game4 ~魔法戦競技大会に潜む魔の手~
???
「ただいま」
母
「おかえりなさい、夕食にしましょうか?それともお風呂?」
???
「疲れたから少し仮眠する。食事は冷蔵庫に入れておいて」
母
「えっ、ええ」
そういって素っ気ない簡易なやり取りの後、帰ってきた少年は二階に上がって行った。
見つめる母親は、心配そうな顔をしてキッチンに戻っていく。
???
「もっと・・・もっと強くならなきゃ・・・大会で勝てない・・・もっと強さが」
少年はベッドの中にくるまって言葉を呟き続ける。異常な強さへの執着をしながら。
ツバサ
「格闘戦技者連続襲撃事件?」
クラブでチームメートと練習をしていたツバサは訪問してきたヤスから新しい情報に
ついてネタを掴んだというので聞いていた。
ヤス
「まぁ、それはワイがつけたタイトルやけど内容は間違いないわな。この前、お前が
助けた坊主いたやろ?」
ツバサ
「あぁ、この間の3桁を倒した時にいた子か」
ヤス
「そうや。後々、聞いてみたんやけど今度開かれる魔法戦競技大会の出場者やった」
ツバサ
「前にヴィヴィが言ってたインターミドルみたいな大会か?聞いた事ないが」
プロ選手もいてテレビ中継で個人戦が組まれる事もあり、スポンサーやジムなどでも
優秀な新人発掘の場所をもっと増やすという試みからか、インターミドルシップ以外
にも最近では大会が開かれ上位者からプロデビューを目指す新人も多いらしい。
ヤス
「んで次に開かれるのがハイポクシー杯や。ハイポクレート社の社長が費用を出して
新たな才能の発掘を謳ってる大会やけどどうにもいけすかん」
ツバサ
「どういう事だよ」
ヤス
「ハイポクレート社ってのは、スポーツ関連、グッズやチーム、はたまた医学なんて
のにも手を出してる企業なんやけど今までそういった大会には全くの無関心だった
のが最近になって妙に積極的になっとるんや」
ツバサ
「別にいい事なんじゃないか?だってそれでプロになって活躍出来ればスター選手だ
。それを夢見る子供や新人も多いだろうに」
ヤス
「それだけならな。だけどその会社に選ばれた新人やら注目選手なんてのは何故か、
その後、怪我やら病気、はたまた早期の引退ってのに追い込まれてて俺らの中じゃ
ハイポクレート社がやばい薬でも使わせとるんじゃないかって噂もある」
ツバサ
「それの証拠は?」
それには深いため息を吐いて応える。
ヤス
「んなもんあったら今頃大騒ぎや。向こうは財界や情報にも強い、だからこそ変な情
報流そうもんなら会社ごと潰されかねんしな、潰された会社も実際あんねん」
ツバサ
「話は戻すけどその大会にエントリーしてるのがもしかして今回の?」
ヤス
「そういう事や。襲われてるのは全員、そのハイポクシー杯の出場者。こないになれ
ば本来なら中止にすべきなのに一向にその気配もない」
ツバサ
「それも妙だな・・・。普通、スポンサーはそういう不祥事にはかなり敏感だからハ
イポクレート社ぐらいの大企業ならすでに気づいてそうだけど」
ヤス
「まぁ・・・出場者の中にはテレビでも紹介されてる期待の新人が今回は何人もでて
るから注目度も高い。てかその中にヴィヴィオちゃんもおるんやで?」
ツバサ
「ヴィヴィもか。練習が終わったら少し顔を出してみるかな、あの子にも何か変わっ
た事がないか聞いてみる」
ヤス
「あぁ、そうした方がええ。少しでも変化ありならきぃつけぇ?」
ツバサ
「ああ」
そこで話を終えてヤスはまた情報収集に戻ってツバサは一度、ヴィヴィオの学院に行
って見ることにしてエースを呼び出した。
エース
「ナルホド。ソレハキヲツケタホウガイイダロウ、ソレニソノタイカイモチュウイガ
ヒツヨウニナル。カクジツニ ネラワレル」
ツバサ
「だろうな。とりあえずヴィヴィに何かないかどうか聞いてみようと思ってね」
エース
「ソレナラ イドウシュダントシテ アラタナカイハツマシーンヲ ヨボウ」
エースの画面に『COME ON!』と表示されるとどこからかエンジン音が聞こえて
きて見てみると何やらホイール上の物体がこちらに迫ってきて眼前で止まる。
そして直後に展開してそれがバイクのような形態になった。
ツバサ
「これってバイクか・・・?」
エース
「シンカイハツノ ストライカーセンヨウマシーン『ウエンブレー』ダ」
ツバサ
「ウエンブレーって確か、別世界にあるサッカー発祥の国にある『聖地』の名前だよ
な?随分と凄い名前をつけたな、おい」
エース
「ヒジョウニ エクセレントダロ?」
ツバサ
「いいね、気に入った。さてと行くとするか、エース」
エース
「リョウカイダ、ツバサ」
新たなマシーン『ウエンブレー』に乗り一路、ヴィヴィオの学院に向かう事にした。
ヴィヴィオ
「あっ、ツバサさ~ん!」
帰り道の途中でヴィヴィオを発見したツバサはその隣にウエンブレーを停車させる。
ヴィヴィオ
「かっこい~~!」
ツバサが乗ってきたバイクに興味津々なのか、周りをまわりながら触っていた。
ツバサ
「ヴィヴィ、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
ヴィヴィオ
「?」
そして今回の魔法戦技者連続襲撃事件について軽く話だけをして彼女の周りで誰か休
学していたり、何か騒ぎになっていないかを尋ねてみた。
???
「ヴィヴィオ」
その声に振り向くとそこには1人の少年が立っていてヴィヴィオの元に駆け寄る。
ヴィヴィオ
「あっ、アスカさん。ごきげんよう~」
彼女によると彼は『アスカ・エイセイ』。中等科1年でヴィヴィオの先輩。そして彼
も魔法戦技『ストライクアーツ』の有段者でかなりの実力者らしい。
ツバサ
「よろしく、ツバサ・ハヤカゼだ」
アスカ
「お会いできて光栄です。そうだ、ヴィヴィオ、この前、貸すって言っていた魔法戦
技の技術書。気の済むまで借りてていいよ、僕はもう記憶してるから」
ヴィヴィオ
「ありがとうございます~♪」
アスカ
「では」
一礼して去っていくアスカを見送った。
ツバサ
「彼は今度あるハイポクシー杯に出場するのかい?ヴィヴィも出るの?」
ヴィヴィオ
「はい、わたしも出場するつもりです。アスカさんも今度の大会で優勝を狙っている
みたいですけど。後はわたしの知り合いも何人か出ますよ?」
ツバサ
「なるほどね・・・(その大会当日は会場で見張っていた方がいいか・・・?という
より彼にも一言言っておこう、すぐに相談に乗って上げられればいいかも)」
とりあえずこれからの行動について思案したツバサは行動に移る。
ツバサ
「時間を取らせてごめんね、ヴィヴィ。またそのうち、合同練習でもしようか」
ヴィヴィオ
「はい、喜んで♪」
笑顔のヴィヴィオに笑みを浮かべてアスカが行った方向へウエンブレーを走らせる。
ツバサ
「おーい、アスカくん」
アスカ
「?」
呼び止められたアスカが振り向いて立ち止まるのを見て隣にバイクを停車させる。
アスカ
「どうしたんですか、ツバサ選手?」
ツバサ
「えっと・・・ああ、知り合いのイベント関係者が言っていたんだけど今度開かれる
ハイポクシー杯の出場者だけが襲われてるって話があって一応、注意をね」
アスカ
「忠告ありがとうございます。でもそれぐらいの相手、倒せるくらいじゃないと・・
・・そう、そんな奴ら倒せるぐらいじゃなきゃ強くなんて・・・」
ツバサ
「?」
アスカ
「いえ、何でもないです。僕は家に帰りますのでこれで」
そういってアスカは家の方角へと歩いて行った。それを見送ったところで電話がかかる。
ヤス
(あぁ、ツバサか?ワイや、ワイ!新しい情報が手に入ったんや!)
ツバサ
「ああ――――――ッ」
いち早く気付いたツバサが飛びのいてそこに光弾が着弾する。
ツバサ
「お前は――――!」
そこに立っていたのは頭部に2つの歪曲した角と手には槍型メイスが握られており、
今までとは違い女性的な特徴のルフィアンが現れた。
ルフィアン??
「ハァッ!」
襲い掛かってきたルフィアンの攻撃をよけてメイスの攻撃を脇に抱えて止めると素早
く相手を軸に裏を取って蹴り飛ばし、ウエンブレーに乗り込むとルフィアンを裏から
引いてそのまま別の場所へと拉致する。
ツバサ
「お前が今、子供達を襲ってるルフィアンの親玉か!!」
ルフィアン??
「これ以上、この事件に首を突っ込むな!むぅん!!」
ツバサ
「大人しくしてろっ!エース!」
エース
「リョウカイダ ツバサ」
そういって攻撃を繰り出してくるのを何とかよけているとエースの画面からクラブハ
ウスが出てきてすぐさまガンソード・ガンモードに展開して至近距離から射撃する。
そしてそのまま直線にあった砂浜に吹き飛ばして転がったところをさらにウエンブレ
ーで引き倒してドリフトしながら止まる。
ツバサ
「バックナンバー60・・・こいつが親玉か?」
襲ってくるルフィアンの攻撃をクラブガンソードで流しながら飛びかかり、すれ違い
ざまに腕へ一撃を入れてさらにガンモードで連射し、追撃を加える。
ルフィアン60
「貴様・・・覚えておけ。ハッ!!」
両手にオーラを込めて地面に叩き付けると砂浜の砂が舞い上がって煙幕のようになっ
て視界を塞がれ、相手を見失ってしまった。
ツバサ
「ッ!くそっ、逃げられた」
エース
「カンタンニ ヒキアゲタナ。ツバサ サッキノコドモガ キニナル。モドロウ」
ツバサ
「ああ」
アスカ
「あっ・・・」
ツバサ
「アスカ、無事か!変な怪物に襲われたりしてないか?」
アスカ
「はい、大丈夫です。たぶん・・・僕を狙う事はないと思うから・・・」
ツバサ
「それってどういう――――」
ヴィヴィオ
「ツバサさ~ん、アスカさ~ん!」
すると向こうからヴィヴィオが駆け寄ってきてアスカは「それじゃ」と一言だけ言っ
て走り去ってしまった。
ツバサ
「(今のは一体・・・・?)」
ヴィヴィオ
「どうかしたんですか凄い音がしましたけど?」
ツバサ
「いや、気にしなくてもいい。ちょっとぶつかりそうになっただけだ、うん」
納得していないヴィヴィオをなだめ乍らアスカが走り去っていった方向を見るがその
姿は無く、意味深な彼の言葉が気になりつつも一度、ヤスに合流して新しい情報がな
いかどうかだけ確認する事にした。
???????
「チッ・・・・」
そんなツバサを見て舌打ちをする存在は静かに闇に消えていった。
現れた新たなルフィアン、そしてアスカの言葉の真意は?
ヴィヴィオ達も自分の夢や力を信じて出場する魔法戦競技大会に迫る魔の手に対して
ツバサは退け、この事件を解決する事が出来るのか。次回へKICK OFF!