ACE COMBAT SW2 ―The Journey Home― 作:skyfish
翌日
ブレイズはドッリオが運転する車の助手席に乗っていた。目的地は元ヴェネツィア空軍大尉のアンナ・フェラーラという老ウィッチが住んでいる小島だ。何でも彼女が訓練生のとき何度か飛行教官としてロマーニャに訪れていたらしく鬼教官として知られているらしい。第一次ネウロイ戦争時のエースウィッチの1人で大戦初期から参加していたそうだ。大戦初期はストライカーユニットが存在せず、陸上ネウロイばかりであったためウィッチは箒に乗り地上部隊の弾着観測が主な任務だった。だが、飛行型ネウロイの出現により空も戦場と化した。それに対抗するために開発されたのがストライカーユニットだった。発動機を背負うランドセル型と呼ばれるそれに乗り換え終戦まで戦い続けたそうだ。公式な記録は残っていないものの少なくとも30の撃墜数を持っているらしい。本人に確認すれば大体の数字が分かるが、それに興味がなかったため数えておらず本人も分からないのだとか。
その人の住む場所へ向かっているのだが、ブレイズは地図を広げていた。
「対地攻撃機がほしい?」
「ロマーニャの首都はここ。ネウロイの巣があるヴェネツィアはここ。陸続きになっている以上陸を攻めてくる敵戦力も十分考えられる」
ロマーニャ首都ローマとネウロイの巣があるヴェネツィアは距離にして約400㎞だ。一気に攻めるなら航空戦力が一番。だが、地上戦力による攻勢も無視できない。一番恐れるのは陸海空による一斉攻勢だ。制空権を得るのはもちろんのこと空からの支援攻撃も必要になる。504部隊の皆経験はあるが対地上戦に限定すると非常に少ない。これは501部隊にも言えたことだった。というのも501部隊が以前担当していたブリタニア防衛はドーバー海峡が、504部隊が担当するロマーニャ防衛はアルプス山脈がネウロイの侵攻を防いでくれたおかげで攻めてくるのは必然的に航空ネウロイだけになった。
そして、今この中で一番対地攻撃の経験を持っているのはブレイズしかいない。
「この時代ならサンダーボルトかな」
「リベリオン陸軍のP-47サンダーボルトがいいの?」
重武装・高耐久・高速度・強力なエンジンを揃えるP-47サンダーボルトは対地攻撃に最も適した機体だ。その証拠に対地攻撃機A-10にその名が受け継がれている。
「12.7mm機関銃8挺の機銃掃射でどこまで効くか……せめて20mmがあればいいけど……むむむ」
地上ネウロイで昨日みたいな巨大なやつが出ることは稀らしいが用心にこしたことは無い。爆装を積んで行くのが必要だ。
「それならカールスラントのスツーカはどう? 30mm機関砲2門搭載だから威力は抜群よ」
「確かに30mm砲の威力は高いけど、遅すぎる。これじゃあすぐ落ちてしまうよ」
Ju87スツーカの対戦車武装は強力だ。でも最高速度が時速350㎞くらい。さすがに遅すぎる。
「はい到着。あの島にアンナさんがいるわ。ここから徒歩で行って。サンダーボルトを出来るだけ早く用意してみるわ」
「そっか。ありがとう」
ドッリオを見送ったあと、箒を担いで橋を渡る。島に着くとそこには家が一軒しかなかった。おそらくあの家がアンナ・フェラーラの自宅だろう。ドアをノックする。
「すいませーん。アンナ・フェラーラさんいらっしゃいますか?」
返事が返ってこない。というよりも中に人のいる気配が感じられない。
「留守……?」
買い物でも行っているのだろうか? と考えていると後ろから声をかけられた。
「誰だいおまえさん?」
振り返るとそこには箒に乗ったお婆さんがいた。僕の顔を見て目を丸くする。
「なあんで有名人がここにいるんだい?」
有名人の言葉に(あ、この人いも勘違いしている)と察した。
「ああ。実は僕――――」
(説明中)
「という者なんです」
「ドッペルゲンガーとか言うやつかい。それにしてもそっくりだね。胸以外は」
一応顔がそっくりな別人ということで説明した。たぶん大丈夫だろうと思う。
「それでは改めて、箒に乗る特訓よろしくお願いします!」
「いっとくけどあたしゃ厳しいよ」
「はい!」
一方、501の坂本と宮藤は504基地に訪れていた。同僚の竹井からトラヤヌス作戦の報告を聞くためである。宮藤は疲弊した504部隊隊員の治療のためである。
「―――――はい。もう大丈夫ですよ」
宮藤は能力を解く。
「すごいな」
治療を終えたアンジェラは車椅子から立ち上がる。スタスタと歩くが、数歩目でガクンとよろける。
「アンジー! 無理しないで」
「やっと怪我も治ったんだ。これくらい……」
「ダメですよ! ケガは治せても疲労までは無くせないんです。まだ、絶対安静です!」
宮藤の制止にだがと噛みつくアンジェラ。それを見かねたフェルナンディアが口を出す。
「あんたねぇ……医者が絶対安静て言われたなら、素直に従いなさい。焦る気持ちは分かるけど、それでさらに悪化したら元も子もないでしょ?」
正論にアンジェラが黙る。フェルナンディアと宮藤の能力は差はあれど同じ能力である。治癒魔法は傷は治せてもたまった疲労は治せない。それを良く知るからこそだった。
「ま。今の私たちに出来ることは良く食って、よく寝て、一日でも早く回復することよ」
「おー隊長が久しぶりにいいこと言ってる」
「でも最後だけ聞くと、ただの食っちゃ寝」
「ちょっとアンタたち! 少しは褒めたらどうなの!?」
マルチナとルチアナの言葉にフェルナンディアがうがー! と怒る。
(あれだけ元気なら飛べるのも近いかな)
フェル達の騒ぎっぷりを見ていた宮藤は次の人の診察に移った。
坂本は竹井からトラヤヌス作戦の詳細を聞いていた。
「人型ネウロイは、新たなネウロイにやられた。そしてヴェネツィアが陥落した」
「そうか……」
504部隊の皆は今飛べないほど魔力を消耗しているウィッチが多い。それほどの連戦だったと簡単に想像できた。
「それと見せたい物があるの。ついてきて」
竹井に案内された場所には巨大な機体が鎮座していた。紛れもなく、昨日坂本たちの救援にやってきたジェット機だ。
「あの人はオーシアと言ってた。間違いなくあの人達と同じ世界の人よ。聞きたいのだけど……あのことは軍規に関わるから聞けなくて」
「そのことだが、心配ないぞ」
坂本の台詞にえ?と竹井は彼女を見る。
「あまり詳しくは言えないが……ブリタニアにいたころ偶然知った。2人は無事に戻ったそうだ」
「本当……?」
「ああ。確かな情報だ。それとも私が嘘をつくと思ったのか? はっはっは!」
豪快に笑う坂本。その顔に竹井が微笑む。
「そう………よかった」
竹井の呟きはふいた風に消えた。
「補充要員、ですか?」
501基地にいるミーナは電話で話していた。相手はカールスラント空軍 ウィッチ隊総監 アドルフィーネ・ガランド中将だ。
≪そうだ。501を再結集させたが、今回の場所は空中戦だけでなく地上戦も想定されるから君たちの対地戦経験不足が気になる。だから対地戦専門顧問をそっちに派遣することにした。504にも比較的状況が落ち着いている507より1人お願いしてある≫
「対地戦専門……………まさか」
ミーナは冷や汗をかく。もし自分の予想が正しければこれまで以上に大変なことになる。もちろんミーナの仕事が増えるという意味でだが。
その予想は的中した。
≪第二急降下爆撃航空団司令 ハンナ・ルーデル大佐だ≫
(書類の予備大量に作っておかないと。戦果報告書に、始末書に………あってもキリがないわ)
ミーナの胃痛がマッハ\(^o^)/
と、いうことで対地戦闘の顧問として空の魔王 ハンナ・ルーデルを召喚します!
彼女は東部戦線だがら無理だろとの意見もありましたが、大丈夫!
代わりとして二代目がいますから
ハンナ・シュウィルブラット(18歳)
ルーデルの部下。新米だったころ敵に囲まれている中でも地上攻撃に集中していたため気が付かなかったことがある。それを直すのにルーデル本人が一番苦労したというほど。それ以来彼女はルーデル一番の部下である。ウィッチの中で2番目に地上ネウロイの破壊数を持っている。ルーデル本人の戦果が凄まじいため彼女は『ルーデルの影』の呼ばれているが本人はそれを気に入っている模様。
なお、彼女を真似たためか毎日牛乳を飲んでいる。
イメージモデル
ハンス・シュウィルブラット
通称:ルーデルの影
ルーデルとの初めての作戦で、誰の目からも新米とわかる飛び方だから敵戦闘機が群がってきて、一斉射撃を受けても墜ちないことにルーデルが不思議に思うも彼を守るために奮闘した。帰還後、機体を見ると穴だらけ。エンジンに当たらなかったことが奇跡だった。その時のことを聞いてみると
「高射砲がすごかったんですね。敵戦闘機はいなかったですけど」
「( ̄△ ̄;)エッ・・?」
その後も左足を義足にいたりして、出撃回数831回、騎士鉄十字章を受賞。ナチスドイツが無条件降伏後ルーデルと共に西側に脱出した。