桃から産まれた十六夜咲夜   作:みみみすと

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すっぱいぶどうジュース

 

 

 とある きりのかかった みずうみの ほとり。

 そこには まっかな きゅうけつきの やかたが たっておりました。

 

 そこでは ほこりたかき きゅうけつきの レミリア おじょうさまと その なかまたちが まいにち たのしく くらして いるのです。 

 

 

 

「きょうも やかたは へいわね」

 

 レミリア おじょうさまは あるきながら そう つぶやきます。

 やかたのことを ぜんぶ ぶかに まかせている レミリア おじょうさまは いつものように やかたのなかを ぶらぶら さんぽして おりました。

 

「そうね、 おねえさま。 よろこばしい ことだわ」

 

 そう こたえるのは いもうとの フランドール おじょうさま。

 きょうは めずらしく フランドール おじょうさまも いっしょです。

 

「でも へいわすぎても つまらないわ。 

 ねえ、 フラン。 ちょっと キッチンで つまみぐい でも していきましょ」

 

 レミリア おじょうさまは そういうと そそくさと キッチンに はいっていって しまいました。

 フランドール おじょうさまは あまり のりきでは ありませんでしたが あねをおって キッチンに はいっていきました。

 

 

 

 

 

 そうして レミリア おじょうさまが キッチンで たべものを あさっていると、 ぐうぜん みおぼえのない ボトルを みつけました。

 

「あら これはなにかしら?」

 

 そういって ボトルを みる おじょうさま。

 ボトルを よく ながめてみると、 ひょうめんに ぶどうの え(・)が かかれています。

 

「あら これ ワインじゃない? さくや こんなところに ワインなんか かくしちゃって!」

 

 ちなみに おじょうさまが いう 「ワイン」 というのは ただの ぶどうジュースのこと。

 レミリア おじょうさまは おさけなんて のめないので、 おじょうさまが 「ワイン」を ごしょもう なさったときは メイドたちが ぶどうジュースを だして いるのです。

 

「さくやが わざわざ かくすんだもの これは そうとう いい ワインに ちがいないわ。 わるくなる まえに さっさと のんで しまいましょう」

 

 それをきいた フランドール おじょうさまは めを まるくして いいました。

 

「いけないわ おねえさま。 これは さくやの ものでしょう。 なにも いわず かってに のんでしまうのは よくないと おもうの」

 

 それをきいた レミリア おじょうさまは とくいげに こう かえします。

 

「あのね、 フラン。 さくやは わたしの メイド。 つまり わたしのもの なのよ。 だから その さくやのものを どうしようと わたしのじゆう。 わかるでしょう?」

 

 フランドールは あねの てんかいする ろんりに びみょうに なっとく できませんでしたが、 どうせ なにをいっても むだなので じょうほ することに しました。

 

「わかったわ、 おねえさま。 それと さくやにも だまっておいて あげる」

 

「あら、 フランったら。 ものわかりが よくて たすかるわ」

 

「そのかわり そのワイン わたしも のむわ。 いいでしょ? おねえさま」

 

 それをきいた レミリア おじょうさまは ボトルを だきよせると いじわるそうに くちを ゆがめて いいました。

 

「だめよ、フラン。 ワインは 500さいに なってから。 フランは いつもみたいに あの へんなジュースでも のんでなさい! あーっはっは!」

 

 なんと レミリア おじょうさまは そういって ボトルを ひとりじめして しまいました! 

 ちなみに レミリア おじょうさまの いう へんなジュース というのは ブランデーのことです。 まだ 495さいの フランドールには ワインがだめで ブランデーなら よいという りくつが よく わかりません。

 

 いじわるされたと おもった フランドール おじょうさまは ほおを ぷくっと ふくらませます。

 そして くるしまぎれに こう いいました。

 

「いいもん。 そんなワイン どうせ すっぱいに きまってるわ!」

 

 

 

 いっぽうの レミリア おじょうさま。 もう ボトルをあけて いまにも ラッパのみを しようと しています。

 ちなみに レミリア おじょうさまには せ(・)ん(・)の ぬきかたが わからなかったので びんの うえのほうを ゆびではじいて むりやり わって あけました。

 

「よーし、 いくわよ。 やっぱり いいワインは いっきのみに かぎるわよね」

 

 ワインソムリエが きいたら そっとうしそうな ことを いいながら おじょうさまは ごうかいに ボトルを あおります。 

 

 フランドール おじょうさまは それを うらやましそうに ながめていましたが すぐに けげんな かおをします。

 なぜなら ワインを のんでいる レミリア おじょうさまの かおいろが どんどん あおざめて きているからです。

 そして レミリア おじょうさまは めを みひらくと なんと ふちにふくんだ ワインを いっきに ふきだして しまいました! 

 そして やかたじゅうに ひびくほどの こえで こう いいました。

 

「すっっっっっぱ!!!!」

 

 

 

 

 

「おじょうさま どうされましたか!」

 

 さわぎを ききつけた メイドが どこからともなく やってくると、

 ボトル かたてに なみだを こらえる レミリア おじょうさまを みて めを まるくして いいました。

 

「あら おじょうさま それは グレープビネガー! 

 ぶどうから つくった おす(・) ですわ!」

 

 なんと レミリア おじょうさまが ワインたど おもって のんだ ボトルは おす(・) だったのです! 

 

 ぴくぴくと けいれんする あねを よこめに フランドール おじょうさまは こう おもいました。

 

(やっぱり ひとのものを かってに さわるのは よくないね)

 

 

 

 

 

 おしまい。

 

 




「酸っぱい葡萄」から。
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