スクイスクワレ、アオイハル   作:舞うL

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新ジャンルの二次創作なので初投稿です。


メザメハジマル、アオイハル

 

 

『青春』

 

 

何処の引用だったか、夢や希望に満ち、活力みなぎる若い時代を指す言葉。

 

そんな言葉とは無縁な人生を送ってきた身としてはまるで理解などできないのだが、ここではそうは問屋が卸してくれないもので。

 

学園都市キヴォトス。

 

俺はこの奇跡に満ちた世界で、望まずともそれを嫌と言うほど理解した。

それこそ、他人に与えられるようになるほどに。

 

 

 

 

だから────

 

 

 

 

「君たちを救いたい」

 

 

 

例え全てが虚しいものだとしても。(vanitas-vanitatum-et-omnia-vanitas.)

 

 

 

 

これは、我儘で何処までも自分勝手な()の、救済の物語。

 

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

「ん…」

 

 

何の変哲もない、コンクリートが打ちっ放しのその建物で目を覚ます。

外はまだ少し白んで、深呼吸をすれば早朝の水気を含んだ空気が肺を満たし、寂寥感を緩和してくれる。

早起きは三文の徳、とはよく言ったものだ。

 

しかし、それはそれとして早く起きすぎてしまった。

恐らく5、6時辺りなのだが、特別朝から、いや全ての時間帯で予定というものはないが、やりたいことなんてものはない。

つまり、暇。

だが起きてしまったものはしょうがない。

二度寝をする気もなし、しかし、何もせずにボーっとするのも、それはそれで勿体ない気もする。

 

「……歩くか」

 

段ボールと毛布の切れ端で出来た寝袋もどきを片付け、散歩の準備を整える。

2Lのペットボトルから少量の水を出し顔を洗ったり、草臥れたリュックに僅かな物資を詰めこんだり、などなど。

別に人に会わないのだからやらなくてもいい、どころか物資の無駄なのだが、一端の文明人としてはやらないと気がすまないのだ。

 

「行ってきます。それと、ありがとうございました」

 

誰に言ったわけでもないその言葉が、建物に木霊する。

一宿一飯の恩義……という訳ではないが、夜を無事に越すことができたのはこの廃ビルのお陰なのだ。

感謝の一つや二つぐらい、あってもいいだろう。

 

「…今日こそなにか見つかるかもしれない」

 

散歩、とは言ったがこの廃ビルに戻ることはもう無いだろう。

広大なこの砂漠を歩いてまたここに戻ってこれるかと言われたらNOだ。

不可能にも程がある。

 

 

  ■

 

 

数時間砂漠を歩いた。

既に周りは明るく、アスファルトの道路をタンブルウィードは元気に走り回っている。

体力はなんとか大丈夫だが、タンブルウィードから幻聴が聞こえ、名前を付けたくなる程には精神の方が疲れ切っている。

 

『はぁ!?ここ何処!?砂漠!?』

 

ある日突然、何の前触れもなく着の身着のまま、この砂漠に飛ばされ丸5日。

痕跡はあるが人には会えず、物資は常にギリギリ。

精神を擦り減らすには十分な環境であった。

ふと空を見上げれば、晴天に浮かぶいくつもの巨大な輪。

この砂漠に来た時にも見たが、いつの間に空にはあんな構造物?が出来たのだろうか。

それとも幻覚の一種なのか。

疲れ切っている脳みそにその判断は難しい。

 

 

 ■ ■

 

 

それからまた数時間。

既に太陽は頭上に位置し、これでもかと言うぐらい砂漠の温度を上げていく。

自分はと言えば、体力がほとんど底をつき、日陰で少しの休憩をしている。

それでも暑いものは暑いし、かなり汗ばんできた。

 

「そういやまだ昼メシは食ってなかったか…」

 

リュックから非常食と僅かになった水を取り出す。

保ってあと一日。

なんとかこれまで生きることが出来たが、流石にこのままでは脱水症状は必至。

早く人の居る場所に行きたい。

 

 

■ ■ ■

 

 

あれからまた時間が経って、手が震えてきた。

それどころか頭にはガンガンと疼くような痛みが響くし、身体は砂に埋もれ藻掻くことが出来ないぐらいだるい。

砂漠の真ん中で、思いっきり脱水症状になってしまったわけだが、どうすることも出来ない。

水分補給ができる程の水はないし、そもそもリュックに手が届かない。

5日間も十分な物資がない中で砂漠を彷徨っていたのだ。

こうなることは必至だったし、何処かで諦めもついていたが。

 

呼吸が浅くなりはじめた。

このまま死んでしまうのだろうか。

突然この砂漠に飛ばされ、訳もわからず死ぬ。

一体自分が何をしたというのだろう。

別に誰かに危害を加えたなんてこともない。

それどころか──

 

 

 

『こんのクソガキが!!!』

 

 

『少しぐらい役に立てよこの蛆虫!!!』

 

 

『あんたさえ産まなけりゃアタシは…っ!』

 

 

 

「っ…おぇ…」

 

あぁ、最悪だ。

最期って時にこんな最低な記憶を思い出すなんて。

あんな奴らとはもう縁を切ったっていうのに鳥肌が止まらない。

 

 

身体から熱が引いていく。

 

 

目の焦点が合わなくなり、視界が歪む。

 

 

意識が徐々に闇に落ちていく。

 

 

……本当に死んでしまう。

 

 

やりたいことはまだ沢山あった。

 

 

あった、筈だ。

 

 

でも全て出来なくなる。

 

 

それならせめて。

 

 

「普通に、生きてみたかったなぁ……」

 

 

 

一筋の光と共に意識が途絶える。

 

 

 

□ □ □

 

 

「ほ、ホシノちゃん!ひ、人が倒れてる!!」

 

「……もう駄目そうですよ。リュックの中の物だけ貰って放っておきましょう」

 

「だ、駄目だよホシノちゃん!そんな追い剥ぎみたいなこと!それにまだ助かるかもしれないのに!」

 

「はぁ、良いですか先輩。この人、どう見ても重度の脱水症状です。助かる確率は低いですし、そもそもこの人を助ける義理はないです。私達もカツカツなんです。一人増えたらもっと苦しくなりますよ」

 

「ひぃん……で、でも!!」

 

「でももへちまもないです。さ、行きますよ」

 

「う、うぅ……ご、ごめんねホシノちゃん!!」

 

「は?」

 

「それでも私はこの人を助けたいの!!」

 

「〜〜〜!!!……はぁ、もういいです。先輩の好きにしてください。その代わり、私は何も「ありがとうホシノちゃん!!!」ちょ、くっつかないでください!!!」

 

 




主人公の名前が出ない小説があるってマジ?

エアプなので続きません()
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