ダークソウルで頑張ったら”座"に登録された。   作:雑食系読者

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 誤字報告ありがとうございます。
 今後も暖かい目で見て行ってください


幕間 素顔と変わりゆく日常

 ー素顔ー

 

 

 ーside 間桐雁夜ー

 

「…ふぁ〜、昨日は話しすぎたか…?」

 

 あの後、少しバーサーカーと話し合って暫くの間は聖杯戦争が始まる夜の時間帯までは魔術と呪術を俺と桜ちゃんに習得させることに専念するそうだ。

 そう、昨日のことを思い出しながらリビングに向かっているとリビングから話し声が聞こえてきた。

 

「…さん、これは何処に置けばいいですか?」

 

「あぁ、それはあっちに頼む。」

 

「わかりました。」

 

 凛としていてしっかりとした力が感じられる女性の声と幼さの残る女の子の声。その声を聞いた瞬間、俺は走り出していた。

 リビングの入り口から中を見て、そこにいる守りたい、助けたいと願った幼い少女の姿を見て涙が出始めた。

 

「あぁ…。」

 

 口から出た情け無い声を気に留めず、ただそこにしっかりと立っている幼い少女”桜ちゃん”を見て口を開け涙を流し、歓喜の感情に心が湧き立つ。

 そんな様子に気づいた、桜ちゃんは俺を見て口元を緩めこう言った。

 

「おはようございます、雁夜おじさん。」

 

 あぁ、あんな状態になっても助けることのできなかった俺のことをそう呼んでくれるんだな。

 そんなことを思いながら、俺は彼女に返事をする。

 

「あぁ、おはよう、桜ちゃん。」

 

 そう返して、彼女に近づいて抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 そう暫く、涙を流しながら「よかった」や「助けられなくてごめん」と謝り続けた。

 桜ちゃんは、膝をついて抱きしめていた俺の頭を撫でながら「気にしないで」や「助けようとしてくれてただけでも嬉しかった」と謝罪を受け止めていてくれた。

 

 そうしている間に涙は収まり立ち上がる。桜ちゃんが心配そうにこちらを見上げてくるのを大丈夫と言って頭を撫でる。

 落ち着いてから桜ちゃんに聞く。

 

「体調は大丈夫?胸の辺りとか痛く無い?」

 

 本来は、身体の調子を聞いてからだったがあの苦痛から解放出来たんだっていう喜びから思考から抜けてしまったことを尋ねる。

 

「大丈夫です。前より身体が軽く感じます。」

 

「そっか。…よかった〜。」

 

 正直に言って、あんな光景を見た後だと不安しかなかったが見た感じ何ともないし、本人も異常はないと言っていることから信じる事にした。

 そう考えながら安堵したところで声がかけられる。

 

「…流石に、声をかける雰囲気ではなかったから、空気に徹したがそろそろ大丈夫か?」

 

 さっきも廊下から聞こえた凛としていてしっかりとした力が感じられる声が掛けられる。その声に、振り返って声の主を見る。

 

 薄茶色の髪を一つにまとめて後頭部の上辺りで縛った髪型、肌は少しばかり白みがかった肌色で目は少し目尻が垂れ目気味な優しさのあるオレンジ色の瞳孔、服装は片側の肩を出したセーターに女物のジーンズを履いてエプロンをつけた女性。

 

「…どちら様ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

「全く、失礼するよ。自分のサーヴァントを忘れるとは。」

 

 そう言って、朝食であるベーコンエッグを食べながら話す彼女、火の無い灰ことバーサーカーがそう愚痴をこぼす。

 

「仕方ないだろ?兜で素顔が分からなかったんだから。」

 

 俺が彼女に言った「どちら様?」が相当気に障ったようで、不機嫌になってしまった。

 

「それよりも、バーサーカーって料理出来たんだな。」

 

 なので、機嫌を取るためにも話題を変えた。

 

「…貴公、話題逸らしがわざとらしいぞ?…まぁ、料理に関しては生前の影響だな。一応、既婚者だったから夫や息子に作る機会があったからな。」

 

 話題逸らしはバレたが機嫌は直ったようだ。

 

 ー素顔 ENDー

 

 

 

 

 ー変わりゆく日常ー

 

 朝食を摂り、皿も洗った後またリビングでテーブルに座る。

 

「…さてと朝食も摂った事だし、今日やる事を伝えておくぞ。」

 

 そう、バーサーカーが話し始めた。

 

「まず、雁夜には言ったが聖杯戦争が始まる夜までは時間がある。その為、貴公らには自衛手段として私が修めた“魔術”と“呪術”を習得してもらう。」

 

「それはいいんだが、俺は魔術なんてからっきしだぞ?」 

 

 そう、俺は刻印虫を植え付ける事で無理矢理魔術が使える様になっただけの一般人に過ぎない。魔術の存在を知ってるだけのジャーナリストでしか無い。そんな俺でも魔術が使えるのか?

 そう、思っているとバーサーカーが話し始めた。

 

「あぁ、それは大丈夫だ、私が貴公らに教える魔術や呪術は厳密には現代の魔術とは大きくかけ離れたものだ。」

 

「…?どういう事だ?」

 

 そう、疑問が口から漏れる。それに対してバーサーカーが説明を始めた。

 

「まず、現代の魔術は使用したい魔術式に詠唱と言う命令を送り魔力を消費して発動という流れになっている。」

 

「すまん、何を言ってるのか分からないんだが。」

 

「む。…そうだな、分かりやすく言うと機械を動かすのと同じ原理だ。

魔術式が基盤、詠唱が基盤に送られる信号、魔力が電気、これなら分かりやすいだろう?」

 

「…なるほどな。じゃあ、バーサーカーが使う魔術は?」

 

「私が扱う“魔術”は、言ってしまえば相手を“拒絶する意思”だ。」

 

「拒絶する意思?」

 

「私もあまり詳しく無いが我が師曰く、“自身の相手を拒絶する意思を杖を通して空気中の魔力に形を持たせて放つ。故に、消費するのは精神力だ。”だそうだ。」

 

 …なるほど、だから魔術師もどきの俺でも魔術が使えるって訳か。

 

「…まぁ、雁夜に教えるのは呪術なんだが。」

 

 そう、言われて俺はガクッと頭が下がる。

 

「じゃあなんで説明したんだよ⁉︎」

 

「魔術を教えるのは桜嬢だけだ。貴公には魔術の適性は無い。」

 

 そう、キッパリと言い切られた。

 

「だか、貴公は呪術の適性があるからそこは気にする必要は無い。」

 

「呪術?魔術とは違うのか?」

 

「私が扱う呪術は火の業だ。他者を呪う術とは違いその身に宿る潜在的な力を火として扱う術、それが私が修めた呪術だ。」

 

 そう言って、掌から火を灯すバーサーカー。その火を見て俺はあの時化け物を焼いたのが呪術だった事を思い出した。

 

「雁夜、手を出せ。」

 

 バーサーカーに言われた通り手を差し出す。

 差し出した手にバーサーカーは下から手を添える。添えられた手から火が移り俺の手が赤くなる。普通はやけどなどが起こるが、むしろ暖かさを感じる程度の心地良さを感じる。

 

「…これで貴公は、呪術の触媒を手に入れた。今日から貴公は呪術師の端くれだ。」

 

 そう、バーサーカーに言われたが耳にその言葉が入ってこなかった。

何故なら。

 

「…なぁ、バーサーカー。」

 

「む?どうした雁夜?」

 

 そう言って手に向けていた視線をバーサーカーに向ける。

 

「刻印虫が変化してるんだが。何でだかわかるか?」

 

「…なに?」

 

 

 

 

 

 

「…ふむ。まるでムカデデーモンを小さくしたみたいな姿だな。」

 

「何でこうなったんだ?」

 

 バーサーカーに問いかけると、答えが返ってくる。

 

「おそらく、私が貴公に与えた呪術の火が原因だな。」

 

 そう、言ってからバーサーカーの説明が始まる。

 

 「まず、呪術の火の祖は“イザリスの魔女”と呼ばれる火の時代が始まる前に“はじまりの火”から王のソウルを見出した存在からなんだが、デーモンの始まりも同じく”イザリスの魔女”からなんだ。」

 

 そう語る、バーサーカーの目は遠い目をしていた。

 

「それに、呪術の火は継承されて来たものでもあるから、デーモンを生み出す特性も少なからず引き継がれていたのだろう。それがはっきり現れたのが君の代だったのだろう。」

 

 そう締め括ったバーサーカーに疑問を投げかける。

 

「でも、何で俺の代で発現したんだ。」

 

「それは、私にも分からない。分からないが火の時代よりも神秘が薄い現代ではあまり強く大きくならない様だし、使役できれば便利に使えると思うぞ?」

 

 そう言って俺は、バーサーカーにデーモンの使役の練習のやらされることになった。

 

「あぁ、そうだ。雁夜、私のことは昼間では“アッシュ”と呼んでくれ。日常生活でもバーサーカーと呼ぶのは他陣営に居場所を教える様なものだからな。」

 

 

 ー変わりゆく日常 ENDー

 




 いかがだったでしょうか。
火の無い灰の呼び方くらいは出したいと思いこのはなしを書きました。

"呪術の火”

呪術の祖、イザリスのクラーナの手により潜在する力を引き出された呪術の火。呪術師にとって火は特別なものであり、大抵は一生を共にし、大事に育て続ける。彼らにとって、火はまさに半身であり、分かち合ったものは火の血縁となるのだ。
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