ACE COMBAT SW2 ―The Journey Home―   作:skyfish

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第3話「伝説の魔女達」

二式大艇内で坂本美緒と宮藤芳佳は出撃準備に入っていた。現在ヴェネツィア艦隊が攻撃しているが今回のネウロイは再生速度が通常よりも速く、艦隊の攻撃がコアまで届いていないのだ。

 

「宮藤、お前が先行してネウロイを艦隊から引き離せ。私はその後方からコアを叩く!」

 

「了解!」

 

 懸架台の零式艦上戦闘脚二二型甲に足を滑り込ませる。宮藤の額に脂汗が滲む。あの日から約半年彼女は戦場から離れていた。そのブランクがどれほどなのか分からない。だが、ネウロイがこちらの都合なんて感がいないし、今自分が出ないと下で戦っている艦隊は全滅する。なら自分は後悔のないようにすることを選んだ。

 

「大丈夫だ宮藤。彼奴(・・)もお前のこと見守っているさ」

 

 坂本は宮藤を励ます。宮藤の髪にはあの青いリボンが結ばれている。

 

「発進準備完了しました!」

 

「よし、上げろ!」

 

二式大艇の上部ハッチが開き、宮藤ごと懸架台が持ち上がる。

 

「飛べ、宮藤!」

 

「行きます!」

 

 宮藤の足元に魔法陣が展開される。ふわりと浮きあがるとこちらに気付いたのかネウロイが攻撃を仕掛けてきた。

 

「坂本さん!?」

 

「発進ユニットがやられただけだ。問題ない! それよりも前を見ろ!」

 

「!」

 

ネウロイからの攻撃。宮藤は二式大艇の前に躍り出て、シールドを張る。着弾したビームはそのまま明後日の方向に弾かれた。

 

「おお。すごい…」

 

 二式大艇のパイロットは呟く。通常ウィッチのシールドの大きさは個人差はあれ、最大5mが限界である。だが、今の宮藤のシールドは全幅38mもある二式大艇よりも大きくお釣りが十分にでるほどである。

 

「どうだ。これが宮藤の力だ」

 

「さっ。坂本少佐! 先ほどの衝撃で魔道加給機が損傷! 紫電改、飛行不能です!」

 

「なんだと!?」

 

 魔道加給機とは魔法力をエネルギーに変換し、魔道エンジンに送り込めるようにした、ストライカーユニットの心臓部とも言える装置。そこが壊れていては、飛ぶどころか始動さえしない。

 

「少佐。504部隊の竹井醇子大尉から通信です。援軍到着まで5分。彼女の邪魔にならないよう離れろ。とのことです」

 

 通信内容に誰もが首を傾げる。ここから504基地まで300㎞も離れている。そこから5分で援軍が来るとは思えない。

 

「………まさか」

 

その中で1人。坂本美緒だけが質問の意味をうっすらと理解していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二式大艇から飛び立った宮藤はヴェネツィア艦隊と大型ネウロイの間に入る。これ以上犠牲を出させない。ネウロイも隙を逃さまいと攻撃が集中する。

 

「今のうちに逃げてください!」

 

≪しかし、君1人残すわけには……≫

 

≪しかし艦長。もう我々に手はありません!≫

 

≪くそ……すまない。我々はここを離れる。全艦16点回頭。急げ!≫

 

 ヴェネツィア艦隊の軍艦がゆっくりと進路を変更する。しかし、船の動きはネウロイから見れば遅くただの的だ。艦隊に向けネウロイの攻撃が放たれ、それを宮藤がシールドで防ぐ。

 

「くっ。速く離れて…」

 

 宮藤の顔が苦痛にゆがんだ、その時、ネウロイの真横が爆発。その衝撃でネウロイが大きく揺れた。

 

「え?」

 

 突然の出来事に宮藤は呆然とする。ネウロイの爆発があった部分は堅い装甲で表面がはがれただけだった。その小さな穴に斬り込むかのように、一本の槍が超高速で突入し、再度爆発を起こした。この大型ネウロイに初めてのダメージ。表面の堅い装甲と早い再生で鉄壁を誇ったそれは同じ場所をやられたことで内部から抉られた。

 

 今の攻撃を知っている。もう半年ぶりに見る、そして、技術が追いつくまで見ることは無いと思っていた。

 

「ミサイル………もしかして」

 

 飛んできた方を見る。あの人が? と宮藤は思う。だが、見えてきたそれは宮藤が初めて見る機体、リボンではなくオオカミのマーク。

 

「あ、あの≪ぼさっとするな! まだ戦闘中だ。止まっていないで動き回れ!≫は、はい!」

 

 叱られて返事を返す。声が違うからあの人ではない。

 

≪こちらブレイズ。援軍に来た。これより戦闘に加わります≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェニックス2発命中したけど……」

 

 F-14コックピットから敵被弾箇所を見る。確かにダメージは与えられた。だがそれも見る見るうちに直っていく。

 

「艦隊は、3隻やられたか」

 

 海上を見る。海上の痕跡から3隻轟沈したのが分かる。浮遊物が浮かんでいるが、人は見当たらない。この光景を見ているとあの日の戦争を思い出す。ブンブンと頭を振る。

 

「(仇は取るよ)ブレイズ。エンゲージ!」

 

 ネウロイの左右に着いているヒレのようなものに向け20mm機関銃を撃ちこむ。先カンブリア紀の生き物みたいな構造しているから、あのヒレを壊せば動きに支障が出るかもしれない。ヒレと胴体の接合部分にきっちり命中させる。バキッと右三枚のヒレが折れた。だが

 

「傾かない? 物理法則ムシなのか?!」

 

 ネウロイはブレイズにビーム攻撃を仕掛ける。それを躱す。

 

「くうぅぅ! アークバード以上だ!」

 

 レーザー兵器を搭載したアークバードと交戦したが、あれ以上のレーザーの弾幕に驚嘆する。さきほどの一撃を加えたせい怒り心頭なのか、ブレイズに攻撃が集中している。ふと、上を見る。そこには扶桑の二式大艇。そこから人が飛び降りた。白いスク水姿で。

 

「はあ!?」

 

 理解不能な行動に声を上げる。ネウロイは自身に飛び込んでくる坂本にビームを放つ。

 

≪烈風斬っ!≫

 

 坂本はネウロイが放ったビームを切り裂き、そのままネウロイに体当たりした。 ネウロイは砕け散り、崩壊していく。落ちてゆく坂本を宮藤が受け止めた。一部始終を見ていたブレイズ。

 

「…………化け物相手なら、こっち(人類)も化け物なのか」

 

 ネウロイの心臓であるコアが存在すると竹井達から聞いていた。しかし、この武装では足りない。この巨体相手だと、部隊の皆が居れば可能だが、たった一機だけでは火力不足だった。それを剣一本で破壊したのだ。しかもレーザーを切り裂くという離れ技。

 

 これがここの常識なのか?もう何でも有だな。と思うブレイズだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お見事です、少佐。紫電改を出すまでもなかったですね」

 

 海面に着水した二式大艇に降りた宮藤と坂本。土方に褒められるも坂本の顔色は優れなかった。

 

「あのジェット機が引き付けてくれたおかげで一撃で仕留めたが、手ごたえが無さすぎる」

 

「きっと坂本さんが強くなったんですよ」

 

 宮藤にも言われるがどこか腑に落ちない顔をする。その感は的中した。

 

≪まだだ。まだ終わっていない!≫

 

「なっ……!」

 

 坂本達が見上げると、先ほど倒したはずのネウロイが、再生し始めていた。

 

「馬鹿な! コアが生きているだと!」

 

 先ほどの攻撃で坂本がネウロイのコアを切ったはず。それなのに目の前のネウロイは空中を漂っていた破片を吸収し、先ほどの姿に戻ろうとしていた。

 

「コアは先端部分にある。破壊してくれ!」

 

≪了解!≫

 

 ジェット機から20mm弾が放たれる。今の時代の20mm機関砲よりも強力なそれはネウロイの装甲を簡単に貫通させる。だが

 

「なんだと! そうか。そういうことか!」

 

 魔眼で観察していた坂本は、通信機に向かって叫んだ。

 

「コアが内部で移動している。銃撃を避けてるんだ!」

 

 あっという間に、ネウロイは元の姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元の姿に再生したネウロイを見てブレイズは舌打ちした。

 

「コアが移動している? 本当に何でも有かこの世界は!」

 

 こちらの常識などお構いなしの敵に銃撃を仕掛けているが、うまく焼け石に水だった。ミサイルを使ってもコアのある場所に当たらなければ意味がない。ネウロイが下の飛行艇にむけてレーザーを放った。回り込んだ宮藤がシールドを展開し、それを防ぐ。

 

≪宮藤!≫

 

≪くう……!≫

 

 宮藤のシールドが赤くなっていく。限界が近い兆候だ。

 

「こっちを向け! フルウェポン、ファイア!」

 

 残りのフェニックス2発サイドワインダー2発全てを発射する。巨体だけに一々ロックする必要はない。胴体に適当に当てる。開いた穴から赤い結晶が見える。ネウロイのコアだ。

 

「見つけた! 待て!」

 

 機関銃で狙うもコアは一目散に奥へと逃げる。

 

≪ブレイズ! 避けろ!≫

 

「っ!」

 

横から網状にレーザーの鞭が襲い掛かる。このスピードで飛ぶとやられる。ブレイズはエアブレーキをし、主翼を広げる。失速させ機体を強制的にストールさせる。機体はストールし、レーザーを避けた。すぐさまエンジンを動かし水平に戻す。

 

(どうする。もう機銃くらいしか無い)

 

 ウィッチが1人いるが、性能はレシプロ機。ジェット機と連携は難しい。打つ手なし。を思ったそのときだった。

 

≪いやっほー! 半年ぶりのジェット機だー!!!≫

 

≪ひっさしぶり~! 芳佳≫

 

 増援に2人のウィッチがやってきた。それに1人のテンションが高い。

 

≪そこのパイロット! 終わったらそのジェット機乗せろよな!≫

 

「断る!」

 

 ソッコーで拒否した。ろくでもないことになる。と思ったとき、何かがネウロイに着弾し、大きな破片が飛び散る。さらに2人。

 

≪リーネちゃん! ペリーヌさん!≫

 

「芳佳ちゃん!」

 

「感激している場合じゃありませんわよ」

 

(対戦車ライフルでミサイル以上のダメージ……チャーリー11が見たら喜びそうだな)

 

 ふと知り合いの警官のことを思い出す。さらに、爆発が起こる。

 

≪ロケット弾……ということは≫

 

≪ヤッホー。なんか皆いるみたいダナ。ゲストも見えるけど≫

 

≪お久しぶりです≫

 

≪エイラさん! サーニャちゃん!≫

 

これで6人のウィッチが集まった。これだけで終わらない。

 

≪なんだ? 全員揃っているじゃないか≫

 

≪ねえ、あれジェット機じゃない? もしかしてメビウスかな?≫

 

≪再会を喜ぶのは後でね。……さあ、全機、攻撃開始よ!≫

 

 

 

またさらに3人加わった。飛行艇から1人飛び立ったからこれで11人。この人数ならあのネウロイを倒せるだろう。

いやそれよりも―――

 

 

「メビウスって言ったよな? メビウスってあのメビウスか? ………まさかな」

 

 

 ISAFのエース部隊がここにいるわけない。そう思い込んだ。

 

 そのあとはあっという間だった。飛ばし、体当たりし、電撃したり、狙撃したり、視界の悪い雲の中で平気に戦闘し、ロケット弾を撃ち、自分そっくり…エーリカ・ハルトマンが竜巻みたいなものを纏って突撃したり、銃を逆に持ってネウロイに叩きつけたり、最後はあのサムライみたいな人がネウロイを一刀両断にした。

 

 頼れる仲間がいるからこそできたのである。

 

(やっぱり、仲間といるのが一番いい、な)

 

 向こうは今どうしているだろう。と考える。ナガセが混乱しなければいいのだが。と思っていると、燃料がもうギリギリだ。

 

「ブレイズ、帰還します」

 

 ひさしぶりの再会で賑わう彼女たちを置いて、1人504基地へと帰投した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 504基地に戻ったあと、夕飯の手伝いをしていた。今夜のメニューはカレーである。

 

「竹井さん。このカレールーは何個入れますか?」

 

「一箱全部入れてください。あとは、私がブレンドします」

 

 日ごろから部隊の誰かが料理しているらしい。それを手伝っていると看護婦が血相を変えて走ってきた。

 

「竹井大尉! あの戦闘機の近くで501のイェーガー大尉が倒れていました!」

 

「なんで!?」

 

 急いで医務室に行く。ベッドにシャーリーが寝ていた。顔色がすごく悪い。

 

「体に異常はないのですが……それと、手にこんなものを持っていました」

 

「あ、それ……」

 

 医師が持つ箱を見てブレイズが反応する。それはF-14のコックピット内部に閉まってある奴だった。

 

「MRE(レーション)…………しかも一番不味いやつ」

 




ブレイズの乗るF-14Rのスペックですが、ウィキのスーパートムキャット計画を参考にしています。

・エンジンをF110-GE-129(推力偏向型)へ変更
・エンジンの推力強化とグローブの拡張化によるアフターバーナーなしでM1.0-M1.3程度での巡航飛行(スーパークルーズ)能力の付加
・推力偏向ノズルによる機動性の向上
・グローブを拡張し燃料搭載量の増加
・スロットフラップや翼弦を延ばしたスラットの取り付けによる発艦能力の向上
・一体型風防の採用による良好な視界の確保
・フェーズドアレイレーダーの搭載
・フライ・バイ・ワイヤ、CCVの装備
・正面からのRCSの低減

・複座を単座に変更
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