TSしたから女子校で電波系女子ごっこをしていたら、いつの間にかヤンデレ美少女に囲われていた件について   作:ペンギン3

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四話 ボク電波

 生まれ変わり、前世。

 転生って語彙は、最近流行りのモノになっちゃうから、わざとズラして生まれ変わりって言った。

 

 そっちの方が、それっぽいしね!

 

 突如として、こんな質問を投げかけられた岸根さんは、目を白黒させた後にちょっと考えて。

 

「分からない、かな」

 

 岸根さんにしては、普通の返事を返したのだ。

 でも、すごく真剣な表情をしてくれてるし、いっぱい考えてくれての答えだって分かる。

 

 オシャレな言い回しじゃなくても、それで嬉しい。

 だって、ボクの言葉に、一生懸命になってくれたってことだから。

 

 ミステリアスな少女は、実は友達に構って貰えるのが嬉しいって思うものだし!

 ……ボクも喜んでたりしてるよ? 岸根さんが、こうして来てくれて。

 

 恥ずかしい上にお口がアレだから、上手く伝えられないけど。

 

「白銀さんは、どう思ってる?」

 

 それでも、やっぱり岸根さんは優しくて。

 言葉足らずで無愛想レベル100のボクと、ちゃんと会話をしてくれてる。

 

 顔面がはがねタイプじゃなかったら、多分ぬへって笑みを浮かべてたと思う。

 

「……ある」

 

 だから真っ直ぐ、思ってるままのことを口にした。

 実際問題、ボクは転生者だから疑う余地は無いしね!

 

 ただ、証拠を出せって言われても出せるものはない。

 だから、信じてって、岸根さんの目を上目遣い(無の表情)で見つめるしかなくて。

 

 それだけじゃ足りないかなと思って、もうちょっと付け加えた。今回テーマの死生観のことも踏まえて、それっぽく。

 

「人は、生まれ変わり続けてる。だれかに」

 

「誰か?」

 

「だれか」

 

 転生した理由について、考えてみたことはあった。

 幼少期の時とか、ずっと暇だったし。

 

 ボクが転生したのは、死んじゃうより過去のことだった。

 産まれ直すのが、必ず未来だとは限らないってこの時初めて気がついた。

 

 そう、死後の世界は過去と未来の狭間にある。

 どこにだって行けるし、どこにだって行ってしまう。

 

 だとしたら、未来に産まれるボクの中には、ボクじゃない誰か別の魂が入っているのかもしれない。ボクが産まれるのだって、そう遠く無い未来だしね。ボクの魂をコピペでもしないと、存在が矛盾しちゃいそうだし。

 

 もし、このボクの考えが違って、同一の魂だけしか存在できないなら。

 その時は、ボクは近い将来死んじゃってるのかも……。

 

 ──なんてね!

 そんな訳ないだろうし、ていうか、これがボクの初めての妄想なんだ!

 

 考えるのって、妄想するのって楽しいよねって、これで分かったんだ。

 えへへ、自分がもしこうだったらって設定、考えると止まらないよね!

 

 因みに、今のボクはミステリアスクール系少女だよ!

 

 まあ、簡単に要約するとね?

 

「きしねはボクで、ボクはきしね」

 

「……え?」

 

「そういうことも、ある」

 

 ボクの来世が岸根さんで、岸根さんの来世がボクだってこともある。

 前世で読んだ、クソ分厚い小説の受け売りなんだけどね。

 

 ボクたちは誰にだってなれる、そう思うんだ。

 ね、それって結構面白かったりするよね、岸根さん!

 

「…………白銀さん、ボクっていま言った?」

 

「ん……」

 

 あっ、気になっちゃったところ、そこなんだ!?

 

 


 

 

「──生まれ変わり、あると思う?」

 

 その問い掛けは唐突で、今まで考えたことなんてないものだった。

 

 白銀さんは濁りなく、透徹した目をして問い掛けている。……きっと、これからの事を勘案してくれてるんだって思えた。

 

 この問い掛けは、空へ旅をする一歩を踏み出した後のことを考えて、旅立ったその後を考えてのものだから。

 

 生まれ変わり、私じゃない私になること。

 その響きは、ゾワリと私の背中を撫でていった。

 

 最初からやり直せる──自分じゃない自分になれる。

 

 そうなのだとしたら、素敵で、喜ばしくて、甘美で──なんて怖いんだろう。

 

「分からない、かな」

 

 白銀さんの言うことは、おおよそ大体分からない。

 けど、その言葉は本当に良く耳に残る。

 

「白銀さんは、どう思ってる?」

 

 昨日の再現みたいに、白銀さんへと問いを返した。

 何て言うんだろうって、ドキドキしながら。

 

 どっちだったとしても、白銀さんの考えが気になって。

 

「……ある」

 

 だから、ハッキリと言い切った彼女に意外さを覚えた。天使の階段の時みたいに、もう少しメルヘンな言い方をするんじゃないかって思ってたから。

 

「何で、そう思うの?」

 

 風にたなびく白髪、はためくスカート。

 パタパタと風に揺られている世界の中、白銀さんは気にした風もなく、私の目を真っ直ぐ見つめていた。

 

 その目に射抜かれた瞬間、ふと思った。

 今日の白銀さんは、空色なんだって。

 

「人は、生まれ変わり続けてる。だれかに」

 

「誰か?」

 

「だれか」

 

 相変わらず、ふわりとした物言いだった。

 来世の自分は、今の自分のが残ってないってことなのかな。

 

 そうだったら、やっばり怖いかもしれない。

 

「きしねはボクで、ボクはきしね」

 

「……え?」

 

「そういうことも、ある」

 

 でも、そんな私の考えを吹き飛ばすみたいに、白銀さんは不可思議なことを口にして。

 フェンス際から、こっちにそっと近寄ってきた。

 

 私が白銀さんで、白銀さんが私。

 それって一体、どういう意味、なのかな。

 

 やっぱり、白銀さんの言葉はむずかし──あれ。

 

 

 待って、白銀さんの一人称、なんか変じゃなかった?

 

 

「…………白銀さん、ボクっていま言った?」

 

「ん……」

 

 本当なら、色々と語ってくれた内容を考えるべきだって思う。

 生まれ変わりの話をしてくれたのも、私のためだって分かってる。

 

 ──でも、だけど、今だけは!

 

 未来の生まれ変わることより、近くの白銀さんのことを優先したかった。

 白銀さんのこと、もっと知りたいって思っていたから。

 

 白銀さんの幼い声で、ボクって一人称は……正直な話、なんか良いなって思ってしまったから。

 

「ね?」

 

「んっ」

 

 一歩距離を詰めると、二歩白銀さんは後退する。

 もう一歩詰めると、フェンス側までトテトテと離れて。

 

 ジーッとこちらを見つめる瞳は、いつもと変わらないのに、その仕草から警戒されてるって分かって、何だか微笑ましい。

 

 どんな子なのか、皆目見当もつかないと思っていた白銀さんは、もしかしなくても可愛い女の子だと伝わってくる。

 

「きしね、きちゃだめ」

 

 それに、いつもよりも更に舌っ足らずな感じで、もしかしたら焦ってるのかもしれなかった。

 

 ……どうしよう、白銀さんが可愛いや。

 

「めっ」

 

 一歩近付くと、白銀さんは無表情のまま威嚇するみたいに、"めっ"と口にした。

 

 ここに来た時に纏っていた、不可思議な空気はこぼれ落ちていた。ただの白銀さんが、子猫みたいに可愛らしい女の子が一人、そこにいるだけで。

 

「ごめんね」

 

 その様子があんまりに愛らしすぎて、我慢できずに近寄っちゃった。

 

 白銀さんは、逃げることなくこっちをじっと見ていて。

 

「白銀さんは、ボクなの?」

 

 私も視線を合わせて、尋ねてみると。

 

「……ボク」

 

 観念したみたいに、一言だけそう呟いた。

 そっぽ向いてるのは、もしかしたら照れてるってことなのかもしれない。

 

「か、かわいい……」

 

 耐えきれなくて口に出して呟くと、白銀さんは小さな声で。

 

「きしね、いじわる」

 

 って、囁いて。

 

 スルリと私の横を抜けて、屋上から出ようとした。

 

 ……したんだけど、一度トテトテとこっちに戻ってきて。

 

「きしね、また、明日」

 

 それだけ告げて、今度こそ屋上を後にした。

 

 

 

 時間帯は、気がつけば夕暮れ時。

 いつも、憂鬱になる時間帯。

 

 ──けど、今日はそんなことはなかった。

 

「また明日、かぁ」

 

 些細でありふれてる言葉なのに、どうしてか白銀さんが言うと、特別な響きを持って耳に残った。

 

 明日なんていらないって、そう思ってるのに。

 ちょっと、ほんのちょっとだけ……。

 

「また明日だね、白銀さん」

 

 明日が来るのも、許せそうな感じがした。





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