【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正、皆さんのおかげでだいぶ読みやすくなりました!
いつも大変感謝しております!ありがとうございます!!m(_ _)m

今回は、キャラ崩壊注意報が発令されています。
デイビッドとレベッカの崩壊したキャラを見たく無い方は、ブラウザバックお願いします。
運営様から怒られたら、その箇所を丸々削除する予定です…


第十三話

朝、ゴソッという物音に目が覚めた。

天井の映る視界の右端、時計のUIが指し示す時刻は午前5時30分。

統一規格で作られたメガビルディングの狭いベッドスペースから、これまた縦に狭い窓を見るとナイトシティの空はまだ薄暗く、角度的に窓の下の方に見える空が僅かに白くなり始めているように見えた。

 

自分の腹の上に申し訳程度に乗っかっているタオルケットをずらし、そっと物音を立てずに立ち上がり、素早くワードローブに登録されているいつものスーツを着込む。

ベッドを見やると、グロリアさんが美しい裸体を晒して横になっている。

起こさないようにそっとタオルケットを掛けて、ミリテク“アポジー”サンデヴィスタンを使い超高速クッキングを行う。

作るメニューはBLTサンドである。

ベーコンとパンはエラッタを使って切ると、良い感じに焦げ目が付いて大変具合がよろしい。

レタスとトマトは涅槃でスパッと切る。

注意しないと、台所ごと切断してしまいそうだ。

なんで涅槃かと言うと、たまたまインベントリの上の方にあっただけである。

特に意味はない。

 

あとは、スライスしたパンの上にいい感じに具材を乗せて、サンドした物を対角線に沿って半分に切れば完成である。

超お手軽20秒クッキングだ。

出来あがったそれをお皿に盛り付け、データチップに伝言メモとちょっとしたプレゼントを仕込み、お皿脇に添えた。

 

グロリアさんが仕事に遅刻しないように、部屋のアラームを午前7時にセットしてから出掛ける。

さすがに、グレンの自宅に置いて来た3人が心配だからね。

 

 

いやー、しかしグロリアさんは強敵でしたね!

今まで抑圧されていた諸々が大解放されてしまったからか、タガが外れたかのように貪られてしまいましたよ。

若い32歳の未亡人の性欲は、それはそれは凄まじいものでしたね!

ジョン・マラコック卿にあんな使い方があるなんて知りませんでしたよ!

ハハハハ…ハァ…

ボディにおちんちんが生えていたら、それはそれは大変な事になってそうだったなぁ。

あとでベッドのお掃除が大変そうだけど、悪行をしたとは一切思わないけど、身から出た錆と思って諦めよう。

 

それに、これでもう身内同然だ。

デイビッドもグロリアさんも、もとから悪いようにはしないつもりだったけど、さらに良く良く面倒を見るようにしよう。

手始めに、グロリアさんがスカベンジャーの真似事をするのをやめさせて、仕事もこちらがもっと安全な仕事を紹介する。

これだけでも、かなりリスクを減らせるから、私も安心出来る。

そもそも、死体からとは言えクロームを傷付けずに剥ぎ取る作業は、リパードクとやっている事は変わらないが、専門的な知識と技術が必要なのだ。

素人が適当に剥ぎ取ったとしたら、デリケートな神経接続部分やらが破損したり変形したりして、使い物にならなくなってしまう。

少なくとも、ここから2年ないし3年間もデイビッドの学費を稼ぐ為に剥ぎ取り行為を続けて、尚且つ固定の客が出来るくらいにはしっかりと使用できる商品を卸していた訳なのだから、資格を取らせてリパードクになってもらった方がグロリアさん的にも良いんじゃなかろうか。

その間の学費の面倒やらは、私が見れば良いわけだし、なんならデイビッドを稼がせてやって、自分で出せるようにしてあげても良い。

 

なんて考えていたら、グレンの自宅に着いてしまった。

エレベーターに乗って、自分の階に向かう。

 

エレベーターを降りたらびっくりした。

局地的低気圧でも発生したのかと思うくらい、部屋のなかがグッチャグチャになっていた。

ソファーや椅子、テーブルやビリヤード台などの家具の類は、フロアの床に電磁石で固定されているので動いていないが、お酒の瓶やらクッションやら小物の家具やインテリアが地面に散乱している。

本棚にあった、謎の仏像なんかも右腕が肘あたりで取れてしまっていた。

木製であり味があって、少し気に入っていただけに残念である。

あとで永久接着剤なる商品を買って来て、試してやろう。

壊れたなら直せば良いのだ。

 

はて、それにしても3人はどこへ行ってしまったんだ?

 

ベッドがあるロフトに上がっていくと、シーツに包まって熟睡してなさるサーシャを発見した。

パンツ丸出しである。

風邪をひかないように、隅っこに追いやられていた毛布を掛けてあげた。

レベッカとデイビッドはどこだ?

シャワーの出る音が聞こえていたのでそちらを覗くと、洗面台あたりにゲロの海に沈んだ全裸のレベッカがいた。

これはいかんと、慌てて抱き起こして息を確認する。

しっかり吐瀉物は吐き切っていたようで、寝ゲロで窒息はしていなかったため、安堵の余り思わずため息が出た。

どうやら、酔いを醒まそうとしたのか事後のシャワーを浴びに来たのか、浴びた後に力尽きて吐いたらしい。

うんうん唸っているが、とりあえずは大丈夫そうだ。

仕方ないので、私も服を脱いで抱えたままシャワーを一緒に浴びる。

乾いたゲロが髪の毛に絡まっているので、女の子がこのままでは可哀想だ。

シャンプーを2度行い、リンスもしっかりと怠らずに丁寧に作業する。

身体の方も簡単にボディソープで汚れを落としてから、改めて怪我やらしていないか身体中を調べた。

 

「ふむ…」

 

一応調べ終わったので脱衣所に出し、タオルで拭き終わった後に、壁にもたれ掛からせてドライヤーで髪の毛を乾かしてあげた。

そのあとは、毛布でお包みのようにしっかり梱包してソファーに横にならせる。

 

最後はデイビッドだが…どこだ?

パッと見渡しても姿が見当たらず、ベットの下にも隠れていない。

武器の保管庫にも居ないとなれば…あとはトイレだな。

案の定、トイレは内側から物理ロックが掛かっていたので、デイビッドはトイレに立て籠っているらしい。

電子ロックはサーシャにハックで開けられたりしたのか、そちらは掛かっていなかったので、古式ゆかしき伝統に則り、コインで出っ張りのーになっている部分を回して、開錠した。

 

トイレの中には女神様なんておらずに、下半身丸出して上着はズタボロ状態のデイビッドが、便器に座り込んで放心していた。

 

「おーい、デイビッド。聞こえるかい?」

 

「………んぁぁ……」

 

「ダメだこりゃ」

 

一体全体、あの後なにがこの部屋で起きたんだ?

 

 

 

ーーーーデイビッド視点

 

「デイビッド…据え膳食わぬは男の恥って諺があってね。じゃ、そういう事だから。Adiós amigo☆」

 

目の前で、大柄で100キロを超えてそうなジャッキーを背負っているネイトが、とても良い笑顔でこちらにサムズアップしたまま、エレベーターのドアが閉まって行く。

 

「うぉぉぉぉっ!!ふっざけんなぁぁぁぁ……!!!」

 

俺の叫びは虚しく、エレベーターのドアは完全に閉まって、下へと降りていった。

レベッカが、目を回しながら自分の顔面を啄むようにキスを繰り返してくる。

いままで、こんな事をされた経験がないから、自分の顔が熱くなって行くのが分かる。

けど、こんなんでヤラレるのは不本意だ!

俺だって、ちゃんと彼女とイチャイチャしながら捨てたいって願望があるんだ。

それに、なんかこのままネイトを帰らせちゃいけない気がするんだよな…

 

「へへへへへ、でいびっどぉぉぉ。3人にぶんれつひてるぅぅぅ」

 

「おぉぉぉい!!レベッカ!正気に戻れって!いい加減降りろよぉぉぉ!!」

 

明らかに呂律が回ってなくておかしい。

一体何を飲んでいたんだ?

途中、ネイトたちと強そうな酒を飲んでたけど…2杯くらいであんなになるもんなのか?

いや、そもそもその前からめっちゃビール飲んでたしなぁ…

 

レベッカを退かそうにも、変に触ってぶっ飛ばされるのも嫌だし、左腕はサーシャに掴まれて動かせない。

サーシャも片手で俺の腕を掴みながら、レベッカが最初のほうに飲んでいたビールの瓶を飲んでいる。

 

「…デイビッドも飲むべき」

 

「い、いや、俺酒はまだ早いって言うk、モゴッ!?」

 

口に瓶を突っ込まれた。

苦手な炭酸が口の中で弾ける嫌な感覚と、度数の高いアルコールの苦味が喉奥に流れ込んできた。

思わず吹き出す。

それでもだいぶ飲み込んでしまった…

 

「ゲェッ!?ごほっごほっ」

 

「あーしはもっとのめるぞぉぉ!」

 

「お前はもう飲むなって!!」

 

自分の口から落っこちたビール瓶を掴み、中に残っていたビールを全部飲み干してしまった。

ぐるぐるしていたレベッカの目が、だんだん座って来た感じがする。

これは早く逃げ出さないとヤバいんじゃないか?

でも、逃げ出そうにも拘束されているんじゃ難しい…

なにか、左腕に柔らかい感触があり、そっちに目を向けると、サーシャが自分の胸に俺の手を沈めている。

思わず、反射的に揉んでしまった…

すげぇ柔らかい…

 

「あーーー!!!あーしのだぞ!!」

 

「いや!俺の腕だって!!」

 

「こっちの腕は、んっ、いまは私のだから」

 

「だから、俺の腕なの!!」

 

コイツら人の話を聞く気配がない。

ダメだ、早くここから逃げ出さないと…

ただ、レベッカがサーシャに絡み出したおかげで、膝の上が解放された。

チャンスだ!ここで逃げ出さないともう無理そう。

暖かくて柔らかい天国を味わっている左手を、名残惜しい気もするけどスッと引き抜いて、エレベーターにダッシュした。

呼び出しボタンにもう少しで手が掛かりそうなところで、つんのめる。

 

「いてぇ!」

 

顔面を床で強打した。

めっちゃ痛ぇ…

足を見ると、右足と左足のズボンの裾をそれぞれ引っ張られていた。

2人とも真顔ですげぇ怖い。

 

そのままズルズルとソファーの方へ引き摺られて、ソファーの上に放り出された。

すぐさまガシッと、頭と下半身を拘束される。

 

「うぅぅぅ、でいびっどぉぉぉ!あーしのことぎらいかぁぁぁ!」

 

「き、嫌いじゃない嫌いじゃない!嫌いじゃないから離して!」

 

「逃げようとするなんて、失礼じゃない?」

 

「イタタタタッ、すみませんでした離して!」

 

サーシャに太ももで頭を固定されて、そのまま乳首を思いっきりつねられた。

乳首取れるんじゃないかってくらいメチャクチャ痛い。

 

「反省した?」

 

「した!しました!」

 

「むしするなよぉぉぉぅ!」

 

「今度はこっちかー!!ズボンを脱がすなって!!」

 

レベッカがガチャガチャとベルトを外して、ズボンを脱がそうとしてくる。

上に引っ張って抵抗するが、頭上のサーシャに腕を上から抑えられてしまった。

すっぽーんっとズボンとパンツが一緒に脱げてしまう。

股間がひやっとして、まろび出てしまった…

 

「うおぉぉぉぉうおうおう…」

「へぇ…案外大きい?」

 

「やめろぉぉぉ!見るなって!!」

 

「な、なんかぐにぐにしてるぞ…かたくなった」

 

「もっと優しく触らないと、ベッカ」

 

「こ、こうかぁ?」

 

「うわぁぁぁぁ、ちょ、やめっ、とめて!!」

 

「なんかひくひくしてきた」

 

「咥えるといいらしいよ。ピラルが言ってた」

 

「と、トイレ!トイレに行かせてくれ!!」

 

これ以上はとにかくヤバそうだったので、トイレと叫んで飛び上がる。

2人が呆気に取られている間に、その足でトイレに駆け込んで内側の鍵を掛けた。

 

「ヤバい、マジでやばかった…」

 

ふと違和感に気付くと、電子錠がピコピコ明滅を繰り返している。

それが何を意味するのか…

 

「クイックハックされてる!?」

 

忘れていた!

サーシャはネットランナーじゃないか!

 

「なにか、なにかないのか!?」

 

辺りを見渡して、ふとドアに謎の摘みを見つけた。

それを回すと、かちゃりとなにかが動くような音がして、上についていた青色の部分が赤色に変わった。

それと同時に、電子錠がピーッという音と共に解錠され、スライドドアをガチャガチャと横に引っ張る音が聞こえる。

どうやら、回した摘みは鍵だったらしい。

猛烈な勢いでドアが叩かれている音がする。

 

『でいびっどぉぉぉぉ!あけてよぉぉぉ!』

ドンドンドンドンッッ

 

『怖くないったら、ここを開けて?』

ガチャガチャガチャガチャッ

 

「めっちゃ怖えぇぇよ!!」

 

くそっ、さっき無理矢理飲まされたビールのせいか、腹の中も頭もグルングルンして来やがる。

とりあえずの安全地帯を確保してしまったからか、安堵から来てるのか、アルコールのせいなのか、瞼がだんだんと重くなって来た。

扉の外では、いまだに騒音がするが、気が遠くなるような感覚がしてきて、このまま寝たらヤバそうな気もするけど、眠気に抗えなくなった。

 

目の前が真っ暗になった。

 

 

 

ーーーーネイト視点

 

「ほーん、そのままここで寝ていたと」

 

ぽけーっとしていたデイビッドにビンタをくれてやり、叩き起こしたあとに事情を聞いた。

どうやら、部屋が散らかっているのは、デイビッドが逃げ出そうとしたときに転がったものと、トイレに篭った後に癇癪を起こしたレベッカとサーシャが飲み散らかした跡の二つらしい。

仏像なんかは、きっと吹っ飛んだビール瓶とかなにかがぶつかって、地面に落ちたときに壊れたんだろう。

これはもうため息しかでない。

 

「せっかく、君たちが三人になれるようにお膳立てしたのに。怒れば良いのやら呆れれば良いのやら」

 

「ひ、酷ぇ…」

 

まったく、呆れたもんだねこれは。

思春期の男の子なんだから、美少女2人を侍らせて、さっさとお猿さんのようにパンパンしとけば良いのにさぁ。

奥手なんだか、貞操が硬いんだか、困りものだな。

レベッカとしたら、酔いの勢いも無いと告白すら出来無さそうだから、ここで一発ぶちかましておけば自分の心にも素直になれるんじゃ無いかと考えていたんだけど…

前途多難だな。

 

「良いかいデイビッド。世間一般では、彼女達は美少女なんだぞ?勿体無いとは思わないのかね。それに、女の子は男子に拒絶されたら、自分に魅力がないとか嫌われるとか色々考えちゃう生き物なんだから、そこの所もう少し考えて行動しなきゃダメでしょう。サーシャは今日あったばかりだから兎も角、レベッカには射撃訓練とかでお世話になってただろう?彼女のこと、嫌いなのかい?」

 

「…はい、ほんとすみません。2人とも可愛いです…レベッカの事も嫌いじゃなくて、どちらかと言ったら好きです…」

 

デイビッドを床に正座させ、説教をしながら膝の上に本を積み上げていく。

また同じ不始末を繰り返さないように、しっかりと教育しなくては。

それから、しばらく懇々と女の子とはという題名でお説教を繰り返した。

1時間ほどして、そろそろデイビッドの足が限界に近付いて来た頃に、レベッカが目を覚ました。

 

「うぉぉぉ!なんじゃこりゃ!」

 

毛布でキチキチにお包みしてあげたので、ミノムシの様に身動きが取れずに四苦八苦している。

頭の方から覗き込んで、レベッカの顔と頭を撫でてあげる。

 

「ネイトー、助けてくれよぉ〜」

 

「おお、可哀想なレベッカちゃん。これはまだ外せないのさ。ところで、昨夜に何があったか覚えているかな?」

 

「頭がイテェ…うーん、昨日の夜昨日の夜っつーと…あ」

 

「思い出したかな?」

 

可愛い顔がクシャッってなって、視覚機器の瞳孔がキュッと縮まる。

 

「うぉぉぉぉぉぉ〜!!殺してくれぇぇぇぇ!!あーしはそんな事言わないんだよぉぉぉぉ!!」

 

まるでウンチを我慢してるみたいな梅干し顔で、ミノムシがソファーの上を跳ね回っている。

あまりにも滑稽である。

 

「ほらぁ、デイビッドがレベッカを抱かなかったから、こんなことになってるんだよ」

 

「あががががが、うぉぉぉぉいおいおいおい」

 

発狂するのか泣くのか、どっちかにしてほしいな。

側から見る分にはめっちゃ面白い。

 

「ほらほら、レベッカも気持ちは分かるけど、そろそろ落ち着きなさい。デイビッドもちゃんと反省してるみたいだし」

 

ピタリとレベッカがのたうつのを止め、グリンと首をこちらに向ける。

微妙に角度が付いてて見えなさそうなので、お包みを抱き上げて本抱きの刑に処しているデイビッドを見せる。

足の痺れに苦しみ顔が真っ赤になっているデイビッドを見て、レベッカも吹き出す。

 

「…やっぱり、あんた何か良いわぁ」

 

「勘弁して…」

 

「レベッカも許してあげる?」

 

「はぁ……しゃーねぇ!!意気地なしを許してやんよ。かーっ!なんであーしも、気になっちまうかねぇ」

 

「……それは、きっと運命だからだよ。君がデイビッドを気になってしまうのは」

 

「はぁ?なにそれ」

 

まぁ、これはこの世界では私しか分かるまい。

それで良いのさ。

しかし、これだけ騒いでても、サーシャは起きてこないな…

まぁ、そのまま寝かしてあげよう。

きっと、ジャッキーも今日の午前中は二日酔いで酷い目にあっているだろうし、私も少し寝足りない気もする。

レベッカも頭が痛そうだし、デイビッドはこれからアカデミーに行かなきゃいけない。

あそこは遅刻にペナルティが付くからね…

 

「さて、今日のところはデイビッドを許そうか。その本そのまま崩して良いから、シャワー浴びて来なさい」

 

「お、おう……ネイト、立たせてくんね?」

 

仕方ないので立たせてやり、ジョン・マラコック卿で足を突いてやった。

レベッカが爆笑しているので、お包みを解いて2人で痺れているデイビッドの足を突いてやった。

 

「ああ、デイビッド。君のクラスメイトにカツオ・タナカという小僧がいるでしょう」

 

「ん?あぁ、居るけど…」

 

「ソイツにちょっかいを出されて、アカデミーが少し煩わしく思っていないかい?」

 

少し考えてから、デイビッドは首を振って否定する。

 

「いや、前はそう思ってたけど、ネイトのバイクに乗せてもらってからは、なんだかアホらしくなって来て、最近だと何言われてもどうにも思わなくなった」

 

「やるじゃないか。まぁ、それならそれで良いんだけど、彼に伝言を頼めないかな?」

 

「伝言?…まぁ、いいけど」

 

「そうだねぇ。デイビッドのお母さんと飛鳥井の次男の娘が、それはそれは仲良くしているっていう事をお父さんに伝えてほしいって頼めるかな?」

 

「?…よくわかんねぇけど、分かったよ」

 

ハンガーラックからアカデミーの制服を取り出して、デイビッドに渡す。

ここで着ていけば、そのままアカデミーに行けるから、遅刻しないで余裕で到着できるはずだ。

いや、治安の問題があるからデラマンタクシーで送ればいいだろう。

 

「あぁ、それと」

 

「ん?これは?」

 

2年後、何世代も前の古いデバイスのおかげで、大変な目に遭うデイビッドの未来を少しでも変えるため、またそれまでのアカデミーの生活を少しでも楽にしてあげるため、どういった経緯で持っていたか分からないけど、最新機種だと思われるデバイスを渡す。

 

普通のアラサカ製デバイスより、少しばかりゴツいが、ちゃんとアラサカのマークが入っているので、アカデミーの授業で使う分には問題ないだろう。

さすがに、ミリテクやら別の企業のデバイスをアカデミーで使わせるのは問題がありそうなので、ちょうど良かった。

どう言った経緯で持っていたかは知らないけど…

 

「アラサカのデバイスだよ…たぶん」

 

「たぶんて…でも、ありがとう。今まで騙し騙し使ってたんだ。助かる」

 

「じゃあ、くれぐれもカツオ君に伝言を頼んだよ」

 

「いってらー、デイビッド」

 

「おう」

 

毛布に包まって、また二度寝に入ろうとしているレベッカが右手を挙げて振る。

それに、デイビッドも片手を挙げて挨拶しながらエレベーターで降りて行った。

デラマンタクシーはすでに下に手配してある。

たまには、アカデミーにデラマンで乗り付けるのも面白いだろう。

テーブルの上にある、昨日の晩御飯の残りであるタコスを摘む。

うん。やっぱり、冷えても銀河一美味い。

 

 

 

ーーーーカツオ・タナカ視点

 

 

朝、いつも通りにアラサカの社用車で、アカデミーまで送ってもらって登校した。

教室に入ると、取り巻きのチビとデブが自分の席に座って、何か話している。

それにしても、教室がなにやらいつもよりざわついている気がした。

それに、珍しいことに貧乏人がこんな早く登校しているではないか。

普段は遅刻ギリギリか、遅刻をしてくるというのに。

なにより、あのすました顔が気に食わない。

 

「あ、カツオくん」

「おはようございます。カツオさん」

 

「あぁ、おはよう。それに……おやおや、今日は槍でも降るのかなぁ?貧乏人がこんな時間から登校しているなんて、珍しい事もあったもんだ」

 

デバイスを使う用のリクライニングシートに寝そべって、目を閉じている貧乏人に近付く。

いつも使っている、貧乏くさい何世代も前の黄色いデバイスではなく、見慣れないアラサカのマークが入ったデバイスを付けていた。

 

「それに、なんだい?これは。お前にして随分と高級そうなデバイスじゃないか。どこかで盗んで来たのか?」

 

「さっきからうるせーよ。これは知り合いから貰ったんだ」

 

クッ、この僕に口答えだと!?

どこまでも生意気なやつめ…

少しでも、問題行為をしたらオヤジに言って、退学させてやるのに!

カメラがある所や、普段の授業中の生活態度は至って普通に振る舞っているから、問題にしようにも口実がなかなか見つからない。

余計に腹が立つ。

 

「カ、カツオくん…ちょっと…」

 

チビが手招きするので、近寄るとコールをして来た。

この距離にいるのに、わざわざコールしてくるとは何考えているんだ?

 

『どうした。普通に話せばいいだろう』

 

『そ、それが…今日アイツデラマンで登校して来たんです』

 

一瞬何を言われたか、頭が少し考える時間を欲した。

 

『…なに?デラマンだと?そんな高級車、貧乏人が乗って来られるはずが無い。誰かの見間違いじゃないのか?』

 

『いえ、僕たち以外にも、この教室にいる何人もが見てます…確かにデラマンから降りて来たんですよ』

 

『どう言う事だ…?』

 

一回目的地に向かうだけでもかなりの金額が取られるのに、そんな金額貧乏人が出せるわけが無い。

何かおかしい…

 

「おい!貧乏人!お前、今日デラマンなんかに乗って登校して来たらしいな…一体どんな違法行為をしたんだ?お前のママンの収入じゃあ、そんなものに乗れるはずが無い」

 

「さっきからうるせぇなぁ。デラマンもこのデバイスをくれた知り合いが、ここまで乗ってけって言ってくれたんだよ」

 

「なに…?」

 

デラマンを足の様に使えるってことは、年間契約しかあり得ない…

そんな大金払える様なやつがバックについたのか?

一体何者なんだ。

 

「…あぁ、それと、ソイツからお前に伝言を預かってんだ。なんだったか…俺の母さんとアスカイの次男の娘が、めっちゃくちゃ仲が良いって、お前の父さんに伝えてくれだってさ」

 

「僕のオヤジに…?」

 

「ま、伝言は伝えたからな。あとはしらねぇ」

 

疑問は深まるばかりだった。

 

夜、久々にオヤジが家に帰って来て、家族全員で夕飯を食べる事になった。

なにやら、いつになく機嫌が良さそうだ。

ちょうどいい機会だったので、朝に貧乏人から聞いた話を振ってみる。

 

「パパ、前に話をしたことがある貧乏人居ただろう?」

 

「貧乏人?……ああ、クラスメイトの事か。それがどうした?」

 

「それが、今日アカデミーにデラマンタクシーで乗り付けて来たんだ」

 

「…なに?」

 

「それで、おかしいと思って問い詰めてみたんだ。そしたら、パパに伝言があるって言いやがって」

 

なにかオヤジが考え込む仕草をする。

こういう時は、それが終わるまで待たないと殴られるので、大人しく返答があるまで待つ。

 

「それでカツオ、なんと言われた」

 

「確か…貧乏人…デイビッド・マルティネスのママンとアスカイ?て言う家の次男の娘が、とても仲が良いとかなんとか…意味がわからないよね」

 

笑いながらそう言って、何気無しにオヤジの顔色を伺うと、ピクリとも動かず微動だにしない。

心なしか、冷や汗を掻いているようにみえる。

なんだ?どうしたって言うんだ?

 

「………カツオ。アスカイの次男の娘、確かにそう言ったのか?」

 

「あ、あぁ…うん」

 

いきなり立ち上がったオヤジが、自分の肩を思いっきり掴んで無理矢理立たされる。

 

「い、痛いよ…!」

 

「良いかカツオ、これから絶対にデイビッドくんを揶揄ったりするのを止めろ。罷り間違っても、貧乏人などと呼ぶ事は、これより先絶対に許さん」

 

「ど、どう言うこと…?」

 

「なんでもだ!!もし言いつけを破る様なことをしたら、私はお前を勘当して街に放り出す。そしてどこでのたれ死んだとしても、関知しない」

 

オヤジがここまで言うなんて、一体アスカイとは何者なんだ…

 

「わ、わかったよ。パパ」

 

そう、返答するしか許されなかった。




そう言うことで、デイビッドくんの貞操はギリギリ守られていたという事でした。
いやはや、どこまで描写して良いものやらギリギリのラインが難してくて、途中は音声だけになりました。
前書きの通り、怒られたら削除する予定です。
ご了承下さい。

それと、カツオくんの視点を少しだけ入れてみました。
エッジランナーズ本編でも、一話と二話の少しだけしか出て来ないので、少し苦戦しました。
カツオくんのここの喋り方は、こうしたほうがいいんじゃなかろうかと言うのがありましたら、感想などにどうぞ。

引き続き、今作をよろしくお願い致します。

Vくんちゃんのライフパスについて

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