼の顔を殴った。

 

そして、ハマーンはシャアを牢に投獄すると........自らの心の傷を晴らすかのように、彼に対して殴る蹴るなどの暴行を行なった。

シャアはハマーンの攻撃に対し、反撃することなく受け入れていて....その態度に腹を立てた彼女の暴行はますます過激になっていった。

死を覚悟した彼の想いとは裏腹に....ハマーンは彼を生き地獄に合わせるために、ネオ・ジオンに所属している拷問官にシャアの対応を任せることにしたのか、シャアをネオ・ジオンの別の基地に移送させることを決定させ、今の彼はその基地の拷問室で息も絶え絶えな状況になっていた。

 

「...............」

 

基地に移送されてからというもの、シャアは両手を拘束された末に拷問官の気の向くままに拷問を受けるようになり、彼の脳裏にはキグナス家で過ごした時間が走馬灯のように流れていた。

 

─キグナス家に危害が加えられるよりかは、私の命一つで済むのならマシな方だな

 

薄れゆく意識の中で、パンジーの姿を思い浮かべながらそう思うシャア。

彼の目には、いつの間にか涙が浮かんでいて..........その姿は、赤い彗星というにはあまりにも弱々しかった。

そんなシャアの姿を見た拷問官は、ニヤつきながらいつものように拷問を始めようとしたが....その直後に突然の衝撃が基地を襲ったため、拷問官はシャアへの拷問をすることなく、拷問室を後にした。

慌てて出て行った拷問官を見たシャアは、何かあったのかと思ったのか、体を起こして確認しようとしたところ

 

「よぉ、元気か?」

 

その彼の目の前に、トラヴィス・カークランドが現れた。

 

トラヴィスの姿を見たシャアは

 

「何故....お前がここに」

 

弱々しい様子でそう尋ねると、トラヴィスはやれやれと言う顔でこう言った。

 

「いや何、パンジーを悲しませる阿呆に喝を入れるために来ただけだ」

 

トラヴィスのその言葉は、今のシャアにとって耳が痛い言葉だったのか....彼はすまないと言葉を漏らした。

その後、トラヴィス達によって拘束を解かれたシャアは彼に肩を支えられる形で戦艦に乗り込み、すぐさま応急処置を受けていた。

トラヴィスは彼の怪我を見て

 

「この傷をベネットの奴が見たら、カンカンに怒るだろうな」

 

ケラケラと笑いながら、そう言った。

シャアはその言葉に反論することなく、ただ黙っていたのだが

 

「パンジーはな、お前のことをとても心配してたぞ」

 

というトラヴィスの言葉の対し、シャアは目を見開くと

 

「....そうか」

 

天井を見上げながら、そう言った。

こうして、シャア・アズナブルはパンジー達のいるコロニーに帰還するのだった。

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