宇宙世紀90年11月。
コロニー内は本格的に肌寒くなっていて、暖かい料理が恋しくなる季節になった。
だからなのか、みんなどことなく厚着をしているような気がする。
ヴィンセントさんは店を開くんだ!!とか何とか言って、今は街のレストランで修行をしている。
もちろん、そのヴィンセントさんを支えているのはクロエさんだ。
トラヴィスおじさんによれば、2人は良い関係らしい。
アンネローゼさんは、トラヴィスおじさん経由で仕事(花屋)でバイトをすることに。
でも、最近は彼氏が欲しいとかってトラヴィスおじさんに行って困らせてたみたい。
シャアはシャアで、いつものようにパン屋で働いている。
そういえば、最近は昼食作りという名目でコッペパンの改良をしていて、この様子だと後々ミルドレットおばさんのパン屋にコッペパンが並ぶ日も近いかも?
とまぁ、みんなの近況報告は置いておくとして.......なんてことない、いつもと変わらないある日、いつものようにマリーダと一緒に我が家への帰り道を歩いていた時、私達はとある二人組の姿を発見した。
その二人組のうちの一人は緑色の髪のツインテールの女の子、もう一人は茶髪寄りの黒髪の男の子で、二人とも私やマリーダよりも年下のような雰囲気がしていた。
.....あの二人、間違いなくこのコロニーの人じゃないよね。
「ハサウェイ、このコロニーって本当に緑がたくさんあるのね!!」
「待ってよ!!クェス!!」
キョロキョロと周りを見渡しながら、そう言う二人。
すると、ハサウェイと呼ばれた男の子は何かにつまづいたのか......派手に地面に転んでしまっていた。
「大丈夫!?」
そんな男の子に対し、急いで駆け寄る私。
そして、男の子が立ち上がるのを手伝うと
「あ、ありがとう....」
男の子は戸惑いながらもそう言った。
そんな男の子を見た女の子は、心配そうな顔になっていた。
男の子の膝には、擦り傷から血が滲み出ていて....それを見た私は、すぐさまこう言った。
「私の家、一応病院なんだけど....行く?」
その言葉を聞いた男の子はコクリと頷くと、女の子と一緒に我が家兼病院に移動した。
家に帰ると、男の子と女の子を見たパパはビックリとしたような形になったものの、男の子の怪我を見て、すぐに男の子の膝の怪我に消毒液を塗った後、ガーゼを貼っていた。
怪我の処置をしてくれたパパに対し、男の子はペコリと頭を下げると.......すぐさま病院を後にしようとしたが
「二人とも、ちょっと待ってくれるかな?」
優しくそう言うパパの言葉に対し、二人は思わず固まっていた。
そんな二人に向け、パパは
「君達....ハサウェイ・ノアくんとクェス・パラヤちゃんだね?」
と言った。
パパのその言葉を聞いた二人は、観念したようにこう呟いた。
「「ハイ、ソウデス」」
....パパ、もしかしてこの二人のことを知っているのかな?
そう思いながら、二人の方を見る私。
パパによれば.....男の子、ハサウェイくんのお父さんは連邦軍の軍人として一年戦争で活躍したらしく、普段は地球で暮らしているらしい。
女の子こと、クェスちゃんのお父さんは政府のお偉いさんみたいで、ハサウェイくんと同じく地球で暮らしているとか。
....ん?
「....ねぇパパ、何で地球で暮らしているはずの二人がここにいるの?」
「それはパパにも分からないよ」
もし、二人が本当に地球で暮らしているのなら.......何でここにいるの!?
そう内心パニクっていると、クェスちゃんは私とマリーダに対してこう言った。
「私達、家出してきたの!!」
.......家出?
「なるほど、要はハサウェイとクェスは親と喧嘩してここに来たのか」
マリーダのその言葉に対し、ハサウェイくんとクェスちゃんはコクコクと頷いていて.....そんな二人を見た私とパパがポカーンとしていたのは言うまでもない。
「家出をするにしても、長距離すぎるよ!!」
「だって、そうでもしなきゃ家出じゃないでしょ?」
私の言葉に対し、自慢げな様子でそう言うクェスちゃん。
その隣にいたハサウェイくんはうんうんと頷いていた。
いや行動力よ!?
ということを内心そう思っていた時
「パンジー、来客か?」
たまたまパン屋の仕事が休みだったからか、シャアが診察室にひょっこり現れた。
すると、そんなシャアの顔を見たハサウェイくんは何かを感じ取った顔になると一言
「しゃ、クワトロ・バジーナだ!!」
驚いた様子でそう言った後、バタンと倒れるのだった。
「....私は、何かまずいことでもしたのだろうか?」
「いや、今のはジャーヴィスは悪くないよ」
本作のハサウェイは閃光ルートには入らないかも?