【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正ありがとうございます!!

ジュディ回後半です。
サイドイベント『ピラミッド・ソング』のネタバレがかなり入っております。まだ未プレイの方は気を付けてください。
既プレイの方は、あのイベントを思い出しながら読んでいただけると嬉しいです。
なお、捏造設定も入っております。


第十九話

こういうタイプのドライスーツは、本当にぴちぴちなので、初めて着る人は梃子摺る。

なので、手伝いながら2人で協力しあいながら着装した。

最後に、メットを首元の金具に合うように被り、20度ほど回して完全に密着させる。

それから改めて2人で異常がないかを点検し、桟橋の縁に立った。

 

「さて、心の準備は良いかな?」

 

「いつでも出来てる。…ふぅ、でもちょっと緊張しちゃうね」

 

原作だと、どのタイミングからダイビングをするようになったかは分からないが、現時点ではやったことが無いみたいだ。

なので、湖には底に向かう為の降下装置は設置されていない。

どちらにせよ、私の身体はクロームのせいで浮力が少ないので、何も動かなければ勝手に沈んでいくだろう。

ちょうど良い。

 

「水に入ったら、自然と慣れるよ。さ、行こうか」

 

ザブンザブンと2人して水に飛び込んだ。

まだ真っ昼間なので水中の上の方はだいぶ明るく、汚染の所為なのか微生物も少なそうで透明度もそれなりにあり、かなり見通しが良い。

 

水中だと直接会話出来ないので、コールの出力を上げて短距離通信を試みる。

実際にやった事はないが、ゲームでやってたので出来る事は分かっている。

案の定無事に繋がった。

 

『へぇ、水の中でもコールって出来るのね。知らなかった』

 

『私も出来るか分からなかったけど、無事に繋がって良かったよ』

 

そう話しつつも、どんどん沈んでいきそうなので手足を動かすのが忙しい。

気分はさながらシンクロ選手だ。

 

『結構深いんだ…』

 

『ここの最深部にあの街があるからね。結構深いから、ゆっくり沈降していこう。ジュディはそのままだと浮いちゃうだろうから、私に捕まってね』

 

『分かった』

 

そのまま真ん中の方に2人で泳いで行き、中間より少し岸寄りのところでジュディと両手を繋ぐ。

私が足を動かすのをやめると、クロームの重みでゆっくりと沈んでいった。

水深が深くなるにつれて、周りが薄暗くなって行く。

自動でメットに付いているライトが点灯した。

お互いの顔だけが見える。

 

『そんなに深くなさそうだけど、こんなに真っ暗になっちゃうんだ』

 

『ここは160フィート(50mくらい)くらいは潜るよ。それに、汚染物質とかが底の方に溜まってきてるから、光の透過率が下がっているんだと思う』

 

50m地点だと、水中は真っ青に見えるが、底に着いてないのにここはもう真っ暗だ。

徐々に水圧が上がって行って、水が重たくなる。

遂にダム底に到着した。

ライトを着けないと全然見えない。

メットライトの光度を上げると、なんとなく日本建築のような民家が数軒見えてきた。

 

『ラグーナベンドだ……私、帰って来たんだね』

 

『…案内、してくれるかな?』

 

『…うん』

 

ゆっくり、近場の民家に向かって泳いでいく。

民家には汚染のため苔は生えていないが、屋根には汚泥が薄らと堆積しており、もう10年近く水に浸かっているためか、あちらこちら傷みが生じているのが見てとれた。

なるべく静かに泳いでいるつもりだが、微細な水流がその堆積物を巻き上げてカルマン渦を後ろに残す。

 

『この家は近所のバッカスさんの家で、昔はよくお菓子をもらったのを覚えてる』

 

手前から左に二件目の家の玄関跡を見ながらそう言った。

 

『その隣はザカリエスさん家で、右の家はヨシダさん。ネイトみたいに、ジャパンから越して来たみたいで、気の良いお爺ちゃんとお婆ちゃんだったわ…』

 

『そうだったんだ。随分と嬉しそうだね』

 

『そうね……ほんと、ヨシダさん夫婦には随分可愛がってもらった』

 

コールに映るジュディが優しく微笑む。

昔を思い出しているのか、ライトに照らし出される日本式の家屋をじっと眺めている。

 

『さっ、こっちに着いてきて』

 

民家の前を横切る道路を挟んだ向かい側、飲食店のような建物の前に来る。

両開きの金属製の自動ドアの前には、屋根から落ちてしまったのか『 FLO’S』と書かれた看板が落ちていた。

 

『フローズ・ダイナー。街一番にして唯一のレストランよ。ハンバーガーはデカい上に脂っこくて、イマイチだったけど』

 

そう言いながら、その看板に近付いて触れた。

何かを感じ取っているかのように、その表面を撫でて汚れを払う。

 

『まぁ、今だからそう言えるんだけどね。当時ここでの食事は、最高のご馳走だった』

 

『君にとっては、私にとってのエル・コヨーテ・コホのような場所だったんだね』

 

『そうかな?そうかもね。ふふっ』

 

近付いてきたジュディに手を引かれながら、その右に隣接している家に向かう。

 

『そしてその隣は…私の家』

 

軒先の柱の下の方を手を触れて、懐かしそうに傷のあるところを撫でる。

そこには、間隔はバラバラだが横線が幾つも引いてあった。

 

『ここには祖父母と一緒に住んでたの』

 

閉じている横開きのドアをスライドさせると、泥を少し巻き上げながらゆっくりと開いた。

通電していないからか、電子錠はとっくの昔に外れていたらしい。

一緒に家の中に入って行く。

なんてことはない、よくある一階建ての平屋だ。

室内は5つの部屋に分かれていた。

 

『ここはキッチン、そっちは祖父母の寝室ね。そして、じゃじゃーん!私の部屋』

 

開きっぱなしになっている入口を潜り中に入ると、朽ちてスプリングが全て剥き出しになっているマットレスと骨組みだけのベッド、小さな勉強机があった。

壁にはポスターと、背の低いタンスがある。

 

『このポスターは…ジョニー・シルヴァーハンド?』

 

年代物だが、紙製ではなかった為にいまだにその色彩を失っていないポスターが、存在感をあらわにする。

そこには、デカデカと『SAMURAI』の文字と、銀色の中指をおっ立ててファックサインをするグラサンロン毛が写っていた。

 

『あぁ、それお爺ちゃんのなんだ。殺風景だから彩りを加える〜って貼って行ったの。ジョニー・シルヴァーハンドって言う人だったんだね。知らなかった』

 

『まぁ、いろいろぶっ飛んでるロッカーボーイだよ。50年くらい前に、アラサカビルを核分裂爆弾でファックした張本人』

 

『えぇ!?そんなすごいことしてたんだ。全然興味無かったから知らなかった』

 

『あっちこっちの女の子とヤリまくりのロクデナシだけど、曲はすごいよ。もしかしたら聞いたことくらいはあるかも』

 

『へぇ、そうなんだ。せっかくだから持って帰りましょ』

 

ジュディが壁からポスターを剥がす。

その間に、タンスを開けると小さい子供用の服が出てきた。

可愛いフリルの付いた女の子用のや、知らないキャラクターがプリントされた男の子用っぽいTシャツもある。

 

『それ、古いでしょう?ウチ貧乏だったからさ、近所の人の古着とかもらって着てたんだ』

 

ゲームでVがジュディとここへ来た時、ジュディとの同調で聞こえた記憶の声。

 

『ジュディだ、ジュディ菌に気をつけろ!』

『アルヴァレスんちは貧乏すぎて、親すら買えないんだ!あはは!』

 

と言うクソガキ共の心無い声を思い出す。

それなりに辛い思いをしたはずだろうに、その目を優しく細めて懐かしそうにだけしている。

ここには、幸せな思い出も沢山あるんだろう。

 

『ジュディは強いね』

 

『そんなことない。ただ、時間が解決しただけよ。……行きましょ』

 

外に出ると、玄関から少し離れたところに、古いカメラと写真立てが落ちていた。

 

『これは…確かDPI-350だったかな?』

 

『よく知ってるわね。骨董品よ』

 

付着した泥を払って、よくよく裏面を見る。

名前の部分は掠れてもう見えないが、アルヴァレスの名字が微かに判別できた。

 

ついでに写真立ても拾い上げてみる。

表面のガラスを手で拭ってみると、凸凹な老夫婦と若い女性、そしてその腕には小さい赤ん坊が抱かれていた。

大人3人はとても幸せそうな顔をして、写真に写っている。

左下には、『我が家の新しいカラバシタに』と書かれていた。

 

『ジュディ、これは君が持っているべきだ』

 

『くれるの?……これ、私?』

 

写真立てとカメラを手渡すと嬉しそうにしていたが、写真に写る人物をみて気付いたようだ。

 

『こんな、こんな写真があったなんて…』

 

『今日、勇気を出して来たから見つかったんだよ。きっと、これに導かれたのかもしれないね』

 

『ありがとう、ネイト』

 

ジュディの目元が光った気がしたが、そっとしておく。

しばらく辺りを散策して、ホッケースティックも見つかったりもした。

カメラと写真立てを装具に括り付けて、持ち運び出来るようにした。

 

『このカメラもお爺ちゃんのだったのね。お婆ちゃんに渡したらきっと喜ぶと思う』

 

『良いお土産になるね。ジュディのお祖父さんお祖母さんはどんな人なんだい?』

 

『そうねぇ。お爺ちゃんは機械に強かった。私の知識は全部お爺ちゃん譲りよ。それにいつも…面白い話をたくさんしてくれた』

 

『なるほど。そしたら、お祖父さんが居なかったら、私はジュディと会えていないかもしれないね』

 

『それはそうかも!お婆ちゃんは…気まぐれでね。ヒートアップしたかと思うと、いきなり冷たくなったりして』

 

『2人はいまはナイトシティに居るのかい?』

 

『うん、つい3年前まで今私の借りてる部屋に住んでたんだ。でも街に嫌気がさしてオレゴンへ引っ越したの。たまに2人に会いに行ってる』

 

『2人とも、君が顔を見せると喜ぶんじゃないかい?』

 

『そうねぇ。どちらかと言うとお爺ちゃんは喜んでるけど、お婆ちゃんはどうなんだろう』

 

ジュディにその後着いてくるように言われ、ゆっくりと水に沈んだ町を見て回る。

ガソリンスタンドには廃車がそのままになっていたり、倒れたドラム缶には壊れた人形が入っていた。

 

『随分とボロボロになってしまっているね。この人形に見覚えは?』

 

『可哀想…15年近くこんなところにいたなんて…』

 

『君のかい?』

 

『ううん、ジェニー・チャップマンの』

 

ジュディは人形に近付いて、拾い上げる。

顔に着いてしまった泥を優しく拭った。

 

『当時好きな子だったのかな?』

 

『どうなんだろう…でも、気を引きたくて隠したのは事実よ。はぁ…〝ドール〟が子供のおもちゃだった頃が、懐かしい』

 

そっと、スタンドの上に人形を置いた。

どうやら、これ以上は話したくないらしい。

次に案内されたのは教会だった。

二つの鐘撞塔を持つ教会で、外壁の白い漆喰は所々剥離していて、どこか薄気味悪い印象を与えた。

 

『教会は全然変わってない。昔から古びてて、まるで宇宙から降って来たみたいだった。鐘にヒビが入っててね、それが鳴ると、すっごい不気味な音がしたの』

 

割れ鐘の音は聞いたことが無いが、前世で近所のお寺が毎日18時になると鐘を突いていたのを思い出した。

住職の腕が良いのか、とても澄んだ音だったのはよく覚えている。

はたして、この世界の日本でもまだあるのだろうか。

 

『他でも無いジュディがそう言うなら、きっと相当不気味に違いない』

 

『ちょっと、それどう言う意味?…冗談よ!あー、扉は閉まってる。残念』

 

『他に入れる場所があるかもしれない』

 

『探してみて』

 

実際は、天井に大穴が開いているのを知っている。

けれど、その前にとある物が無いか周辺を調べてみる。

入口の扉の右脇に、ゴミの入った袋が数個水中を漂っている。

近付いてその辺りをスキャンしてみると、無事にキリストの磔刑を模したトップのペンダントを発見することが出来た。

 

『あら、ラグーナベンドの心を見付けたのね!世界で一番価値のある宝石よ!ミリテクとアラサカを丸ごと買い上げたっておつりが出るんだから』

 

『おやおや、それは随分と御大層なお宝を見つけちゃったね。大切にしないと』

 

『そうよ〜』

 

ラグーナベンドの心と呼ばれたペンダントは、エントロピズムの低品質なお土産のような代物であるが、ここにジュディと来たという記念に持ち帰るのにはちょうど良い。

ありがたくインベントリに仕舞う。

 

それから屋根に向かって行き、穴が開いていることを伝える。

 

『ここから入れそうだよ』

 

『オッケー、今行く』

 

追ってジュディもやって来た。

ライトを穴から教会の中へ向けると、海底に沈んだ古代遺跡を探検しているかのような気分になる。

こういう場合は、サメのモンスターとかが出て来るのだろうが、実際はそんなことない。

 

『誰もいない時に、忍び込んだことがあるの。祭壇に立って、ここからみんなを眺める神父の気持ちを想像したっけ』

 

『見つかったらだいぶ怒られるイタズラだね』

 

『ほんとよね。でも、当時は不思議に思ってたんだ。どうしてみんなの考えてることがわかるんだろうって。大声を出して、どれだけ響くか確かめたりもしたなぁ』

 

『それで見つかったの?』

 

ジュディがイタズラっぽく手を引いて来る。

十字架がかけられて居たであろう祭壇の方に連れてこられる。

 

『残念ハズレ!反響音のデカさにビビって、捕まる前に自分から逃げ出したの。ジェニー・チャップマンへの罪悪感を発散しようとして大声で叫んだら、それが全部自分に返ってきたみたいでさ』

 

『いまでも、人形を隠した事を後悔しているのかい?』

 

ゆるゆると左右に首を振るが、ややあって再び首を縦に振った。

 

『どうだろう…多分そうかもしれない。……ここに来たら、色々昔のことを思い出しちゃった』

 

スッと自然な形でジュディが寄り添って来る。

水底に足を付けて、誰もいない。

生き物も1匹もいない暗闇と静寂に包まれる真っ暗な水中の教会で、ただ2人。

ここが水の底に沈む前の姿を見てみたかった。

きっと、いまも地上にあったならば、祖父母と3人でここに住んでいたに違いない。

ジュディがナイトシティを出たがっているのは知っているが、1人で出て行きたくないという気持ちと、この街にはまだ未練が多くあることも私は知っている。

彼女はこのナイトシティを離れた方が、幸せになれることも知っている。

 

『……ここに来て、良かったと思えるかな?』

 

ジュディがこちらを向く。

目が合うと、ニコリと笑った。

 

『それはもちろん!』

 

『そうか、それは連れて来た甲斐があったかな?…そろそろ地上に戻ろうか。ここは水圧が高い。長居すると良くないからね』

 

『わかったわ。連れて来てくれてありがとう。ネイト』

 

 

ゆっくりと教会の穴から外に出て、私に掴まらせる。

それから腰に付けた、圧縮酸素をつかう救命用具の紐を引っ張った。

膨張した浮き輪が、私の重みより少しだけ優ったのでゆっくりと浮上し始めた。

毎秒10cmくらいの速度での浮上で、途中焦れたジュディが早く上に上がろうとするのを腕を掴んで阻止する。

私のように全身クロームならまだしも、体の大半が生身のジュディが50mから一気に浮上したら減圧症になってしまう。

そう言い聞かせて、8分以上掛けて水面に出た。

 

コテージのある岸から、結構離れてしまっていた。

2人で泳いでたどり着いた頃には、潜り始めた時より2時間近く時間が経って居た。

なんだかんだ、1時間以上は潜水して居たらしい。

ドライスーツを脱ぎ捨てて、下着姿でビーチチェアにお互い横になる。

ジュディがよそ見をしている時に、インベントリから瓶ビールとニコーラを取り出して、ビールの方を渡す。

 

「わお!ちょうど喉乾いてたから、最高のプレゼントじゃない!」

 

「乾杯しよう。ラグーナベンドに」

 

「良いわね。…ラグーナベンドに」

 

体に糖分と水分が補給されて、疲れた脳みそに糖分がガツンと流れていく感覚がする。

5気圧のところに1時間以上いたから、知らない間にかなり体が疲れて居たようだ。

 

少しの間、お互いに飲み物を飲みながら日向ぼっこをして、夕方にコテージに入った。

 

「私先にシャワー浴びるね。終わったら、ネイトも入って」

 

「ありがとう。そうさせてもらうよ」

 

ジュディがシャワールームに消えていくのを見送り、その間自分は簡単にスープを仕込んでおく。

本当に簡単な料理で、鍋に粉末スープと乾燥具材を入れてお湯で煮るだけ。

簡単ミネストローネの出来上がりだ。

すこし塩を追加で入れておくと、ちょうど良い塩梅になる。

5分ほどして、ジュディがシャワーから上がって来た。

体から湯気が立ち上っていて、石鹸のいい香りがする。

 

「すっごいいい匂いね。スープ作ってくれてたの?」

 

「美味しそうでしょう?私が出るまで、焦げないように掻き回してくれててもいいかな?」

 

「オッケー。任された」

 

バトンタッチして、ささっとシャワーを浴びる。

ジュディと同じ石鹸とシャンプーを借りて、身体を洗った。

シャワーからでると、ちょうどいい具合に出来上がっていたのか、ジュディが深皿にミネストローネをよそってくれていた。

 

「さぁ、ネイトと私の愛情が入ったスープが出来たわ。ま、私はかき混ぜてただけなんだけどね」

 

一口食べてみたが、元が粉末だったとはいえそこそこ美味しい。

塩を気持ち多めに入れたのが、やはり決め手なのか味が引き締まっている気がする。

ジュディも味わって食べているので、私も無言でパクパク食べてしまった。

 

その後、お互いの子供の頃の失敗談を話して、それのくだらなさに笑った。

ジュディは好きだった子に、なんて接すればいいかわからなくて喧嘩ばっかりしていたそうだし、今世の私も、縁日で買ってもらった食べ物をよく地面に落としてギャン泣きしていた。

前世でも似たようなことばっかりやっていたので、やはり生まれ変わったとしても同じことをやらかすらしい。

 

「ネイト、今日はここに泊まって行かない?」

 

「私は平気だけど、ジュディは良いのかい?」

 

「うん、平気。エヴリンにも、今日は帰らないって言って来たから」

 

なんと、最初からここに泊まるつもりだったらしい。

どこで寝るのかと尋ねると、案内された部屋にはベッドが一つしかない。

 

「まぁ、そこに座って」

 

そう促されてベッドの縁に座る。

ジュディもその隣に腰を下ろした。

 

「どうして、ネイトはラグーナベンドに連れて行ってくれたの?」

 

「そうだなぁ、私がこの目でジュディの生まれ育った町を見てみたかったっていうのが一つ。それに、君が寂しそうだったから、つい放って置けなかったんだ」

 

「へぇ〜、なんでもお見通しってわけね」

 

スススッとジュディが座る位置をずらして、密着して来る。

俯いていて表情が窺えないが、なにか思案しているらしい。

 

「じゃあ、さ……寂しくないようにしてよ。ネイト」

 

両肩をグイッと押されて、ベッドに押し倒される。

腹の上に座られて身動きが取れない。

ジュディの顔が近付いてきて、そっと唇に啄むようなキスをされた。

 

「おやおや、私で良いのかな?」

 

「ネイトだからいいんでしょ?何しても死ななそうだしね」

 

「それはそうかも」

 

それから、お互いに服を脱がし合って、ベッドの外に放り投げる。

もう2人の間を隔てる無粋なものは存在しない。

貪るようにお互いの唇と舌を絡め合わせ、白魚のような肌を紅色に染めていく。

あとは快楽を求めるように、お互いの肌を重ねていった。

 

夜が更けていく……

 

 

ことが一通り終わり、ベッドに横になったジュディが手を握って来る。

 

「ねぇ、ネイトって私の他にも好きな人いるでしょ」

 

心臓がドキッとした。

ミスティに限らず、私の身の回りの女性はどこか感覚が鋭い。

ここは否定せず、話すことにした。

 

「……居るよ。1人だけね」

 

「へぇ、否定しないんだ。当ててあげよっか?その人も女性でしょ」

 

「よくわかるね。そうだよ、12歳くらい年上なんだけどね」

 

「わお、想像よりも年上だった!意外ねぇ…でも、まあ良いわ。許してあげる」

 

顔を近づけてくるので、キスをする。

 

「きっと、ネイトは何もしなくても人が寄って来る」

 

「それはどうだろうか。私がトラブルに巻き込んでいるだけかも知れないよ?」

 

「それはそうかも知れないけど、なんだかんだ私も助けられている口だからね…」

 

横になったまま抱きつかれた。

ジュディの肌を通して、鼓動が伝わって来る。

何か逡巡しているようで、少し脈動が速い。

 

「…その、ネイトは私のことどう思っているの?」

 

「私は君のことが好きだよ。良い関係になれたらなとも思っていた」

 

「そっか…私も好き。そんなに時間が経ってないのにね。メールでやりとりしてたからかな?知らない間に好きになってた。……ねぇ、このまま手を握ってて」

 

ギュッとこちらからも手を握り返す。

ジュディの目が青色に光って、データが転送されてきた。

ジュディの部屋の電子キーだった。

 

「はい、これでいつでも私の家に入れる。好きな時に来てよ」

 

「本当に良いのかい?」

 

「えぇ、引っ越してとかそういう事は言わないけど、会いに来てくれたら嬉しい。もっとたくさんネイトと一緒に居たい」

 

「そうか…私もなるべく行けるようにするよ」

 

「それと、ネイトがもう1人の人のこと好きでも良い。でも、いつかその人と会わせてね」

 

ギュッと頬っぺたをつねられた。

 

「……わかりました」

 

グロリアさんには、なんて言えばいいだろうか…

今更ながら、先行きが不安になってきた。




ということで、ジュディイベントにお付き合い下さりありがとうございました。
どうしても、ネイトと一緒にラグーナベンドに行って欲しかったと言うノミの心臓のエゴでございます。
次回は、ルーシーを本格的に物語に引き摺り込みます。(カワイソウ)

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