【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正いつもありがとうございます!!

今回は、難しい単語が出て来ますので、前もって単語の意味だけここに表記します。
途中小難しい話が出てくるとは思いますが、お付き合いください。

CEO:最高運営責任者
COO:最高執行責任者
CFO:最高財務責任者
CSO:最高戦略責任者
CTO:最高技術責任者
CMO:最高営業責任者
CPO:最高個人情報管理責任者
CIO:最高情報責任者


第二十三話

早速乗り込むために、傭兵を雇った人物を聞き出した。

頑なに話そうとしなかったが、生命維持装置に繋いだまま1週間生かさず殺さずで責苦を続けるか、楽に死ねるかどっちが良いか選ばせてやったら、素直に口を割ってくれたので助かった。

今回デラマン診療所を襲うように指示したのは、バルド・コルトーレというイタリア系の男で、NCサンダーランド・ヘルスケアサービスの営業部長らしい。

どうやら、かなり出世欲の強い人物のようで、陰謀を巡らせ同僚を次々に蹴落として今の地位に居るらしい。

恨みもたくさん買ってそうだな。

 

ネットを使って企業としての債務状況なども調べると、10Kや10Qのように公開されている情報がずらりと出てくる。

どうやら、新興企業としては滑り出しがあまり好調では無く、健康グッズやら独自開発の医薬品やらも売り出してはいるが鳴かず飛ばず、2カ所の病院の補助金でどうにかやりくりしているらしい。

その病院も、クロームを陰で剥ぎ取って死んだ事にするような程まではいかないが、死なないギリギリの手術までに留めて、あとは投薬による延命で長く入院させるような手段を取っているらしい。

一定期間生きていた時は、もう一度手術を行なって治療してから追い出すらしいが、保険に入っておらず料金が払えない人間は、手術すらせずにそのまま死ぬまでベッドに縛りつけて置くらしい。

病院以外にも小さい薬品製造工場もあって、自社ブランドの医薬品が売れない為足を引っ張っているようだ。

 

企業のCEOであるジョイムス・サンダーランドは、コーポの社長としてはかなり善人寄りの人物のようで、最初はキチンと治療をしていたようなのだが、最近は表立って姿を見せていないようだ。

会社に出勤している姿を見せているので、死んだり監禁されているわけではなさそうである。

どうやら、現在はお飾りと責任を取らせるための道具のような扱いにされているのか、企業の運営方針に携わることが出来ずに、それすらも部下達が勝手に決めているとの噂も耳にした。

 

なかなか面白そうな連中に目をつけられたもんだ。

これはある意味でちょうどいいかもしれない。

天佑我にありと言ったところであろうか。

 

とりあえず、保険として行動インプリント連動フェイスプレートを作動させて、顔を別人に変えてから乗り込む事にした。

まだ小さい企業とはいえ、生意気にも本社はシティーセンターのダウンタウンに構えていた。

とは言ったものの、ダウンタウンの更に端っこの方でヘイウッドのウェルスプリングスとの境界線にほど近いところにある。

 

パンパンに膨らんだ袋を片手に、ぷらぷらと歩いて向かう。

人手不足なのか、はたまた雇う金がないのか、ビルの入口には警衛は立っておらずセキュリティゲートもない。

さすがに監視カメラは複数台設置されているが、見渡してもセントリーガンの類が隠匿されている様子もない。

はて、弱小とはいえコーポなのに、あまりにも不用心過ぎやしないか。

逆に罠なんじゃないかと勘繰りたくなってしまうくらいには、無警戒っぷりが過ぎる。

 

入口から入って正面に受付があり、暇を持て余したような若い受付嬢がボーッとしていた。

わたしが近づくと、ハッと気付いて取り繕ったように笑みを浮かべて声を掛けてくる。

 

「NCサンダーランド・ヘルスケアサービスにようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

 

「あぁ、どうもお嬢さん。私は『月に代わってオシオキ代行コーポレーション』のものなんだけどね。バルド・コルトーレ営業部長さんは居るかな?」

 

「す、すごいお名前の企業さんですね…。代行の代行みたいな…頭痛が痛いみたいな…」

 

それは言ってて自分も思ったよ。

適当に考えた名前にしては酷過ぎる。

 

「まぁ、そこは気にしないでよ。で、居るの居ないの?」

 

「あっと、すみません…えーっと、営業部長でしたよね」

 

ぺこりと頭を下げてから、端末で出勤情報を確認し始めた。

その間、チラチラとわたしの顔と持っている袋を気にするように、上目遣いで伺ってくる。

まぁ、普通はそんな訳分からん名前の企業を名乗る奴が、怪しげな袋を持参して来たら気にならない理由がない。

しばらくしてから、恐る恐るといった様子で受付嬢が手をエレベーターの方に向けた。

 

「そのー、営業部長は本日はお休みという事にしろとなっておりましたが……五階のオフィスにいます…」

 

おや、意外なことを言い始めた。

一つ頷いてみると、何も言ってないのにその先も語り始める。

 

「えっと、そのぉ…これは独り言なんですよ?実は私の婚約者が、営業部長のせいで降格させられて、酷い目に遭ってて…それに、本当はもう1人受付が居たんですけど、その娘も営業部長に無理矢理暴行されて、鬱になって辞めちゃったんです。他にも会社内で酷い目に遭った人が多く居て…COOやCPOとも連んでいて、誰も手が出せないんです」

 

やっぱり、恨みを買いまくりだったようだ。

一階ロビーには我々の他には誰も居ないので、聞いている人間が居ないことを良いように利用することにしたようだ。

明らかにヤバい人物を素通りさせるくらいなので、こちらも遠慮なくさせてもらう。

 

「助かるよ。なにか言われたら、私から脅されて仕方なく教えたと言えばいいよ」

 

「あの…よろしくお願いします」

 

後ろ手に手を振って、エレベーターで五階に向かう。

扉が開くと、エレベーターロビーには無理矢理スーツを着込んだパツパツのゴリラみたいな連中が8人ほど屯していて、その先の通路に各部署の責任者達各自のオフィスがあるようだ。

雑魚には用はないので、無視して前を通り抜けようとすると取り囲むように前に立ちはだかる。

 

「お前は何者だ。誰に用がある」

 

「私は『月に代わってオシオキ代行コーポレーション』の者でね。バルド・コルトーレ営業部長さんに用事があるんだよ。それとお届け物もあるんだ」

 

「…営業部長は本日はお休みだ。出直して来い」

 

腕を組んで、上から見下ろすように圧力を掛けてくる。

健気過ぎて、あくびが出そうだ。

一応、エレベーター側に立っていたやつは横にズレたので、怪しいが何もしなければ帰すつもりらしい。

まぁ、この先には会社の重役達がいるので、壁を貫通して流れ弾にでも当たったら大変だとか思っているのかもしれない。

ここでそのまま暴れても面白そうなのだが、CEOに会ってみた方が良いような気がしたので、言われた通りにエレベーターに乗る。

扉が閉まったところで袋をインベントリに仕舞い、天井の一部をエラッタで切り取って素早くエレベーターシャフトに身を乗り出す。

一階に向かってエレベーターが下がり始めるので、急いでジャンプして、五階のシャフトに繋がる通気孔に滑り込んだ。

真下にはさっきの8人がいるので、音を立てずに腕を伸ばして指先の力だけでダクトの中を前進して行く。

傍から見たら、出来損ないの王蟲みたいで気持ちの悪い動きだろうが、誰が見ているわけでもないので気にしない。

 

このダクトは通路の真上を通っており、そこを起点として左右にあるオフィスから空気を吸い出している構造のようだ。

ようするに、ここは排気ダクトのようである。

空気を吸い出すための金網が各オフィスに設置されているので、そこから中を覗いて一人一人スキャンして行くと、一番奥の突き当たりの部屋にCEOのジョイムス・サンダーランドがいた。

くすんだような金髪でやつれた顔をしており、一応企業のCEOなのに草臥れたスーツを着ていた。

その二つ隣のオフィスに居た、野心ギラギラな雰囲気を放っているバルド・コルトーレとは大違いだ。

ヤツは随分と金回りの良さそうな感じで、高級スーツに身を包んで一丁前に葉巻なんか咥えていやがった。

目下の人物とは、えらい違いである。

 

ちょうど、窓辺に椅子を持って行って酒を一杯やろうとしていたので、慎重に音を立てないようにダクトの格子蓋を外してヌルリと侵入する。

机の上の上に置いてあるボトルを取り、椅子の真後ろに立った。

 

「センツォン・トトチティンとは、中々良い酒のご趣味ですね」

 

「だ、誰だっ」

 

「おっと、そのまま振り返らないで。大きな声も出さないで下さいね。貴方には危害を加えるつもりはありません」

 

「……何をしに来たんだ。私にはもう会社を動かす力は無いぞ」

 

咄嗟に振り返ろうとするのを頭を上から押さえて、持っているグラスにお酒を継ぎ足してやる。

一先ず私の両手に凶器を持っていないことに気付いたからか、肩の力を少し抜いて継ぎ足されたグラスの酒を飲み始めた。

結構肝が据わっている。

 

「ええ、どうやらそのようですね。なぜこんな事になっているんです?」

 

鼻を鳴らして、飲み干したグラスを窓の地板のようになっている縁にゴンと叩きつけた。

 

「私の経営理念に賛同出来ないのだとよ。クソ共め、いつの間にか私の持ち株を減らすために増株して、しかも勝手に上場までしやがった。今では私は20%しか影響力がないお飾りのCEOだ」

 

「その主犯が、営業部長ってわけですか?」

 

「いや、奴だけじゃ無い。COOもCPOも一緒にやりたい放題だ。他の役員達も脅されていたり、大なり小なり加担している連中ばっかりと来た。唯一迎合していないのはCTOだけだ」

 

「ほう、一応は味方がいる感じですか」

 

「いや、CTOは生粋の技術屋でそう言った社内政治には全く興味がないだけだ。だから、誰に着くとかそういうことは考えてない。無害だから放置されているのもあるな」

 

なるほど、ということは完全に孤立無援なわけだ。

社員にはそれなりに好かれていそうだが、上役がこれだとどうしようもないだろう。

ここで、毎日ヤケ酒を飲むしか仕事が無いのだ。

腐りもしよう。

深いため息を吐いて、頭を抱える。

彼の不幸は、この企業を人心の終わっているナイトシティで開いてしまったことだろう。

この新合衆国でも他の街や国ならば、もう少し違っていたのだろうが…たらればを考えても仕方ない。

 

「…それで、もう一度聞くが何をしに来たんだ」

 

「あぁ、そうでしたね。実は今日お宅から雇われた傭兵が、とある出来立てほやほやの診療所を襲撃しようとしましてね。調べたら雇い主がバルド・コルトーレということで、その診療所から報復を依頼されて来たんですよ」

 

また頭を抱えて、窓の縁に叩きつけたグラスを持ってこちらに向けてくるので、継ぎ足してやると一気に飲み干した。

 

「そこはデラマン診療所という、デラマンの新しい会社だろう。聞くところによると、アフターライフのローグとサイバーパンクの1人が出資して出来たという」

 

「そうですね。よくご存知で…まぁ昨日の今日で早速仕掛けて来たみたいですね。お宅の営業部長が」

 

「デラマンというだけでも厄が付くのに、よりによってサイバーパンクとフィクサーの出資先に手を出すとか馬鹿すぎるな…」

 

「ええ、ということでお命頂戴しに来たわけなんですが…あぁ、貴方は関わっていないみたいなので気にしないで下さい。簡単に今回の件に関わっていそうな人物をピックアップして下さったら、ついでに一緒にタマ持っていきますよ」

 

「……この階に居る、私とCTO以外の全員だ」

 

それならば話が早い。

今日はそんなに時間が掛からず済ませられそうだ。

まぁ、他にもみせしめになるように、せいぜい派手に殺して差し上げましょう。

 

「では、そのまま立ち上がってください」

 

持っている瓶を窓の縁に置いて、肩と後ろ襟を持ってこちらを振り向けないようにしながら、オフィスのドアに背後から誘導する。

私が一切危害を加える気がないのを教えているからか、抵抗せずにドアまで近付く。

 

「さて、このまま何事もなかったように外に出て、CTOを昼食にでも誘ってください。外にいる用心棒の連中の1人でも一緒に護衛と称して連れて行けば、向こうも安心して行かせてくれるでしょう」

 

「…分かった」

 

「それとこの階は吹き飛ぶかもしれないので、そこは勘弁して下さい」

 

「もう好きにしてくれ」

 

言質は頂いたので、ジョイムスをそのまま出て行かせてしばらくこの部屋で待機する。

その間、端末にジャックインして中身を覗いてみるが、CEOなのに社内サーバーにアクセスする権限が無かったりするのが、いかにも哀愁を誘ってくる。

まぁ、いまはこの会社にブリーチを仕掛けても仕方がないので、もう充分だろうと思い外に出る。

 

「たらら〜、たらら〜、ノックしてもしもーし」

 

エラッタ片手にぷらぷらさせて、早速隣のオフィスのドアを蹴破る。

中には中年の男がBDを観ながら笑っていた。

一応スキャンを掛けてみると、どうやらこいつがCOOのようだ。

仕事中にエロだかグロだかのBDを観てるとは、重役っていうのは楽な仕事なのかねぇ。

まぁ、騒がれなくて仕事はしやすい。

 

「ららら〜、首頂戴ィ!」

 

シャッと横一文字にエラッタを振ると、面白いように首がポーンと飛んでいって、ガラスに当たって床に落ちた。

傷口は斬られながら焼灼されるので、血が噴き出ないエラッタはとても使いやすい。

調べられたとしても、返り血を浴びないのでルミノール反応が出ないし、エラッタは言わずもがなである。

足元に転がって来た頭を跨いで、遠隔起爆できるグレネードを一つ放り投げた。

 

まずは1人片付けたので廊下に出ると、エレベーターホールの所に居たゴリラの1人と目が合う。

軽く手を振って、次の目の前にあるオフィスのドアを蹴破った。

端末で仕事をしている男が顔を上げる。

スキャンするとこの男がCPOのようだった。

 

「何者だ。無礼な奴め、早く出て行きたまえ!」

 

「どうも、『月に代わってオシオキ代行コーポレーション』です。貴方と営業部長とCOOへ恨みつらみをたくさん頂いておりまして、死んでもらいます」

 

「な、なんだと!?くそッ!誰か!」

 

モタモタとデスクから拳銃だかを取り出そうとしているので、近付いてデスクの縁に足をかけて思いっきり押し込んだ。

固定されていなかったデスクが勢いよくズレて壁に激突し、デスクと一緒にそのまま下がってしまったCPOが真っ二つになる。

上手い具合に上半身が机の上に残って、パクパクと口を開くが何も声を出せずに息絶えた。

さすがに衝撃と破壊音で周りも異変に気付いただろう。

また一つグレネードを放り捨てる。

 

外に出ると、エレベーターロビーの方から銃撃が加えられた。

銃弾を反射させながら、サンデヴィスタンを発動させる。

ゆっくりと銃弾が衝撃波の尾を引いて飛んで来るのをいなしながら、1人減って7人になっているゴリラ達に斬り込んだ。

ぴちぴちのスーツを着込んでいるので、肘が張って窮屈そうなのが見て取れる。

可哀想なので、手足をすっ飛ばしてダルマにしていった。

サクサクと7人を無力化して、仕上げにシステムリセットをする。

 

エレベーターを呼んで、無言になったゴリラ達を積み込み下の階へ送る。

クルリと振り返ると、この階に残っている全員が廊下に出て来ていた。

目が合った2人ほどが、尻餅をついたり後退りをする。

 

「やぁ、どうも皆さん初めまして。『月に代わってオシオキ代行…』いや、長いし面倒だから良いか。デラマン診療所の方から来ました。今からみなさんには死んでもらいます。理由は、そこのバルド・コルトーレ営業部長から地獄で聞いてください」

 

「ふ、ふざけるな!このサイバーサイコめ!!今すぐにマックス・タックが来てお前は死ぬ!」

 

CSOがそう叫ぶが、ブーリャをお見舞いして頭を血煙にした。

 

「大丈夫、マックス・タックが来るまでの3分あれば充分だよ」

 

ポイっと、バルド・コルトーレの足元にインベントリから取り出した袋を投げつける。

衝撃で中から、切り取られた傭兵の頭と手足が転がり出た。

 

「見覚えがあるだろう?まぁ、手を出してはいけない所に手を出したんだ。見せしめになってもらうよ」

 

「ま、待ってくれ!?」

 

「いや、待たない。時間もないしね」

 

サンデヴィスタンを再び稼働させて、手前から次々にエラッタの餌食にしていき、少し離れてしまった奴はブーリャで吹き飛ばす。

あえて残して置いたバルド・コルトーレの前に立って、足にエラッタを突き刺した。

絶叫が響き渡るが、もうこの階にはその悲鳴を聞く人間も居ない。

 

「最後に聞くけど、誰に誑かされた?」

 

「…く、くたばれっ」

 

「はぁ、まぁそっちがその気なら良いよ」

 

突き刺していたエラッタを引き抜き、そのまま首を刎ねて袋に詰め回収する。

窓の外がうるさくなって来たので、そろそろマックス・タックが突入してくる頃だろう。

最後にもう一つグレネードを放り投げ、エレベーターに乗り込んでから起爆信号を送信した。

エレベーターが閉まった瞬間に爆轟が響き渡り、一つ下の階に緊急停止する。

衝撃で四階の広々としたオフィスの窓ガラスが割れているので、光学迷彩を起動しながら他の社員達の脇をすり抜けて飛び降りる。

五階を見上げると、割れた窓から黒煙をもうもうと吐き出している。

奥の方でチラチラと赤いものが見えるので、なにかの可燃物に引火したようだ。

 

地上では、爆風に巻き込まれて制御不能になったのか、マックス・タックのAVが一機墜落してアスファルトに突き刺さっていた。

さすがはマックス・タックと言うべきか、乗り込んでいた隊員達は全員無傷で脱出していた。

次々に消防AVが到着して、五階に向かって放水し始める。

直に火事も収まるだろう。

残して来た死体は、そばに転がして来たグレネードの爆発で粉微塵だろうから誰がやったか分からないはずだ。

そそくさと現場を後にし、デラマン診療所まで帰る。

 

バルド・コルトーレの頭からサイバーデッキを抜き取って、ログやら通話記録などの情報を漁ってみたが、こちらも大したことが残ってなくて少しがっかりした。

どうやら変なところで用心深い人物だったようで、ログや履歴を毎日削除していたらしい。

これでは復元のしようもないので、これ以上は諦めることにした。

もし、裏に黒幕がいるのであればまた仕掛けてくるだろう。

それを待つのも悪くない。

 

診療所に戻ってすぐに、デラマンと共謀して空売りを続けて、事件発生により株価がさらに下がってしまったNCサンダーランド・ヘルスケアサービスに対して、TOBを仕掛けて敵対的買収(M&A)を開始する。

公開買い付けだけでなく、殺して回った重役の遺族達に声を掛けて周り、相続していた持ち株を半ば強引に購入して行ったりもした。

渋ったところには、その役員の不正の証拠を見せて訴訟の二文字をチラつかせてやれば、簡単に応じてくれた。

NCサンダーランド・ヘルスケアサービス側は、実際に会社を運営していた役員達が軒並みお亡くなりになっていたので、CEOが気付いた頃には最早ポイズンピルやクラウンジュエルで対抗するような時間は残されていなかった。

そうして、過半数以上の株を保持することになったデラマン診療所は、堂々と傷跡の残るNCサンダーランド・ヘルスケアサービスの本社ビルに乗り込んでいって、CEOジョイムス・サンダーランドと再び対面するに至った。

話し合いの結果、サンダーランドCEOとサリバンという名前だったCTOはそのまま続投する流れになり、名ばかりで実働することはほとんどないと思われるが、CIOには形だけ私が就任する事になった。

デラマンはCOOとCSOを兼任し、残るCMOとCPOの人選についてはサンダーランドCEOに一任することとした。

社名はNCが取れて医療法人となり、D&Sメディカルコーポレーションに変更されて、デラマン診療所の連結子会社として再出発を果たした。

いずれ、外に散らばってしまった株を全て回収し切って完全子会社にした後は、コーポレーションからカンパニーに変えて上場を廃止するつもりである。

こうして、我々は新しく救急車の来る2ヶ所の病院と、小さいながらも薬品製造開発が出来る拠点を手に入れることが出来た。

 

ちなみに、サンダーランドCEOは私の顔を見ていなかったが、声で私が襲撃犯だと気付いて頭を抱えて唸っていたけど、車で湖に入水したりせずに挫けず頑張って欲しい。




少々強引ですが、これでネイトは薬品関連の拠点を入手することが出来ました。
あとは人材確保を行わないとですね…
段々と汚い手を使わないと、コーポに太刀打ち出来ないのがなんとも言えないですが、きっと頑張ってくれるでしょう。
しかし、どこか濃霧が出て来そうな会社ですね…

ご感想、高評価お待ちしております。_:(´ཀ`」 ∠):

Vは

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