ACE COMBAT SW2 ―The Journey Home―   作:skyfish

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皆さん超大変お久しぶりです。ぼちぼちですがゆっくり書こうと思います。ただやっぱり遅いですので許して





第11話「準備する」

 

 504部隊がまだ再建中の今、少しでも人員がほしい。そのため他と比べ比較的に落ち着いている北欧戦線担当であるサイレントウィッチーズからアリシア・H・ダヴェンポートを一時的にアルダーウィッチーズの補充要員として迎え入れた。その際に盛大にパーティーしたのは記憶に新しい。そして、その翌日だった。

 

「みんな! 今日も元気にやっていこう―――の前に重大なお知らせがあります」

 

「なっ……あのドッリオ中佐が真面目な顔している!」

 

「ということはかなり深刻なことだね」

 

「ゴクリ………」

 

(真剣な顔にならない隊長っていうのもどうなんだろう………)

 

 赤パンtゲフンゲフン………赤ズボン隊の3人の反応を見て心の中で突っ込むブレイズ。

 

「いい、心して聞くのよ………昨日で食費を使い果たした」

 

「な、なにいいいいいい!?」

 

「あははははははははは!!」

 

 食に関して妥協を許さないアンジェラが驚愕の声を、対して伝えられた事実にアリシアは爆笑する。

 

「一体全体何故なのだ! 説明を要求する!!!」

 

「いや~昨日やったパーティーの材料を買いに行ったときにね。運命の出会いがあったんだ」

 

 昨日の買い出しで何かを買ってしまったらしい。

 

「パルミジャーノ・レッジャーノ」

 

『隊長あなたの英断に感謝します!』

 

「手のひら返し速いよ! つーか軍の金で何やってんの!?」

 

 赤ズボン隊やアンジェラの反応にブレイズは最もな突っ込みを入れた。

 

「パルミなんとかって、何ですか?」

 

「パルミジャーノ・レッジャーノとはね―――!」

 

 

ロマーニャとヴェネツィア。この2か国は食文化が非常に発展している。去年解放されたガリアはネウロイの侵略を受けるまで美食の国と言われ、ヨーロッパ諸国でおいしい食文化ランキングガリア、ロマーニャ、ヴェネツィアの三国が必ずトップ3に必ず入るほど。ガリア料理は味だけでなく見た目が非常に綺麗で食べるのがもったいないと言われ、芸術料理と呼ばれていた。現在ガリアは復興でそれどころではないが近い将来かつての栄華を取り戻すだろうと期待されている。

それに対し、ロマーニャとヴェネツィアの食文化は同じで主にパスタとピザが代表的である。だが、この国の食に関する関心は群を抜いておりおいしいものに関して妥協は一切しない。軍の間ではイタリア料理人にハズレは居ないと広まっており確固たる地位を築いている。

 失礼、話を戻そう。パルミジャーノ・レッジャーノとはヴェネツィアの地方で作られているチーズの一つだ。ロマーニャ、ヴェネツィアは食文化的にチーズをよく使う。またチーズだけでも数十種類存在する。それらチーズの中で一番おいしいと評価されているのがこのチーズだ。高級料理に欠かせない存在でそれにふさわしい価格になっている。また、ヴェネツィアがネウロイの勢力下になったことでその生産地の人たちは避難した。パルミジャーノ・レッジャーノはその地域で取れた牛乳で作られている。そのため市場にある残されたこのチーズの価格はエベレスト並みに上昇した。それほどまでに愛されているチーズなのだ。

 

「すごいチーズなのは分かった………正座」

 

「え、なんでよ」

 

「正座しなさい」

 

「いや」

 

「「SE・I・ZA」」

 

「「「「あ、はい……」」」」

 

 ドドドドドドドドドドドドドドッ!!! とよく分からない音が聞こえる気がする。あらかた説明を聞いたブレイズと竹井は笑顔で青筋浮かべて5人を座らせる。反論したくとも2人の威圧に押された。大本の原因であるドッリオは全く反省していない。

 

「反省してないね隊長」

 

「だって~。買っちゃうのは自然の摂理だし~」

 

 反省の色を出さないドッリオを見てブレイズは「はぁ……」と溜息し一言。

 

「お昼MREな」

 

「え゛ち、ちょ、ちょっと!?」

 

 初めてドッリオが動揺する。それどころか滅茶苦茶必死そうな顔になっている。それもそのはず。ブレイズが言ったMREはオーシア軍が世界に誇る戦闘糧食だ。科学的に体にいい、持ち運びが楽にするため小さくし完成したそれは確かに体にはよかった。味という一点を除いての話だが。

 

「いや! あれだけは絶っっっ対にいや! それ以外なら何でもいいから!」

 

「ほう? 何でもいい、と?」

 

 涙目で訴えてくるドッリオ。どんだけ嫌なんだ。確かに不味いものなんて食べたくないのは分かるが。

 

「竹井、確か501には梅干しが大量に余ってるんだよな」

 

「ええ」

 

「なら、罰として3食梅干しでいいんじゃないか?」

 

「そうね。そうしましょ」

 

 3食梅干し(ご飯付き)のみなんて扶桑人以外の人は耐えられない拷問だがそれを聞いてドッリオはほっと胸をなでおろした。あんなものと比べれば非常にいい。

 

「だがそれ以前に軍資金はどうする? 次の予算支給まで持たないぞ」

 

 ドミニカの指摘はもっともである。さすがに一文無し状態を脱却する必要がある。ならやることはただ一つ。

 

「う~ん………出し物で調達するしかないかしら」

 

「なら手っ取り早くレストランがいいかもね食料はある。丁度でっかいチーズあるから」

 

 くいっと親指が差すその先には件のチーズ。聞いたドッリオはチーズがどうなるかすぐ察した。

 

「なっ! 待ちなさい!それt「「何か?」」あ、いえ、何でもねッス」

 

 さすがに認められないため抗議したがブレイズと竹井2人の迫力に押され縮こまるしかなかった。ドッリオの目には怒りで2人の周りが歪んで見えたが気のせいだろう。たぶん。

 

「た、隊長がやられた……」

 

「アリーさんと竹井の2人が怖い」

 

「混ぜるな危険」

 

「何故私まで……」

 

「MRE4つご注文入りま~す」

 

「「「「ごめんなさい。マジでごめんなさい」」」」

 

 綺麗にブレイズに土下座する4人。明らかに軍属としてアウトなことしてる隊長に同調するのが悪いから当然の罰である。というか、前々から思っていたがロマーニャ人は食に関してのこだわりが強すぎる。それからアンジェラそれとなくブリタニアという国の食べ物をディスるのやめなさい。食べられるから十分食べ物だぞ。え? 何故そう言い切れるかって? 実際に作って食べたからだ。MREよりおいしかったぞ(マジで)こっちのほうが腹持ちいいんだよねぇ(白目)

 

 こうして、1週間後一日限定のレストランを開いて失った軍資金を集めることとなった。

 

 

 

 

 

「う゛う゛う゛酸っぱい。でもおいしい……でも酸っぱおいしい……」

 

 ドッリオは白いご飯のおかずに501から取り寄せた赤い梅干しを口に運ぶ。程度は低いもののそれと同じくらいの罰を4人も受けている。

 

「まったく、いくらなんでも自由過ぎない? 軍法会議物だよ本来なら」

 

 ブレイズは愚痴りながら梅干しを口に入れご飯をかきこむ。程よい酸味と塩加減が絶妙でご飯によく合う。そういえば、ご飯と梅干し、これだけの組み合わせだけのMREが昔のノースポイントにあったことを思い出す。過去に各国軍の集まりで出されたMRE出し物会の中で非常にシンプルだが、ただいろいろ合わせるよりもおいしかったそうだ。そこで我がオーシア軍のMREが堂々の売れ残りNo.1を記録してしまったことはお笑い種である。

 

「出す食事はどうしましょう?」

 

「手軽にカフェがいいんじゃない。サンドイッチとコーヒーでさ」

 

「それだけだとなんだか物足りないわね。もう少しメニュー増やせないの?」

 

「アルコールはどうだ? ロマーニャはワインの産地だろ?」

 

「あるにはあるけど、出すほどの量はないわよ」

 

 ご飯食いながら話し合いを進める。その中心になっているのはフェルナンディア、ルチアナ、マルチナ、アンジェラの4人だ。食に関することだからか熱心に話している。

 

「だったら別の分野で集客するしかない」

 

「例えば?」

 

「食事を運ぶ人の服装に特徴を出すとか」

 

「はいはいはいはい! 私にいい考えがあるわ!」

 

 突如名乗りをあげるドッリオ。それを見て赤ズボンの面々が嫌そ~な顔になる。

 

「隊長……まさかあれ着るなんて言わないですよね」

 

「あれは私が着るわよ(全員分あるんだけど)インパクトはあるけど全員が同じ衣装じゃつまらないでしょ?」

 

「はぁ………」

 

「この前とせくすぃ~カレンダーの時の反省を踏まえて、私は閃いた。ちゃんとした服であればいいと!」

 

(せくし~カレンダーって何?)

 

(昔ドッリオさんが戦意高揚目的で際どい服ブロマイド写真カレンダーを作ろうとしたけど、高揚しすぎてヤバいって理由で中止になったものよ。それを巡って若手将校がクーデターを計画したって噂があるわ)

 

(……………………………………………………馬鹿じゃねーの)

 

 たったそれだけの理由でクーデターが起こる……いや、そもそも計画されてる時点であほらしく見える。クーデターの理由がそれって………自分が知るクーデターの中で一番最底辺確定だ。でも、平和そうに見えるのは何故なんだ。これが分からない。

 

「よって、皆にはそれぞれ私が選んだ物を着てもらいます」

 

 『ええ~!?』と声が上がるがドッリオは隊長命令として決定させた。軍なのにあまりの自由。自分たちよりフットワークが軽い。

 

「あ、それとアリシアさんには演奏をお願いしたいんだけどいい?」

 

「お、いいの?張り切っちゃうよ?」

 

「ええ、それで一つリクエストなんだけど」

 

 ビシィッ! とドッリオはブレイズを指さした。

 

「彼女の歌でコンサートお願いできないかしら?」

 

「はあ……?」

 

 突然のことにぽろりとお箸からご飯を落としてしまった。

 

「歌って、この国の歌なんて知らないよ?」

 

「違うわ。アリーは自分の国の歌を歌うのよ」

 

「曲ないと寂しいんじゃ」

 

「それは心配ないわ。私作曲は得意なの。歌詞とだいたいのメロディーさえわかればそんなの簡単だわ」

 

 アリシア・H・ダヴェンポートは自慢そうに言う。(`・∀・´)エッヘン!!と胸を張るその姿は普段自己主張が激しいその豊満なものが余計に目立つ。

 

「というわけだからよろしくね」

 

「ええー」

 

「隊長命令よ! 拒否権は私にもないわ!」

 

「いや、隊長の貴方でもさすがに『上から許可もらってるわ』仕事速すぎだろ!?」

 

 その後ぎゃーぎゃーわーわー騒いだがブレイズが歌を歌うことが(強制的に)決定したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「で、何でこれ履いて飛ばなきゃならないんだ?」

 

「まーまーいいからいいから」

 

 現在の状態、赤ズボン隊の制服(ドッリオの予備服)で足には彼女たちが履いているストライカーと呼ぶ科学と魔法の産物を履いて飛んでいる。機体はリベリオン海軍艦上戦闘脚“F6Fヘルキャット”。旧オーシア海軍の主力艦上戦闘機とまったく同じであり、そのせいなのかどうなのか定かではないが始動は難なく出来た。その隣にいるアリシアはF6Fによく似たストライカーを履いている。だが、その性能は大きく違う。彼女のストライカーはF8Fベアキャット。ヘルキャットの後継機だ。当時のオーシアでも開発はあった。だが、完成したとき、時代はジェット機の世界に爪先を入れた段階であり、ジェットの開発と配備に力を入れる上層部の意向により、F8Fは極少数の配備にとどまり且つ停戦もあり実戦を経験せずに幕を閉じた。その後ジェット機開発は加速する。形式上はオーシア海軍最後のレシプロ戦闘機F8Fは軍歴時代に輝かしい記録を残せなかったのである。軍の時代が終わった後F8Fはフライトレースの機体として平和な空を飛ぶことになった。

 

これがブレイズの世界の出来事。ベアキャットは飛行機としては飛べたが、戦闘機として飛んだのは圧倒的に少ない。実戦に参加したことなど一度もないそれがこの世界で配備しだしたばかりとはいえ本来の役割を担おうとしている。平和な空を飛んだF8F(ヘルキャット)と戦場の空へと羽ばたき始めたヘルキャット(F8F)。二つの世界、違う世界、同じ機体、同じ名前………正反対の空。果たしてどちらが幸せなのだろうと思ってしまう。

 

「わざわざ飛ぶ必要はあったの?」

 

「私いろいろ考えるときは飛ぶに限るのよね。それに」

 

 アリシアはくるりと反転し青空へ手を伸ばす。

 

「この場所がどうしても好きなの。静かな空が好きなのかな? あんまり深く考えたことないけど……うるさい空は、嫌い。それを取り戻したい」

 

 グッと握りしめる拳。その力強い瞳から彼女の強さが伝わってくる。体を元に戻したときはいつもの笑顔に戻っていた。

 

「さて、そんなことは置いといて。何でもいいから歌って」

 

ブレイズは目を閉じて考える。歌うにあたって、どの歌がいいのか。

 

何を歌いたいのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よう、ブービー。やっぱりあの“歌”だよな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 懐かしい声が響いた気がした。

 

 

 

「………………」

 

 

 ブレイズの目が変わったのを見たアリシアは察し集中する。一音一音聞き逃さないために。

 

 鼻歌を歌い音程を確認する。そして、大きく空気を吸い込み

 

「―――――――――――」

 

 歌が聴こえる。その音色は空に溶けていった。

 

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