ただのんびり生きていたかった人生…半人生? 作:フリスリンク
番外編1 商人の町
勇者アルスが旅に出た。
俺たちは、アルスの旅立ちを見送った。今のアルスの実力なら大丈夫だろう。念のため、ルーラの球(ネドラのウロコ使用)を持たせているし、場所はすぐに分かる。
アルスの他にも、僧侶の女性、戦士の男性、商人の女性がいた(僧侶はリティ、戦士はガイ、商人はネネという名前らしい)。アルスはどうやら、ルイーダちゃんの酒場で仲間を募ったらしい。うん、良い傾向だ!!
何かあったら、ルーラで家に帰るか、テドンやレイアムランドに来ていい事も言っているし、比較的安全な旅になるはずだ。
アルスには、ちゃんとメタルスライム達に危害を加えないように言ってあるから、返り討ちにあう事もない………と思いたい。仲間の3人にアルスが言っていれば良いんだけど……
とりあえず、死なない程度にこの世界を見ていってくれ。応援しているぞ!!……そもそも、仲間の3人が実力的にアルスについていければいいんだけど………
……………………………………………
アルスが旅に出てから、三週間後………
ネクロゴンドの洞窟と天界の洞窟から、魔物の素材をテドンに持ち帰った時に、アルスがテドンに来た。アルスの仲間もちゃんと3人いるな!!脱落者がいなくて良かった。
「アルス!旅は順調そうか?」
アルス「ネドラさん!!順調ではあるんですけど……ちょっと問題が起きまして……」
「問題?旅は順調なんだろ?何があったんだ?」
アルス「実は……………………」
話を聞くと、アルスの旅は確かに順調だった。ロマリアの王様がカンダタに王冠を盗まれたらしく、シャンパーニの塔で取り返したらしい。……ゲームであったな。そんな事。
いろんな村や町にも行っていて、結構充実していたみたいだ。ポルトガで船をもらって、途中から船でいろんな場所に行ったらしい。……くろこしょうを求められ、いろんな事があって船と交換という事になったらしいが……またカンダタと戦ったようだ。………またカンダタかよ……何をしているんだ?
「聞いてる限りだと、何も問題は起きてなさそう……いや、カンダタが怪しいな。」
アルス「カンダタも怪しいんですけど、その事じゃないんですよ!!船で旅をしていたら、商人を探しているお爺さんにあったんです。それで、僕の仲間に商人のネネさんがいたので………町を作るために残ってほしいと、お爺さんに言われたんですよ………」
「お爺さん?そのお爺さんはどこで会ったんだ?」
アルス「エジンベアの西ですね。一応、僕含めてみんなの反発があったので、保留にはしているんですけど………」
ガイ「そりゃあ、いきなり仲間を置いていけなんて言われたらな?」
リティ「ありえないでしょ!?ぶん殴ってやりたかったわ!!」
ネネ「リティ…落ち着いて?でも、ありがとう……みんな!!」
仲間思いの人たちで良かった。それにしても、エジンベアの西………?あ、イエローオーブのイベントだ!!商人の町の事だ!!………すっかり忘れていた。だって、俺が当時行った時には誰もいなかったんだよ?そりゃあ、忘れるわ!!別の方法で、イエローオーブは手に入ったし………頭のすみに情報が追いやられてたわ。
「うーん、どうするか………ネネさんは、その話は乗り気だった?」
アルス「いえ、乗り気じゃなかったですよ?むしろ、どうやってやんわり断れるかを考えていたみたいです。………突然言われましたからね。」
「まぁ、世界を旅したくてみんなで行ってるからなぁ。普通は断るよ。しかも、知らないお爺さんからいきなり勧誘されたら………うん、断るよな。」
ネネ「たぶん、誰でも断ると思います。人生を左右する選択をいきなり迫られるなんて………」
アルス「でも、悪い人じゃなさそうなんですよね………一人であんな場所にいるなんて、危険ですし……」
………こういう時は、メタルスライム達に任せるか!!ちょうど、人間状態を維持しているメタランもいるし!!
「メタラン!!ちょっといい?」
メタラン「なに?ネドラ。」
「ちょっと、エジンベアの西の方で、町を作りたいと言っているお爺さんがいるらしいんだ!メタルスライム達で、町を作れないかな?」
メタラン「町………復興じゃなくて、一から作るの?」
「そう、一から!」
メタラン「メタルスライム達で、相談してみる!!」
よし!!これで、粗方解決するぞ!!
ガイ「お、おい?ネドラさん。良いヤツっていうのは分かってるんだが、魔物に任せて大丈夫なのか?」
「ガイさんの心配は分かるよ。でも昔はともかく、今はメタルスライム達の頑張りもあって、いろんな場所に溶け込んでるから大丈夫だよ?治安維持だって、メタルスライム達がやってる所があるからね!!」
リティ「そうなの!!??……知らなかった。アルスとネネは知ってた?」
ネネ「一応、聞いた事はあるよ?商人の情報網で。でも、見た事はなかったなぁ。」
アルス「僕は知ってた……というか、アリアハンにメタルスライムがいたでしょ?メタブレイブさんっていう名前なんだけど……メタブレイブさんとネドラさんに教えてもらってたから………」
ガイ「そうか!だから、アルスはメタルスライムに攻撃するなって言ってたのか!!……ネドラさん、アルスが言ってたんだが……メタルスライムに返り討ちにあうって言うのは……」
「本当の事だよ?想像を遥かに越える強さを持ってるから、敵対しないようにね?」
リティ「……私、今までメタルスライムに会わなくて良かったかも。知らなかったら、普通に倒そうとしてたわ。テドンの事も知らなかったし………」
ネネ「危なかったね?リティ。これからは問題ないね?」
………もしかしたら、メタルスライム達の事を知らずに攻撃して、反撃をもらった人たちもいるよな。情報が行き届かない場所もあるし、どうしたものか。
ゾロゾロゾロゾロ…………
メタラン「相談してきたよ!!」
「………相談はありがとう。それで、メタランの後ろに控えてるメタルスライム達は?」
メタラン「テドンに移住してきて、三年くらい経ったメタルスライム達だよ?」
ガイ「こんなに!!??」
リティ「ウソでしょ………!?」
ネネ「………私は今、すごい光景を見ている……よね?」
アルス「あ、アハハ……まぁ、見慣れてないとそうなるよね。僕も最初はそうだったし。」
アルスはもう慣れているからな。仲間の3人の頭がパンクしない事を願う!!
メタラン「この子達なら、新しい場所でもやっていけるよ?建設も、営業も、畑仕事も、戦いもできる!!」
メタルスライムA「がんばります!!」
メタルスライムB「スヤリンさんから、教えてもらった事ができるようになったからやれるぞ?」
メタルスライムC「料理も畑仕事もできるよ!!」
メタルスライムD「畑仕事はできるけど、見回りの方がいいかな?そっちの方が向いてる気がする。」
メタルスライムE「仕事なら、任せてくれ!!町のためなら、全力で取りかかるぞ!!」
これから町を作ろうとしている
メタルスライム達
「おおーーーー!!!!!!!」
頼もし過ぎるだろ!!??これも、メタランと母さん(時々父さん)の教育の賜物か?まぁ、メタルスライム達の数が数えきれないぐらいに増えてきちゃったからな。ちょうど良いかも!!
ガイ「俺、なんだか軍隊を見ている気分だ………」
リティ「スライムの色違い……ってだけじゃないのね。ランシールにも、喋るスライムはいたけど……」
ネネ「これは……圧倒されるね。」
アルス「みんな?大丈夫?」
リティ「アルスは、よくこれを見ても平気ね!?もし、敵だったら絶望するわよ!?」
アルス「………小さい頃から見てきた事だから、慣れたというか……日常として当たり前だったというか……」
ガイ「戦いの時もそうだったが、改めてアルスを尊敬するぞ……これが当たり前……なのか。」
ネネ「あとで、いろんな人たちに伝えないとね?メタルスライムは友達。仲良くしようって。」
「まぁ、そのうち慣れるよ。………エジンベア西の所にいるお爺さんの事は俺たちに任せて、旅を続けてくれ。……今日はテドンの宿屋に泊まっていくか?」
アルス「そうですね……それが良いと思います!みんなはそれで良い?」
ガイとリティとネネ「「「異議なし!!」」」
アルス達は、テドンの宿屋で一泊した。
翌朝、アルス達の様子を見に行ったら……アルス以外は驚きの連続だったようで、平然としているアルスとは対照的だった。
うん、みんな最初はそんな感じだ。
………………………………………………………
三日後………………商人?の町にて………
えーと……こんな事ってあるんですねー……
商人の町のお爺さん(以下商人の町の代表)「ワシ、驚いた。こんなに早く町ができるなんて、ワシの夢が早く叶った。」
「…………夢が叶って良かったですね!!」
早すぎんだろ!!!???
メタルスライム達の技術力が凄すぎる!?なんで、こんなに町作りができるんだよ!?早すぎる………!!!
立派な宿屋、立派な公園、立派な道具屋の建物、立派な畑、なんだか豪華なステージのある建物…………だんだん思い出してきたぞ?これ、商人の町の最終形態じゃないか!?
ボッタクリの店とか牢屋もないな………というか、町作りが早すぎて、お爺さん以外の人がいないんだけど………
商人の町の代表「メタルスライムのウワサ、本当だった。これで、人が来れば完璧。」
「いくら、メタルスライム達が世間に受け入れられてきたとはいえ………作って間もない町に、人が集まるとは思えないんですけど………」
商人の町の代表「それなら、問題ない。メタルスライム達のルーラを使って、宣伝してる。」
「早すぎませんか!?もう、そんな事までしてるんですか!?………ここにいるメタルスライム達は、全員ルーラを使えますからねぇ。」
ビューーン!!!
ビューーン!!!
ビューーン!!!
ビューーン!!!
ああ………話している間にも、メタルスライム達がルーラで人を連れてきている………商人もたくさんいるな!?まだ、商人の町の名前すら決まってないのに!!!というか、物流だって……ルーラが使えるから、問題ないな。畑だって、魔力さえあればたくさん栽培できるし………
そして、さらに二日後………………
テドンに来ていたアルス達と、商人の町の様子を見に来たんだけど…………
アルス「ええ!!??すごく変わっちゃってる!?」
ガイ「俺たちが来た時とは全然様子が違うぞ……?」
リティ「ほ、本当に前に来た………同じ場所なの!?メタルスライム達は分かるわ。だって、テドンで見てたから。でも、人!?こんなに人が住んでるの!?」
ネネ「………メタルスライムってすごいんだね。立派な建物ばかりだし、設備がしっかりしている……娯楽の施設もある。他の商人たちが言っていた事は、本当だったんだ!」
驚くのも無理はない。俺だってビックリしているんだから……こんな短期間で、こんなに栄えるなんて思わないだろ!?めちゃくちゃ住人がいるし、メタルスライム達も溶け込んでいるし!!テドン、レイアムランドに続いて三ヶ所目ができちゃったな。
俺たちは、町作りの発端になったお爺さんを探した。そうしたら、お婆さんと一緒に歩いているお爺さんがいた。
「お爺さん!!」
商人の町の代表「おお!みんな、来てくれて嬉しい。この通り、町は立派になった。人もたくさん、商人もたくさん。ワシに妻ができた。嬉しい事だらけ。」
リティ「妻!!??………ちょっと待って。いろんな事が起こり過ぎて、混乱してるわ………」
ネネ「てんしのすずを使う?リティ。」
リティ「そういう事じゃないわよ!!」
アルス「まぁまぁ、落ち着いて?……結婚おめでとうございます!お爺さん!!」
商人の町の代表「ありがとう。ワシの夢、いっぱい叶った。こんなに嬉しい事があるとは、思わなかった。」
ガイ「全ては、ネドラさんとメタルスライム達のおかげだな。」
「正直、俺はなにもしてないんだけどね……?君たちが、テドンに相談しに来てくれたから発覚したんだし。」
ネネ「うーん……ちょっと複雑な気分。旅を止めたかったわけじゃないけど、こんな立派な町を見せられると………うーん。」
ネネさんが悩んでいるな……商人として、やっぱり気にはなっていたのか。でも、こんなに早くはできないだろうな。メタルスライム達が異常過ぎるんだ。
商人の町の代表の妻「あなた方のおかげで、夫に巡り会う事ができました。本当にありがとうございました。」
「………どういたしまして!この町で元気に過ごしてくださいね!!」
アルス「僕たちは、なにもできませんでしたけど………」
商人の町の代表の妻「なにをおっしゃいますか。あなた方が、テドンという村から、メタルスライム達を連れてきてくれたではありませんか。」
ガイ「そう言われてもな………」
リティ「……なんだか、あの時断った事に罪悪感が……」
ネネ「過ぎた事はしょうがない。気分転換にこの町を見て回ろうよ?」
お爺さん達夫婦と別れて、アルス達と一緒にこの町を見て回った。………全部凄かったが、豪華なステージのある建物が一番凄かった。まさか、地下1階と2階があるとは………ゲームではなかったよな?たぶん。
地下1階にはダンスだったり、商人たちの取引だったり、吟遊詩人の歌だったり………うん、大人な世界だった。
1階はちびっこのどじまん大会(夜は吟遊詩人が独占するらしい)が行われており、2階は完全に子どもの遊び場になっていた。………俺だけ子ども扱いされ、飴玉を2階の管理をしているお姉さんに手渡され、アルス達に笑われてしまった…………もう、34歳なんですけど!?いつになったら、身長が伸びるんだ!!??
一通り町を見終わった俺たちは、俺とアルス達で別行動を取る事になった。アルス達は、今日はこの町の宿屋に泊まるらしく、立派な宿屋に向かっていった。一旦、ここでお別れだ。
俺は、メタルスライム達にこの町の情報をもらっていた。今のところ、被害も問題もないみたいだ。良かった。
テドンに帰る前に、この町の名前を聞いた。この町のメタルスライム達のリーダー(ルイージみたいな付け髭をしたメタルスライム、名前はトレダン)が答えてくれたが……………………………………
ドリームランドかぁ………
確かに、人々とメタルスライム達が協力している町だし、夢なのも分かるけど………まぁ、いいか。お爺さんの夢なんだし、俺が介入しなくて良い。
なんだか、テドン、レイアムランドみたいにメタルスライム達の拠点になりそうだな。人もたくさん住んでいるし、よりメタルスライム達が溶け込みやすい世界になった気がする。悪い事じゃないけどね?
魔物(メタルスライム)と人が協力しあって、生活するドリームランドができました。商人の町が、技術力や知識のあるメタルスライム達によってすぐに出来上がるとは……ネドラも予想外でした。