~第80階層フィールド・『亡者が逃げ惑いし道』~
アスナ
「ツバサ、スイッチ!」
ツバサ
「おう!」
そして今現在、死神型のボス攻略情報MobのNM『ダークネス』と交戦中。
ツバサ
「伏せろ!」
エース
『SHOES!WINCH DRILL!』
ウィンチのワイヤーを巻き付けてそれを巻き取りながら飛び上がってドリルの方を
その体に叩き付けて密着したまま継続ダメージを与える。
ワイヤー部分を切り離すとその体を足場にして飛び上がった。
ツバサ
「決めるぞ、アスナ!」
エース
『HARD SHOES!WINCH&DRILL!』
『GOAL!GOAL!!GOAL!!!』『VICTORY SHOOT!』
アスナ
「スピーア・アングリフ」
構えを取ったアスナの足元に魔法陣が浮かんでエンジンの加速音とエフェクトが発生する。
ツバサ
「スピニング・ドロップ!!」
アスナ
「ハァァアアア!!」
ツバサのドリルを利用したライダーキックで大きくHPを削り、怯ませた直後に
最大加速したアスナがその通り名の如く『閃光』の一閃でトドメを射し、跡形も
なく撃破エフェクトと共に消え去り、ボス情報が更新される。
ツバサ
「まずは一点、ってところだな」
アスナ
「うん、キリト君達からも連絡が入ってもう少しでボス部屋の階層の扉も解除で
きるみたい。一気に攻略も進んでるね、ツバサのおかげだよ」
ツバサ
「お前らと変わらない事やってるだけだ。感謝される事もない、さっさと行こうぜ?」
軽い笑みを浮かべて戻ろうとしたのだが何かに気づいたように振り返る。
アスナ
「ツバサ、どうしたの?」
ツバサ
「聞こえる」
アスナ
「えっ?」
すると突如として駆け出し、慌ててアスナも追走する。
その走りは何の迷いもなく入り組んだダンジョンを突き進み、開けた場所に出ると
どうやらこの階層にいるボスクラスのモンスターのようでそれに挑んでいたのだろ
小規模ギルドの面々が窮地に追いやられていた。
ツバサ
「エース!ドライブシフトカーをッ!」
エース
『ワカッタ!STARTING Ready!』『DRIVE!TYPE―SPEED!』
さらにシフトカーを数回倒して一気に加速する。
エース
『DR!DR!DR!DRIVE!』
装着された車輪部分を地面につけて急加速、さらに回り込むようにドライバーエネ
ルギーを纏ったスライディングキックで取り巻きとボスを転倒させてさらにエンジ
ンメーターのエフェクトと共にキックのラッシュで後退させる。
アスナ
「あなた達!すぐに回復をッ、援護を出来る人は援護にまわって!」
女性プレイヤー1
「は、はい!」
男性プレイヤー1
「あいつってこの前、噂になってた仮面ライダー・・・?」
男性プレイヤー2
「それより早く回復だ、体勢整えて俺達も援護するぞッ」
その間にツバサは自らタゲを取り、得意の体術でグールタイプの敵を捌いて中央に
陣取っていた巨大な竜型のモンスターの攻撃もその巨体を利用して軽々と裏を取り
別のシフトカーに変更する。
エース
『WHEEL CHANGE!スピンミキサー!』
ツバサ
「そこでじっとしてろ!」
タイヤを交換し、そこからコンクリートの塊を無数に放ち、敵を固めて拘束する。
ツバサ
「アスナ!そいつらと右の数体を中央に固めてくれ!エース、次だ!」
エース
『マカセロ!WHEEL CHANGE!ミッドナイート!シャドー!』
アスナ
「了解よ!援護をお願い、中央にモンスターを寄せます!」
一同
「はい!」
3人の分身を精製してそれぞれからエネルギーの手裏剣を投げて不規則な多段攻撃
で吹き飛ばし、続けざまにスキルを発動する。
エース
『PLAYER SELECT!―NANOHA SKILL―』
ツバサ
「フープバインド」
リング状のバインド魔法を使い寄せた相手を強制的に縛り、中央に固める。
ツバサ
「一斉攻撃!!」
一同
「はい!」
アスナ
「隙を与えないで!撃破後も気を緩めずボスを撃破します!」
全員がスキルを一気呵成に畳みかけてバインドで拘束した取り巻きをまず撃破する。
エース
『キョウカケイタイノ ゲンカイジカンガチカイ。ツギガサイゴダ』
ツバサ
「一端、動きを止めるぞ!こい、マックス!」
そして最後にマックスフレアシフトカーと交換する。
エース
『WHEEL CHANGE!マックス!フレア!』『FL!FL!FL!FLARE!』
爆炎の渦を足から二連で放って龍型のモンスターをその中に閉じ込め、さらには
継続ダメージも与える。
だがその炎を貫くようにブレスを吐いてアスナへ攻撃を仕掛ける。
エース
『PLAYER SELECT―CARO SKILL―』
ツバサ
「エンチャント・ディフェンス・ゲイン!」
アスナの身体を魔法陣が通過し、そのHPバーに効果付与のマークが表示されると
防御態勢を取る。そのブレスは通常であれば大ダメージなのだがほぼダメージは
緩和されて支障がない程度だった。
ツバサ
「限界時間だな、こいつでいく」
エース
『STARTING Ready!』
『KICK OFF!』『№ZERO・・・フォ!ワード!』
フォワードフォームへと戻り、もう一度交戦に入ろうとした時に声が割って入る。
シノン
「ツバサ!」
見てみると迷宮区の攻略に行っていたシノンと警護としてついてきたクラインも
参戦してツバサに自分が持っていたクラブガンソードを投げる。
シノン
「援護するわ、前をお願い」
ツバサ
「ついて来いよ、シノン。エース、一気にいくぞ!アスナ、クライン、追撃頼むッ」
エース
『OK!ARM SHOES!DUAL SWORD!』
まずはツバサが先行して突っ込み、その強靭な爪攻撃を上手く刃を滑らせて回避し
もう一刀で反撃、さらに体全身を回転させた尾の一撃も一連の流れから側転で回避
と続けざまの反撃に動きが止まった相手にさらに追撃を仕掛ける。
アスナ
「クライン、動きを止めるわよ!―【ペネトレイト】―」
クライン
「おうッ!―【辻風】―」
防御力ダウンに出血効果と低スタン付与のソードスキルを追撃でいれ低確率だった
がスタンが掛り、動きが止まる。
シノン
「(あいつの動きを思い出してッ。動きの連携を確認した時に合図で決めた動きを
見逃さずタイミングも寸分違わぬ速度で射抜く)」
そしてツバサが一度、大きく体勢を低くしたのを見て即座に狙う位置にかまえる。
シノン
「ッ!―【バリスタ・ショット】―」
丁度、ツバサが下段から上段へ斬り上げを行いながらそのまま後転するように飛び
上がった背中をそのショットが通ってツバサの攻撃直後に着弾、さらに斬り上げた
剣を振り下ろし、地上へ降りたその真上をさらに矢が駆け抜けて命中する。
アスナ
「いつの間にかあの2人の息が合い始めてる。かなり仕上げてきてるみたいね」
クライン
「この前までは危うく当たりそうだったのに随分とコンビらしくなってんな」
さらに2人で考案して作り上げたコンビネーションスキルへと移行する。
シノン
「カウント!5ッ―【バリスタ・ショット】-」
シノンの攻撃を合図にまず命中直後に二刀を腰につけなおしてアタックシューズをセットする。
エース
『SHOES!ATTACK!』『HARD SHOES!ATTACK!』
ツバサ
「4ッ!オラオラオラオラオラ、オラァッ!!」
そこに今度はツバサのラッシュ・アタックを浴びせてシノンが駆け出し、エースが
使用権限を譲渡した状態のガンソードの一刀をすれ違い様に受け取る。
クライン
「さっきのスイッチか!タイミング合わせの声も駆けてねぇけど」
アスナ
「連続攻撃後にここしかないタイミングで接近攻撃の切り替え、呼吸もピッタリだわ」
シノン
「3ッ!―【アーマーピアス】―」
防御力ダウン効果付与の短剣スキルによる攻撃直後にここで声が掛かる。
ツバサ
「スイッチ!―【ヴォーパル・ストライク】―」
そして今度は真裏から突撃するためにタイミングを計る掛け声を叫んでそれに
反応したシノンが即座に後退するが少し距離が近くなる。
そこはツバサが身体能力で回避しながらすぐに追撃につなげる。
アスナ
「スキルのキャスティングタイムやスキルの手数、それにスイッチを上手く繋げて
あれだけの多段攻撃にするなんて。粗はあるけどモノにしてるわッ!」
プレイヤーセレクトスキルは強力ではあるが発動するまでにタイムラグが生じるので
コンビネーションを考えた場合、ゲームスキルを使った方が即座に発動出来るの事も
あってツバサもSAOのスキルを取り入れてコンビネーションに組み込む。
シノン・ツバサ
「「1!」」
そういって互いに剣を交差させるように合わせるとエースがセレクトスキルを発動する。
エース
『PLAYER SELECT!―SIGNUM SKILL―』
2人の持つガンソードが炎を纏い、それを上段に構えて同時に振り下ろした。
ツバサ・シノン
「「紫電双刃ッ!!」」
紫電一閃を2人同時に放ったフィニッシュスキルで攻撃開始から相手の龍型モンスタ
ーに反撃の隙も与えずHPを削りきり、撃破エフェクト共に消し去った。
ツバサ・シノン
「「・・・・・・・」」「よし」「ふぅ・・・・」
撃破したのを確認した2人はゆっくりと体勢を戻して一息をつく。
クライン
「すげぇじゃねぇか、2人共!いつのまにこんだけ出来るようになったんだー!」
アスナ
「システムとスキル、それにツバサの特性も利用した見事な攻撃だったわ」
ツバサ
「ちょいとミスはあったが実戦レベルには持ってこれたな」
シノン
「ごめんなさい、ミスが許されない攻撃で無駄があったわ」
完璧にしようとしているシノンにとってそのミスが許せないのか憤った表情になる。
ツバサ
「焦るな、焦りは余計に動きに無駄と雑念を生む。言っただろ、いくらだって支え
てやるってな。ミスは俺が消す、下手に考えるな。次も今の感覚だけ忘れずだ」
シノン
「・・・・ええ」
自分の胸に手を置いて彼の言葉の通りに呼吸を整え、自分自身も整理する。
ツバサ
「まぁ、とりあえずは勝利のVゴール、決めたな?(b)」
いつもの飄々とした笑みでサムズアップしてくるツバサに少し恥ずかしそうだが返す。
シノン
「次は・・もっと綺麗に決めてやるわ・・・(b)」
アスナ
「(まだぎこちないけどちゃんとコンビになってきてるね、2人共)」
はっきり言うとツバサのレベルにシノンがついてこれるとは思っていなかった
アスナだったのだがどうやらコンビの戦いになるとツバサ自体の能力と応用力
そしてシノンの適応能力もあってか上手くかみ合っているようだ。
ツバサ
「よし、それじゃ攻略情報とボス部屋も開けたようだし今回は一旦、戻るとするか」
アスナ
「ええ、あなた達も転移結晶で戻ってください。それと狩りも慎重に、分かった?」
一同
「はい、きをつけます」
礼を言いながら頭を下げて街へ戻っていったプレイヤー達を見送ってツバサ達も
それぞれ転移結晶で拠点へと戻る事にした。
~SAO第76階層街『アークソフィア』宿屋前広場~
ツバサ
「だーるーまーさんーが~~~・・・・転んだ!!」
ユイ・リーファ・シリカ・クライン
「「「「(ピタッ!)」」」」
アスナ
「そして何故に帰ってきてだるまさんが転んだ?」
あれから帰ったツバサはユイと途中で捉まえたリーファ達を参加させて何故か、子供
の頃に一度はやったことがあるであろう遊び『だるまさんが転んだ』を始めた。
キリト
「なんでもツバサの現実世界の話に興味を持ったとかで妹分とか弟分とやった遊びを
話したらやってみたいってユイが頼んだみたいだな」
そんなこんなで今度始まったのは・・・・?
ユイ
「それじゃ、赤でーす!」
するとアスナの下にシリカにツバサがやってきて彼女の服に触れて立ち止まる。
アスナ
「えっ?えっ?なに、なに?」
ツバサ
「いろ鬼だよ、いろ鬼」
キリト
「ああ、確か鬼が指定した色を触れていれば捕まらないって奴だったか?」
ユイ
「今度は~、黒です!」
ツバサ
「ちょうど隣に黒い奴がいたな」
キリト
「黒い奴いうな」
そんでもってさらに次なる遊びを開始する。
ツバサ
「っておい、シノン!お前、蹴っ飛ばし過ぎなんだよ!場所考えろ、場所!」
シノン
「勝負の世界は厳しいのよ」
今度始まったのは缶蹴りらしくツバサが鬼でシノンが最初のキックをやったようだ。
アスナ
「足で円に戻す事にしたからそう簡単にはいかないはず」
リーファ
「いやぁ~・・・足技ってツバサからしたら本職だし」
見てみるとツバサは缶を器用にリフティングして円の場所までさっさと運び始めた。
リーファ
「やっぱりねー!!」
リズベット
「あいつってなんでもできちゃうタイプだったわねー!早く隠れるわよ!」
そうして軽々と円に缶を立てると足を置いて10秒数え始める。そして・・・。
ツバサ
「さぁ~ってと~?あとはシリカの奴だけか、へへっ~、楽々だな」
あっという間に他のメンバーを見つけ出して残りはシリカだけだった。やはり運動
神経の良さに差があるのかある程度離れても一気に距離を詰められて缶に到達でき
ずあと1人見つければ決着だった。
ツバサ
「ッ!」
少し離れたところでシリカが一気に駆け出してきたのだがやはり間に合いそうにない。
ツバサ
「これで終い―――――」
ピナ
「きゅるるる~~♪」
しかし踏む前に別方向から飛んできたピナが缶に体当たりして円の中から弾きだした。
ツバサ
「何!?おい、まて!ピナも数に入ってるのか!?」
シリカ
「ツバサさん、ピナは禁止って言ってませんでしたし、ピナもずっと遊んでましたよ♪」
ピナ
「きゅるる~~♪」
エース
『オモワヌフクヘイガイタモノダネ。トイウカ ツバサモマダマダダネー?』
ツバサ
「フッフッフッフ。獅子はウサギを狩るのにも全力を尽くすという・・・・」
そして得物を捉えたツバサが完全悪者の笑い声を上げて本気モードに移行した。
ツバサ
「こっからシリカ集中攻撃してやるから覚悟しろやゴラアアアアアアアアアア!!!」
シリカ
「ひぃぃぃ!!ツバサさん、大人気ないですーーー!?」
ユイ
「ツバサさんって見た目によらず、すごい負けず嫌いみたいです」
アスナ
「女の子、子供相手にも加減なしね・・・確かに大人気ないわ」
ツバサ
「お前らに本当の勝負の厳しさをおしてやるぜよ」
キリト
「いや、お前、口調がおかしいぞ」
そんなこんなで日が暮れるまでユイ達と散々ぱら遊びまくるツバサだった。
~SAO第76階層街『アークソフィア』宿屋内~
ツバサ
「フッ・・フッ、フッ・・・・ッ!シュッ!」
ほとんどのプレイヤーが寝静まった夜。ツバサは人気のない中央広場の一角でエー
スの中に入れてあったボールデータを使って練習用ボールを精製してもらい、瓶を
ドリブル練習で使うカラーコーンに見立ててサッカーの練習をしていた。
ツバサ
「はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」
さきほどから何十回と同じ工程を繰り返しながら感覚だけでも鈍らないようにしておく。
ツバサ
「・・・はぁ・・はぁ・・・、ッ・・?」
ふと何かが投げられたのに反応してキャッチするとそれは飲み物の瓶だった。
リズベット
「こんな遅くに何やってんのよ、あんた」
気づくと毛皮のマントを羽織ったキリトの仲間の1人、鍛冶屋の『リズベット』がいた。
ツバサ
「トレーニングだよ、トレーニング。体は動かしてないが頭の感覚くらいは鈍らせ
ないようにしとかないと向こう戻った時に支障でるからよ」
リズベット
「まだ80層目でもう現実に戻る事考えてるの?ここまで来るのに2年も掛かったのに」
この意見にあっけらかんと言い放つ。
ツバサ
「終わらせる気で来たんだ。それ以外考える必要あるかよ、必ず戻る、それだけだ」
迷いもない眼と言葉でそれだけ言うとまたトレーニングを開始する。
ふと気づいた、壁に立てかけられている1本の剣。
リズベット
「あんた、その剣、本当に使う気だったの?」
ツバサ
「使わないのに金払って武器買うわけないだろうが・・・ちゃんと金払ったろ?」
リズベット
「まぁ・・そうなんだけどさ」
両手槍プレイヤー
「こんな鈍の低レベル武器なんて使えるかッ!!」
叩き折られる剣を見て表情が引きつる1人の鍛冶屋の少女。
鍛冶スキルが75層を越えた際のバグによっておかしくなってからまともな武器を
作れなくなり常連客も離れていた時にきた上物の客に剣を依頼されて作ったのだが
自分の中ではなかなかのモノを精製したのにも関わらずそれを目の前で見るからに
分かる上位レベルの槍によって粉々に破壊されてしまう。
片手剣プレイやー
「やっぱりリーダーのその武器は切れ味最高だな。知り合いの鍛冶屋特製の名槍、
マスターメイサーの鍛冶屋なんて珍しいからどんな武器作るかと思いきや、とん
だポンコツ鍛冶屋じゃん」
両手剣プレイヤー
「こんなのを攻略組の俺らに売ろうとしてたのか?詐欺商法もいいとこだぜ」
リズベット
「ッ」
自分が本当の実力を発揮すればこんなろくでもない剣なんか作らない、だが実際に
自分の鍛冶スキルではそんな理想の武器は作れなくなっていた。
両手槍プレイヤー
「こんな使えない鉄くずに金と素材払わせたツケはどうしてくれんだ、金返せよ」
リズベット
「なっ、わたしの鍛冶スキルは説明したでしょッ。それに納得して払ったじゃない!」
両手剣プレイヤー
「知るかッ!!こんな使えない武器を作るなんて聞いてないぞ、この鈍鍛冶屋がッ!」
リズベット
「きゃっ!?」
思いっきり突き飛ばされてそのまま倒れそうになったのだが何かに支えられる。
ツバサ
「やれやれ、とんだ上位武器持ちの攻略組プレイヤーもいたもんだ」
リズベット
「あ、あんた」
支えていたのは最近、仲間になったツバサで未だに自分は不信感がぬぐえない人物だった。
両手剣プレイヤー
「こ、こいつ、噂の」
片手剣プレイヤー
「ああ、確か76から79層までのフロアボスを悉く圧倒したっていう」
両手槍プレイヤー
「あんたが何のようだ?これは正当な抗議だ、金を払った以上はそれに見合ったモ
ノを作るのがそっちの最低限の仕事、それもしない詐欺鍛冶屋に制裁してやったんだ!」
この言葉に心底呆れたような顔をしながらばっさりと切り捨てた。
ツバサ
「こいつは最初に自分の鍛冶スキルの異常と大体の武器レベルも伝えていたはずだ。
自称でも高レベル武器に攻略組でやってきたと抜かすならそれによる武器精製の
確率と結果くらいは理解出来んだろ、それを聞いて金払って気に入った武器が出来
なきゃ、金返せ?お前ら・・・攻略組でも後ろで突っ立ってるだけだろ?」
エース
「アア。タシカオボエガアルノコノプレイヤータチハ タシカニウラデ ナニモセ
ズニ ウオウサオウシテイタ。タタカイカタモロクニ シラナイノダロウ」
同じく呆れたようなため息顔を表示させるエースに逆上するプレイヤー達。
両手槍プレイヤー
「てめぇ!!今すぐ決闘だ!少し強いからって舐めやがって!!」
ツバサ
「そんなにご自慢の武器だってんなら、教えてやるよ。こいつの武器との格の違いを」
そういって向き直るとメニュー画面を開いていくつかの素材と金銭をリズベット
に送ってなんと武器生成の依頼をしてきた。
リズベット
「ちょ、ちょっとあんたね!聞いてなかったの?わたしじゃ、碌な武器は・・・」
ツバサ
「構わねぇよ」
リズベット
「えっ?」
なんとも飄々とした笑みを浮かべながら言った。
ツバサ
「お前が今、打てる本気と全力を込めた武器ならそれでいい。作ってくれ、リズベット」
リズベット
「・・・・・どうなたって知らないわよ」
そして貰った資金と素材を炉へと入れて原型を作り、それを持てる力を込めてハンマー
を振るう。甲高い鉄と金槌が響き合う音が響いて段々と直剣の形を成し、それを今度は
水に入れて急速に冷やすと一振りの片手直剣が出来上がる。
リズベット
「出来たわ」
片手剣プレイヤー
「なんだよ、やっぱりただの鈍剣じゃねぇかー!ハッハッハッハ♪」
両手剣プレイヤー
「仲間を信じて奇跡の高レベル武器でいい話だなーって言ってやりたかったぜ、ハハッー♪」
両手槍プレイヤー
「どうするんだ、噂の無敵プレイヤー様?そんな鈍で俺のこの槍と一戦交えるか?」
リズベット
「くっ・・・(わたしの・・わたしの武器はこんなんじゃ・・・・)」
だがここで驚くべき光景が広がった。
ツバサ
「おい、そのまま武器構えてろ」
両手槍プレイヤー
「あ?なんだ、こいつを壊すとでも言いたいか?いくらでもやれよ~♪そんな鈍中の
鈍じゃいくら叩いたってこの槍は―――――」
次の瞬間に鈍い金属音と共に地面に落ちていく『矛先』。
両手槍プレイヤー
「えっ?」
さらには次々に武器に亀裂が入ってバラバラに破壊されてプレイヤーの槍は消えた。
両手槍プレイヤー
「あ、あぁ、あああああああああああ!??!俺の槍が!?何で!鈍剣に!?」
ツバサ
「上位プレイヤー名乗ってるくせに知らないのか。武器にも必ず破壊しやすい部分
がある、ゲームといっても耐久値が減りやすい部分が必ずあるんだよ。そこに一
点集中で一撃を入れればレベル差があろうが破壊は可能、破壊された武器なら後
に完全破壊をするのも容易ってわけさ」
エース
「マァ ホジョニストライカーノ エネルギーヲ ツカッタガヒツヨウモナカッタネ。
ドウヤラ ホントウニ『ナマクラ』ダッタノハ ブキデハナクキミタチノヨウダ」
両手剣プレイヤー
「な、何!?」
ツバサ
「よく覚えとけ、剣が力を振るうんじゃない。それを使う使い手が力を振るうのさ
どんな名刀も使い手が鈍ならただの『鉄屑』、だがどんな無名の剣でも使い手が
『業物』が使えば名刀になるんだよ。どうやらお前らは総じて『鈍』なようだが」
片手剣プレイヤー
「こ、この野郎!!――――ひっ?!」
すぐ目の前の男からはいつの間にか今までの飄々とした雰囲気から例えるならフロア
ボスでも1人で対峙しているような威圧感が放たれてその眼に射抜かれる。
ツバサ
「次は・・・てめぇらが同じようになりたいか?」
今までどんなボスやプレイヤーとも比較出来ない程の威圧感という名の『殺気』に
全身を突き刺されて3人揃って腰を抜かす。
両手槍プレイヤー
「す、すいませんでしたーーー!?!?」
両手剣プレイヤー
「ま、待ってくれ!?おいてくなよ!?」
片手剣プレイヤ―
「化けモンだ!?あいつ、ただのプレイヤーじゃねぇよ、逃げろーーー!?」
情けない声を上げ乍ら、3人を一蹴した青年の後姿を見つめるリズベット。
ツバサ
「いい武器だ」
リズベット
「えっ?」
その剣を肩に担ぎながら振り返って勇壮でいつもの飄々とした笑みを浮かべていた。
ツバサ
「使わせてもらうぜ?リズベット武具店の武器、これからも頼ませてもらう」
そんな事があり、彼はそれからシノンに自身の武器であるクラブガンソードを貸して
いるのもあってその武器を自分のメインウエポンにしている。
リズベット
「武器の強化」
ツバサ
「ん?何か言ったか、リズベット?」
リズベット
「この剣の強化は必ずわたしの店でやんなさいよ。こんな武器持たせた責任はしっか
りとする・・・きっちりわたしが鍛えるわ」
その武器をしっかりと持って差し出してくる。
笑みを浮かべながらそれをしっかりと受け取ってその申し出を受けた。
ツバサ
「当然だ、言っただろ。頼りにさせてもらうってな、頼むぜ?リズベット」
リズベット
「リズ」
ツバサ
「ん?」
リズベット
「わたしの事は『リズ』でいいわ。本当に親しい仲間内だとそう呼ばれてる、あん・・
ツ、ツバサの事をアスナやキリト達も信頼してるみたいだし、わたしも・・そうする」
ツバサ
「・・・ふっ、そうかい。そんじゃそうさせてもらうか。だがあれだな~」
リズベット
「な、何よ」
ここで爆弾発言が飛び出した。
ツバサ
「もうちょっと素直にならないとあいつに勝つのは難しいんじゃねぇの?相手がどっち
かっていうと直球タイプだしな、アスナ」
リズベット
「な、何の話してんのよ!?」
ツバサ
「何って、お前、キリトに惚れてるだろ」
一気に顔が瞬間湯沸かし器のように赤くなって湯気もでていそうである。
ツバサ
「図星か」
リズベット
「ば、馬鹿じゃないの!?っていうか・・・キリトとアスナはもう結婚してて・・・
わたしが入る余地なんて・・・・」
ツバサ
「そうか?当の本人はあの鈍感、それに一応の本妻『候補』も危機感ありありみたい
だぜ。確かにシステムで結婚してるし、両想いだと思っているが自分よりキリトを
想って支えてくれる人をキリトの奴が好きになるなら納得するってな」
リズベット
「えっ?」
どうにもキリトの周りには彼を好きでいる女性プレイヤーが多いらしく、それはツバ
サもすぐに理解出来たのだが本妻のポジションであるアスナ的にはいつも冷や冷やし
ているようである意味、取って代わられないように闘志を燃やしているとか。
リズベット
「そうは言っても・・・キリトも大切だけど、アスナだってわたしの親友なのよ」
ツバサ
「・・・そこら辺は複雑なんだろうがな~・・・まぁ、言える事があるなら1つ」
ボールをリフティングしながら言葉を続けた。
ツバサ
「誰にだって負けられない試合ってのがある。だが端から負ける気だってんなら
話は別だがね?お前が負けてもいいってレベルならそれまでだろうさ、だが」
そういってボールを少し裏目に蹴って振り向きざまに足を一閃する。蹴りだされた
ボールは遠くに置いていた瓶にピンポイントで命中して弾き飛ばし、さらにそれに
よってコースを変えたボールは丁度、街灯に直撃して弧を描きながらバウンドして
またツバサの足元に収まった。
リズベット
「す、すご・・・」
ツバサ
「本気の全力全開でやるってんならそれは結果に繋がる。全部が全部、成功するっ
わけでもないが成功したものはすべからく努力してるもんだ」
片手剣を腰につけなおし、ボールをリフティングしながら宿に戻るツバサ。
ツバサ
「最初から駄目じゃなくてまだ結果が出てないなら足掻くなり、試合を挑んでみる
なりやってみな。俺はあんまり恋路はどうこう分かる人間じゃないが・・・・」
『リズ』に向けてにやりと人懐っこい笑みを浮かべて言った。
ツバサ
「本気ならアシストはするぜ?まずはそのツンデレ属性克服しないと辛そうだがな~♪」
リズベット
「だ、誰がツンデレ属性よ!待ちなさいよ、こらー!ツバサ―ってばー!?」
追いかけてくるリズから逃げるように笑いながら逃走するツバサなのだがさっきと
違ってリズの表情が少し明るくなったのは気のせいではないだろう。
そんなこんなでこの日からシノンの指南役に加えて『リズ』の恋路指南も加わった。
~第80階層迷宮区『魂求めし怪物達の迷宮2階』~
ツバサ
「ハァッ!セイッ!オォッ!!」
エース
『PLAYER SELECT―VIVIO SKILL―』『PASS SINON!』
迷宮区の2階へとやってきていた攻略組は2つの扉があり、それぞれを攻略しなけ
ればならない事になって2手に分かれていた。
ツバサ
「リーファ、シノン、パターンA!直後に3連スキルいくぞ!」
リーファ
「O~K!―【オーバーラジェーション】―」
シノン
「任せて」
まずツバサが一気に懐に潜り込んで黒色のスライムにスキル外の連撃を叩き込み
斬り上げ乍ら、後転で後退したタイミングでリーファとシノンが接近戦に入り、
バッシュ性能があるSSと近距離からの銃撃で隙なく畳みかける。
エース
『SHOES!EDGE!』『HARD HOES!EDGE!』
リーファ・シノン
「「スイッチ!」」
直後にツバサがもう一度、踏み込んでブレイクダンス差乍らのスピンとエッジに
より回転斬りを加えて追撃をしかけ、プレイヤーセレクトスキルを既に付与して
いたシノンがクラブガンソード・ガンモードを構える。
シノン
「いつでもいけるわ!」
銃口の先に虹色の光の球体、ヴィヴィオの魔力光を模したスフィアが形成される。
ツバサ
「フィニッシュ!」
さっきの回転蹴りで周りの取り巻きのターゲットもとっていたので真上に飛び上
がった事でタゲの位置は変えずにその場から離脱した。
シノン
「ディバイン・・・バスターッ!」
だが一匹打ち漏らしがいて攻撃をしかけたシノンにタゲが映った。
リーファ
「シノンさん!」
ツバサ
「・・・・・・」
空中にいたツバサもすぐに迎撃出来たのだがあえてそれはしなかった。リーファが
慌てて助けに入ろうとするのだがシノンが自ら走り出した。
シノン
「ッ―【バーチカル】―」
命中率の高いスタンSSで一閃した後にツバサから受け取っていたモノを取り出す。
『SHOES!HEAVY!』『GUN MODE!HEAVY!』
シノン
「(反動を殺して利用するためにステップと同時に)撃つ!」
少し後方に飛びのいた直後にクラブガンソードの引き金を引く。ヘビーモードの
ガンの反動はかなりのモノなのでゲームと言えど女性プレイヤーのシノンには反動
が大きくまともに地に足を付けて撃つと倒れる可能性もあるのでそれを考慮し、少
し後ろに飛びつつ反動で敵との距離も開けるという方法を取った。
シノン
「まず一点、ね」
リーファ
「シノンさん、いつの間にあんなに動けるようになってたんですかー!」
動きが以前とは明らかに違っている彼女に驚きの声を上げるリーファ。
ツバサ
「まぁ、俺相手に接近戦の練習やってりゃ、あれぐらいの単調な動きなら見切れる
ようにはなるだろうよ。だがヘビーシューズの反動を利用するのは巧かったぜ」
シノン
「火力不足を補うのに貰っておいたけどまともに撃てる筋力値はないから」
彼から反動も少なく尚且つ隙が少ないソニックシューズを渡されたのだが自分自身
の弱点を補うには火力が補正出来るヘビーシューズを選んだ。
シノン
「あなたがいるならソニックでもよかったけど1人で戦わないといけない状況だと
足を止められるこのシューズの方がいいわ。それに2人で戦っている時なら火力
より正確に合わせられるノーマルのガンとソードの方が援護しやすい」
ツバサ
「ちゃんとそこまで考えてるなら十分だ。さてと今のが次の階層にいくモンスター
のようだし扉付近で待機してる攻略組も進んでるだろうし、行くとするか」
そういって歩き出すツバサに2人も続く。
リーファ
「なんだか本当に2人ってコンビって感じになってきましたよね。ツバサもシノンさんも」
シノン
「そういって貰えるのは嬉しいけれどまだまだ置いてかれてるわ。さっきまでの戦
いでも本当だとわたしの攻撃が入るタイミングで遅れて撃てなかったところもあ
ったから・・・リーファがいてくれて助かってるわ」
リーファ
「そんな、わたしなんて何にも。それにツバサに置いきぼり気味なのはわたしもで
すし・・・一緒に戦っててもわかりますもん。やっぱり別格なんだなって」
ALOでシルフ族の五指に入る実力者と言われるリーファでもALO、SAOで彼
と手合せしたがやはり勝負にはならない事が多い。
ストライカーシステムを使い始めたツバサでは特にそうでエースの補助を切った状
態の彼でもやはり実力差があり、その状態でキリトとアスナがやっとのレベルだ。
シノン
「リーファはツバサのリアルでの事も知ってるんでしょ?仮面・・・ライダーだっ
たかしら?現実世界でも見た事あるのよね、リーファは」
リーファ
「はい。それにストライカー以外にも進之介さんのドライブとか、士さんのディケ
イド、ユー君のクウガ、チチェさんのエアマスターとかいろんな仮面ライダーが
いました。それに皆もとっても強いんですよ?あのツバサが苦戦するような人達
ばっかりでしたし」
ある意味驚くモノだった。この世界では別格の強さのツバサですら本気を出して苦
戦するような相手が現実世界にはいて実際に仮面ライダーと呼ばれる存在が今現在
も現実世界ではこの事件解決のために奔走してくれている。
リーファ
「それだけじゃなくて魔導士のティアさんやなのはさん、フェイトさん達もいます
から。その人達も仮面ライダーに負けないくらい強い人達なんです」
シノン
「凄い人達がいるのね・・・仮面ライダー・・・ストライカーしかしらないけれど
それと互角に戦えるなんて」
さらには自分達より年下のヴィヴィオやアインハルト達、新進気鋭の魔法少女達も
いてまだ10歳前後ながらもかなり強い少女達の話もした。
シノン
「じゅ・・・十歳で格闘大会の全国大会・・・(汗。なんだか少女のヴィジョンが崩れるわ」
ツバサ
「ん?どうやら追いついたみたいだな、ストレアとクライン達だ」
次のボス階層の扉の前には最近になって加入した実力者の女性プレイヤーの『ストレア』
とクライン、そしてリズベットの姿があった。
リズベット
「あ、来た、来た。遅いわよ、ツバサ!何をのんびり歩いてきてるのよ」
ツバサ
「悪い、悪い。ちょいと『リズの剣』の切れ味を試しててな、さすがにいい剣だぜ?」
リズベット
「と、当然でしょ。あれから精魂こめて打ってあげてんだから、感謝しなさいよね」
クライン
「あれ~?リズ、お前いつからそんなにツバサと仲良くなってたんだ?いつの間にか
ツバサまでお前を『リズ』なんて呼んでるし、剣まで作ってやったのか」
リズベット
「うっさいわね~!ツバサには借りがあるからそれの代わりに剣を打ったのよ、とい
うか変な意味で捉えんな、馬鹿ッ!」
クライン
「あいてっ!?」
ストレア
「ははっ~♪リズとツバサって仲良しさんなんだね?いいな~、わたしとも仲良くな
ろうよ、ツバサー♪」
ツバサ
「ギャ―――――ース!?!?アホか、抱き着くな!俺が男なのを忘れんなー!?」
そういって抱き着いてくるストレアを慌てて引き剥がす。普段からキリッとしてい
るのだがどうにもこういうのは弱いらしい。
ストレア
「はははっ♪普段と違ってぎゅ~ってするとツバサ面白いね~♪今度はリーファと
一緒にやってみようか、もっと面白いかも♪」
リーファ
「や、やらないよ、わたし!?」
ツバサ
「(たくっ・・・この心臓に悪い悪戯好き、どこぞの魔法少女と一緒だな)」
だがそれより気になるのはお隣のコンビを組んでいる少女。
シノン
「・・・スケベ」
ツバサ
「あのね・・・(汗。」
エース
『キミモ カオニニアワズ ジュンジョウダネ~。ハッハッハ』
ツバサ
「黙れ、エース。今度、ユイとバレーボールにして遊んでやろうか・・・?」
そんな緊張感のかけらもない会話をしつつ次の階層へと足を踏み入れたのだが奥の
方が騒がしいようで顔を見合わせると全員が奔って奥へと進む。
エリス
「くっ、開かない・・・!」
ツバサ
「どうした!」
扉の前では数人の攻略組プレイヤーが扉に向けてスキルなどを放っていた。
そして攻略組の1人で新人達などのナビゲーターをしている女性プレイヤー『エリス』
がいてツバサ達に気づいたようだ。
エリス
「はい、キリトさん達が中に入った後にいきなりこの扉が現れて分断されてしま
ったんです。通常なら援軍として他のプレイヤーも入れるんですが完全に封鎖
されている状態で・・・」
クライン
「ボス部屋で封鎖って・・・75層の時と同じじゃねぇか!」
話だけは聞いていた。その階層で現れた強力なボスによって攻略組は大打撃を受
けその際にキリトの活躍で事なきを得たらしい。
リズベット
「中にキリト達が閉じ込められてるって事?!」
アネット
「エリスッ」
するともう1人の女性プレイヤーで銀髪が特徴的な剣士『アネット』が現れる。
アネット
「中のアスナさん達と連絡がついて中でも正体不明のモンスターが現れたらしい
わ。前に街の広場に現れた個体と同じって言っていたけど」
エース
『マサカ ルフィアンカッ!』
ツバサ
「まずいぞ、俺達以外にあれを倒せる手段がない。エース!」
エース
『OK!STARTING READY!』『№ONE・・・ゴール!キーパー!』
そしてさらにアタックシューズをセットして猛烈なラッシュを扉にぶつける。
ツバサ
「チッ。ちっとは揺らいだがぶち破るには足りないか」
PLAYER
「無駄だよ、仮面ライダーストライカー。いや、ツバサ・ハヤカゼ君」
振り返ってみるとそこには『PLAYER』という名称で魔導師が羽織るような厚手
のフードを全身に羽織その奥から紅い眼でこちらを見つめるmobのような存在がいた。
ストレア
「何、あれ・・・?」
PLAYER
「君達をある種救う者かな。この絶対の力でこのSAOを蹂躙する力を持っている
唯一の存在とでも言っておこう、その扉もわたしによるものだからね」
エリス
「どういう事です!早くこれを開けてください、中にいる皆さんを助けないとッ!」
だが笑い声を共に返答を返してきた。
PLAYER
「出来ないねぇ。何せ、わたしの目的のモノを手に入れるには中にいる黒の剣士が
邪魔なので・・・・後、わたしの研究成果の実験のために他の攻略組のメンバー
には尊い犠牲になってもらわないといけないのさ」
リズベット
「ふ、ふざけないでよ!!今すぐにここを開けなさいよッ!」
そんな声など聞こえないと言わんばかりに話も聞かずに自分の話を続ける。
ツバサ
「・・・・・・・」
刹那、凄まじい速度でツバサはPLAYERの目の前に現れて拳を構えていた。
PLAYER
「!」
エース
『SHOES!ATTACK!』『HARD SHOES!ATTACK!』
ツバサ
「オラオラオラオラ、オラァッ!!」
強烈なラッシュでPLAYERを吹き飛ばし、着地する。
PLAYER
「なるほど・・・そのストライカーシステムは侮れない。これほどのパワーとは」
致命傷にはなっていないようだがダメージは与えたようだ。
ツバサ
「中にいるのもお前の差し金か。一体、何をしようとしている」
PLAYER
「お前にいう必要はないな。なるほど危険因子ではあるがどうにかならないもの
でもないようだ・・・杞憂に終わりそうだよ」
クライン
「ぐだぐだ、いってないでさっさと扉開けやがれ!!」
シノン
「こっちにはツバサとエースがいる。簡単にはやられないわよ」
PLAYER
「それがどうしたのかね?もうすでにその仮面ライダーなどと大そうな名前を
ぶら下げてきたヒーロー気取りの男は犠牲者を出して護れていないじゃないか?」
ツバサ
「ッ」
リーファ
「この・・・ッ!!何も知らない奴がッ!降りてきなさい、勝負よ!」
しかしそんな挑発に乗るはずもなく完全に見下した口調で下の面々に言葉を投げる。
PLAYER
「この世界の人々を救うなど意気込んで来たようだがこれでそれも失敗に終わる
な~?仮面ライダー君?目の前で護るモノが消されていく絶望に打ちひしがれ
ながら見ていると言い。その代わりわたしがこのゲームをクリアし英雄となる」
そしてツバサをその異形の指で指示しながら高らかに宣言した。
PLAYER
「お前は現実で天才などと称されているらしいがこの電子の世界に置いて貴様など
唯の『凡人』に過ぎないッ!このわたしこそがこの世界における天才であり、王!
すぐにお前は現実を知るだろう、わたしとの核の違いというモノをなッ」
下を向いてその言葉を聞きつづけるツバサ。
リーファ
「ツバサ・・・ッ」
だがこの男においてそんな程度など想定内だ。
ツバサ
「ベラベラ、ベラベラと勝手に自分で墓穴ほってくれて助かったぜ、なぁ?エース」
エース
『アア。タシカニコノSAOノ システムヲカイザンシテ ダンジョンヲ カエタ
ギジュツハミトメルガ ユダン ゴウマン ケイソツガ スギテイル』
PLAYER
「負け惜しみはよせ。もうすでに君達の壊滅は必至。君は目的も果たせず 偽善の
ヒーローの名もはがされる惨めな敗者でしかないのだよ」
ツバサ
「そいつは・・・」
エース
『ドウカナ?ソノアバター モウウゴカスコトハデキナイノダガネ』
PLAYER
「な、何・・・?ば、馬鹿な・・・反応が鈍い・・いや、う、動けないッ!」
動作不良のようにカタカタとした動きしか出来なくなっており地面に落下してくる。
PLAYER
「何をした・・何故、僕の作ったこのアバターが・・動作しなくなったッ!?」
ツバサ
「最初にお前にくらわせたラッシュだがあの時にエースが作った杭を打ち込んでお
いたのさ。そいつは特別製で差し込んだデータを解析し、エースによる操作が可
能になるんだ、エースはこの電脳世界じゃなんでもありだからな」
エース
『ソシテキミガ ベラベラトナガバナシヲシテクレテイル アイダニ キミノアバター
ヲシンショクシテ ケンゲンノホトンドヲ コチラデイタダイタ トイウワケサ』
PLAYER
「馬鹿な、ありえない!こんな短時間で僕の技術を簡単に奪うなんてッ!!」
ここでさっきの言葉をそっくりそのまま返してやった。
ツバサ
「確かにお前の土俵で俺は唯の『凡人』だろうがその土俵においてエースは『天才』
そしてそこに立たされたお前が本当の『凡人』、だったようだな?」
そして手を翳すとプレイヤースキルを発動する。
エース
『PLAYER SELECT―SIGELINDE SKILL―』
ツバサ
「首洗って待ってろ、てめぇは俺が直々にブチのめしにいってやる」
PLAYER
「ち、ちくしょ――――――」
ツバサ
「ガイスト・クヴァール」
まさに消滅といっていいほどに跡形もなくヴィヴィの友人『ジークリンデ』の鉄腕
の一撃によって消し飛ばされる。
ツバサ
「さて次はこいつか」
エリス
「でもどうするんです、さすがにこれは簡単に開くようなモノではないですよ?」
リズベット
「ねぇ、エースだったらどうにかできないの?今の解析でどうたらって奴」
エース
『コノトビラニカンシテハ モトカラアル カンペキナデータヲ モトニシテイルブン
ソレガムズカシイ。セイコウホウデハナカナカ トイッタトコロダ』
ツバサ
「正攻法・・・ね」
シノン
「何か方法でも思いついたの?あなたならこの状況をどう切り抜ける?」
そういってシノンからクラブガンソードを受け取ってソードモードにする。
ツバサ
「回りくどいのは苦手でね、という事で正攻法中の正攻法でいかせてもらうさ。丁度
よくこっちには鉄壁を撃ち抜くスペシャリストの技もあるしな?」
にやりと笑みを浮かべるツバサを見てエースは考えを理解したようだった。
エース
『タシカニ カノジョハ ソノヨウトデハスペシャリストダナ。ナンデアロウト
ウチヌク ニンゲンホウダイト イッタトコロカナ』
ツバサ
「本人に聞いたらOHANASIされそうだけどなッ!」
エース
『PLAYER SELECT―NANOHA SKILL―』
天に翳したクラブガンソードを中心に巨大な環状の帯と魔法陣が生成されて中心点に
まるで流星の如く収束していき、莫大なエネルギーを放出し始める。
他の攻略組プレイヤーとシノン達が気づいたのだがわずかながらのSPが減って彼ら
からも光がその中心点へと集まり、そのエネルギーは爆発寸前まで膨れ上がる。
―魂求めし怪物達の迷宮3階・ボス部屋内部&扉前―
キリト
「ダメージを受けた奴らは下がれ!こいつに通常の攻撃は効かない!」
突如として変異したモンスターは表示が以前に現れたルフィアンと同じモノでその
特徴としてあった通常武器・スキルが通じないようだ。
だがスキルを数発あてればとりあえず後退させるぐらいは出来るようである。
アスナ
「メールッ?何、こんな時に・・・・えっ?」
そのメールの文面があまりにも衝撃的過ぎて一瞬止まったがすぐに声を張り上げる。
アスナ
「全員!!入り口の扉、前面から退避ッ!!外からの来るわよッ!!」
シリカ
「へっ!?」
キリト
「どうしたんだ、アスナ!まさか外にもモンスターが出てるのか?」
アスナ
「うんうん、今、外にいるアネットさんから連絡があって・・・・・」
この後に起きるであろう出来事を簡潔に伝える。
アスナ
「扉ぶち抜くから扉の前からどいてやがれ♪って書いてあるわね・・・・」
外では中との連携が取れたのを確認してツバサにアネットが合図を送る。
ツバサ
「咎人達に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け!閃光! 」
最強の砲撃魔導師の『代名詞』とも言える星すらも撃ち砕く閃光をまさか自分が
撃つとは思わなかったが不思議と目の前の攻略困難な扉ですら薄い壁に見えてく
るから不思議なものだ。
ツバサ
「スターーライトーッ!!ブレイカー――――ッ!!!」
収束したSPに自らのストライカー&波紋のエネルギーも込めたなのはの必殺技
『スターライトブレイカー』が炸裂して轟音と共に扉に直撃して凄まじい風圧と
衝撃波、扉がその衝撃で変形し、徐々に亀裂が入り始める。
ツバサ
「うおっ!?くっ、なんつう衝撃だよッ。撃ってるこっちが押されやがる!?」
エース
『アラタメテ ナノハノ カイブツブリガワカルナッ。フンバレ ツバサ!』
逆にツバサの方がSLBの衝撃に後退させられてしまうのだが何かが壁になる。
ツバサ
「ッ」
シノン
「しっかりしなさいッ・・!!男なんだからふんばって!」
ツバサ
「たくッ、好き勝手言ってくれるなッ!一気にぶち抜くからお前も踏ん張れよ!」
そしてSLBにさらに追撃の一撃を放つ。
ツバサ
「ブレイクッ!シュー―ートッ!!」
さらにもう一撃が二重展開していたもう1つの魔法陣から放出されて半壊状態に
までしていた扉を完全に撃ち抜く。
キリト
「どわあああああああああああ!!??」
アスナ
「なんなの、この衝撃波ッ?!」
シリカ
「と、飛ばされちゃいますぅぅ~~~?!」
退避していた中にいた攻略組メンバーも突如として入り口をぶち破って攻撃が通
らなかったフロアボスを巻込んでそのまま向かいの壁に叩き込んで大爆発と共に
フロアを粉塵が包み、視界が悪くなる。
リズベット
「アスナ、キリト、シリカ!皆、大丈夫!?」
クライン
「助けに来たぜ、キリトッ!」
フィリア
「さぁ、いっくよ~~!!」
キリト
「皆、来てくれたのか」
そして合流した面々だったが粉塵を咆哮で吹き飛ばしたボスモンスターがキリト
達に向けて攻撃をしかけようとする。
だがそれを後方から放たれた閃光が直撃してダメージエフェクトと共に足を止めた。
シノン
「クロスファイア・シュートッ、ブレイクッ!」
彼女の周りには無数の魔力スフィアが停滞しており、そのうちのいくつかをクラブ
ガンソードの銃口に集めて砲撃のように放つ。
ツバサ
(そいつは誘導弾として撃つか、砲撃型として撃つか、タイプがいくつかある便利
な技だ。俺の仲間の天才砲撃手の十八番業、上手く使えよ?)
シノン
「弾数は全部で30発。戦況を観て、そして的確にタイプを使い分けるッ。落ち着
いて行くのよ・・・シノンッ」
自分に言い聞かせるように支援射撃の体勢を取ったと同時に『相棒』が出る。
エース
『STARTING READY!』『DRIVE!Type―SPEED!』
アスナ
「エース!ツバサ!」
粉塵を突き破ってきたのは強化形態の『ドライブフォワード』に変身しているツバ
サで装着された車輪を利用して地を滑りながら疾走し、加速したままさらにドライ
ブシフトカーのレバーを数回倒して能力を強化する。
エース
『DR!DR!DR!DRIVE!』
ツバサ
「オラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァッ!!」
以前戦ったような死神型のボスモンスターで急加速からの弾丸連続蹴りから真上に
蹴り上げて追撃しようとするが体を回転させながら大鎌による一撃を放ってくるが
それに目掛けてシノンが攻撃を当てて刃をそらしそこに突撃する。
ツバサ
「コォォォォオッ」
波紋の呼吸によって身体能力の強化を行い、その体から波紋の波動が放出される。
クライン
「今度はどんな技なんだ、聞いた事ねぇ技だぞ?」
リーファ
「確か身体能力を強化する技だったと思う、ツバサの得意な技法だよ!」
強化した身体能力を活かした怒涛の体術を浴びせかけ真上に蹴り上げる。
エース
『DR!DR!DR!DR!DRIVE!』
ツバサ
「迸れ、ハート!突き抜けるほどにヒートッ!刻むぞ、血液のビート!!」
波紋の呼吸によりさらに波紋を強く練るとその体から黄金の波紋が迸る。
シノン
「何?あんなの見た事がないわッ」
キリト
「あいつの身体が黄金に輝いているッ」
ツバサ
「
凄まじい弾幕レベルの拳のラッシュを叩き込んで強烈なフックで大きく相手を
吹き飛ばしてゲージをRED近くまで持って行ったのだがここでボスの攻撃パ
ターンに変化が現れる。
ギルティーサイス
「・・・・・・・・・・ッ!」
エース
『サスガニ ルフィアンドライバーデ キョウカサレテイルmobダ。アレデ
モマダ ケズリキレナイトハ』
ツバサ
「それにさっきの効果で多少はHPも回復させたようだなッ」
突如として攻略組の四方八方からレベルは低いモノの取り巻きの同型mobが
現れて周囲は少しの混乱があったがすぐさま戦闘に入っていた。
シノン
「前の同型mobも同じ、ッ敵」
目の前に迫る相手に向けて誘導弾を撃とうとしたのだがツバサが叫ぶ。
ツバサ
「―――ッ!馬鹿!!後ろだッ!!」
シノン
「ッ!」
裏に気配を感じたのだが反応が遅れてどうにか回避しようとしたが肩にまともに
攻撃を受けてしまってその反動で頭を強く打ってしまう。
シノン
「うぅ・・・(まずい・・・意識が正常に戻ってこない・・・ッ)」
だがそれより先に自分の頭に浮かんできたのはフラッシュバックのような映像。
しかし今までとは違い、誰かの映像を見ている感覚ではなく実際に自分にあった
体験を『思い出した』ような感覚だった。
シノン
「わたし・・・わたしは・・・ 、―――ハッ」
戦闘中だったのを忘れていてすでに相手は追撃の鎌を振り上げていた。
アスナ
「シノのん!!危ない!」
キリト
「避けろッ!」
克服していけたはずと思っていたが恐怖が戻ったのか体が震えてしまう。
シノン
「くッ――――」
もう少しタイミングが早ければ回避まで間に合ったが一歩遅れたせいで回避が
間に合わず衝撃に眼を瞑りかけたのだがその前に影が現れる。
ツバサ
「眼ェ開けろッ!!恐れるなッ、前をみろ!」
なんとかツバサが先に前に立ちふさがってリズから貰った剣で攻撃を防ぐが体勢
的には不利になる。
だがそこは力技でそのまま上に弾き飛ばしてシノンを鼓舞する。
ツバサ
「退けば老いるぞ!臆せば死ぬぞッ!恐怖を知ったなら今度はそれに立ち向かえッ!
逃げてちゃ何も始まらない、進めない!」
Mob同士で呼び合っているのかツバサに一気に襲い掛かってくる。
ツバサ
「恐怖に屈したらお前が求めてる真実にも強さも消されるぞ!立ち上がって前に
進めッ!お前が信じる、求めたことを恐れず貫け!恐怖を認め、恐怖を我が物
にし、それを勇気と力にする。それが恐怖に勝つって事だ!」
取り巻きの上にボスまでツバサに攻撃を仕掛けてきて多勢に無勢になりかける。
しかしその攻撃はその前で止められていた甲高い金属音と共に自分の背中に感触が
あって振り返るとシノンがガンソードでツバサの背を借りながら受け止めていた。
ツバサ
「シノンッ」
シノン
「支えてくれるんでしょ・・・?」
なんとか攻撃を防いだところにキリトとアスナの2人、さらにリズ達も割って入る。
ツバサ
「ああ、支えてやる。いつだってな」
警戒を解かず応戦しながらも2人だけの会話は続く。
シノン
「あなたと背中を合わせていると不思議と震えがなくなる。1人じゃまだわたしは
進めないかもしれない・・・だけどあなたが支えると言ってれて気持ちも軽くな
れた、信じてみるわ。わたしの見つけた『強さ』に辿り着くために」
ツバサ
「どんな絶望的な状況でも諦めるな、俺達なら乗り越えてその先に行ける。どんな
失敗でも挫折でもお前が始めるんだと思った、そこからが本当のゼロのスタート
。先に進むぞ、俺達で、それと・・・このお人好し共も一緒にな」
その言葉に全員がにやりと笑みを浮かべながら頷いて士気が高まっているのか一気
に攻勢に転じ、それと同時にエースから新たな力の完成が告げられる。
エース
『ヨシッ!ツバサ グリッドアイアンガ カンセイシタゾ。イッキニセメキレ!』
ツバサ
「ロスタイムのパワープレーの恐ろしさ、教えてやる!」
特殊端末カード『グリッドアイアン』をセットして変身する。
エース
『NEW FIELD RIDER!』
『CALL!!グリーーッド!アイ・アーン!!』
エフェクトに包まれてその姿が強化形態『仮面ライダーストライカー・グリッド
アイアン』に変身が完了して体勢を低くして相手を見据える。
ツバサ
「おい、そこの!ここからが本当の試合開始だッ!ついてこい、シノン!」
ギルティーサイス
「・・・・・」
シノン
「ッ!あなた達・・・!」
シフトカーフレア・スパイク・シャドウ
「「「♪」」」
相手の攻撃を防ごうと剣と銃で防御態勢を取ったのだがさっきまでと違い、攻撃
に押されたモノの自分でもどうにか踏ん張って攻撃を防ぐことが出来た。
見てみるとシフトカー達がシノンの背中にまわって支えてくれたらしい。
ツバサ
「いけるだろ、シノン?」
シノン
「ええっ、裏は任せて」
そして隙を見せた相手にグリッドアイアンの能力『Δアタック』を叩き込んで
相手の踏ん張りなど無視して大きく後退させる。
だがそれをサイドに開いていたシノンがヘビーガンモードの砲撃を入れ、後退を止める。
ツバサ
「アスナ、キリト、アタック後にバックから頼む!」
キリト
「なるほど、そういう事か。いくぞ、アスナ!」
アスナ
「うん、キリト君ッ!」
さっきのシノンのアシストで理解した2人はボスを越えてその真裏に入った。
ツバサ
「もう一発くらえ!」
ギルティーサイス
「・・・・ッ!?」
だがまだまだ逃がさない。
キリト・アスナ
「「はぁああああああ!」」
シノン
「ツバサ、頼むわよッ」
さらに裏からのアスナとキリトの追撃で前に押し出されたボスにさらにシノンが
砲撃と残りの魔力スフィアを一斉に放ってツバサに時間を作る。
エース
『キメルゾ ツバサ!TRI STAR!MAXIM DOWN!』
『GOAL!GOAL!!GOAL!!!』『VICTORY RUN!』
ショルダーアイアンの装備された右腕を地面に叩き付けた助走体勢を取り、全身に膨大
なエネルギーを纏い、全身に力を込め、全力で地面を蹴り上げ、助走を開始すると地面
を砕きながら猪突猛進にボスへ突撃する。
ツバサ
「トライエンド!!ドライブ!!!」
全身全霊を込めた全身砲弾で凄まじい爆発力と衝撃を叩き込んで何もさせる事も
なくそのままボスを木の葉のように叩き飛ばして粉塵と衝撃波で暴風が吹き荒れた。
ストレア
「きゃあああ!?」
リズベット
「てかボスをあんな子供扱いで吹き飛ばすって何なのよっ!」
だがここで装着されていたドライバーが破壊されて今度は元のボスの状態に戻っ
たのかイエロー状態でまたボスが現れる。
ツバサ
「ルフィアンタイプのモンスターは一度倒しても元の奴が復活するのか」
エース
『モンダイナイ。コレデフィニッシュダ!STARTING READY!』
グリッドアイアンのVストライクは反動が大きく連発は危険なのでチェンジする。
エース
『KICK OFF!』『№ZERO・・・フォ!ワード!!』
ツバサ
「コォォォオ」
波紋を練り上げてその波紋を足へと集中させ、さらに必殺を発動する。
エース
『GOAL!GOAL!!GOAL!!!』『VICTORY SHOOT!』
拘束用のエネルギーボールを精製してギルティーサイスへ蹴り込み、動きを止めた。
ツバサ
「決める、ハッ!ライジング・アサルトッ、おりゃああああああああ!!」
気合諸共、波紋とストライカーのエネルギーを込めたクウガ式ライダーキック
が炸裂して重い衝撃音と共に吹っ飛んで身体全身からスパークを上げ乍ら、粒
子となってボスは完全に撃破された。
同時にその空間には攻略を示す『Congratulation!』が浮かんだ。
ツバサ
「ふぅ・・・・」
一息ついたツバサが向きなおってシノンと視線を合わせると互いに笑みを浮かべる。
ツバサ
「勝利のVゴール、決めたぜ?(bッ)」
リーファ・キリト・アスナ・シリカ
「「「「(dッ!)」」」」
そして起る歓声とベテランの攻略組からも若い英雄の活躍に手荒い祝福が飛ぶ。
ツバサ
「痛ぇ!?痛いっつうの!?祝福と暴力紙一重ーーー!!」
エース
『ウイングスノ シュクフクデナレテルダロ。ガマンシタマエ』
シノン
「わたしは慣れてないわよ!痛いッ!叩くならこいつだけにしてよ~!?」
キリト
「・・・たくっ・・・色々ととんでもない奴だよ、ほんとうに(汗。」
シノン
「でもおかげでこの階層もクリアです、やりました♪」
~第81階層街『バクドル』街内部~
ストレア
「アクティベート完了だよ!」
キリト
「この数日で一気に5階層クリア、かなりのハイスピードだな」
シリカ
「これもツバサさんとエースが来てくれたおかげですね♪」
向こうでは先ほど起きた事についてアスナとツバサの2人が話し合っていた。
アスナ
「このゲームが始まった最初に出てきたPLAYERと同型のアバターだった
みたいだけれどそれがあのルフィアン型mobと繋がってたのね」
ツバサ
「確か前に倒した奴らが隊長だの、さっきの男の喋り方もどうにも最初の奴の
映像と違っていた。軽い感じというか、小物感がしたがな」
エース
『シカシ アノデータヲカイザンシテ ベツノゲートニツクリカエルギジュツ
ハアナドレナイ。ワタシノエンザンノウリョクナラ モンダイハナイガ
イナイトキニ コラレルト ソレコソキュウチニオチイルダロウ』
今回はエースが近くにいたのですぐにデータを改ざんしてアバターの機能を
停止させ、扉自体もなのはのプレイヤースキル『スターライトブレイカー』で
破壊出来たがこうも上手くいくとは限らない。
リーファ
「でも破壊不能オブジェクトでしょ、このフィールドやダンジョンって?それを
破壊するのってゲームシステム的にも出来るものなの?」
エース
『ホンライデアレバ コノシステムニヨッテ マモラレテイルカラハカイハ
フカノウダ。ダガ ストライカーシステムノ ヘンシンキコウニ リヨウシ
テイル ヘンカンキノウヲ リヨウシテ ワザジタイニ データヲ ブンカイ
ソシテ ハカイスルチカラヲ モタセルコトガデキルノダヨ』
ツバサ
「まぁ、エースにこの手の事をやらせれば右に出る奴はいないだろうさ。そっち
の事は俺はさっぱりだから破壊する際は全力全開でぶっ放すだけだが」
エース
『キミノパワーヲ サイダイゲンツタエルチョウセイトイウノモ ナカナカタ
イヘンナノダカラ スコシハネギラッテホシイネ』
ツバサ
「よしよし、労いに帰ったら子供の群れに蹴り込んでやる」
エース
『ソレハ オンヲアダデカエストイウノダヨ』
リズベット
「なんかやんちゃ坊主の面倒を見てるおじさんって感じね、エースって」
ツバサ・エース
『「だれが「やんちゃ坊主」『オジサン』だ」ダネ』
シノン
「・・・・・・・・・」
不思議な人だと思った。最初は警戒していたのにいつの間にか自分を任せても
いいと思える仲になっていて不振がぬぐえなかった他のプレイヤーとも今では
こんな軽口を叩けるほど打ち解けてしまっている青年が。
ツバサ
「シノン」
声を掛けられて視線を向けるとサムズアップしながら労いをかける。
ツバサ・エース
「『Nice Game』」
シノン
「・・・・(b)」
おずおずとサムズアップしてきた手に手を当てて仲間の活躍を喜んでいるようだ。
キリト
「なんだか2人もすっかり『相棒』って感じだな、戦闘も息が合ってたし」
シリカ
「はい、わたしも最近になってようやく攻略戦に入れたのにとても早い参戦で
ちょっとびっくりしました」
ツバサ
「まぁ、もうちょっと頼りがいがあれば相棒にはしてもいいかね~?痛ぇッ!?」
そういってクシャクシャと頭を撫でる彼に鋭いローキックを見舞う。
シノン
「調子に乗らないで、てかあんたって慣れ慣れしいのよ、まったく(怒。」
ツバサ
「あのな、だからって蹴り飛ばす事ねぇだろ!恩人に対して礼儀なってねぇな!」
シノン
「あら?わたしもあんたのピンチを助けてあげたでしょ、それでおあいこよ」
ツバサ
「へっ、少し前まではガクガク震えて涙浮かべて助けてー!だったく――痛ッ!?」
さらにもう一発。
ツバサ
「痛いっつうの!?何度も同じとこ執拗に蹴るな!?」
シノン
「あんたがデリカシーの欠片もないからでしょ、反省しなさいよね」
さっきまでの緊張感などどこへやらのやり取りに全員が大笑いし始めるのだが
当人のシノンもそんな彼との会話や触れ合いが悪くないと思えた。
そしてさっきの『相棒』という言葉が自分の中で何か特別な言葉に想えた。
何も無かった自分にとっての空いていた場所が埋まっていくような感覚。
シノン
「・・・・・・(相棒・・・か)」
仲間からの祝福を受けながら笑みを浮かべているツバサをみながら胸に手を置いた。
~第75階層街『アークソフィア』中央広場~
ツバサ
「どうかしたのか、ユイ。こんな夜中に呼び出して?」
数日後にツバサはいきなり真夜中にやってきたユイに起こされて中央広場まで
やってきていた。何やら内密なようで皆を起こさないようにである。
見てみるとそこではシノンが待っていた。だが妙に落ち着かない様子である。
ツバサ
「シノン?ってユイ、こいつにも声を掛けたのか?」
ユイ
「いえ、わたしはシノンさんに頼まれたんです。やり方を教えて欲しいというので」
ツバサ
「やり方・・・?って言う事は用があるのはシノンの方か?」
とりあえず隣に座って不思議そうな視線を向ける。だがしばらく沈黙。
ツバサ
「・・・・・・・・」
シノン
「・・・・・・・・」
ユイ
「・・・・・・すぅ~・・・・すぅ~・・・」
ツバサ
「って・・・寝ちまったな、ユイ。というより本当に何なんだ?話でもあったんだろ?」
シノン
「ええっ・・・・そうなんだけど。・・・・何て言えばいいのかしらね」
そしていきなり驚くべきことを言ってきた。
シノン
「思い出したの・・・自分の現実での事。全部ね」
ツバサ
「何ッ!?いきなり・・・どうして?」
シノン
「あの攻略戦でモンスターの攻撃を受けて頭を撃った時・・・ショック療法・・かしらね」
それからまた少しの沈黙の後にシノンは自分の『現実世界のシノン』の話を始める。
シノン
「わたしの本当の名前は『朝田 詩乃』。わたしのシノンって名前もそれをなぞ
ったんでしょうね、たしか15歳で・・・高校入試直前だったかしら」
ツバサ
「・・・・・・」
いきなりの事で驚いてはいたがまずは何をいう事も無く彼女の話に耳を傾ける。
シノン
「それでわたしがこの・・・SAOの世界の記憶が始まる前の記憶はわたしは
病院の一室で治療を受けていたはずだったわ」
ツバサ
「治療・・・?・・・治療とSAOになんの関係が・・・・」
だがここである事を思い出した。SAOではないがそういった医療設備とVR
MMOが関係づけられる事柄をツバサは知っていた。
ツバサ
「まさかメデュキュボイドか?」
シノン
「知ってるの?」
ツバサ
「いや、俺の知り合いにそれを治療に使っててALOにログインしていた奴が
いるからな・・・まぁ、関連性があるとすると、って思っただけだ」
だが受験前などの言葉を聞くと木綿季のようにAIDSの難病にかかっている
わけでもなさそうだし、それ以外にもターミナルケアを初めとする多くの治療
に期待をされているモノらしいがあまりそちらの知識は彼にはない。
シノン
「何故、わたしがそれを使っていたのかは聴かないの?」
ツバサ
「お前の性格なら言える事ははっきり言うだろうよ。わざわざ隠す奴じゃない。
・・・そのお前が話しそびれる程だってのは分かる、お前は言えるのかよ?」
なんともいつも思う事だが抜けているようで核心に迫る事を見通す青年である。
シノン
「わたし、ある理由で『PTSD』の治療のためにメデュキュボイドの治療を
受けることにしたの。あれって目や耳の悪い人がVRを利用する事で改善や
補助とかあと痛覚の遮断も麻酔の代わりに使えるとか・・・説明あったわね」
ツバサ
「それでまさか間違ってSAOなんかに入ったんじゃないだろうな。そんなの
あったら医療ミスとかレベルじゃないぞ」
シノン
「違うわ、もっと無難なVRMMO。でもアバター作成をしてカウンセラーを
待ってたら急に足元が揺れて・・・・」
少し考えるツバサ。彼の知識でもある程度の仮説が立った。
ツバサ
「確かあれにもナーヴギアと同様のシステムが搭載されていたはず。たぶん、
俺の友人と違ってSAOが出来た後だったために互換性が強いSAOのカーデ
ィナルシステムがナーヴギアと誤認して強制的にSAOにログインさせた」
シノン
「たぶん、そうだと思う」
ツバサ
「だが・・・さっきの様子だと思い出さなくてもいい事も思い出した・・・か?」
そんな彼に苦笑気味に返答する。
シノン
「あなたって本当にエスパーか何か?こうも人の心を言い当てるなんてね」
ツバサ
「普段、クールぶってるから変化が出ると分かりやすいんだよ、お前は」
シノン
「誰がクールぶって・・・るかしらね。何度も震えてたもの。過去を知らなかった
時もどこか漠然と強くならないと越えられないって想って強くなりたいと攻略組
に参加しようとした、戦えるんだって思ったけど」
思い出すのは目の前でこの世界の電脳世界であるはずのSAOでの『現実』『死』
を目撃し、自身もそうなりかけた出来事。
シノン
「HPがレッドになった時、疲労感と絶望感でまったく動けなかった。怖くて
体が震えて・・・もう終わっちゃうんだ、死ぬんだって想ったら泣きたくて
叫びたくて・・・でもあなたの言葉が浮かんできた」
視線が交わって今までに見た事が無い落ち着いた瞳を見つめる。
シノン
「あなたの言った通りよ、馬鹿にしていたのにあの時、わたしはあなたを頼った
心の底から・・・助けに来てと叫んでツバサはやってきた」
それからだ、自分が彼を気にしだしたのは。自分が求めている強さの定義を彼は
持っているような気がして彼と共に戦っていけば自分もその本当の強さを手にい
れられるとだから彼とコンビを組むと言ったのだ。
シノン
「でもあなたの強さは技術とか能力、それだけじゃなかった。確固たる意志が
あなたにはあった。それは相手がどんな悪だろうと絶望的な状況だろうと諦
めず、見捨てず、あなたの、『仮面ライダー』の誇りのために戦っていた」
全ての人の自由のために戦う戦士、助けを求める声があれば必ず助ける、そして
誰しもが持つ夢と希望のフィールドを護るために戦うのがストライカーだ。
ツバサ
「全てを助ける程、俺は強くなかったがな。これだけ犠牲者も出してこの世界に
来てからも犠牲者は出しちまった。禄でもない悪党だったが・・・でもせめて
目の前にあるモノくらいは助けられるだろうさ」
シノン
「・・・あなたの眼に映ってる目の前の『モノ』ってわたしの考えだけどSAO
の全て・・・じゃないの?」
ツバサ
「・・・・・・」
シノン
「誰かの夢と希望のフィールドを護る戦士・ストライカー・・・リーファからも
聞いたけどVRMMOって本当は誰もが楽しめてそれぞれが求める自由な世界
が広がっているモノだって聞いた、そこであなたや他の仲間と本当に楽しい時
間や経験をしたって」
少しぐずっているユイの髪を撫でながらシノンは自分の考えを述べる。
シノン
「あなたにとってこのSAOですら夢と希望のフィールドだと思えている。そし
てこの世界の全ての人を護ろうとしてる、理屈では不可能と思っていてもそれ
を絶対に諦めない覚悟と意志があなたにはある、違う?」
ツバサ
「・・・進む道が違ったらって話だ。確かにSAOはデスゲームと世間では言
われてる。だけどそれが無かったらって考えたらこの世界は・・・SAOは
色んな奴の夢や希望を叶えた・・・凄い世界だった、そう思うだけだ」
この世界で会った人達を見てもそう思う。本当であれば出会うはずもなかった
がこのSAOというフィールドが運命的な出会いや経験を齎して、『死』すら
付きまとっていなければどれだけ素晴らしいモノだったのだろうかと。
ツバサ
「それと・・・約束したからな。向こうで」
シノン
「約束?」
多くの人との約束、誓い、そして託された希望、だが印象に強いのは2つだ。
ツバサ
「誰にも負けない事、必ず戻る事、また一緒に冒険する事、そしてまたあの
星空の下で笑顔で会う事・・・2人の親友と妹分に約束した事だ」
シノン
「前に話してたユウキって子とヴィヴィオちゃん・・だったかしら?」
ツバサ
「ああ。それにキリトとリーファの親御さんからも頼まれたからな。娘と息
子をよろしくお願いしますってさ、まったく許容範囲超えた事頼まれて安
請け合いしちまったよ・・・この怖がりがさ」
だがその言葉がシノンには信じられない事だった。
シノン
「あなたが?怖がり?どう考えてもそうは思えないんだけど?」
これには今度はツバサが苦笑してしまう。
ツバサ
「今だに戦いは手が震えるさ。もし倒せなかったら、もし護れなかったら
もし失ったら、そして自分が死んだらってな。そんなことが必ず頭を過る」
考えられない事だった。常に勇壮に自信に満ちた顔で最前線で戦っている
ツバサが戦いを恐れるなんて思いもしていなかった。
ツバサ
「逆だよ、恐怖を知らないと戦えない。確かにその場所に立たされたら怖い
し、怯えるけれど同時に想うんだ。それを知るからこそここで自分が戦わ
ないと誰かがその想いを受ける事になる・・・なら今、その恐怖と戦う力
を持っている自分が立ち向かわないといけないってな」
そして大きいのは仲間の存在。自分と同じ恐怖と戦ってくれる心強さと支え
が自分の弱さですら強さに変えて何者にも立ち向かう勇気と力を与えてくれ
た、だからこそ自分は『仮面ライダー』として戦ってこれた。
シノン
「わたしも・・・今度は戦えた。あなたが支えると言ってくれて皆が一緒に
戦ってくれると理解して何故だかとても安心出来た」
ツバサ
「その恐怖を知らなければ同じ恐怖と戦う仲間の事だって分からないし、
立ち向かおうとすら思えない、恐怖を知っているから思うんだ、どんな
に悩み、苦しみ、傷ついても立ち向かい、乗り越えなければ恐怖に全て
支配される。自分も仲間も世界も、そう思うと震えが無くなる」
この世界に仲間と共に生きる人としてそして人と夢と希望を守るための戦士
『仮面ライダーストライカー』として戦うための力と勇気が震えを打ち消し
てそれを越えた先が自らを『変身』させる。
ツバサ
「俺がこんなこと言えた義理でもないが・・・安心しろ。俺がこの死の世界
は終わらせる、そしてお前に教えてやるよ、VRMMOの本当の夢と希望
のフィールドを。必ず連れて行ってやるさ」
そういっていつものように頭に手を置いてクシャクシャと撫でられるのか
と思ったがとても優しい労わるような温もりのある掌だった。
そしてその掌の温もりとこの青年の隣はやはりとても落ち着ける場所なん
だと改めてシノンは思っていた。それは今回の決断の核心でもあった。
シノン
「ねぇ、わたしをあなたの相棒にしてくれないかしら?」
ツバサ
「って、今だってコンビ組んでるだろ?」
シノン
「違う。そんな軽い関係じゃなくてわたしはあなたを支えられる強さが欲しい
、ツバサと一緒にいて分かったのよ・・・わたしが欲しい強さのカタチは
たぶん最初に思っていた敵の屍を積み上げるような事では手に入れられない」
真っ直ぐに彼の眼だけを見て自分の想いを告げる。
シノン
「他の誰かですら支えて一緒に歩いていける強さ、そして誰かの希望に道しる
べになれる、自分だけの世界で終わらない、もっと他の人の世界ですら
変えられるような・・・わたしが欲しいと想った強さの1つのカタチ」
誰もが警戒し、信用されていなかった彼は今では既に攻略組の中心人物にま
でになって攻略外でもその仮面ライダーとしての能力で危険にさらされてい
るプレイヤー達の下へ誰よりも早く駆けつけ救い続けている。
ツバサ
「・・・1つ質問する。お前は・・・今のお前を信じられるか?」
真っ直ぐに向けられる視線を受け止めた上で言葉の決意を確かめる。
シノン
「信じるわ。わたしが欲しい強さを持つ目指す場所に辿りつけたなら必ず
強くなれる、そしてわたしはその『強さを支える強さ』を持つ。だから
ある意味で誓い・・・契りの意味かしらね」
そして悪いと思いつつも本題に入るのでユイに起きてもらう。
シノン
「それじゃお願いできる、ユイちゃん?」
ユイ
「はいです。それじゃ・・・まず画面を開いてですね」
2人で何やら操作パネルをいじりだして?マークが頭に浮かぶツバサ。それから
少しすると自分の方に何やらメッセージが届いてそれを開いてみる。
「わたしと相棒になって シノン」
そしてそれにはプロポーズメッセージの文字。
ツバサ
「なぁ、ユイ。これはなんなんだ?」
ユイ
「これはプロポーズメッセージといってパパとママみたいに『結婚』をする際
にどちらからか相手へと送るものです。今回はシノンさんからツバサさんへ
プロポーズをしたという事になりますね」
ツバサ
「・・・・・結婚・・・?・・・・はぁッ!?結婚!俺とお前で!?待て、い
きなり言われても心の準備がッ、てか飛び過ぎじゃねぇ!?」
シノン
「何、勘違いしてんのよ!?そういう意味じゃなくて相棒よ、あ・い・ぼ・う!
一緒に戦って一緒に強くなるって意味の相棒!け、結婚はシステム状なだけ!」
お互いに大きく取り乱してしまったがとりあえず落ち着く事にする。
ツバサ
「はぁ・・・本気、なんだな?」
シノン
「ええ」
ツバサ
「相棒ってのは背中を預ける関係だ、背中を預けるってのはただ協力する
のと意味が違う、自分の命も預けるって意味だ。お前は――――」
シノン
「預けるわ。それにわたしの命はもうあなたに一度、助けてもらったモノ。
その心強さと頼もしさは分かってる、だから迷いはないわ。今はまだ無理
だろうけど・・・・・」
そういうとツバサの手に自分の手を重ねてしっかり握り宣言する。
シノン
「わたしが今度はあなたを支える、仮面ライダーを支えられるくらい強い人に」
ツバサ
「・・・はぁ、まったく・・・お前ってこうと決めたら本当に突っ走る
タイプだよな。良くも悪くも・・・それも強さか」
今度はツバサがその手に自分の手を重ねて応える。
ツバサ
「これから何があろうと背中はお前に預ける、代わりにお前の背中は俺が預か
った。まぁ、俺もお前とのコンビはやりやすくなってきたし・・・俺達なら
不可能はない・・・エースとの誓いだがお前ともそうなるかな」
シノン
「戦いが怖いのはわたしも知る事が出来た、ツバサが怖いと思った時にあなた
を支えられる強さをわたしは持つわ」
ツバサ
「シノンにはない皆を護るための力、それが俺達の不可能を可能にする力と強さ
・・・って言っててこっ恥ずかしいな」
お互いに苦笑しながらも同時にその甲と甲を軽く撃ちあわせて柔らかい笑みを浮かべる。
そしてそのメッセージにOKを出すと2人のステータスの状態が『結婚』になる。
シノン
「まぁ、ちょっとシステム的に意味合いが違うけどわたし達、相棒って事ね」
ツバサ
「ああ、これからよろしくな、シノン。って何で泣くんだよ」
見てみるとシノンの眼からは涙が流れていて目じりを指で拭ってみる。
シノン
「何よ、キャラに似合わない事して・・・」
ツバサ
「お前の方こそ、そうやって泣いてる顔なんざキャラに合わないんだよ」
ツバサ自身も何故だか分からないがこうして彼女との時間というのは悪い気がし
ない。何故だかとても落ち着いた気分になっていた。
ユイ
「ふぇ・・・お二人共お話は終わったんですか・・・?」
ツバサ
「あれま、起こしちゃったか。あぁ、大体は終わったよ」
そしてあまりよく知らない結婚システムについてユイが説明する。
ユイ
「これでシノンさんとツバサさんが結婚状態になりました。お互いのアイテムスト
レージの共有、相手ステータスを互いにいつでも確認できます」
見てみると確かに2人の持っているアイテム欄が互いに観覧、使用出来るように
なっていて互いにクラブガンソードもエースの譲渡処置が無くても使えるようだ。
ツバサ
「なるほどね、ほいッ」
シノン
「ありがと。ユイちゃん、ちょっとごめんなさいね?」
そういって互いにクラブガンソード・ガンモードを手に取ってもう片方の手で
ユイの耳を抑えると同時に振り返って話の奥へ乱射し始めた。
一同
「おわああああ・きゃわああああああああああ?!?」
何が何だか分からないユイはぽかーんとしながら何事かと想っていたのだが
しばらくして林の中から見慣れたメンバーが飛び出してきた。
キリト
「うわああ?!ストップ、落ち着け!ツバサ、シノン!」
アスナ
「ちょっ、押さないで、リズ!はわっ!?」
シリカ
「はわわっ!誤解ですー!クラインさんが2人が出て行ったと―――!」
クライン
「お前らだって結構、ノリノリでついてきただろうよぉ?!」
リズベット
「あんたが2人が良い雰囲気で告白しそうだー!なんて言ってたんでしょ!?」
ストレア
「あれかな、これから2人でキスとかしちゃうのかな~?」
今までの発言から悪の根源たる人物の前に2人揃って笑みを浮かべながら指を
慣らす仕草をしながら処刑執行を言い渡す。
ツバサ
「いい機会だ、俺とシノンの合体技(即興)くらってみやがれ♪」
シノン
「大丈夫よ、クライン。手加減しないから♪シフトカー達、来なさい!」
シフトカードライブ・マックス・シャドウ・スパイク
「「「「!」」」」
クライン
「ちょっ、話を聴いて――――ごべ、ごば、ぶべ!?」
そういってシフトカー達がどこからともなく現れてクラインにタックルを浴びせ
かけて完全に怯ませたところにツバサとシノンが一気に間合いを詰める。
シノン
「この辺り?」
ツバサ
「そう、そこだ」
シノン・ツバサ
「「ここが一番ッ!」」「「拳を叩き込みやすい角度!」」
そこからクライン悲惨制裁が開始される。
ツバサ・シノン
「「オラオラオラオラオラオラオラ、オラァッ!!」」
クライン
「ぐべぁらばヴぁ!?」
天高く吹き飛ばされて地面に落下し、完全KOされる。
ツバサ・シノン
「やれやれだぜ」「やれやれだわ」
アスナ
「なんだか、凄い息が合ってきたみたいだね。シノのん・・・(汗。」
リズベット
「まぁ、まぁ・・・いいんじゃない。PTも強くなるんだしね」
キリト
「お、おい~、クライン?だいじょう・・・ぶなわけないな・・・」
そうして夜は過ぎていくのであった。
~第76層街『アークソフィア』郊外平原~
ツバサ
「・・・・・・・・・・・」
爽やかな風が吹き抜ける草原で1人、朗らかな太陽の光の下で昼寝を楽しむツバサ。
シノン
「さっさと起きなさい」
刹那、目の前に迫るハンマー。
ツバサ
「ギャァアアアーーーース!!!?」
飛び起きて避けたところに突き刺さるハンマー、そしてそれを持つ見慣れた少女。
ツバサ
「おい、シノン!?お前は俺をナチュラルに殺すきか!?あれは顔面潰れ饅頭で強制ロ
グアウトレベルに危険な一撃だったぞ!てかスキル使ったろ、スキル!?」
シノン
「あんたが寝呆けて怠けてるのが悪いんでしょ、皆とクエストに行くんだからあんた
もさっさと行く準備するの。おいてくわよ?」
そこにいたのはシノンで以前とは違い、表情も明るく活発になったように思える。
ツバサ
「たくっ、会った当初は戸惑って疑心暗鬼で信用すらしてなかったのに2週間で人を
こき使うまでに回復してなによりだよ」
シノン
「ほめ言葉として受け取っておくわ」
そういって先に歩き出し、ツバサも遅れて立ち上がり、大きく背伸びして息を整える
のだがまたシノンが戻ってきて手を引かれる。
シノン
「ほら、さっさと行くわよ、相棒!」
前とは違う真っ直ぐ自分を見る眼差しに信頼が見て取れて少し苦笑してしまう。
ツバサ
「ふぅ~、やれやれだぜ」
そしてツバサもその手をしっかりと握り返すと彼女と共に走り出し、パートナーを呼ぶ。
ツバサ
「んじゃ、行くとするか、相棒?」
シノン
「・・・ッ。ええ!」
この世界に来て出会った共に歩み進む相棒となる少女と出会ったツバサ。
後にこの出会いが彼にとって数々の運命を変える存在になるとはまだ想っては
いなかったが彼の中で今までにない特別な感覚が芽生えていた。
そして浮遊城『アインクラッド』の戦いと物語は激しく、多くの人の運命や
想いを巻き込み、まだまだ続いていく。その終わりに向かって。
~TO BE CONTINUED~