【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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第三十二話

見事、2人のパンチで玉と砕けたデイビッドを引き摺り、二つあるベッドルームに放り捨てておいた。

レベッカとルーシーからは、猫パンチと本気蹴りを頂戴したが、甘んじて受け入れた。

いやぁ、ニヤニヤが止まりませんなぁ。

何やら、そのあと2人でヒソヒソと話し合っているようだが、お互いに顔が赤いので今後の計画を立てているのだろう。

まぁ、悔いの残らないようにしてほしい。

なんだかんだ、デイビッドが2人を選べないくらいには好きと言うのを聞けただけ、2人にとっては成果だろうな。

デイビッド自身、一山幾らの鈍感系主人公ではないので、レベッカやルーシーの態度から好意を寄せられているのはバッチリ分かっていたから、時間の問題とは思っていたけど、本人の恋愛経験が無さすぎてここまで拗らせているとは思わなかった。

告白するにしても、もう少し言い方ってものがあるだろうに…

いや、たくさん笑わせてもらいましたね。

デラマンの次くらいに、笑ったかもしれない。

 

風呂から出て来たサーシャが、赤い顔してヒソヒソ話をしている2人を見て怪訝な顔をしていたが、その次にベッドルームで爆沈しているデイビッドを見て何かを察したのか、ニヤリと怪しい笑みを浮かべた。

何か良からぬことでも思いついたのか、2人に気付かれ無いようにススっとベッドの上でシクシクしているデイビッドに近付いて行って、指でほっぺたを突いている。

何だか面白そうなので、黙って観察してみることにした。

 

湯上がりでほんのり上気しているサーシャから、頭をヨシヨシして貰いつつ何があったのかを聞き出しているようだ。

中々にお姉さんムーブをかましている。

第3の刺客として、あの愉快犯は行動するようだ。

そのあと、デイビッドに膝枕をしてあやしているところを2人が目撃し、抜け駆けだのなんだのと口喧嘩が始まったのは些細なことだろう。

 

全く、若い青少年少女達の情緒を弄ぶなんて!

なんてヤツだ!

ソイツには人の心が無いに違いないな!

 

 

そんなこんなで、みんなで戯れていたら22時になったので、良い加減茶番を終わらせてみんなに準備をさせる。

必要なものだけ持って、みんなでホテルから歩いてすぐそこの隠れ家まで向かった。

まさか、ホテルのお膝元が開発途中で終わっており、そこの一部を私が隠れ家として使っているとは思わなかったようで、今日初めて来るデイビッドとルーシーが唖然としていた。

特に、シャッターを開けて中にたくさんのサーバー機材がズラリと並んでいるのを見て、ネットランナーであるルーシーはしきりに感心する。

まぁ、普通はこれだけの機材を揃えたとしたら、とんでもない金額が掛かるのは想像できるだろう。

しかし、大半はギャング達が善意(死人に口無し)でくれたので、実質タダみたいなものだ。

 

「よくこんな機材を集めたわね」

 

「まぁね。あぁ、それとバスタブはそこのを使ってほしい。今氷も用意するよ」

 

新たに備え付けた業務用製氷器から、氷を次々と取り出して、空のバスタブに流し込んでいく。

そこに水道から水を引っ張って来て、氷風呂を二つ作った。

サーシャは人目を気にせずポポイっと服を脱ぎ捨て、全裸で氷風呂に入ってサーバーから伸びるコード端子を後頭部にジャックインする。

準備は万端のようだ。

デイビッドは、いきなり脱ぎ出したサーシャに真っ赤になるが、レベッカとルーシーは特に気にしていない。

サイバーパンクとしては当たり前の光景なので、仕事と割り切っているのと感覚が麻痺しているのと両方あるだろう。

一応、そこら辺にあったバケツをひっくり返して、デイビッドの頭に被せておく。

その方が、デイビッドの心の平穏的にも良いだろう。

 

ルーシーもデイビッドがそんな状態にされているのを見てどう思ったかは知らないが、お澄まし顔で全裸になって氷風呂に入った。

 

「ディープダイブ用の端子もあるけど、どうする?」

 

「……普通ので良いわ」

 

「了解」

 

普通と言っても、他のところで使うようなコードよりもだいぶゴツいのを渡して、私自身もサーシャの入っている氷風呂に足を浸ける。

前回と同じように、手の届くところに置いてあるサーバーのポートに、パーソナルリンクをジャックインする。

ルーシーも後頭部にコード端子を接続し終わっているようだ。

 

レベッカが、モニター前の回転するリクライニングチェアに胡座をかいて座っており、私の指示を待っている。

 

「レベッカ、前回と一緒で監視カメラをよく見ていてね。何かあったら、そこのボタンを押せばダイブ中の私と会話が出来る」

 

「はーい、任された!ついでにニコーラ飲んでも良いかぁ?」

 

「良いよ、デイビッドにも渡してあげなね」

 

「ほいほーい」

 

改めて氷風呂に入っている2人を見て、最終チェックをした後で接続をスタートする。

意識が引っ張られるような感覚がして、気付いたら真っ白なネット空間に居た。

いくつかのサーバーを踏み台にしているので、サーシャとルーシーは数秒してから隣に現れる。

最初に接続場所を指定してあるため、私たち3人の目の前には、巨大な黒いICEが立ちはだかっていた。

だいたい、大きさとしてはバイオテクニカと同じか少し小さいくらいである。

 

前回のバイオテクニカの時とは違い、内部にバックドアを仕掛けたPC類は無いため、正面からブチ破るしか方法がない。

と思ったのだが、よく考えたら我々の装備は5年先の物であり、性能差的には更に大きく差をつけていると言っても良い。

カント君の演算力も利用して、上手い具合にマルウェアを流し込めば、ICEや攻性防壁を騙くらかしてトロイの木馬のようなことが可能なのではないか。

そう思ったら、早速やってみることにした。

 

いま自分達の身体をネットワーク空間に作り出しているアバターは、基本的にサイバーデッキによって作り出されている情報体である。

要するに、0と1の羅列で作られているような物だ。

サイバーデッキやサーバーの性能によって、この身体を構成している0と1の量を増やして情報体であるアバターの密度を強化することができる。

つまり、簡単に言うとゲームのグラフィック性能のようなもので、性能が低いと密度が荒くなって、性能が高いと細部まで表示されるように密度が高くなる。

情報量が増えて密度が高くなると何が起きるかと言うと、低密度の攻撃を受けても効き辛くなったり、逆に低密度への攻撃力が増したりするのだ。

片や戦車の装甲のような関係で、片や金属切削用のドリルやスライスカッターのような関係に近いと言える。

ICEの防壁は、もちろん情報量も大きいのだが面積あたりの情報量としては少し薄い。

総量が違うので、殴る蹴るでブチ破るのは大変骨が折れる作業になるが、指先で削るくらいはなんてことなかったりするのだ。

 

ICEにデカい穴を開けたら速攻でバレてしまうので、目の前に聳え立つ壁の下の方を指でカリカリと削って、アバターの人差し指が入るくらいの穴を開ける。

すぐに自動で修復されてしまうので、そのまま自分の指を突き刺して情報量の密度で埋まらない様にしながら、自分に重なっているカント君を使って、内部に自動的に展開されるデーモンを流し込んだ。

 

数秒ほど待つと、中でトロイの木馬が発動したのか、ICEのプログラム自体にバックドアが出来上がった。

あとは、外側からチョチョイと弄ってあげれば、巨大な防壁に人間サイズの観音開きのドアが現れる。

それを開ければ、気付かれずにペトロケムのサーバーに入れると言う寸法だ。

 

「相変わらず、やる事が常識外でめちゃくちゃね」

 

「ネイトのやることに、一々驚いてたら無駄でしょ。そんなことより、早く仕事にかかろうよ」

 

「よし、とりあえず今回はCHOOH2の製造方法と設備の資料、それと原料であるトリティクム・ウルガリス・メガスアウィスって言う名前の穀物の情報だけ抜き出せれば良い。私は穀物のDNAマップやら栽培方法を優先して探すから、2人はCHOOH2の情報を総浚いしてほしい」

 

「分かったわ」

「了解」

 

「制限時間は、そうだねぇ、一時間と言ったところかな。それ以上は、定期的な不正プログラムのサーチングで見つかる可能性があるからね」

 

「あまり時間ないから、早くやろうよ」

 

「じゃあ、仕事に取り掛かろうか」

 

ペトロケムのサーバーに侵入すると、内部構造はバイオテクニカと然程変わりはなかった。

大量のファイルがズラリと乱雑に並んでおり、ここからサーチしてピンポイントで探さなくてはいけない。

自分のアバターと重なっているカント君を分離させると、前回と同じような赤いザリザリ姿を取る。

相変わらず、不機嫌そうな雰囲気でジリジリと左右にブレている。

 

『我をまたこのような、くだらぬ物探しに使うと言うのか』

 

「そうだよ。平和的で良いじゃないか」

 

『……殺しに使うと思えば、それ以外にも使うとは、節操が無いとは思わぬのか』

 

「いいや全く?…思わないね。いいからほら、またお説教食らいたくなかったら、早く仕事をしよう。トリティクム・ウルガリス・メガスアウィスって名前が付いていたり、穀物って単語があるファイルを探して欲しいんだ」

 

『ふん、度し難い』

 

「まぁ、そう言いなさんなって。帰りがけに腹いせしていって良いから」

 

プイッとそっぽを向いて、検索に掛かり始める。

まぁなんでも良いけど、ちゃんと仕事をしてくれば文句はない。

私もこれ以上はうかうかしていられないので、膨大なファイル群にソートをかけて、ある程度まで分類していく。

そこからはそれっぽい名前のファイルをパッと流し読みして、次々にコピーしていった。

 

そうして30分ほど経った頃に、ふとカント君が作業をする手を止めた。

すると突然、前回の逃げる時のように怪しげなデーモンを複数ばら撒き始めたではないか。

何か不味いことでも起きそうなので、急いでルーシーとサーシャの方に向かった。

 

「2人とも!なんだかカント君の様子がおかしい!一度退却する!!」

 

「えっ!?何なのその赤いやつ!!」

「ちょっと待って!ネイトまだこれがッ」

 

「そこで止めて良いから、早く!!」

 

サーバー内の空間がさざなみ立った。

インターネット空間の白い世界が、徐々にひび割れて行く。

ひび割れた先からは、ワラワラとネットランナー達が出て来て、こちらに向けて攻性プログラムを次々に放ちながら向かってきた。

なにか予想外のことが起きているらしい。

怖気付いてそうなルーシーの背中を押して、サーシャの首根っこを掴みながら出口へと向かう。

ICEのプログラムを再構築し始めているのか、観音扉が徐々に閉まり始めている。

このまま閉じ込められたら大変な事になってしまう。

 

後ろに向けて、殺傷性の高いクイックハックを次々に放ちながら、更に加速する。

 

「いまから扉をブチ破るよ!しっかりと情報体を強化してね!」

 

「はぁっ!?情報体の強化ってどうすれば!」

 

「グッと腹に力を入れてれば良いんだよ!!そら行くよ!!」

 

あと数センチでしまってしまう観音扉に対して、ギュッと自分のアバターの情報体を圧縮して、高密度状態で砲弾のような飛び蹴りをお見舞いする。

アバターの足の裏で一瞬拮抗があったものの、元々マルウェアで脆弱性を持たせているところに、高密度の情報体での点攻撃を防げるはずが無い。

再構築しようとしているICEを破壊して通り抜ける際に、再構築作業をしているコンソールを特定しながらクイックハックを流し込んでやった。

作業が途中で止まったせいなのか、真っ黒いICEの防壁の表面がガタガタに凹凸を作って固まってしまった。

ルーシーのアバターのケツを叩いて、サーシャと一緒に先に帰らせる。

後ろを見ると、カント君が殿を務めながら次々に迫り来るネットランナー達に向かって、シナプス焼却やサイバーサイコシス、自殺デーモンと言った即死級のクイックハックを浴びせて大立ち回りしていた。

私も外側の入り口前に立って、カント君を援護射撃する。

 

「カント君!もうそこらへんで良いから、早く戻って来なよ!!」

 

『………』

 

無言で次々に、迫り来るネットランナーを殺戮して行く。

たぶん、相手にはネットウォッチも混ざっているはずだ。

これは、絶対に面倒な事になるぞ。

さながら203高地の日本軍の突撃のように、五月雨式に前が斃れようとも肉薄して、攻性プログラムやクイックハックを撃ってくるので非常に面倒くさい。

段々飽きて来たのか、カント君が遂にブラックウォール・ゲートウェイを使い始めてしまった。

 

『なんと脆弱な生き物なのだ。見よ、我に立ち向かう者の愚かさよ』

 

「バカっ!お前さんがブラックウォールの先の住民だって、ネットウォッチにバレちゃうだろうが!!それを使ったなら、目撃者を皆殺しにするしか選択肢が無くなったよ!!」

 

仕方がないので、次々に感染していって狂死しているネットランナー達を見て、運良く感染から免れて情報だけは持ち帰ろうと踵を返し始めた少数のネットランナー達を後ろから狙い撃ちにする。

カント君も高速で動き回り、次々に生き残りを狩りはじめた。

やっとの思いで、カント君が最後の1人を殺し終えた頃、向こう側もこれ以上の戦力投入が不可能になって、防衛不能だと判断したのかサーバー空間が崩壊しはじめた。

ペトロケムもバイオテクニカの時と同じように、サーバーを物理的に破壊したか、回線を直接破壊したようだ。

 

死屍累々の入り口付近が、崩壊に巻き込まれてICEごと崩れ去ってしまう。

ギリギリまで内部にヤバそうなデーモンをばら撒き続けたカント君が、満足そうに身体のザリザリを震わせて私のアバターの中に戻っていった。

いや、まだ聞かなくてはいけない事があるので、無理矢理アバターから引っ張り出す。

 

「ちょっと待て、なんでこんな事になったんだ?」

 

『我が語るような事では無い』

 

「お前が一番最初に気付いたみたいじゃないか」

 

『……一部のファイルに、コピーをすると通報が入るプログラムが仕込まれていた。我では無い』

 

「なるほど、そういうトリックだったのか…失敗したな。これだと、ドッグタウンに仕掛けた踏み台サーバーを幾つか破壊しないといけない」

 

『我は脆弱な存在の事情など知らぬ。貴様も、ゆめゆめ忘れぬことだ』

 

「はいはい、分かったよ。今回はお疲れ様」

 

言いたいことだけ言って、さっさと私のアバターにまた戻ってしまった。

もうここに長居しても仕方がない。

帰還する事にした。

 

ふっと目が覚めると、少し2人とは帰還が遅れていたので、レベッカが心配そうに私の顔を覗き込んでいた。

ピンクと黄色の視覚機器と目が合う。

 

「お!やっと戻って来やがった!ネイトぉ、心配したじゃねーかよぉ!」

 

可愛いことを言ってくれるので、ギュッと抱きしめてみた。

レベッカも抱き締め返してくれるので、ついつい嬉しくなってしまう。

ルーシーとサーシャの姿を探すと、バスタオルに包まって床で疲労困憊していた。

バケツを被ったままのデイビッドが、手探りでニコーラの缶やタオルで介護しているのが見える。

 

レベッカにお礼を言って、氷風呂から出てからこちらのサーバーにコピーされたファイルをスキャンして行く。

案の定、余計なものが幾つか混入していたので、それだけをピンポイントで破壊した。

幸い、こちらの位置や踏み台にしたサーバーに痕跡を残して行くようなデーモンは入っていなかったので、こちらのサーバー内にカント君を送り込んで更にチェックさせる。

 

『問題はない』

 

と一言だけ言い放って、サイバーデッキに戻っていった。

無愛想過ぎる。

 

「ね、ネイトアンタ……あの赤い奴ってもしかして…!」

 

「ほら、深呼吸して。大丈夫、大丈夫だからね。君に危害を加えるような奴じゃないから」

 

「冗談でしょう……なんて、何てバカな…」

 

「デイビッド!もうそんなもの被ってなくて良いから、ルーシーを任せた!落ち着かせてやって」

 

「わ、分かった!」

 

うーん、やっぱりルーシーの前で、不良AIであるカント君を使ったのは間違いだったかな。

彼女の同期の桜は、半分くらいアイツらにやられていそうだし。

オルトも容疑者の1人ではあるけど。

運良く逃げきれたりしていて、姿だけ見ていたとしても不思議ではないか。

 

自分の見積もりが甘かった所為なのだが、頭が痛くなる。

頭に被っていたバケツを放り捨てて、デイビッドが右往左往しながらルーシーを慰めていた。

レベッカは、事情が事情なので肩を竦めて一緒に介護に回っている。

ある程度落ち着いたところで、ホテルの部屋に全員で戻った。

 

色んな意味でお通夜みたいな空気になってしまったが、美味しいものを色々と頼んだのと、寝心地のいいフカフカベッドによって癒されたのか、4人で固まって寝落ちしていたので、少し安心する。

その間、端末で今回入手したファイルの中身を精査してみると、いい感じにCHOOH2の精製方法とトリティクム・ウルガリス・メガスアウィスの正体が記載されているファイルが入っており、ばっちりDNAマップも見つかった。

大収穫である。

今度は、物理的に侵入を試みなくても良くなりそうだ。

そのほか、色々と調べてみると面白い事が分かった。

どうやら、ペトロケム自体がいつまでもバイオテクニカに主導権を握られ続けるのを良しとしていないようで、トリティクム・ウルガリス・メガスアウィスに変わる新しい品種の穀物を独自研究しているらしい。

まぁ、ゲームの2077年では傘下のままなので、もしかしたら正史では目論見がバレて阻止されてしまったのかもしれない。

 

ちなみに、トリティクム・ウルガリス・メガスアウィスの正体は、タンパク質を極限まで0に近付けて、デンプン質であるアミロースの量を増やせる最大まで増やした米であった。

元々、米は小麦など他の穀物に比べて、一つの苗から採れる石高が非常に多いチート作物なのだ。

人間が食べるものではないので、味はそっちのけで一つの穂につく籾の量を遺伝子操作で限界まで増やしたらしい。

一本の苗でも、根本から次々に分けつして、伸びた一本一本に穂がつくので、遺伝子操作の結果とんでもない量の米が収穫できるそうだ。

しかも、水稲の利点は連作障害が非常に起きづらいことで、我々が野菜ビルで行っているように水耕栽培と成長促進剤の組み合わせをすれば、バッドランズの南側だけでナイトシティの燃料が賄えるくらいには原料が採れてしまうのだろう。

恐ろしいくらいに、驚異的な作物である。

 

となると、もしバイオテクニカがピンポイントでトリティクム・ウルガリス・メガスアウィスを攻撃するウィルスを持っているのだとしたら、いもち病やら萎縮病の細菌やらのウィルスを改良したようなものに違いないだろう。

ペトロケムがどこまで知っているかは、今回得たファイルでは分からなかったが、もし交渉をする事になった時は、良い材料になるはずである。

 

ちょうど、次なる予定を考えていたところにコールがなり、出てみるとジャンだった。

興奮したように捲し立てる内容を聞いてみると、どうやら本当に効く方の抑制剤に使っていた生薬を特定したらしい。

これで、我々の計画は大きく前進できるだろう。

ジャンにお礼を伝え、ついでにペトロケムで得たトリティクム・ウルガリス・メガスアウィスのDNAマップをメールに添付して送り付けた。

なる早で同じものを作って貰うように頼んだが、専門外だと言うのでデラマンに頼んで協力してもらうようにだけ指示をする。

良い流れが出来上がっていると実感した。

もう少しで、決着をつける事ができそうだ。




トリティクム・ウルガリス・メガスアウィスが米と言うのは、捏造設定になります。
最初はトウモロコシと迷ったのですが、トウモロコシの茎は繊維質が多くて、再利用にも処分にも困りそうなので米にしました。
稲藁は、真隣のプロテイン・ファームでワームの餌として再利用されている、と言う設定で考えております。
尚、ノミの心臓の実家が米屋と言うのも理由のひとつです。(深い意味はない)
ペトロケムの謀叛計画も実際には存在していません。

Vは

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