【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !! 作:持麻呂
感想、209件!
評価者、255名!
誤字脱字訂正、いつもありがとうございますm(_ _)m
長らくお待たせ致しました。
この2ヶ月大変でした…
結婚やら引っ越しやらで生活環境が激変しまして、執筆する暇も心の余裕も無いような状態だったので、中々投稿しようにも難しかったです…
感想も中々お返事出来なくて申し訳ありません。
元々ACT.1を執筆していた時から少し対人恐怖症気味だったのですが、少し環境変化で悪化したため、またしばらく感想へのお返事はお休みしたいと思います。
必ず内容は読まさせて頂いて、goodボタンを押すことでしばらくのお返事代わりとさせて下さい。よろしくお願いします。
また、これからの投稿頻度はかなり鈍感すると思います。
なるべく週一ペースで更新はしたいなとは思っているのですが、月一になるときもあるかもしれません。
楽しみにされている方々には、ご迷惑をお掛け致しますが、どうぞこれからも変わらずにお付き合い頂けると幸いです。
ACT.1に引き続き、ACT.2をどうぞよろしくお願い致します。
恐々謹言
ノミの心臓こと持麻呂
第三十六話
ーーーー2075年
やっと上司が変わったと言うのに、また尻拭いばっかりやらされている。
先輩の助けを借りて、あの無能上司を太平洋のど真ん中あたりにあるよく分からない島に飛ばしてやったのに、またこれじゃあ振り出しに戻っただけじゃないか。
何かと気にかけてくれていたらしいタナカ重役も、業績が評価されて日本の本部に戻ってしまった。
そうなると、日本から来ている出向の上役が居なくなってしまって、先輩のコネの効力が小さくなってしまった。
まぁ、尻拭いばっかりやらされて何の仕事しているか分からなくなってきた部署から、防諜部に異動できただけでも運が良いと思わなければ…
でも、あの無能上司よりは今のジェンキンスはだいぶ優秀なので、奔走させられる頻度は多くない。
それだけは救いと言っても良いのかも知れないが、優秀な分やらされる尻拭いの内容が大変なものばっかりで嫌になる。
果たして、どちらの方が良いのだろうか。
トイレの洗面台で顔を軽く洗い、顔を上げると鏡の中の私と目が合う。
少し髪の毛が跳ねているので、手に水を付けて撫でつけて直した。
ジェンキンスに呼ばれているので、早く行かないといけない。
ストレスで食べたものを吐き戻しそうだ。
トイレから出て、エレベーターに乗りアラサカの防諜部に向かう。
すれ違う同僚が手を挙げて挨拶してきた。
「やぁヴァレリー、今にも死にそうな顔をしてるけど大丈夫か?」
「ハイ、死にそうなのは確かね。代わってくれても良いのよ」
「冗談よせよ、出世したって過労死したら意味ないだろ。100万エディ積まれても、君の立場になるのはゴメンだ」
両手をあげて、首を左右に振られてしまう。
「あら残念。良い提案だと思ったのに」
「まぁ、ヴァレリーには俺たちも随分助けられているからな。何かあったら言ってくれ」
「そう、その時は頼むわね」
ジェンキンスに呼び出されているので、会話もそこそこに防諜部部長室に急いだ。
扉をノックして、許可を得てから入室する。
ジェンキンスの防諜部部長のオフィスはそれなりに広く、無能上司のアイツのオフィスとは大違いだ。
白を基調として、赤色を使用した調度がいい感じにアラサカ感を出していてセンスを感じる。
ジェンキンス自体は、政敵のスーザン・アバナシーにさえ関わらなければ、そこそこセンスも良いし仕事に対しても有能なのだ。
アバナシー案件になると、途端にIQが下がってしまうのがだいぶ疵だ。
それでも、私に尻拭いやら後ろ暗い案件ばっかり回すのはどうかと思う。
トラブルバスターか何かだと思っているのだろうか。
「お待たせ致しました」
「来たか、ヴァレリー。お前に頼みたい仕事がある」
「はい、どのような案件でしょうか?」
「これを読め」
スッとデスクの上にスライドさせて、データチップをこちらによこしてくる。
受け取って内容を読み取ると、メキシコ国境付近の街に行って、エージェントから荷物を受け取り搬入すると言った内容だった。
その荷物が新合衆国では非認可の品物で、どうやってか抜荷をしてここまで持ってこなければいけないらしい。
こんなもの、他の荷物に紛れ込ませて宇宙経由で密輸すればいいと思うのだが、なにか理由があるのかも知れない。
残念ながら、私には拒否するという選択肢が無いので、了承を伝えてデータチップを返却した。
「いいか、これは絶対に遂行しなければならない任務だ。サブロウ様も強い関心を示しておられる。秘密を厳守出来てある程度の信頼もあり、任務に於ける遂行能力の高い人物としてヴァレリー、お前の名前が上がったわけだ。光栄に思うのだな」
「はい。ありがとうございます」
「それとだ、任務の遂行にあたり予算も支給される。現金で10万€$だ。足が付きにくいようにしてあるから、好きに使うといい」
「承知しました。有り難く使わせていただきます」
「よし、行くといい」
もう私に用はないと言ったように、手を振って退室を促された。
それに従って外に出ると、すぐにジャッキーにコールを入れる。
この件は1人では荷が重そうなので、協力者が必要だと判断した。
他に頼れそうなサイバーパンクが居ないし、先輩はたまにナイトシティに帰ってきていたりするみたいだけど、ほとんどジャパンに居るから今回は当てに出来ない。
『ようV!声を聞けて嬉しいぜ。元気か?』
『ハイ、ジャッキー。調子はまあまあって感じね。今日は仕事を手伝ってもらいたくて連絡したんだけど、時間あったりする?』
『お、依頼って感じか?良いぜ、暫くは俺も暇だからな』
『ごめん、本当に助かる。今からエル・コヨーテ・コホに向かうから、そこで落ち合っても平気?』
『おう、構わないぜ。丁度俺もいま居るところだからな。待ってるぜ、V』
コールが切れてから、なるべく早くエル・コヨーテ・コホに向かう。
AVを使う手もあるけど、そんなことしたらジャッキーとママ・ウェルズに迷惑を掛けてしまうので、仕方なくそこら辺のタクシーを捕まえて急がせた。
タイガークロウズの構成員っぽい見た目をしたタクシードライバーだったので、エディでビンタしたら公道をかっ飛ばしてくれて10分くらいで到着することが出来た。
100エディぽっちでこの速さなら、いい移動手段だと思う。
とりあえず、ドラテクがあったので連絡先だけ聞いておいた。
何かあったらまた使うかもしれない。
薄暗い店内に入ると、カウンター席の一番左側にジャッキーの大きい背中が見えた。
隣には、奥さんのミスティが座っている。
相変わらず仲が良さそうで羨ましい。
近寄って行って、ミスティの隣の席に腰掛けた。
2人とも、そこで私に気付いたみたいで、手に持ったセンツォンのショットグラスを掲げて挨拶をしてくる。
「こんにちは、V」
「おう、待ってたぜ」
「ミスティ!久しぶりね。元気そうで嬉しいわ。ジャッキーもお待たせ」
ぺぺが私の前にもショットグラスを置いてくれたので、3人で乾杯してセンツォンを一気飲みした。
ドッシリとした辛さに、華やかな香りが非常にマッチしている。
私の大好きな味だ。
「で、だ。俺になにを手伝って欲しいんだ?」
「一緒にメキシコ国境にある街に来てもらいたいんだ。そこで荷物を受け取って、ナイトシティに戻ってくるだけなんだけど、絶対に普通に終わるとは思えないのよ」
仕事を引き受けたあたりから、どうにも頸あたりがチリチリする感覚がある。
先輩に喧嘩売った時も、直後にこんな感覚があったから、勘を信じるとすれば間違いなく面倒事が舞い込んでくるはずだ。
「ほぅ…Vの勘がそう言うなら、案外ヤバい橋かもしれないな。そしたらよ、もう1人くらい呼んでも良いんじゃないか?」
「うーん、あんまり人を増やすと、秘密保持上よろしく無いんだけど、信用出来る人なの?」
「おう、それはバッチリだな。それに、アラサカのアカデミーに通ってるからよ」
「へぇ、私の後輩になるんだ。…でもかなり危険よ?」
ジャッキーがニヤリと笑って、ショットグラスに継ぎ足したセンツォンを飲み干す。
「へへ、そいつは問題無え。なんなら、俺よりも強いからな」
「ジャッキーよりも強いの?すごいわね。よっぽど高性能なクロームを積んでるわけ?」
「それもあるが、アイツはセンスがすごいんだ。戦力になることは俺が保証するぜ」
ミスティも意味ありげに微笑みながら、ジャッキーと一緒に頷いている。
しかし、アカデミーの学生って事は、16〜18歳の子供でしょう?
本当に大丈夫なんだろうか。
少し不安に駆られるが、無理矢理自分を納得させて3人で行くことにする。
ただし、予算は全部で10万エディしかない事を伝えて、これ以上は増やせない事はきっちり言う。
金銭関係で、サイバーパンクと揉めるのは御免被る。
その場でジャッキーがコールで先方に確認を取って、4万エディで受けてくれるらしい。
ジャッキーも同じくらいで良いとの事だったので、残りの2万エディで中古車と弾薬を買うことが出来る。
もっとも、1万エディほどの現金は賄賂用に取っておかなくてはいけないので、多少は自分の財布から補填しないといけない。
これじゃあ、何のために仕事をしているのか、分からなくなって来ちゃうな。
集合は、明日の早朝6時にエル・コヨーテ・コホの前と言うことに決まり、その日は解散して帰路に着いた。
自宅はコーポ・プラザにあるアパートだ。
家賃は結構な金額だが、先輩に仕込まれたブリーチプロトコルの技術で、出張った先のデバイスからちょろまかしているので支払いには全く支障がない。
一度もバレたこと無いけど、きっと師匠の腕が良かったからかしら。
飼っているネコに餌を与えて、シャワーを浴びた。
歯を磨いて、スキンケアをする。
ネコがイタズラでアイランドキッチンに置いてあった写真立てを倒したので、手に取って見てみると先輩と一緒に撮った写真だった。
まだ10代の私と先輩がアカデミーの制服姿で並んでいる。
ティーンに有りがちなキャピキャピした私と違い、先輩は腕を組んで不敵な笑みを浮かべていた。
ムカつくアカデミーの校長室に忍び込んで、パソコンをブリーチして破廉恥な検索履歴やら、お気に入りのジョイトイとの倒錯的なプレイを暴き出してアカデミー中の掲示板に掲載してやった事を昨日のように思い出せる。
あの頃は、先輩の後ろをヒヨコみたいに着いて回って、アラサカで生き残るために必要な業を沢山見せて教えてもらった。
おかげで有能な厄介者扱いだが、まだ私は生きている。
今思い返しても、アカデミー時代は輝いて見えて仕方がない。
先輩はどうして、私を待っててくれなかったのだろうか。
「……聞いたって教えてくれるわけない、か」
キッチンテーブルに体重を預けて外を見る。
コーポ・プラザとシティセンターのビル群の明かりが、まるで夜空の星のように輝いている。
不夜城と化して、星の見えないナイトシティにおいて何と言う皮肉だろうか。
「って、私らしくもないわね。慣れない事はするもんじゃない」
センチメンタリズムに浸ってみるのは、まだ年齢が足りてなかったみたいだ。
慣れない事はするもんじゃない。
キッチンテーブルの上に出しっぱなしのグラスに、センツォンを注いでタバコに火をつける。
一口吸おう思って口元に運ぶが、写真の中の先輩と目が合ったので思わず吸わずに灰皿へ突っ込んでしまった。
「はぁ…」
代わりにセンツォンを飲み干して、ベッドへ倒れ込んだ。
明日の朝は早い。
翌朝、6時少し前にエル・コヨーテ・コホに到着すると、既にジャッキーともう1人の青年が立って待っていた。
近付いて行くと2人とも気付いたようで、ジャッキーが片手をあげて挨拶してきた。
「おう、待ってたぜ」
「お待たせジャッキー。彼が例の子?」
「デイビッドだ。よろしくな」
「デイビッドね。ヴァレリーよ。Vって呼んで」
デイビッドと名乗った青年は、サイドを刈り上げたさっぱりした髪型をしており、アラサカ製の防弾アラミドシャツの上からミリテクの高分子ポリマー防弾ベストを着込んでいて、対弾に対する意識の高さが見て取れた。
パッと見て、全身に何かしらのクロームを入れているのが分かった。
よろしくと握手を交わして、早速中古のボロいガリーナG240に乗り込んだ。
握手をした感触的に、皮下アーマーと他の外皮系クロームを導入していそうだが、種類までは分からない。
ジャッキーと同じような感触だったので、きっと相応に防御力は高いだろう。
以前依頼をした時に、表皮でライフル弾を粉砕していたのを見た事がある。
UIにナビデータを入力して、ガリーナG240を発進させた。
安いなりにボロいが、揺れも少なく案外乗り心地は悪く無い。
私が運転席でジャッキーは助手席、デイビッドは助手席の真後ろの後部座席に座って外を眺めている。
バイパスに乗れば、すぐにナイトシティから郊外に出る。
サウス・バッドランズを抜け旧合衆国で言うところのサンディエゴを目指して540kmの道行だ。
飛ばしても5時間は掛かる。
その前に、ナイトシティのあるノース・カリフォルニア州からサウス・カリフォルニア州に行くのに州境の検問を通らないといけない。
私とデイビッドにはアラサカの身分証があるが、ジャッキーには無いので面倒な事になる。
それを見越して、短期の契約社員という事にした身分証を作って来た。
これで面倒事は一つ余計に避けられる。
「それにしてもよ、このオレがまさか短期とはいえアラサカ社員とはな!ハハッ、人生何が起きるか分からないもんだな」
検問を何事もなく通り過ぎた頃、ジャッキーが笑いながらアラサカの身分証が入ったデータチップをピラピラさせてそう言った。
後ろで聞いているデイビッドが、同じく笑いながら私に話しかけて来る。
「なぁ、Vはアラサカ社員になって数年は経つんだろう?やっぱり大変だったりするのか?」
「ん?そりゃあ、毎日大変よ。朝から晩まで仕事仕事で、日系企業は碌でも無いわ。一昨日だって、おかしくなってビルからダイブした奴も居たくらいだし」
「うっへぇ、そりゃそうだよなぁ…やっぱり俺アラサカに行くのはやめとこうかな」
「その方が良いわよ。私なんか、毎日クソ上司の下で後始末と尻拭いばっかりさせられてるんだから」
「そりゃ御愁傷様って奴だろうな!デイビッド、Vもチーカ程じゃないが、かなり腕が立つんだぜ。それを見たら、アラサカだってコキ使いたくなる気持ちが分かるだろうよ」
「へぇ、ジャッキーがそんな褒めるって事は、本当に結構やるんだろうな」
デイビッドがニカッと笑い、クーラーボックスに入れてあったニコーラを飲んだ。
炭酸が苦手なのか、少し咽せている。
「Vもニコーラ派なんだな」
「昔はこれと言って気にしてなかったんだけどね。私の先輩が、これが大好きでいつも飲んでたのよ。気付いたら、私もニコーラが好きになってたってわけ」
「なるほどなぁ。どんな先輩だったんだ?」
「そうねぇ…一言で表すと規格外、かしらね。とにかく破天荒で、やることなすこと全てが大事になるような感じよ。でも、私からしたら太陽のような人」
「うーん、なんだか俺の知り合いのような気がして来た…」
「あぁ、デイビッドの言う通りだな。オレもそんな気がして来た」
「ジャッキーまで!先輩みたいな人がそんなに沢山いるのかしらね。3、4人も居たらナイトシティが更地になりそうだけど」
うーん、と私含めて3人とも頭を傾げる。
まさかとは思うけど、とデイビッドが前置きをして馴染みのある名前を口にした。
「あー、その先輩っていうのは、ネイトって名前だったりしないか?」
「…先輩だわね。はぁ、じゃあ2人とも先輩の関係者だったわけ?」
まさか、2人とも先輩の関係者だった。
通りで、デイビッドが年齢にしては強力そうな防御テックを積んでると思った。
先輩のことだから、未成年の坊やを過保護にしているんだろう。
どう言った経緯で先輩が面倒を見ているかは知らないが、500万人都市でこんなピンポイントに関係者と出会うなんてある?
「いやいや、こっちのセリフだって」
「V、もっと早く言ってくれりゃあ、他のメンツも誘ったのによぉ」
「えぇ〜、そんな事言われても分からないわよぉ。先輩にナイスガイの友達が居たなんて知らなかったから」
あの先輩に、こんなマッチョのイケメンと細マッチョのティーンイケメンの知り合いがいるなんて、夢ほども思わなかった。
アカデミー時代を知っていたら、余計にそう思うはずだ。
「昔のネイトって、どんな感じだったんだ?」
「それは気になるな。チーカはあまり自分のことを話したがらねぇから、あんまし分からないっていうのもあるが」
「昔の先輩ねぇ……今はどうか知らないけど、アカデミー時代はスーパー男嫌いだったわ。もちろん、授業に関わる事や業務や事務的に必要な場合は、切り替えてきっちり対応していたけど、プライベートでは余所見でぶつかって来た男子を反射的に殴り飛ばすくらいだったし」
「うわぁ…」
「今のチーカからは想像も付かないな…」
「流石に命を取るような事は無かったけど、手足をクローム化していたら、容赦なくマンティス・ブレードで切り落としていたわね。アレは痺れた…」
「うーん、ギャングと見れば嬉々として殺しに行く今のネイトからしたら、だいぶ穏やかなんじゃないか?」
デイビッドの口から、新しい事実が聞こえて来た気がするが気にしてはいけない。
あの先輩だから、ギャングは財布くらいにしか思っていないに違いない。
私からは過去の先輩、2人からは今の先輩の暴露大会になり、最終的に大きな溜息が3つで終わった。
数話はVちゃんのお話になります。
まぁ、元々サイバーパンク2077はVくんちゃんが主人公なので…
ネイトは暫しのお預けです。
幼女はこの小説に
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