自機は主人公張れる気がしなかったので   作:千里亭希遊

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新型ふたり

「先日他部隊に3名新人が入ったが、今日はお前達に新しい仲間を紹介する。加賀美リョウ。こいつは新型だ。新型二人に手柄を全部取られて泣かないように精進しろ。以上」

「よ、よろしくお願いします!」

 

 ツバキさんに紹介されて彼は多少緊張ぎみに挨拶をした。

 新型だってよ……また……なんて声が隅から聞こえてくる。

 

 初日にツバキさんから「立たんか!」と叱責されたことを思い出して、

 

「きっとツバキさんの雰囲気のおかげで緊張倍増だよなー」

 

 なんてコウタと二人でコソコソ言い合った。

 

「よう! 俺、藤木コウタ! アンタ俺よりちょっと年上ってとこか! そんな緊張すんなって、よろしくなー!」

 

 ミーティングが終わって上官の皆さんが行ってしまったら、さっそくコウタが声をかけてた。

 屈託なく誰にでも声をかけられる彼はいつだってまぶしい。

 

「アパスといいます。よろしくお願いします」

 

 コウタのようにできたらって思うけど、どうも堅苦しくなってしまう。

 それでも笑顔だったのは功を奏したのかな。コウタの明るさもあって、彼の緊張は溶けきったみたい。

 

「ああ、よろしく!」

「わたしたちも少し前に入隊したばかりなんです。きっと最初はベテランの方々とのミッションになると思うからあんまり顔をあわせないかもしれないけれど、一緒に頑張りましょう」

「あーっ、なーんだよ俺にはタメ口なのにそんな丁寧にー」

 

 コウタが不平を訴えた。

 

「えーコータに丁寧語なんて使う気しなーい」

「なーんだよそれー」

 

 からかっても笑ってすませてくれたり、逆に数倍のからかいでかえしてくるような人相手だと、ついいつもふざけあいたくなってしまう。

 コウタはまさにそういう人物なんだ。

 

「あはは、そんなに変わらないっぽいし、俺もタメ口でいいよ」

 

 加賀見くんはとても気さくそうな人だった。

 

「あ、絶対リョウもだまされてる! こいつこれで21もあるんだぜ!」

「も、ってどういうことかしらー」

 

 いつのまにか後ろにサクちゃんがいた。

 彼女も21歳だなあ。

 

「げっ、え!? いや別に!」

 

 コウタ、たびたびサクちゃんに対する憧れを語ってたよね。

 そりゃ慌てるよねぇ、と思いながらついニヤニヤする。

 当然コウタに睨まれた。えへ。

 

 まぁこんなことでサクちゃん怒らないけどねーなんて思う。

 

「ふふふ、仲良くなれそうで何よりだわ。加賀美君、私は橘サクヤ。さっそくミッションがきているわ。ほんとはリンドウとの予定だったんだけど……あぁ、第一部隊の隊長よ、雨宮リンドウっていうの。お調子者だけど、頼りになると思うわ。けど予定が合わなくなっちゃって。……準備ができたら、行くわよ! 落ち着いて頑張りましょうね!」

「はい!」

 

 ということで二人は準備のためにエントランスを去っていった。

 

「いいなーサクヤさんとのミッション~~~~」

「コータも最初二人で行ったでしょー」

 

 ほんと好きなんだからーと苦笑した。

 

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 加賀見くんはその人柄であっという間に誰も彼もと打ち解けてた。いつの間にか皆が彼のことは『リョウ』と名前で呼ぶようになってた。

 わたしはなんとなく『加賀美くん』呼びを続けてる。

 

 ちょっと前彼は第二部隊の隊長さんとエントランスで話してたんだけど、ゴッドイーターになる前は無職だったみたい。

 それが信じられないくらい人付き合いも上手くて、責任感もあって、自然とその場を取り仕切ることができるような行動力も持ってる、って感じる。

 

 こんな人でも無職でいるしかないのが、現在のこの、どうしようもない世界なんだ。

 

「新型ってのはどいつもこいつもこんなもんなのかねぇ」

 

 リンドウさんが、感心してるのか呆れてるのか、よく分からない調子でそう言った。

 

「オウガテイル討伐中にいきなりヴァジュラに遭遇して、それを二人でのしちまったんだって? コウタが大騒ぎしてお前らのことふれまわってるぞ。そういう時は逃げろっつの。まぁ、生きて帰ってこれて何よりだ」

 

 ぽふん、と頭に手をのせられた。なんだか彼の心配が伝わってくるような気がして申し訳なくなった。

 でも、行ける気しかしなかったんだ。

 

 わたしはヴァジュラと戦うことは初めてじゃなかった。

 でもコウタや加賀見くんはおそらく初めてだった。それ考えたら討伐指定外のアラガミなんかにこだわらずに、さっさと逃げ帰るべきだった。

 

 だけど――

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