ただのんびり生きていたかった人生…半人生? 作:フリスリンク
まだ、勇者アルスは赤ちゃんなんですよね…
嘘だろ……!?バラモスってあんなに弱かったか!?でも、ルビスのつかいが間違えるなんて可能性は………バラモスゾンビって死んでる扱いか?魔物としては存在してるけど、意思はない感じか?ま、まあいい…別の事を聞こう。
「俺が倒したのは、バラモスエビルの強化された魔物とかじゃないんですよね?ちょっと確証がもてなくて……」
ルビスのつかい『なるほど……確かそちらの世界に、バラモスエビルという魔物が攻め込んできていましたね。』
別の事聞くんじゃなかったのかよ!?俺!!
ルビスのつかい『安心してください。あなたは本物の魔王バラモスを倒しました。これは現実ですよ?』
よ、よかったーー……じゃあ、次の質問を……
「それなら良かったです!それで、大魔王ゾーマの事ですが……何故直接この世界を侵略しないんでしょうか?バラモスナイトという、とんでもなく強い魔物までいて。それがずっと疑問に思っていまして。」
ルビスのつかい『大魔王の事まで知っているのですね。……神であるルビス様がおっしゃるには、光が満ち溢れているそちらの世界では力を制限されてしまうようです。現在、ルビス様が作られたアレフガルドという世界は闇に覆われてしまっています。ゾーマは自身とその配下が力を発揮しやすいように、光にまつわる力を消しているのです。ここからは私の推測になってしまいますが……仮にそちらの世界にゾーマが侵攻したとしても、勝ち目が薄いのではないでしょうか?』
神様?ルビスって精霊……いや、世界作り出せるんだから神様で良いよな。裏ダンジョンのしんりゅうも知り合いみたいな感じだったし、ルビスの剣を預かってたしな。
というか、こっちの世界にゾーマを誘い込めれば、ゾーマを倒せるって事!?……だったら絶対ゾーマ来ないわ…わざわざ死にに行くような事なんてしないだろう。闇の世界か…ゾーマ自体人間の絶望や悲しみを好んでるんだっけ?それもゾーマの力になりそう…
「ゾーマは強くなるために、人間の絶望を好むがゆえにアレフガルドを闇で覆ったって解釈で良いんですかね?」
ルビスのつかい『そういう解釈で良いと思います。光溢れるそちらの世界では、ゾーマは弱体化してしまう…ゾーマがそちらの世界でも動けるような魔物を作り出し、光溢れる場所でも弱体化の影響が少ない魔物を送り込んで支配しようとした…という事でしょう。』
…もしかしたら、ゾーマの闇の衣って闇に覆われた世界だからできた芸当なのかな?ひかりのたまで消えてるし。…まぁ、ゲームの話がどこまで通用するか分からないけど…
「この世界にいる魔物がアレフガルドに行ったら、強化される可能性があるんでしょうか?」
ルビスのつかい『可能性はありますが、過信しない方がいいでしょう。そちらの世界では、魔王バラモスを中心に魔物を作り出していたはずですから……特にあなたはそちらの世界の住民です。いくら魔物の血を受け継いでいるとはいえ、強化されたとしても微々たるものだと考えた方が良さそうです。』
「……俺の体の事まで知ってるんですか…そういえば、最初、異世界の魂を持つ者って言ってましたね。俺の事はどこまで知られているんですか?」
ルビスのつかい『言うほどそこまで深い事は分かりません。そちらの世界に干渉して、外側から見るようなものですから…ですが、悪しき者かどうかを魂で判断するので、この次元に存在するような魂ではない事は分かりました。魔物の血については、バラモスと戦った光景を見てあなたに確認をしただけですね。』
ようするに、カマをかけられたのか…別に良いけどね。直接会ったら即見破られそうだし。実際、レイアムランドの巫女二人には初見で見破られたからな…この方にも言うか!!
「聞いてほしい事があります。長くなりますが、いいですか?」
ルビスのつかい『はい、大丈夫ですよ。』
できるだけ俺が覚えてる知識をルビスのつかいに伝えた。レイアムランドのラーミアの卵を守っている、巫女二人も知っている事も伝えた。当然、ゲームという娯楽の事を伏せて。
ルビスのつかい『……私の事を知っている時点で予想はしていましたが、まさか物語として語られているとは……』
「驚かせてすみません。でも、あなたが知っていればだいぶ有利に事が運ぶはずなんです!…ルビス様の封印は、バラモスブロスに見張られている可能性が高いですが……バラモスナイトという存在は、俺も知らなかったんです!バラモスエビルの襲撃も本来はなかったんです!」
ルビスのつかい『なるほど……教えてくれてありがとうございます。あなたも大変でしたでしょうに…いきなりこの世界に巻き込まれたのですから。』
ルビスのつかいなら、何か知ってるのか?現状、異世界の魂とこの魂の残滓しかなくなった体が結び付いた事しか分かっていない。しかも、これも確証がない。
「何故、俺が……俺の魂がこの体に宿ったんですか?レイアムランドの二人の巫女からは、たまたま惹かれ合ったらしいと言われたんですが……」
ルビスのつかい『……実は、ゾーマがギアガの大穴を作った際に、世界の乱れを感じました。その時にあなたの魂が引き寄せられてしまったのでしょう…その体を見るに、元々その体で育つはずの魂の残滓を感じます。』
ゾーマがギアガの大穴を開けたのか…はた迷惑な!!しかもゾーマのせいで世界が乱れた!?絶対それじゃん!!……じゃない!!話を聞かないと!
ルビスのつかい『アレフガルドでも何回か見た光景です。人と魔物が結ばれて子どもが生まれる……ですが、私が確認したなかで、その子どもが満足に成長して生きた事例はありませんでした。』
下の世界では少しあったのか………魔物とのハーフの子どもは全員死んじゃったと。
ルビスのつかい『本来、その体は死んでしまうはずだった…しかし、あなたの魂が入り込んだ事で生きながらえたのでしょう。魂を見る限り強い力を感じますし、体と相性が良いようです。』
「相性……という事は誰でも良かったわけではないんですか?」
ルビスのつかい『そうですね。体と魂には強い繋がりがありますから、相性が悪ければすぐに死んでしまいます。今回の場合は、ゾーマがギアガの大穴を作った際に世界が……いえ、次元が乱れて、異世界にあるあなたの魂が引き寄せられてしまった。ですが、それではその体が生まれた時期が合わないはずです。あなたの魂が引き寄せられたのは、この世界において適正があったのでしょう。そちらの世界で漂えるくらい強い魂だったと考えられます。おそらく、他の魂も引き寄せられていたと思いますが、適正がなく、消滅してしまった可能性があります。』
こわ!?俺も適正がなかったら、消滅してたのか!?
「異世界から魂が来るのって珍しい事なんですか?」
ルビスのつかい『珍しい事ですよ。こちらの世界では低確率で魂が異世界から来る事はありますが、全部消滅してしまっています。……』
……俺が生きてるのって本当に奇跡だったんだな…三歳までは元々あった魂が頑張っていた……けど、耐えきれなくなったために、漂っていた俺の魂が三歳児の体に入って適合した。……こんな感じか。どれくらいの確率だよ……ルビスのつかいが観測していた異世界の魂は、今のところ全部消滅してるなら、俺が観測史上初めてって事になるのか。他にもいる可能性は捨てきれないけど。
「俺の状態がいかに奇跡かが分かりました。教えてくれてありがとうございます!!」
ルビスのつかい『いえ、お役に立てたようでなによりです。私たちはあなたに貴重な情報をもらっていますし、可能な限り協力したいのですが…』
「じゃあ、まだ質問があるのでいいですかね?」
ルビスのつかい『はい、どうぞ。』
俺の事は分かったので、ラーミアの事やギアガの大穴の事、勇者の必要性等を聞いた。
ラーミアが復活すれば、この世界はより一層光の力が強まり、ゾーマが手を出しづらくなるという事。ギアガの大穴はゾーマの力で開き続けている状態なので、ゾーマを倒すと閉じてしまう可能性が高い事。勇者には光の力が備わっているため、闇の力を主力とするゾーマの対抗策になる事。
……ラーミアの復活が最優先だな。勇者の存在が大切なのは分かったけど、ゾーマを倒すとギアガの大穴が閉じるんだからどうしたもんか……アルスを家に帰したいし、俺も帰りたい。
「ギアガの大穴を開き続ける方法はないんですか?」
ルビスのつかい『それは……私には分かりませんね…あのゾーマの力ありきのものですから、代用が効くかも分かりません。』
「ギアガの大穴が閉じてから帰る方法はありますか?」
ルビスのつかい『ないと思います。そもそもゾーマのように、世界をまたいで繋ぎ続けている事が異常なのです。そちらの世界とアレフガルドは、並行世界のようなものだと考えてください。』
極端だけどゾーマのように次元に穴を開ければ帰れる……無理じゃねぇか!!??本当にゾーマ何者だよ!?
そうだ!しんりゅうならどうだ!?
「さっき話しそびれたんですけど、この世界にしんりゅうという龍はいますか?会う事ができれば良いんですけど……」
ルビスのつかい『しんりゅう様の事も知っているんですか!?……確かにいらっしゃいますが……私には会う権利を持っていません。ルビス様ならしんりゅう様とお知り合いなので、ルビス様を助けられれば……何故しんりゅう様の話を?』
「物語の分岐の話になってしまうんですが、勇者が自分の父を生き返らせるために願いをかなえる話がありまして。もしかしたら、ギアガの大穴関連の願いを叶えられないかなと……」
ルビスのつかい『……考えた事もありませんでした。確かにしんりゅう様なら!!……ルビス様を救わなければお会いになる事すら叶いませんね……バラモスブロスをどうすれば……』
ラーミアを復活させて、ルビス様を復活させる方が良いけど……アレフガルドの魔物がどれくらい強いか分からない。母さんやバラモスナイトの例があるしな……
「ルビスのつかい様!ありがとうございました!今のところ質問はなくなりました。」
ルビスのつかい『いえ、こちらもお役に立てたようならなによりです。……!!そうです。あなたにこれを授けます。』
お!?突然光が……魔力のある石?……!!体の中に入った!?
ルビスのつかい『今送ったものは、私と連絡できる魔力石です。体の調子はどうですか?』
「今のところ、何もないですけど……」
ルビスのつかい『突然でごめんなさい。ですが、あなたと自由に連絡できればお互いに助け合えると思いましたので。』
「……それは嬉しいですけど、どう連絡すれば良いんですかね?」
ルビスのつかい『私に連絡するように念じてください。一度この能力を切りますね。』
あ、ちょっと!?……ルビスのつかいの声が聞こえなくなった。えっと?連絡するように念じる?こうか?
ルビスのつかい『はい、繋がりましたよ。』
「良かった……繋がらなかったらどうしようかと……」
ルビスのつかい『大丈夫です。私とあなたには特別な繋がりができたので。』
え?特別な繋がり!?勘違いさせるような事言わないでくださいよ!!??
ルビスのつかい『そういえば、先ほど私の事をルビスのつかい様と呼びましたね?長いので何か愛称をつけてくれませんか?』
……突然言われましても……
勇者の性格診断に関わってたから……
「キャリー、なんてどうですか?」
ルビスのつかい(以下キャリー)『!!!!!………………ありがとうございます!良い名前ですね。今から私はキャリーです!』
嬉しそうなのが伝わってくる……喜んでるならいいか!
バラモス城の魔物は、はぐれメタル以外根絶やしにしたので、空を飛んで帰ろうとした。……が、近くに建物があり、俺は興味本位で訪ねてみた。こんなバラモス城の近くにあるなんて、なんて危険な……
おじさんからシルバーオーブを押し付けられた……そういえば、ゲームでもここにありましたね。何で思い出せなかったんだろうか……
とりあえず家に帰った。シルバーオーブをようやく見つけたという報告を村のみんなにして。バラモスについては内緒だ!!
……………………………………………………………
レイアムランドにシルバーオーブを捧げた。これであと三つ……なんだけど、イエローオーブとレッドオーブがなぁ……
ベロニカさんとセーニャさんにバラモスを討伐した事を伝えたら、涙目になっていた。
ベロニカ「本当に無事で良かったです!!」
セーニャ「ずっと心配してたんですよ!!」
……罪悪感が凄すぎる……
シルバーオーブを捧げた以上の感情をぶつけられたので、めちゃくちゃ焦った。ちゃんと怪我をしてない事を伝えて、落ち着いてもらった。
現在、テドン。ちょっと精神的に疲れたので休憩中。いつも通り、武器屋スライムに手に入れた素材を渡したり、畑仕事を手伝ったり、ドーピングたね類の収穫をしたり……案外心が休まります。ふう……。
ん?この気配は……アンか!?
村の入り口にいる!やっぱりアンだ!!
……あれ?外出禁止令はどうなったんだ?まぁ、今は良いか!
「アン!無事だったんだな!!良かった……?アン?」
アン「………コハビンさんから聞いてるのよね?私たちの状況。」
「う、うん。……もしかして、またヤバい事があったのか!?」
アン「ううん、違うの。」
「え?じゃあ……食料をもらいに来たとか?」
アン「それも違う。この前は助かったわ。ありがとう。食べ物をあんなに分けてくれて。」
「どう、いたしまして?」
なんだかアンの様子がおかしい……里で張り切りすぎてるとか、ボソッとこの村に来たいとかはコハビンさんから聞いてるけど……精神的に疲れちゃったか?
アン「ネドラ。私……どうしたら良いのかな…?」
「……他のエルフから何か言われた?」
アン「ううん、言われてないけど……どうすれば良いか、分からないの……お母さんもみんなには言わないけど、落ち込んでて……どうすれば、前みたいに戻るのかなぁ……」
……俺もどう言ったら良いか分からない。父さんこそ火傷を負ってしまったが、この村は無事だ。でも、エルフの里はだいぶ被害を受けてしまっている。エルフだってたくさん死んでしまっている……
「とりあえず、せっかく来たんだ。ゆっくりしていきなよ。」
アン「うん、……ごめんね。」
「謝らなくて良いよ。俺たちよりもつらい状況なんだから…必要なものがあったら言ってね。できるだけ協力するから。」
父さんや母さんにも会わせなきゃな。
……………………
ネドラ父「おお!アンちゃん!来てくれたんだな!」
アン「……ディアンさん!?その火傷……」
ネドラ父「ちょっとミスをしちゃってな……でもこの通り動けるぞ!!安心してくれ!」
ネドラ母「ディアンは安静にしていて欲しいんだけどね…まぁ、あれから時間は経ってるし、無理をしなければいいわ!」
前より動けるようになっても、火傷前の父さんより動きは鈍い。本当にバラモスエビルは許せない……!!
ネドラ母「ところで、アンは大丈夫なの?無理をしているように見えるけど…」
ネドラ父「俺たちで良ければ話を聞くぞ?無理して話さなくてもいいが…」
アン「ありがとう。あのね……私、里のために何をすれば良いか分からなくて……前の里みたいに戻らないか悩んでて……」
「アンは、頑張りすぎて疲れちゃったんだよ……休憩した方が良い。」
ネドラ母「そうね!せっかく来てくれたんだもの!!宿屋に案内するわ!もちろんタダでね!!」
ネドラ父「疲れてる状態じゃ、良い考えは浮かびづらいしな!」
アン「……ありがとう。みんな。」
……………………
アンは宿屋で休憩中だ。よほど疲れていたんだろうな。宿屋スライムのスヤリンが言うには、すぐに寝てしまったとの事。……エルフの里が復興しない限り、アンはずっとあの調子だろうな。エルフの女王様も心配だ…
ん?この気配は……コハビンさんだ。アンを連れ戻しに来たんだろうか?
「コハビンさん、ようこそ。」
コハビン「ああ……嬢ちゃんはいるか?」
「今宿屋にいますよ。ぐっすり寝ているみたいです。……外出禁止令はどうなったんですか?」
コハビン「女王様が、嬢ちゃんの様子がおかしい事に気づいてな……テドンに行く事を許したんだ。……女王様もそうだが、嬢ちゃんは相当まいってしまっているようだったんでな。」
……エルフの女王様はアンの精神的疲れを見抜いて、娘の休憩を優先させたのか。でも、疲れてるのはエルフの女王様もそうだ。……どうすれば良いんだろうな。
「……いっその事、エルフの里に残っている者全員がこの村に来てくれれば……少しは楽になると思うんですがね。」
コハビン「正直、俺も思っているが……生き残ったエルフの中には、当然人間と暮らすなんて考えられないヤツもいるからな…魔物なんか特にだ。……偏見が強すぎるのがアダになってるんだ。お前たちがくれた食料に、手をつけずに餓死したエルフもいる……」
そんなにか……それだけ被害が出て、食料に困ってるっていうのに、俺たちの施しや情けは受けられないと……そんな事言ってる場合じゃないのに………!!!
「…そりゃ、二人とも心労が絶えないわけですね……」
コハビン「そうだな……ああ、そうだ。女王様からの伝言だ。アンをできるだけよろしく頼むとの事だ。」
「分かりました。それは良いんですが……エルフの女王様も心配です。頼んでいるオーブの捜索は後回しで良いので、休憩しにこの村に来ても良いと伝えてもらえますか?当然、無理にとは言いませんし、エルフの女王様だけでなく、他のエルフも来たいのであれば来て良いと。」
コハビン「分かった。上手くいくかは分からんが……エルフの里にいる者全員に伝えよう。ドワーフもいいか?」
「もちろんですよ!省くわけがありません!!ところで、ドワーフの皆さんは生活に困ってないんですか?」
コハビン「エルフの里に住んでいる、一部のドワーフが生活に困ってるはずだ。とはいっても、エルフほど困ってるわけじゃない。……伝言係である俺もエルフの里に住んでいるが、生活に困ってるわけじゃないしな。偏見の強い、一部のドワーフ……だな。」
みんな死にたくないはずなのに……なんで、プライドを捨てられないんだろうな。少なくとも俺はそう思う。死ぬのが怖くないのか?……深く考えるな。その人なりの考えがあるんだ。押し付けちゃいけない。
コハビンさんはエルフの里に帰るとの事だったので、また食料を渡した。コハビンさんは礼を言って、ルーラで帰っていった。
しばらく、アンの回復を待とう。ゆっくりで良い。焦ったら何もかもが上手くいかなくなる。
ルビスのつかいキャリーといつでも連絡できるようになったネドラ。
ルビスのつかいの愛称キャリーは、キャラクターとパーソナリティーから作りました。性格診断に関係するので、性格の英語を組み合わせただけです。
ルビスのつかいに愛称を決めた事で、何かが起こったようです。