ツバサ
「今回はアルトが護衛についてくれるのか」
とある日。ツバサは用事があって地球へと来ていた。そして彼の補佐官として今回
はアインハルトが同行していた。
彼女の愛機デバイス『アスティオン』こと『ティオ』もヴィヴィオと同じ次世代型
デバイスへと改修が完了したようで彼女も投入されることになった。
アインハルト
「あの・・・ツバサさん」
ツバサ
「なんだ、アルト?」
アインハルト
「この乗り方、恥ずかしいんですが・・・・(赤。」
状況を説明するとこうだ。ツバサのウエンブレーは座椅子部分が少し長いので彼の
足の間にアインハルトが乗るような形になっていた。
ツバサ
「だって危ないだろ。一応後部座席あるが子供に下手な事あったらなのはに(ry」
アインハルト
「こ、これでも中学2年ですがッ」
ツバサ
「うん、子供だな~」
戦いなどでは頼られて連携攻撃などを造作もなくやるのにも関わらず変なところは
子供扱いされるようで闘い以外で彼の性格に慣れないアインハルトからすればかな
り困惑する状態なのだが当の本人はどこ吹く風である。
アインハルト
「そういえば今回は何が目的なのでしょう?護衛に行くようにとしか・・・」
ふと気が付いた。風に流れていく桃色。そして景色に映る同じ桃色を。
アインハルト
「これって桜ですか。流れていく花びら・・・・綺麗です」
ツバサ
「実は今日は俺の知り合いと花見の約束があってな。お前も最近はトレーニングだ
デバイスの調整だので根つめてただろ?たまには息抜きだ、息抜き」
そしてウエンブレーは桜の咲き誇る並木道を走り抜けて停車すると道から少し逸れ
たところに抜ける道があってそこでアインハルトも降ろして自分も降りる。
促されるままに彼の後ろをついて歩く。
アインハルト
「歩く道も桜色ですね。見渡す限りも桜色の吹雪・・・幻想的で綺麗・・・」
ツバサ
「あぁ、ここは季節によって顔を変えるらしい。夏、秋、冬、それぞれでいい風景
を見せてくれるんだそうだ。その季節になったらまた来るか」
アインハルト
「その時はぜひ」
まだ来て間もないアインハルトだったがこの風景はきにいったようだ。
開けた場所にはすでに先客がいたようで見ると男性、ツバサも堅がいいほうでは
あるがそれが小さく見える程に筋肉隆々の身体に白髪を裏で縛り、その隣にはか
なり大きな徳利が置かれており、それを豪快に飲んでいた。
ツバサ
「久しぶりだな、島津のじっちゃん!」
島津
「お?おぉぉーー!!よう来た、よう来た!まっとたど~、ハヤカゼどん!」
豪快な笑い声と共に振り向いたのは白髭を蓄えた男性でツバサと固い握手を交
わして彼の背中を嬉しそうにバシバシと叩いて再会を喜んでいた。
アインハルト
「ツバサさん、こちらのご老人は・・・・?」
ツバサ
「あぁ、俺の武術の師範役をしてもらってる人だ。実は元時空管理局の聖王騎士団
で移植の武士で活躍しててなのは達も教えた事があるんだ、そしてその強さから
『鬼島津』なんて通り名もある実力者だ」
アインハルト
「そ、そんな凄い方だったんですね」
島津
「わっはっはっは!!鬼と呼ばれてたんは昔の話ネ。今はこうやってこの木と共に
余生を過ごす老道場のしがない師範代よぉー」
そういって一まとめにしてあった包みを掴み、ばっと広げると下敷きの布を広げて
さらには2つの重箱を持ってそれを広げ始める。
そこには和洋の料理が詰め込まれた豪華絢爛な重箱弁当だった。
島津
「嫁はんに今日は大宴会と言ったら張り切ってしまってのー!まぁ、味に関しては
夫ながら自慢の一品、いやー、皆が集まるのが待ち遠しいはー!」
奥さんともあった事があると話すツバサだが少し苦笑いに変わる。
アインハルト
「えぇッ?!ツバサさんが体術で全戦全敗・・・?」
ツバサ
「あぁ・・・まぁ、いいとこまでは行くんだが上品な笑みを浮かべながら軽々と投
げ飛ばされて大体、道場に大の字で沈められるんだよな」
そこら辺はやはりこの妻あってこの夫あり?と思ったとか。
島津
「にしても今日は随分と可愛げのある童が一緒におるのー」
アインハルト
「あっ、アインハルト・ストラトスと申します。ツバサさんは武術の指南をしてい
ただいてます。あと一緒に戦わせていただいています」
島津
「こないに小さい体で戦場に出てるとなっ?」
ツバサ
「戦う時は身体強化系の魔法で成人女性くらいにはなるけどね。だが実力は折り紙
つきだよ。専用デバイスも強くなったし、前よりも頼りになるさ」
ティオ
「にゃ~~」
話をしていたらアインハルトの鞄のポケットに入っていたティオが顔を出して島津
の肩にのって大きく背伸びをして一声鳴いた。
島津
「ほほぉ~、なんともめんこい猫じゃの~。ほっほ、なかなか人懐っこいわい~」
しばらくして徐にツバサが立ち上がるとエースを腰に巻いて一枚のナンバーカード
を取り出してセットすると彼の衣装が変わった。
両肩のあいた白の道着に青い袴と足には包帯を足首と足に軽く巻いた彼曰くはこれ
がトレーニングウェアの状態らしく、髪も裏で軽くしばられていた。
ツバサ
「じっちゃん、まだ時間もあるし、一手指南を頼むよ」
島津
「はっはっは!!この老いぼれに指南とはまだまだ捨てたもんではないのかのぉ。
よか!よか!相手仕ろうか」
そういってノシノシと歩き出した島津が向かったのは大きな桜の木の下でそこには
大きな岩の石碑が置かれていてそれには『一刀活殺』の字が書かれていた。
ツバサ
「一刀活殺・・・か。管理局時代は一刀必殺と恐れられた人が変わったもんだな」
島津
「真の示現流をめざし、時には修羅にも落ちたがそれも間違いじゃった。古き時代に
終わりを告げ、新たな時代、若き者達の導となる活かし殺さずの一刀を振るう・・
・それがおいどんの見出した自分なりの真なる示現流・・・さて」
そして振りかざした拳を岩に叩き付けるとそれが粉々に砕け散って中から持ち手も鍔
も刀身も巨大な大太刀が現れてそれを引き抜く。
島津
「真剣勝負の模擬戦と相成ろうかのぉー!!ツバサどん!」
引き抜かれたのは身の丈以上の大太刀を軽々と振り回して肩に下げ、地響きすら轟く
震脚と共にさっきまでの温和な雰囲気は消え、凄まじい覇気を放ち始める。
アインハルト
「・・・・ッ!?」
その覇気に気おされてしまいそうになるアインハルトの前に出たツバサを見るといつ
もの笑みを浮かべて島津に視線を直す。
彼が前にいてくれるおかげでさっきよりはその覇気からは落ち着けた。
島津
「ほぉ・・・、わしのような覇気、殺意を持ちながら全くの異質の気。ツバサどん、
以前会った時に比べて大きくなりおった。何が変わったのかのぉ」
ツバサ
「守るモノは前もあった、でもそれ以上に自分の信条を捨ててでも護りたいモノが出
来た。変わったのはそれぐらいさ」
島津
「ふむ・・・・言うなれば『優しき殺意』、言うてみてもおかしなもんじゃがそれが
一番しっくりくる表現たい・・・んで、これが出来たんかの、これが?」
そういって小指を立ててにかりと笑みを浮かべる島津に大きくずっこけるツバサ。
ツバサ
「人が真面目な雰囲気出してる時になにお茶目みせてんの、バカなの、アホなの、死ぬの!?」
島津
「がっはっはっははっは!!ツバサどんは嘘が苦手ね、よか!よか!青春とは誠によかね!」
ゆっくりと上段に構える独特な構えを取ってまた顔に鬼の覇気が戻ってくる。
ツバサ
「やれやれ・・・。スゥ・・・・フゥ・・・・、はぁぁぁ・・・」
ツバサの方もゆっくりとした呼吸、波紋の呼吸を整えて構えを取り顔つきも勇壮になる。
刹那。
島津
「ヌゥゥゥウウウ・・・・ッ」
一瞬の瞬きの瞬間に島津がすでに駆け出しており、大きく太刀を振りかざしていた。
島津
「チェストォォオオオオオ!!!!!」
まさにすべてを薙ぎ払うと言うような剛の一閃が降り抜かれて裏から見ていたアイ
ンハルトはその一閃がツバサを斬ったように見えて息を飲んだのだが双方ともゆっ
くりと動いて少し距離を取り合う。
島津
「さっきのをあれだけ余裕を見て避けれるようになったと。技も上げたようネ」
その太刀は済んでのところで地面に振り下ろされていてツバサは一寸で避けたようだ。
ツバサ
「そのつもりだったんだけどね・・・やはり鬼島津の太刀は怖い」
はらりと彼の前髪の毛先が一部だけ切れていた。本当に紙一重だったようだ。
島津
「以前は斬る手前で止めておったが今度は振り抜く事が出来もうした、成長よぉ~」
また構えをとってひとつ大きく呼吸をする。
島津
「キエェェーーーー!!!!」
そこから怒涛の連続上段面斬りが来るが素早いステップで左右に後方と最小限の動
きで猛攻を回避して踏み込み顔面へ拳を振るう。
ツバサ
「オォッ!!」
島津
「くぅ・・・!!ヌゥゥン!!!」
それを避けて交錯した瞬間に体を駒のように回転させて太刀をを振り抜くがそれを
体勢を低くしながら回転回避をして前を向き直り、また立ち合いになる。
ツバサ
「さすがにさっきのは死ぬかと思ったぜ。一応、模擬戦なんだから加減してもらい
たいもんだね。非殺傷設定のフィールドを引いているとはいえ」
島津
「それはこっちの台詞ネ。さっきの拳、適格に急所を突いてくる本気の拳よ、あれ
をまともに喰らったら普通の人間は後遺症でも残りそうじゃ」
しかも波紋で肉体強化した一撃なので鍛え上げた腕力にこれを加えた拳ならば普通
よりも破壊力は増し、下手に食らえばそれだけで致命傷になる。
アインハルトもこの勝負を固唾をのんで見守る。それと同時に鼓動が鳴り響いていた。
アインハルト
「(戦ってみたい、わたしも・・・。この太刀を極めた古の武人と)」
以前と違い、強い相手との本気の勝負というものを求めるところが出てきた。
その殺気と覇気に畏怖も覚えたが今はそれと同時に武者震いにも似た感覚が芽生え
てその一挙手一投足を見逃すまいと視線を向ける。
島津
「まっこと蹴球の使い手にしとくには勿体なか男よ、武の道も究める事も夢じゃなか」
ツバサ
「別に達人になりたいわけじゃないんでね。護れる強ささえあればいいのと俺がな
りたいのは仮面ライダーとサッカー選手、その2つで夢と希望を与えるヒーロー
になりたいのさ。だからどっちも本気で修業中、ってね?」
島津
「がっはっはは!!!二兎を追う者は一兎をも得ずなど言うがおんしは、どちらも
極めた真の達人になれるやもしれんのー!がんばりんしゃい、セイッ!!」
ツバサ
「そりゃどうもッ、ハッ!!」
お互いに鋭い一撃放ち、避け、また放ち、その猛攻の応戦を繰り返してしばらく続
けると徐に距離をとって互いに突進し始めた。
島津
「ここからが本当の勝負じゃ、ハヤカゼどぉぉおん!!!」
ツバサ
「ハァアアア!!」
アインハルト
「!!」
その後に何故か、島津とツバサは防御無しの殴り合いに発展しだした。
島津
「ハヤカゼどん!」
ツバサ
「じっちゃん!」
島津
「ハヤカゼ、どん!」
ツバサ
「じっちゃ、んッ!」
島津
「ハヤカゼ、どーん!!」
ツバサ
「じっ、ちゃーん!!」
島津
「ハーヤカゼ、どーん!!!」
ツバサ
「じーーーーちゃーーん!!!」
アインハルト
「(何をなさってるんですか、この人達ーーーーーッ!?)」
島津・ツバサ
「「日ノ本名物・殴り愛(b・b)ッ!」」
アインハルト
「(そんな名物聞いた事もないんですけどー!?てか愛の形を間違ってます、お二方!?)」
島津
「さぁ!!続きば――――」
ツバサ
「望むとこ――――」
詩乃
「やめい!!!」
刹那、2人の頭部を閃光の如く襲う一撃に2人はそのまま前のめりに叩き伏せられる。
アインハルト
「(なんか鬼と仮面ライダーがギャグマンガでやられるモブキャラの扱いにー!?)」
最近、ツッコミのボキャブラリー増えたね、覇王ちゃん。
詩乃
「繋ぎの文が干渉してるんじゃないわよッ!!」
ぐはっ!?
アインハルト
「い・・・一体、何に向けて言ってらっしゃるんです・・・・?」
明日菜
「ははっ・・・深く考えない方がいいと思う・・・(汗。」
珪子
「たぶん・・・そういう仕様だよ。うん」
見てみると裏に見知らぬ人達がやってきていたが見慣れた人物もいた。
アインハルト
「(復活速いですね・・・・)」
君もこっちに構うんじゃない。
ツバサ
「し・・詩乃・・・お前のハリセンどうなってんだ・・・威力がおかしい・・・」
詩乃
「あぁ、だってハリセン部分も金属だし、クラブガンソードRって便利よね」
そういって取り外したのはハリセンマークのついたシューズユニットでいつの間に
かクラブガンソードに似ている武装を持っていた。
ツバサ
「って何でお前がガンソード持ってるんだ?エースが出してもいないのに」
詩乃
「あんたと付き合うなら危険な目にも会うからって博士が護身用にリペアのクラブ
ガンソードを渡されたのよ。携帯時はキーホルダー型だけど」
ツバサ
「もしかして最近、フェイトに新しい教え子出来たとか言ってたが詩乃の事か?」
裏からやってきた彼らの送迎車を出してくれていたフェイトを見やる。
フェイト
「うん、博士に言われてね。さすがにゲーム内とリアルだと色々と違ってくるから
現場の状況だったり、使う人の能力だったり、でも詩乃は理解も速いからすぐに
使いこなせるようになったよ、ALOでも練習してるしね」
最近は連戦続きでチームを離れられなかったり、財団X、そしてルフィアン達と共
に敵対勢力に加わったショッカーというライダーの宿敵と教えられた組織との闘い
もあってかあまりALOにログインしていなかったがそういう事だったらしい。
アインハルト
「でも何故にハリセンシューズ・・・・?」
詩乃
「ツッコミ用。わたしの周りはボケキャラが多いからあると便利なの」
フェイト
「確か博士が色々作ってたかな。ツッコミ用、おしおき用、捕獲用、浮気防止用」
ツバサ
「最後の方、どう考えてもおかしいよな。用途間違ってるよな?」
明日菜
「わたしも作ってもらおうかな・・・・」
和人
「えっ・・・(汗。」
里香
「いいんじゃなーい?あんたは浮気性属性あるんだからおしおき用貰えば~?」
和人
「お前なぁ~・・・・!」
ツバサ
「愛人候補№1が何言ってやがる。SAO時代から――――むぐっ!?」
里香
「ばっ!?誰が愛人候補よ!そのふざけた口を今すぐ塞ぎなさい!」
明日菜
「まぁ、里香はわたしのライバルだもんね~?」
里香
「ちょっ!明日菜も黙りなさーーい!?」
珪子
「わ、わたしもライバルに立候補しましたよー!!」
そういって追いかけっこが始まってしまい、置いてきぼりをくらう男性陣。
フェイト
「っはっはっは・・・(汗。とりあえずわたしは他の子達を連れてくるから先に
初めててくれるかな、ツバサ?」
ツバサ
「あいよ」
柔らかい笑みを浮かべてフェイトが手を振り、他のメンバーを迎えに向かった。
島津
「という事はこの者達があの大きな戦いでハヤカゼどんと戦った若き英雄達かのー!」
ツバサ
「ああ。俺の頼りになる仲間達さ」
島津
「はっはっは、新たな時代を担うに資格あるいい顔を持った若人達よの。おぉっと
自己紹介がまだじゃった、おいは島津 義弘と申す、以後よろしく」
一同
「よろしくお願いします」
豪快に笑った島津は剣を地面に突き刺すとおいておいた床敷に奥さんの作った色と
りどりの重箱弁当を広げてまたも豪快に座り手を打ち合わせた。
島津
「さぁー!さぁー!この良き日に豪勢な宴の席を用意できたのも実に良き事ね、今
日は無礼講でぱぁーっと騒ぎんしゃい、心行くまで楽しむがよかねー!」
ツバサ
「んじゃお言葉に甘えていただくとするか。フェイト達もすぐ来るって言ってたしな」
明日菜
「わたし達もお料理持ってきたわよー?」
里香
「わたし達の特製オードブルなんだから味わって食べなさいよね?」
そうして広げられたバケットにはおかずの入ったタッパーと色取り取りのサンドイッチ
がぎゅうぎゅうに詰められたオードブルの定番セットだった。
それにペットボトルの飲み物各種に女の子らしいお菓子各種も用意済みだ。
アインハルト
「ツバサさん・・・いいんでしょうか、お花見なんてしていて」
ツバサ
「実はな、向こうでも花見はしてるんだ。ただ俺がこっちに用があったから護衛役に選
ばれたお前はこっちの花見に参加って事になったんだよ。だから楽しめ、楽しめ!」
島津
「そうじゃそうじゃ!楽しみんしゃい、楽しみんしゃい!がっはっはっは!!」
にかりと笑いながら頭をくしゃくしゃと撫でられる。だが悪い気はしなかった。
フェイト
「島津教官、お久しぶりです。どうぞ、一献」
島津
「ほっほっほ!テスタロッサ殿も随分と別嬪になったもんじゃのー!どうじゃ、ええ男
でも見つかったんかいの~?おんしなら選びたい放題か、がっはっは!」
フェイト
「も、もう教官ったら。あまり変な事言わないでくださいよ」
以前はフェイトも島津に師事を仰いだことがあるらしくいまだに教官呼びのようだ。
直葉
「そういえばツバサ、たまにはALOにログインしてよー!久々にクエストやろうよ」
ツバサ
「俺も地獄の4連戦とかあってなかなか時間が作れなくてな。今度、ログインするよ」
琴音
「だったらあのクエスト手伝ってもらおうかな、ツバサ入れば安定するし」
そういって口々に手伝ってもらおうなどと話し始めたのでばっさりとそれを切り捨てる。
ツバサ
「お前ら、俺を自動クリア券かなんかと間違っちゃいねぇだろうな、おい」
里香
「え~、いいじゃん、いいじゃ~ん。わたしも欲しい装備品クエストあるからさ、
手伝ってよ~?なんなら鍛冶の料金割引するからさ~?」
ツバサ
「それで1割引きとかいうオチじゃねぇだろうな、ぼったくり鍛冶屋のリズベット君?」
里香
「なんですってぇー!誰がぼったくりだっつうの!」」
組み付いてくる里香と組合になりながらも攻防を続ける。だがすぐに襟元を鷲掴みに
してそのまま力任せにリズから引き剥がされてすぐ眼前に別の顔が現れる。
詩乃
「楽しそうね、相棒・・・?丁度、おしおき用ってのもあるから体験しなさい」
ツバサ
「まて、おい。してみるとか提案じゃなくてなぜに確定になるんだ!STOP!?」
今度は詩乃を抑えながら攻防戦を繰り広げる事になり、SAO時代のトラウマが蘇
ったのか直葉と珪子が隅っこでガクガク震えていた。
そして一方では日本人とは浮世離れした容姿のアインハルトが人気のようである。
琴音
「あ~ん、本当にお人形さんみたい~♪」
明日菜
「いいな~・・・こんなきれいな肌になりたいわ。うん~、すべすべ」
アインハルト
「あの、あの・・・えっと・・・あ、ありがとうございます?」
本当にお人形のようなスリスリされたり、触られたりされるびでアタフタする。
エギル
「確かにな~。オッドアイの眼もそうだが髪の色もあまりないタイプだな」
遼太朗
「アインハルトも可愛いけど俺はやっぱフェイトさんだよなー♪女の色気満々であ
のプロポーションだろー?なかなかアイドルとか、女優でもいねぇぜ?」
直葉
「クラインはそうやってがっつき過ぎるから持てないんだよ~」
遼太朗
「がっついてねぇ~だろ!?遠くから眺めてるだけだっつうの」
ここでぬるりとツバサがせり出してきて自身の経験を踏まえて忠告する。
ツバサ
「フェイトはやめた方がいいぞ~?あいつ管理局内外にファンクラブある上にあの
容姿にクールビューティーなタイプだから女性人気も凄いからな。前にあいつと
買い物行ったら殺意の視線で針の筵だったからな・・・精神攻撃は基本レベルだ」
その他にも突如として飲みかけの缶ジュースが後頭部に直撃したり、何故か料理に
大量のチリペッパーパウダーが投入されていたり、どこからか強烈なピンク色の魔
力光をまとった弾丸シュートが飛んできたり、挙句には血涙流した野郎共に建物の
向こう側から殺意の波動を受けたりと自覚がない本人を除いて酷い目にあったのだ。
遼太朗
「・・・・・・なんか、すげぇな・・・・」
ツバサ
「ああ見えても大きな事件を解決した英雄でそういった面でも有名だからな。なの
はも加えて今でも管理局の二枚看板だってのもあるかね。俺からすると親バカで
極度の心配性な上にドジと天然が組み合わさった――――!?」
刹那、超速反応したツバサが遼太朗を突き飛ばして自身も回避するとその間を黄色
い閃光が駆け抜けていき、その方向を見てみるとにこやかな笑みを浮かべたフェイ
トがもう一個の魔力スフィアを停滞させながら口を開く。
フェイト
「ツバサ、ある事ない事言っちゃう悪い子はめっ、しちゃうよ?」
ツバサ
「イ・・イエス・マム」
詩乃
「さすがです、フェイトさん」
そのうち魔法砲撃でもしてくるんじゃないだろうなと一抹の不安にかられるツバサ。
ツバサ
「じっちゃん、悪いんだけど数日アルトに稽古つけてくれるか?こっちに俺も滞在
する予定だから相手が欲しい時は呼んでくれればいくからさ」
島津
「ほぉ~?よかね、よかね。この老いぼれの身体でよければドンと貸そうぞー」
すると念話が聞こえてきてどうやらフェイトらしい。
フェイト
「(ねぇ、ツバサ。今回、護衛にアインハルトを頼んだのって島津教官に稽古をつ
けてもらうため?本人にはたまたまだって言ったみたいだけど)」
ツバサ
「(じっちゃんは、実際に戦ってもそうだけど話の1つ、言葉の1つが財産になる
から最近吹っ切れた今が色々と吸収するいい機会だと思ってね)」
それに和人や直葉も彼の道場に稽古にいっているので交友関係を増やすのにもいい
だろうと色々な相乗効果を期待してのことだった。
それからしばらくしてまったりとした時間になり、こっそりと詩乃とツバサは2人
で抜け出して桜並木を歩きながら談笑を楽しんでいた。
詩乃
「そういえば事件で会って以来かしらね、こうやって2人っきりになるのって」
ツバサ
「そうだな、解決した後は俺も元の世界に戻ってゴタゴタしてたし、そっちも学校
やらリハビリやらで会う機会も早々なかったか」
ツバサがALOにもログインしていなかったので画面越しに会う事はあっても直接
あったのは久しぶりだった。
ツバサ
「そういえば・・・・」
詩乃
「?」
立ち止まったツバサは腕を少し曲げた状態で詩乃に目くばせをして何かを訴える。
詩乃
「何よ?それ」
ツバサ
「前に今度会った時は恋人っぽいところで普通のデートをしたいってSAOの時に
言ってただろ。まぁ、並木道を歩くだけだがデートっぽくていいだろ?」
その時は手を繋いで街中を歩きながら買い物などもしていたのだがこの場所であれ
ばこうやって歩くくらいなので行動だけでも恋人っぽく、とのことらしい。
詩乃
「以外、ツバサからそういう事言ってくるなんて」
ツバサ
「俺もたまには和人達のマネってのもいいかなと思ってな・・・キャラじゃないか」
少し恥ずかしそうに顔をかくツバサに噴出して口元を抑えながら笑ってしまう。
詩乃
「ふふっ・・・うんうん、わたしもそうしたい。それにキャラじゃないのはわたしも」
腕に自分の腕を絡めて体を預ける。自分でも分かるくらいににやけた顔で。
詩乃
「好きな人が出来てこんなに会えただけで胸の鼓動が止まないなんて前までのわた
しのキャラじゃないもの・・・。でもいい気分よ、今この瞬間が」
ツバサ
「ここしばらく会えなかったし時間も無かったし、久しぶりにゆっくりと時間取れ
るから事件が起きた時以外は一緒に入れる。長期渡航許可ももらったしな」
詩乃
「そういえばチームの方はいいの?シーズン中でしょ」
ツバサ
「こっちの世界とは違って移籍期間が初夏にあって今はそれで試合も無いんだ。ん
でオーナーにいつまでもお前をほったらかしにしてないでちゃんと女の子を大切
にしてきなさいって逆にこっちに蹴りだされちまったよ」
さらにはこんな事を言い出したのもミシェルやインフィなどにデートのテクニック
やらこういうのに憧れるだの講義(強制)を受けたのとちょっと間が差したのもあ
ってか、キャラに合わないと思いながらも自分から誘ってみたのだ。
詩乃
「・・・・泊まる場所とか決まってるの?」
ツバサ
「・・・・えっ?」
その発言にツバサが詩乃の方を見ると期待するような上目遣いでこちらを見つめる。
ツバサ
「・・・・これから決めようかなと思ってたところだけど。どうかしたか?」
詩乃
「わたしアパートで1人暮らしだし、来客用の布団もあるから・・・泊まっていって」
ツバサ
「・・・・おう」
この後、戻ってきた2人が全員から顔が赤い、「にやにや」されたのは言うまでもない。
今日はこれでお開きという事になり、ツバサは詩乃の家に泊まるために彼女を送り、
フェイトも他のメンバーを送った後に管理局へ戻った。
アインハルトはというと島津が送るといって自分の肩に彼女をのせていつもの如く
豪快に笑いながら道場に戻っていったのだがアインハルトは恥ずかしそうだった。
しかしこの豪傑との出会いは彼女にとってのターニングポイントとなる。
次回へ続く!