私が踏み込み、ヒナに近づくことで戦いの火蓋はきって落とされる
先手を取ったのは私だ。
試しに近づく.....振りをして急ブレーキを踏み、先ほどの戦闘で拾っていたスナイパーライフルで軽くヘッドショットを決める。
「踏み込んだと思ったらブレーキして、落ち着きのない子どもね。」
が.....まるで効いていない。おかしいな、ゴム弾でも入っていたのか?
そしてヒナはお返しと言わんばかりに冷淡な目でこちらを捉え、銃弾の嵐を放つ。
その照準は極めて正確で周りの建物を破壊しながら私に襲いかかってくる。
私も斬撃を飛ばすが残念ながらその全ての攻撃が躱され、代わりに建物が瓦礫と化していく。
一度ヒナから見えない死角の位置に入り、状況を整理する。
今の戦況は正直ジリ貧だ。
近接戦ではこちらが有利そうだが相手もそれは分かっている様で中々近づけさせてくれない。
先ほどの会話の内容からして私の破壊力は見ていた様だし、警戒されるのは当然だ。
どうにかして建物内に引き込めればいいのだが、乱射やら斬撃やらで周りの建物はボロボロ。
(タフネスもそうだが、冷静な判断力が厄介だ。)
しかも見た感じ待ちの姿勢を貫いているため、こちらから攻めないとアクションは起こさない.....か。
(さてどうするか、手持ちの銃は効きそうにないし、このままでは周りに被害が出るばかりだ。)
頭の中で思考がグルグルと回転し、この状況を打破する解決策を探す。
(よく考えろ。相手が人間である以上どこかしらミスは生まれるはず。)
そこであることに気づく。
(こちらの脅威度を正確に把握しているなら.....やってみる価値はありそうだ。)
そうして私は死角から飛び出し、決着をつけにかかる!
*ケツイ
「そこね。出てきてくれてありがとう。」
そう言い、ヒナは再び銃弾を放つ。
私はまずは逃げの姿勢に徹し、タイミングを見計う。
そしてヒナの方を向き、地面が割れんばがりの踏み込みでヒナに急接近する。
「なっ.....!?」
急に攻撃に転じたためか、それとも私のスピードに驚いたのか、ヒナの顔が僅かに歪むがすぐにこちらを見据え紫色の銃弾を私に放った。
それを横に躱すが銃弾は放たれ続け、私の体は僅かに削れる。
しかし、それと同時に銃弾の嵐がピタリと止んだ。
弾切れだ。
私はこのタイミングを見定めていたのだ。
*いくら風紀委員長でも人間である以上、些細なミスはする物だ。ましてや私を『侮れない相手』と認識しているのなら、そのミスは更に加速する。*
「ッ!?」
ここに来て初めて目に見えて焦りが見えた。私を間合いに入らせない様にヒナは銃身をこちらに向けて振るうが、私はナイフで受け止める。
そしてヒナの首根っこを掴み、建物の壁に思いっきり叩きつける。
「グッ.....!」
*さて、悪いが決着だ。*
そう言い放ち、私が選択したのは頭突きだ。
(ゴッ!!)
鈍い音が辺りに響きわたる。ヒナの頭は割れ、血が流れている。かと言って、私も少々割れたようだ。
だが本命はここから、装備しておいたバレエシューズでヒナの体を蹴る。
「ッ!!!」
音からしてどこかしらの骨が折れただろう。
深々とめり込んだ攻撃はヒナの体を突き飛ばし、建物を突き破って向こう側の建物の壁まで吹き飛んでしまった。
「ハァ......ハァ.....。」
*驚いた。まだ意識を保てるとは。伊達に最強と言われてるだけある。*
脅威的なステータスのおかげか意識は保てた様だが立つ事まではできない様で屈んだまま私を睨みつけている。
(....気絶していないのならまだ油断はできない。)
そう思い、私も向こう側の道路に出る......が、これがいけなかった。
「......あれ?ヒナ委員長!?どうしたんですか!?なんでそんなにボロボロ....。」
「チ、チナツ!早くこっちに来なさい!ヒナ委員長が.....。」
ホログラムの青い髪の少女がヒナに近寄り、増援を呼ぼうとしている。
しかし、私にとっての都合が悪いことはそれではなく
"......え?あれってフリスクじゃない!?"
「....ほんとだ。でもなんだかちょっと服が違う?」
「それに.....あの白髪の人ってゲヘナの風紀委員長さんでは?」
「うん、間違いなくヒナだね。でもすごくボロボロ....。」
「え?あのおチビちゃんそんなに強かったの!?」
.....対策委員会の面々と便利屋、それに先生もいたことだ。
(しまったな。そういえばフリスクは私のことをまだ誰にも話していなかったか。)
どう私のことを説明しようかと悩んでいると、銃声と共に私に弾丸が飛んでくる。
*おっと......。*
私はその弾丸をしゃがんで躱す。
「おい、お前何者だ!ヒナ委員長をこんなにして許されると思うのか!?」
見ると銀髪の少女がとても怒っている。
「やめなさい、イオリ。」
再び私に向けて銃口を向けていたが、何故かヒナがそれを制する。
「で、ですがヒナ委員長.....。」
「元々私は戦うつもりで来たわけじゃないもの、いつものクセで戦っちゃったけれど。」
*.....。*
「それはそうと.....アコ?」
「は、はい。なんでしょうか、委員長。」
「事前通達無しでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こす。」
「勿論、それ相応の理由はあるのよね?」
......何やらヒナは青髪の少女に怒っている様子だ。
しばらくヒナは青髪の少女と話し、通信が切れ、対策委員会の方を向く。
"「「「「………」」」」"
「じゃあ、改めてやろうか」
「ま、待ってください!ここは下手に動かず、一旦交渉するのが吉です!どうしてそんなに戦うのが好きなんですかっ!」
「……ご、ごめん」
ヒナがこちらを向いた事を戦闘の合図だと読み取ったのかシロコが銃に手をかけようとするが、勿論それは制止され、アヤネがヒナとの交渉を試みる。
彼女は風紀委員会側に否がある事を認めたものの、こちら側が風紀委員会の公務を妨害した事も事実ではないか、と問いかける。
まぁ、確かにそれもその通りだ。あちらからすれば違反者を取り締まりに来ただけなのだから。
しかし、それで引き下がる対策委員会ではない。かと言って戦況は圧倒的に不利。便利屋もいなくなった様だし、ヒナも削れてはいるものの、あちら側の兵力は相変わらず無尽蔵に沸き続けている。
私1人では限度というものがある。なんとかできないかと頭を抱えていると________
「うへ〜、こいつはまた何があったんだか、すごいことになってるじゃーん。」
.......どうやら勝利の女神は私たちを見捨てていなかったらしい。
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「ごめんごめん。ちょっと昼寝しててね〜。少し遅れちゃった。」
「昼寝ぇ!?こっちは色々大変だったのに!ゲヘナの奴らが.....!」
そう言ってホシノが申し訳なさそうに謝る。
しかし、ホシノがやって来たとはいえ、まだ問題は解決していない。ヒナをどうするべきか....と思っていたが、彼女はホシノと幾つかの会話を交わした後、なんと撤収の準備を始めた。
私はヒナの方に駆け寄り、謝罪をしようとした。
「いいのよ、そもそも私から仕掛けた戦いだったし。」
.....が、止められてしまった。
そして銀髪の少女に肩を貸してもらいながらヒナは去ろうとした。
「.....あぁ、そうだ。名前くらいは聞いてもいいかしら?」
*名前.....か。*
すぐ側には対策委員会と先生がいる。ここで本当の名前を言ってしまえば、混乱を招くだろうな。
しかし、全力で戦った相手に敬意を払わないのは失礼だ。どの道、いつかは話さなければならないこと。それがこの瞬間に来ただけのこと。
*私の名前は、キャラ。また会おう、風紀委員長。*
「キャラ.....ね。ありがとう、覚えておくわ。」
.......次会う時は違う名前かもしれない、とは流石に言えなかった。
"陸八魔アル"
STAT
ATK 80 (100)
DEF 115
ゲヘナ学園所属2年生
便利屋68の自称社長
あと先を考えず、周りに流されやすい性格をしている。
"浅黄ムツキ"
STAT
ATK 95 (80)
DEF 100
ゲヘナ学園所属2年生
便利屋68の室長
アルの幼馴染であり、小悪魔的な性格をしている。
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