スクイスクワレ、アオイハル   作:舞うL

2 / 2

ブルアカに戻ってきて数ヶ月経ったので初投稿です


サガシサガサレ、タカラモノ

 

「二人とも!今日は宝探しに行くよ!」

 

「……また宛もなく砂漠を駆け回るだけですよね」

 

 

開口一発、キラキラした目をした緑髪の少女が年季の入った紙を持ってそう宣言するが、それに対してさっぱりとした物言いで懐疑的な目をした桃の髪色をした少女が突っぱねる。

そこにはもう一人青年がいるが、青年は黙ったまま緑髪の少女の言葉を聞き続けた。

 

 

「今回は違うもん!なんたって…この宝の地図があるからね!」

 

 

ぱっぱぱーと効果音が付きそうなほど高いテンションで少女が紙を開く。

それはこの周辺の地図のようで、所々穴が空いて読みづらいが読めないことはなさそうだった。

勿論この地図に対しても桃髪の少女はそのアホ毛を揺らしながら、懐疑的な目を向ける。

 

 

「……」

 

「あー!嘘って顔したー!本当だもん!生徒会室の棚の奥に隠されてたし、この赤いバツ印は絶対そうだよ!」

 

 

砂ぼこりが軽く舞う教室。空いている机に地図を広げ、期待と希望に満ちた声でバツ印に指をさす。

その時張り裂けそうな制服の胸ポケットから1枚のメモがひらりと落ちたが少女二人は気づかない。

 

 

「それに、一緒にメモが挟まってたんだけどそこには……」

 

「……そこには?」

 

 

胸元のポケットに手を伸ばしながら話す緑髪の少女の勿体ぶった言葉に桃髪の少女が息を呑み、次の言葉を待つ。

しかしいくら探しても目的のものが見つからない。

 

 

「そこには……そこには......あれ」

 

「『花火廃棄予定地』……なんだコレ」

 

 

焦りを見せる緑髪の少女を横目に、落ちたメモを拾いカラッとした声の青年が読み上げる。

その瞬間少女の目線が青年の方を向き、驚愕の顔を浮かべた。

たちまち重い空気は溶け、ほんわかとした空間が戻ってくる。

 

 

「ちょ、ちょっとハジメさん!ネタバレしないでよぉ!」

 

「いや、落ちたメモにそう……」

 

「今からそれを言おうと思ったのにぃ!ひぃん!」

 

「ハジメ……最低です」

 

「え?俺が悪いの?」

 

 

 ■ ■ ■

 

 

あれからしばらく、俺──(おわり)ハジメは何故か生きていた。

どうやら砂漠で倒れたあと、目の前にいる二人の女子高生に助けられたらしい。

気づいたときにはここ、アビドス高校の保健室で寝かされていた。

起きた当初はガンガンと頭に響く痛みに苛まれていたが、数日も経てば楽になった。

 

 

『あ!起きた!ホシノちゃーん!』

 

 

目が覚めて最初に顔を合わせたのは、恩人その1こと梔子(くちなし)ユメ。

おっとりとした性格で、膝ほどまである長い緑髪と目のやり場に困るぐらい色々とデカいのが特徴のアビドス高校の生徒会長。

一言で言えばお人好し。砂漠で倒れていた素性も知れない俺を助けよう!と言い出すぐらいの善性の持ち主なのだが……

 

 

『ひぃん!ホシノちゃん、ハジメさん!助けてぇ!』

 

『えーと、ここの問題は……あれ、どの公式使うんだっけ?』

 

『コンパス……忘れてきちゃった』

 

 

これで生徒会長?と思うぐらいにはドジで天然、しょっちゅう失敗するし突拍子もないことを言い出す。

なぜ砂漠に探検に行って水筒やコンパスを忘れるのか不思議でならない。

そんな彼女に色々振り回されているが、被害者は俺だけではない。

 

 

『……起きたなら早く出ていってくれますか』

 

 

ショートカットで桃色の髪をした恩人兼被害者その2。鋭い目付きと俺に対する攻撃的な言動が全面に出まくった小鳥遊(たかなし)ホシノ。

いまでこそ態度は軟化したが出会った当初はそれはそれは酷いものだった。

 

 

話しかけても無視されるのは当たり前。

落とし物を渡したら冷たい目をされ、近くに座ろうとしたら露骨に避けられる。

なんなら砂漠で倒れている俺を見捨てて死体漁りをしようとしてたらしい。

ユメから聞いたその話を今の彼女にすればすごく申し訳ない顔をされて謝られる。

今でこそ笑い話に昇華できているが実際この時は本気でメンタルに来た。

あの時よりはマシだが。思い返すと胸が苦しくなる。思い出したくもない

まぁ、そんな二人に助けられ色々あってアビドス高校の一員として生活している。

なにやら色々問題が山積みのようで、やれ多額の借金があるとか、年々砂漠化が進行して人がいなくなっているとか。

今のアビドス生徒会にはユメとホシノの二人しかいないとか。

問題しかない訳だが……3人寄れば文殊の知恵と言う。やるだけやってみよう。

 

 

 ■ ■ ■

 

 

「で、結局のところこの『花火』ってのはなんなんだ?普通の花火ならお宝にもならないだろ」

 

 

ハジメが手元のメモを見ながらそう尋ねると、ユメが待ってましたと言わんばかりにホワイトボードをひっくり返して話し始める。

ホワイトボードにはお世辞にも綺麗とは言えない、ミミズのような震えたような文字と色褪せてはいるが色とりどりの花火の写真が貼られていた。

 

 

「実はその花火っていうのは昔の生徒会が埋めたすっごいものなんだ!!」

 

「すごいもの?」「すごいものですか?」

 

「そう!ただの花火じゃなくて希少鉱物が入った花火らしくてね、刺激を与えるとプラズマになった火花が発生して、夜空を彩るんだって!」

 

 

すごい技術だよね〜、それに可愛いし!とホワイトボードの写真を見ながらユメが目を輝かせる。

ホシノもその表情こそ変わっていないが、花火の写真に釘付けになっている。

ハジメはといえば、腕を前で組み思考を巡らせていた。

 

 

「昔の生徒会は何を思ってそんな変な技術を使った花火を作ろうとしたんだ?普通の花火でいいだろうに。結局廃棄してるしさ」

 

 

説明を聞いてもなお普通の花火と何が違うのかという点や、何故そんなものを作ろうかと思ったのかが分からず頭を唸らせ、結局ユメに質問することにした。

 

 

「えーと、なんでもお祭りの時に使う予定だったらしいんだけど、何故かうまく動かなかったやつを捨てたんだって」

 

「お祭りねぇ。それに合わせて作ったんなら技術発表会みたいな感じだったのかも知れないな。昔のアビドス高校は凄かったんだよな?」

 

「羽毛の体操マットを使うぐらいには凄かったらしいよ!」

 

「……本当にそれが凄いことなのか分からないな。いやまぁ金遣いの荒さって意味じゃ凄いか……」

 

「この花火に使われた希少鉱物も100g100万円以上するらしいし、色々残してくれてもよかったのに……ひぃん」

 

「100g100万!?そんな高価なもん花火に使うなよ……」

 

 

ハジメが驚きと呆れの混じった声で叫ぶ。

そのお金さえ残っていれば今のアビドス高校はもう少し豊かなものだったろう。

借金だってもう少し軽くなっただろうと、ハジメはそう思えてならなかったのだ。

 

 

「……ところで、この廃棄予定地って大オアシスですよね」

 

 

ハジメがため息をついて椅子に座ったあと、ようやくホシノが口を開いた。

 

 

「うん、そうだよ」

 

「今はすっかり枯れて砂原。何もなかったと思うんですけど」

 

「ふっふっふっ……ホシノちゃんはまだまだだね!このお祭りがあった頃、つまりまだオアシスがあった頃の話だからかなり昔のことでしょ?」

 

「……あー、つまりその件の花火──希少鉱物が干からびたオアシスの下に埋もれてる、ってことか」

 

「そういうこと!流石ハジメさん!」

 

 

ハジメの手をつかんでブンブンと上下に揺らすユメ。

無邪気な笑顔とは裏腹にその力は想像以上で、ハジメは体ごと揺らされておりあうあうと言葉にならない言葉を漏らしていた。

 

 

「……ユメ先輩、ハジメ。二人はいま何を言っているか分かってますか?」

 

「えっ……?その……」

 

「……?」

 

 

瞬間、ホシノの先程までのとは違う威圧感のある声色に緊張がその場を支配する。

ホシノの体は小刻みに震えており、今にも爆発しそうな雰囲気があった。

ユメは揺らしていたハジメの手を離し、様子の変わったホシノに内心なにかやらかしちゃったかな!?と泣きそうになっている。

ハジメはといえば揺らされていたせいで混乱しており本当に何もわかっていない。花火の話では?といった顔をしている。

 

 

「あ、あの、ホシノちゃ……」

 

「こうしてる場合じゃないですよ!今すぐ探しに行きますよ!」

 

 

ユメがホシノに声をかけようとした次の瞬間、ホシノの顔がぱぁっと明るくなる。

普段の引き締まった表情からは考えられない程の、年相応の子供のように目をキラキラさせている姿にユメとハジメは面食らうが、ホシノの笑顔に頬を緩ませる。

 

 

「そう!私もそれを言いたかったの!」

 

「なんだかんだ、やっぱりホシノもノリノリだよなぁ」

 

「何か言いましたか?」

 

「いんや、なんでも」

 

「うへへ……お宝♪お宝♪」

 

 

ホシノが楽しそうに生徒会室を出ていくのを見てハジメは息をつく。

仕方ないなといった感じの、さながら無邪気な子どもを見守る大人のような雰囲気を醸し出していた。

 

「……」

 

「ユメ先輩ー!ハジメー!置いていきますよー!!」

 

「どんだけ楽しみなんだよ……はしゃぎすぎてコンパスとか水筒とか忘れんなよー!」

 

「わかってますよー!」

 

「はぁ……ん?な、なんだよ……」

 

 

強い視線にふとハジメが横を向くと、じーっとハジメのことを見つめるユメと目があった。

ボーっとした目でハジメを見つめるユメだが、ハジメと目が合ったことでハッとしたようで、一度目を閉じたかと思えば太陽のような眩しい笑顔を作ってみせた。

 

 

「いやー、やっぱりハジメさんがいて良かったなーって!」

 

「……なんだそりゃ」

 

 

ユメの言葉に苦笑いするハジメ。

 

この後、水着を着た異常者三人が砂漠で目撃されるのはまた別の話。

 

 

 

「なぁホシノ、あのさ……」

 

「何も言わないでくださいっ!もうちょっと頑張れば……!」

 

「ごめんねホシノちゃん、私もう、限界……ひぃん……」

 

「ユメー!」  「ユメ先輩ー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ──二人の呼び方

 

ハジメが目覚めてから数ヵ月。

アビドス高校の一員として過ごしていたある日の休日、ハジメはホシノを探して高校中を回っていた。

 

ついさっきホシノから『買い物に付き合ってくれませんか?』という連絡を受けたまでは良かったのだが、肝心のホシノの居場所が分からない。

学校に来れば会えるだろうという安易な考えで学校中を探し回っている。

 

モモトークを返せばいい話なのだが、運悪く連絡のあとハジメの携帯の充電がなくなった。

『日頃から充電を怠るから、こんなときに困るんですよ!』と小言を言われそうだと苦い顔をするハジメ。

生徒会室の扉に手をかけようとしたところで扉が開き、中に入ろうとした瞬間、ハジメの目の前に巨大なメロンが二つ現れた。

 

それはそれは巨大で、両手で抱えても余るほどの巨大なメロン。

ハジメが見たこともないほどのそれの大きさに目を眩ませていると、メロンの上の方から明るい声がした。

 

 

「おはよう、ハジメさん!お休みの日に学校に来てどうしたんですか?なにか忘れ物でも?」

 

 

なんと巨大なメロンの正体はアビドス高校生徒会長の梔子ユメ、その人であった。

ハジメはなんとか正気を取り戻しユメに話しかけた。

 

 

「あ、あぁ、梔子さん。おはようございます。今日ホシノ見ませんでした?買い物に付き合えって言われたんですけど、生憎携帯の充電が切れてしまって」

 

「……」

 

 

しかし、話しかけたのはいいがどうもユメからの反応がない。

ハジメがよく見ればユメの顔は俯いているし、手は少し震えている。

先程元気に朝の挨拶を交わしたばかりだというのにいったいどうしたのだろう?

ハジメの顔には心配そうな表情が浮かんだ。

 

 

「く、梔子さーん?あの、聞こえてますー?」

 

「……ユメ」

 

「え?」

 

 

「ユメって呼んでください!」

 

 

「え、はぁ!?」

 

 

急に大声を出したユメに面食らうハジメ。

心配はとうに吹っ飛び、驚きが頭の中を支配していた。

 

 

「もう限界です!いつもハジメさんは私のことを名字でしか呼んでくれないじゃないですか!ホシノちゃんのことは名前で呼んでるのに!ずるい!名前で呼んでくれないともうハジメさんとは話しません!」

 

 

Q.彼女はいったい何を言っているのですか?

A.全くもってわかりません。

 

 

「えぇ……??ずるいって言われても……呼び方なんて何でも……」

 

「なんでもよくないです!」

 

「ハジメ、そろそろ買い物……ってどういう状況なんですか、これ」

 

 

 □ □ □

 

 

しばらくして。

生徒会室に丁度いいタイミングでやって来たホシノを加え、三人は向かい合っていた。

なんとも不思議な空気の中、最初に口を開いたのはユメだった。

 

 

「私たちとハジメさん、出会ってから結構経ちますよね?」

 

「ま、まぁ……数ヵ月くらいは?」

 

「そうですよね!その間ずっと一緒にアビドスで生活しましたよね!それなのになんでまだ名字呼びなんですか!それに話し方もよそよそしいし!」

 

「いやだって、女の子の名前を軽々しく呼ぶのは……」

 

 

実際、ハジメに自覚はなかった。

同い年ぐらいであるユメには名字呼びをし、年下のホシノには名前呼びをしていたが、それは何となくで呼んでいただけである。

ただ、名字で呼ぶのにはハジメなりの理由があったのも確かなようだが、その一言は鬼を目覚めさせる禁断の言葉でもあった。

 

 

「……ハジメ?それは私のことを女の子と思っていないということですか?」

 

 

ホシノの背後から赤黒いオーラがにじみ出る。

なんなら般若が顔を出し嬉々としてその得物を振りかざしている。

ハジメにもそれが見えたのだろうか、冷や汗が頬を伝っていた。

 

 

「あ、いや、ホシ……た、小鳥遊!そういう訳じゃ!」

 

「いまさら呼び方を変えても遅いですよ!」

 

「ちょ、銃持ち出すのは反則!俺ヘイローないんだから!死んじゃうから!」

 

 

南無三ハジメ。

ホシノが自身の得物(Eye of Horus)を取り出した時点で彼に勝ち目はなくなった。

そもそもそんなものあったとも思えないが。

 

 

「……それなら安心してください。中身はゴム弾ですから」

 

「いやそれ当たったら結構痛い奴!俺知ってるから!マジで撃つなよ!」

 

「じゃあ呼び方を戻してくれますか?」

 

「ユメって呼んでくれる?」

 

 

かなり、すごく、めちゃめちゃに焦るハジメ。

その姿を見て、見たこともないぐらいにっこりと笑うホシノとユメ。

端から見れば完璧に脅迫である。

 

 

「戻す!呼ぶ!だから撃たないで!痛いから!」

 

「じゃあ呼んでください」

 

「ホシノ!」

 

「私のことは?」

 

「ユメさん!」

 

「……ホシノちゃーん」

 

「ゆ、ユメ!これでいいですか!?」

 

「……」

 

「無言やめてくれません!?」

 

 

ユメの張り付いた笑顔はいまだ外れない。

ハジメの精神的体力はゼロに近い。

 

 

「ホシノちゃん、私、名前呼び以外になんて言ったっけ?」

 

「話し方がよそよそしい、ですね」

 

「……え、マジですか?それも変えなきゃダメですか!?」

 

「だって距離感じるんだもん!私もホシノちゃんと同じくらいハジメさんともっと仲良くなりたい!」

 

「ちょ、ユメ先輩!?私はハジメと仲良くなんて……!」

 

「でもこのあと一緒に買い物行くんでしょ!?私一人おいて!お幸せに!ひぃん!」

 

 

そう言い残すとユメは生徒会室から逃げるように飛び出していった。

あとに残された二人はその光景を呆然と眺めることしかできなかった。

 

 

「……おいホシノ。どうすんだよ、く……ユメ、いじけちゃったぞ」

 

「何で私なんですか!どう考えてもハジメのせいじゃないですか!」

 

「いや、だってさ……あれ、ホシノ耳真っかじゃん。どうした?」

 

「う」

 

「う?」

 

「うるさいです!あっちいってください!!」

 

「え、えぇ……?買い物は……?」

 




続いちゃいました てへっ

オリジナル生徒くんことハジメくんの名前が出せてスッキリ。
詳しい詳細はまたいずれ。

キャラクターの言葉遣いや性格など違和感ありましたら教えてくださぁい!
文章の指摘もお待ちしてまっす!

遅筆なので続きません()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。