果たして、シャアの運命は!?
「ジャーヴィス!?」
なんでこのタイミングで来るの!?
突然やって来たシャアに対し、心の中で焦りつつそう思う私。
「ジャーヴィス....いやシャア、お前は何の目的でここに居る」
トラヴィスおじさんがそう尋ねると....シャアはおじさんの目をジッと見ながら、こう言った。
「.......お前の予想通り、当初の私はキグナス家の面々を利用しようとした。だが」
「だが?」
「時間が経つにつれて、私の空っぽだった心に何かが埋まる感覚がした。恐らく、これが満たされるということだろう」
トラヴィスおじさんに対し、まるで捕まることを覚悟の上で淡々とそう言うシャア。
シャア....そんなことを思ってたんだ。
てか、やっぱ私達のことを利用しようとしてたのね。
「ただ....私が過去にやったことは消えない。裁くのならとっとと私を裁け。ただし、キグナス家には手を出すな」
「シャア.......」
トラヴィスおじさんに対し、そう言うシャアの顔は処刑されるのを覚悟したような顔で.......その顔に嘘偽りというものはこれっぽっちもなかった。
シャアの本音を聞いた私は、彼の言葉に驚きつつも捕まってほしくないと思ったのか
「!?」
思わずシャアに抱きつくのだった。
「パンジー、何を」
抱きついて来た私に対し、目を見開いて戸惑いながらそう言うシャア。
それはトラヴィスおじさんも同じだったようで....シャアと同じような顔になっていた。
「....そんな勝手なこと、言わないでよ」
私がそう言うと、ハッとした顔になるシャア。
....最初にシャアと会った時、私は彼に対してシンパシーのようなものを感じていた。
彼の、シャア・アズナブルの過去は誰も知らない。
シャアのことは噂程度でしか聞いたことが無かったら、私は余計に彼のことを警戒していたんだけど....いざシャアに出会ってみると、彼はどことなく家族を求めているようなところがあった。
だからこそ、そんな彼にとって我が家は居心地が良かったのかもしれない。
でも、それは私も同じ。
何故だがよく分からないけど....シャアの隣に居ると何だか胸の奥がポカポカするような感覚になってしまう自分が居て、そのことをパパに相談したら、それはきっとシャアのことを信頼している証だと言っていた。
....こんな自分をプルシリーズが見たら、バカな奴だと言われるかもしれない。
だけど、不思議と嫌な気分にならないのは何でだろう?
これがパパが言っていた信頼するってことなのかな?
「あなたが居なくなったら....私やパパはともかく、ミルドレッドおばさん達も悲しむでしょ!!何でそれが分からないの!?」
シャアに対し、心の底からそう叫ぶ私。
その目には涙が浮かんでいて....それを見たシャアは
「......そうか、そうだったな」
天井を見上げるように顔を上げると、そう呟いた。
そんな私達を見たトラヴィスおじさんは、しばらく何かを考えるようなそぶりを見せた後
「なるほど、今の赤い彗星には連邦とドンパチする意思がないってことか」
シャアに対してそう言った。
それを聞いたシャアはトラヴィスおじさんの方を向くと
「.....私をどうするつもりだ」
私の頭を少し撫でるとそう言った。
「どうするも何も、俺は最初からお前を連邦に突き出すつもりはねぇよ。だが、お前がパンジーに危害を加えるのなら話は別だがな」
トラヴィスおじさんがそう言うと、ホッとした顔になるシャア。
それは私も同じで....トラヴィスおじさんの言葉に安心した影響なのか、シャアの体から手を離すとそのまま床に座り込むのだった。
「しっかし、あの赤い彗星がパン屋をやってるとはな」
シャアに対し、肘をチョンチョンとしながらそう言うトラヴィスおじさん。
その言葉に対し、シャアは
「私がパン屋で働いて何が悪い」
トラヴィスおじさんに対し、だからなんだという様子でそう言った。
「いや何、このことを連邦軍やジオン軍の連中が知ったらひっくり返るだろうなと思っただけだ」
ニヤニヤと笑いながら、トラヴィスおじさんがそう言うと.....シャアは不思議そうな顔をしていた。
トラヴィスおじさんの言う通り、シャアがパン屋で働いているって知ったらびっくりするだろうなぁ。
というか、そもそも見た目や雰囲気も変わっているからフツーに気づくかどうかの問題だけど。
「それにしても....ベネットの奴、同居人が一人増えたことを何で俺に言わなかったんだ?」
「多分、忘れてたんじゃない?」
パパってたまに忘れっぽいところがあるしね。
「あ〜....」
私の言葉に対し、何かを察したのか......そう呟くトラヴィスおじさん。
この後、トラヴィスおじさんは家に帰ってきたお父さんを一時間ぐらい尋問してた。
んで、今後厄介なことが起きたら俺に連絡しろと念押ししたとか。
....何はともあれ、シャアとの生活はまだまだ続きそうだな。