江風になった男の話   作:海江山風

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江風、着隊日っしょ

 結果の知らせから1週間後、訓練施設へと向かうバスが避難所に来た。艦娘として戦うが僕たちはゲームで言うところの練度1、未満である。スタートラインにすら立てていないので訓練をする必要がある、ゲームではそのまま演習にぶち込んでたから感覚が麻痺していたな。

 徴兵対象で艦娘適性がある者だけがこのバスに乗ることになるがどうやら男性から艦娘に転換した人達は別の場所から訓練施設へと向かう様で、元々女性で艦娘適正がある人達が集まって……ん? なんか少ないような……

 

 

 僕たち含め4人しかいないの?! 

 

 

 

 困惑しつつもバスに乗り込むもかなりの人数乗せられるバスに4人しかいないから殺風景である。

 

「あんましいないんだな……。適性持ち……」

 

「いや、この避難所が最初だから少ないだけだろ」

 

「そうだよな、流石にこれだけってことはないよな」

 

 人のいなさに光実と共に不安になる。コソコソと話しているとバスに一緒に乗ったもう2人のうち片方……見たところ中学生ぐらいの子が喋りかけてきた。

 

「ねえ、君たちもそうなのかい?」

 

 そうとは? ……あ、艦娘かどうかってことか

 

「そうだよ、僕は白露型の江風に適性があるって言われたね。こっちはアイオワ級のアイオワって言われてたよ」

 

「そうなんだ! 僕は睦月型の皐月だって言われてね。そっちの君はどうだったの?」

 

「うぇ!? えっと……私は阿賀野型軽巡洋艦の1番艦、阿賀野です」

 

 艦種についてはあまり言われてないのに型と名前だけでクラスと番号まで言えるとは、年頃の女の子にしては詳しいな。そう思っていると光実が2人に対してこの徴兵には不満はないか怖くはないかと聞き出した。

 

「んー、多少不満はあるけど僕の力が誰かを助けられるならって考えるとね。それに誰かがやらなきゃいけないじゃないか」

 

 皐月の子はそう胸を張って答えた。まだ中学生なのに立派だと感心する。

 

「私は、その……そんな凄い考えとかないです。ただ徴兵されただけなので……」

 

 申し訳なさそうに言うと、今度はあなた達はどうなのか聞いてきた。

 

「僕? 僕は使命感というか、選ばれたからにはやるだけやるみたいな感じかな」

 

「俺もそんな感じだ。ただ恐怖を感じてないと言えば嘘になるな」

 

 そこまで話して、バスが次の避難所に止まりしばらくすると座席が埋まるほどの人数が乗ってきた。乗ってきた人達の表情は様々で、やる気に満ちた人もいれば無表情といった感じである。

 バスが再出発し、休憩を含め5時間程バスに揺られ、つい1時間前までは会話もあったが今は途絶え皆寝息を立て始めていた。それからしばらくすると目的地に着いたのかバスが停止する。バスの運転手が到着したと言い、搭乗していた自衛官の人が皆を起こすために大きな声で

 

「みなさん、着きましたよ! ひとまず降りてください!」

 

 その言葉で寝ていた人達は目を覚まし、指示された通り降り始める。全員降り終わると交代で運転していた2人も降りてきて神妙な面持ちで敬礼をした。自衛官の人がそれに敬礼で返し、バスは去っていった。

 去っていくバスを見送ると自衛官の人が紙を渡し始めた。渡された紙を見るとどうやら寮について書かれていた。寮は自分の適正艦の艦種ごとに分かれているようなので光実とは別れることとなった。光実と別れ、同じ駆逐艦の人達と一緒に寮へと案内される。その建物は寮というより店舗入りのアパートのようであった。寮の前でなにやら話をしている二人組が見える。その二人組はこちらを視認すると案内していた人に駆け寄る。どうやら部屋の数が足りないみたいで1人溢れてしまうのでどうしたものかと話していたらしい。その会話が聞こえみなざわめきだす、自衛官の人は少し考えこう言う。

 

「誰かもう一つの寮でも構わない者はいないか? もう一つは転換組の寮なのだが」

 

 転換組ってことは元男性組ということか。今は艦娘となっているが元男性と同じ部屋で暮らすことに僕以外は抵抗があるようだ。そんな皆を見て

 

「ちなみに男性が艦娘になると自意識は女性となるのが大多数だ。だが無理にとは言わん、いない場合一つだけ3人部屋となるだけだ」

 

 そう説明をするも居なかったので、僕が立候補しよう。僕が立候補したことに皐月は驚き心配するように声を掛けてきた。

 

「大丈夫? あの人も無理にとは言ってないしさ?」

 

 僕も元々男性だしとは言えない。んーと、ほら訓練とか一緒にやるだろうしさ? 一々気にしても仕方ないっていうか……

 

「確かにそうかもしれないけど」

 

 皐月はあまり納得はしてないが僕の意思を尊重してくれたようだった。自衛官の人が再度確認してくる、大丈夫問題ないです。

 

「そうか、なら君はあのピンク髪のやつについていってくれ」

 

 先程話していた二人組の片方を指差す。皐月とは別れ、その人の元に向かう。僕が着くとピンク色の髪の人はどこかに連絡しており、終わるとついてきてと歩き始めた。寮へ向かっている途中、話しかけてきた。

 

「あたし漣、一応教官やらせてもらってるの。今はこんなだけどあたしも元男性だよ」

 

 そうだったんですか、ちなみに転換ってどんな感じだったんですか? 

 

「それ聞いちゃう? でも機密事項だから言えないっすねぇー」

 

 そりゃそうですよね。

 

「あ、着いたよ。君はこの番号の部屋だね」

 

 そう言い、鍵と紙を渡してきた。ちなみに既に誰か居たりしますか? 

 

「居るねぇ、かなり癖は強いけど決して悪い子じゃないから。ただ気をつけてね。それじゃまた明日」

 

 気をつけるって何を? そう聞く前に漣さんは去っていった。仕方ない、いきますか。意を決して自室へと向かう。紙には部屋の番号と同室の子の名前が記載されていた、白上 勝(初月)と。

 自室の前に着くと、部屋の明かりが灯っていた。ドアをノックする、返事は返ってこず居ないのかと思うとドアが勢いよく開いた。

 

 

「君が、漣さんが言っていた娘かい? 僕は初月……」

 

 そこまで癖強くないね? そう思ったが

 

「愛の伝道師さ!!」

 

 そ、そういうタイプかぁ……!




この作品の艦娘たちは大なり小なり性格がちがったりします。
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