ダークソウルで頑張ったら”座"に登録された。 作:雑食系読者
それでは、どうぞ
ーside 火の無い灰ー
さてと、気色の悪いのは目の前から消す事ができた。まずは、放心しているマスターを現実に戻すか。
「おい、いつまで惚けているつもりだ?マスター。」
「…ッは‼︎」
「ふむ、まるで宝箱開けたら貪欲者だった時みたいな顔だな。」
「…いや、え?一体、何をしたんだ⁉︎」
ふむ…、状況が理解できていないな。とりあえず私の行動についての説明だな。
「端的に言うと、貴公を苦しめている蟲の源を焼却した。」
「いや、えっと。一瞬の内に起きた事が多すぎて頭が追いついていないんだが」
「まあ、詳しく話すから奴の本体があるところに急いで向かうぞ。ここで、話していたら奴が宿主を操って逃げるかもしれん。状況整理をしながら本体のところまで行くぞ。着いてきてくれ。」
そう言って、私が部屋から出ると慌てて雁夜もついてくる。しばらくの間、沈黙が続く。
…さて、何と話しかけるべきだ?…分からんな。"座"にいた頃は、誰とも話す事なんてなかったからな。
…いや、“座”に行く前からほとんど話しをして無いな。基本的に一方的に話を振られるだけだったからな。今世での第ニの人生は無表情無口がデフォで告白も夫からだったな。
…うん?“アラヤ”と話していただろ?…あれは話し合いではなく語り掛けだ。
…まあ、現状の確認と殺った理由を話せば良いか?
「…えっと、“火の無い灰”?」
「うん?如何した、マスター。というか言い難いだろう。“バーサーカー”か”灰”とでも呼んでくれ。」
「あぁ、分かった。なら、これからは“バーサーカー”って呼ばせてもらうよ。俺のことも“マスター”じゃなくて雁夜って呼んでくれ。」
「うむ。…それで、如何したんだ?」
「いや、如何してあの化け物を殺したんだろうと思ってな?」
…むう、如何、話したらいいか。…普通に話すか。
「…まず、一つ訂正がある。私は、奴を“殺してはいない"。」
「…え?でも、首を掴んで燃やしてたじゃ無いか?あれは殺したのと違うのか?」
…ふむ、解釈に誤りがあるな。
「正確には、奴の身体を形造る“蟲”を焼き溶かしたんだ。奴と話している時に言っただろう?自身の身体を蟲に置換し、本体となる蟲を他者に寄生させる事で擬似的に不死を再現していると?つまり、奴は本当の意味では死んでいないんだ。魂を違う器に移して逃げたんだ。」
「…?えっと、要するに?」
「……要するに、水の入ったコップの水は違う色ガラスのコップに移して、水の入ってたコップをハンマーで砕いたのと同じだ。」
「なるほど。」
…なんで、こっちの例えは伝わるんだ?
「…まあ、いい。つまり、今からその色ガラスのコップに入れられた水を捨てに行くんだ。」
「…わかった。取り敢えずはお前の言う事を聞いてた方が助かりそうだから、お前に任せる。」
「良い判断だ。雁夜。」
そこからしばらく沈黙が続き目的地が見えてくる。
「…さて。着いたぞ雁夜。ここが奴の本体がいる場所だ。」
「ここは、…蟲蔵か?確かに隠れるなら絶好の場所だな。」
“蟲蔵”か。イルシールの下水道を思い出す響きだな。…思い出さなきゃよかった。
そんなこと考えながら扉を少し開けて、中を覗いてみる。中は暗くてあまり見えないがカサカサと言う蟲の這いずり回る音は聞こえてくる。
自身のソウルに溶かし込んでいる、持ち物から松明を取り出し、中を照らす。すると蟲蔵の中の様子が見えてくる。
「…ッ⁉︎桜ちゃん‼︎」
そう言って、雁夜が蔵の中に駆け出そうとしたところで、襟を掴んで引き留める。
「ぐぇ⁉︎エッホ、エホ。…何すんだよ!」
そう、雁夜がこちらに叫ぶが冷静に語り掛ける。
「よく見ろ、雁夜。」
「え?……ッ‼︎」
如何やら気づいたか。桜という少女の周りは蟲だらけで助ける為に飛び込めば瞬く間に、骨になるだけだろう。
「これじゃ、助けになんて行けない。如何すれば。」
「なに、蟲をどうにか出来れば助けに行けるさ。」
そう言いながら、私は手に“火”を付けながら言う。
「どうにかするって言ったって、如何やって?」
「なに、簡単さ。…蟲なら焼却処理が一番だ。」
そう言って、手の“火”を地面につけ詠唱する。
「“炎の嵐”」
そう、呟いた次の瞬間、地面から幾つもの炎の柱が現れ蟲が焼かれていく。
ーside outー
ーside 間桐雁夜ー
「“炎の嵐”」
そう呟いて、“バーサーカー”が地面に触れた瞬間、地面から幾つもの炎の柱が現れて蟲を焼いていく。暫く、蟲が焼かれていく光景を見ていたら、炎の柱が収まり、残ったのは桜ちゃんだけが横たわっている灰の山だけだった。
「…桜ちゃん!」
数瞬、惚けていたがすぐに桜ちゃんの名前を呼びながら駆け寄り、抱き抱える。
「桜ちゃん!目を開けてくれ、桜ちゃん!」
何度も呼びかけるが反応がない。まさか、死んでしまったのか?
「落ち着け、雁夜。」
そう、“バーサーカー”に呼びかけられる。
「落ち着ける訳ないだろ⁉︎何も知らない女の子が悪趣味な場所に入れられて平気な訳ないだろ⁉︎」
「だから、落ち着けって。慌てているのは分かるがまずは、心臓が動いているか確認しろ。」
そう言われて、慌てて胸に耳を当てる。そしたら、一定のリズムで鼓動が聞こえてくる。
「…よかったぁ〜。…悪い、強く怒鳴ったりして。」
「なに、気にすることはない。誰だって大切な存在が傷ついていたりしたら慌てるさ。」
そう言って、“バーサーカー”はこちらの発言に返答する。
…慌てていたとは言えこの子を助ける為に力を貸してくれたのに怒鳴るなんて最低だな。と少し落ち込みながら桜ちゃんをしっかりと抱えながら立ち上がり、蟲蔵から出ようとすると呼び止められる。
「あぁ、雁夜。まだ、少し待ってくれ。本体の除去がまだできていないんだ。」
「…え?何を言って本体ならさっき燃やしたんじゃ…」
「いや、さっき燃やしたのは、奴にとって手足の指でしかない。奴の本体はその子の心臓に寄生している。」
「…はぁ⁉︎」
“バーサーカー”は今何と言った⁉︎桜ちゃんの心臓に寄生しているって言ったのか⁉︎
「何言ってるんだ⁉︎」
「いや、だから、あのジジイはその女の子の心臓に寄生していると言っているんだ。」
……………そんなの、
「そんなの如何やって、除去するんだよ⁉︎」
桜ちゃんの心臓と言ったんだよな⁉︎つまりそれって“体の中”にいるんだよな⁉︎如何やって取り除くんだよ、無理に取り出そうとすれば桜ちゃんが死ぬってことだろ⁉︎あのジジイなんてことしてくれてんだ⁉︎
「そんなに慌てるな、雁夜。策ならある。」
そう言って、“バーサーカー”俺の肩に手を置く。その言葉を聞いて少ししか関わりがないのに何処か安心してしまう自分がいる。
「何か、方法があるんだな?」
「あぁ、ある。だが、分の悪い賭けでしかない。それでもやるか?」
“バーサーカー”がそう語る。歪んだ兜で顔は見えないが声は真剣そのものの声で力強い意思のある声で聞いてくる。
それに俺は少しの間、目を閉じて思考する。数瞬の間の思考の後に俺は目を開け“バーサーカー”に目を向けて力強く返答する。
「“バーサーカー”…。お前の方法に賭ける。…だから、桜ちゃんを、
救ってくれ。」
そう、“バーサーカー”に力強く返してのち返された言葉は、
「…了解だ。マスター。」
頼りになる、最高の言葉だった。
ーside outー
いかがだったでしょうか?
次回は、火のな無い灰のスペックを書きたいと思います。
それでは、ご静聴ありがとうございました。
”炎の嵐”
イザリスの魔女の一人
クラーナの伝えた原初の呪術のひとつ
周囲に幾つもの炎の柱を吹き上げる
荒れ狂う嵐は対象を選ばず
それは炎の畏れを伝えるものであるという
”しかし、長い年月を得て、この呪術は対象の選別を行うことができるまでにいたたった。”