【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字訂正ありがとうございます!!

急に閲覧数増えたと思って、疑問に思っていたら、新作ランキングの16位にランクインしてました!(びっくり)
皆さんのおかげです!ありがとうございますm(_ _)m

本当は昨日更新するはずでしたが、脱水症状で両手両足がこむら返りになって、点滴する羽目になっていたので、今朝になってしまいました…
みなさんも、冬場ですがくれぐれも脱水症状にはお気をつけを…


第四話

 急ぎアフターライフに戻り、ローグの前に馳せ参じた。

 ローグも私が寄り道しないで帰ってくることを予測していたようで、情報の入ったデータチップを片手で弄んでいた。

 

「いい仕事ぶりだったよ、ネイト。上出来だ」

 

「お目に適ったようでなにより」

 

 目の前のローグから8千エディが送金されて来た。

ニヤリと笑みを浮かべたローグは続ける。

 

「先方は、何かあったらまたお前を指名するそうだ。……でだ、これがジュディ・アルヴァレスについて分かったことの全てだよ」

 

 ポンとチップを投げ渡されたので、一つ頷いて情報を読み取る。

 ズラッとジュディの経歴が並んでいて、出身地のラグーナベントの住所から両親の名前、子供の頃の恋人の名前、ジュニアスクールの通信簿まで出てきた。

 よく短時間でここまで調べられたものだ。

 

「すごいですね。これは助かります」

 

「お気に召したようだね。そのチップにも書いてあるが、奴さんは今モックスに匿われて、リジーズ・バーにいることまではわかった」

 

 読み進めていくと、ローグが話した内容と同じことが記載されている。

 やはり、少し前まではクラウドのマイコ・マエダのアウトプットをやっていたが、一悶着起こして盛大に破局したようだ。

 何をやらかしたかわからないが、タイガークロウズに少額とはいえ懸賞金をかけられているらしい。

 まぁ、後先考えずに行き当たりばったりで突っ走ってしまう、ジュディらしいと言えばその通りだ。

 彼女に苦労させられたVは数多と居るだろう。

 

 さしもの私も、太陽エンドのジュディはちょっと無いと思ってる。

 まぁ、ジュディの性格とその時の心境は推して知るべしではあるけど…

 

 ただ、彼女は自分の居場所と心の拠り所、帰るべき場所を探して彷徨っている、哀れで寂しい女の子なんだ。

 ナイトシティの食物連鎖の頂点に君臨して、アダム・スマッシャーを木っ端微塵にしてアラサカをファックした生きる伝説。

 しかも、そのVは寿命半年で自分を置いて死んでしまう運命にある。

 きっと、それに彼女は耐えられなかったに違いない。

 

「ありがとうございます。ここまで分かっていれば、私の方でなんとかなります」

 

「ま、精々気をつけることだね、ネイト。私の勘からすれば、そいつは下げマンだよ」

 

「御忠告どうも」

 

 もう向こうも用は無いようで、手で出て行くように合図された。

 ローグも少し、お節介を焼いてくれるくらいには気に入られたようだ。

 彼女には少しツンデレの素質があるな。

 

 

 来たようにバイクに跨り、リジーズ・バーに向かう。

 この頃から、入り口にはリタ・ウィーラーが立ってドアマン(ウーマン)をやっていたらしい。

 殴られたら痛そうな釘バットを持って、風船ガムを噛んでいる。

 

 時刻を見ると、まだ開店まで1時間あった。

 このまま行っても、門前払いされるのがオチなので素直に待つことにした。

 屋上から忍び込むと言う手もあるが、流石にバレた時に面倒になることは火を見るよりも明らかなので、ちゃんと正攻法で行った方がいいだろう。

 あくまで、ジュディをこちら側に引き込む為に会いにいくのであるから、余計な騒ぎは遠慮したい。

 

 程なく時間が来て、リジーズ・バーが開店する。

 リタ・ウィーラーに近付いて挨拶をする。

 

「やぁ、入れるかい?」

 

「ええ、初めて見る顔ね。ここのルールは分かってる?チューマ」

 

「えーっと、確か本番は無し、お触りも厳禁だったかな?」

 

「そうよ。あとは暴力沙汰もなし」

 

「分かった。……それとなんだけど、ここにジュディ・アルヴァレスって子居ない?」

 

 ジュディの名前を聞いたリタともう1人のマックスは、スッと目の色と表情を変えて、入り口も護るように立ち位置を変えた。

 釘バットを握る両手にも力が入っていることが分かる。

 

「待った待った!私はタイガークロウズの息のかかった人間じゃ無いよ。個人的にBDを作って貰いたくて来たんだ。だから、コーポの手先でも無い」

 

「……ふーん、嘘は、ついていないみたいだね」

 

 納得はしてくれたのか、少し警戒度が下がる。

 リタの目がオレンジ色に光る。どこかにコールを掛けているようだ。

 

「ジュディはここに居る。けど、その前にエヴリンが貴方と合うってさ」

 

 ほう。エヴリン・パーカーもここに居るのか。

 彼女の場合は、単に友人のジュディが心配でついて来たのだろう。

 

 いまはまだ、女優に憧れているだけのドールに過ぎない。

 彼女もまた、悲劇的な運命を背負っているだけに、なんとかしてあげたいが今はその時では無い。

 

 奥からエヴリン・パーカーが出て来た。

 やはり、原作の5年も前だからか、顔のパーツが少し違う。ところどころ生身の部分があるのが分かった。

 

 ただ、髪型と髪色、目の色は変わってないから、エヴリンだと分かる。

 

「貴女がジュディに会いたいって言ってる人?」

 

「ネイトだ。よろしくね」

 

「エヴリンよ。早速だけど、彼女に何のよう?」

 

 壁に寄りかかりながら、この頃には完成されていたスラっと長い手足を組んで、タバコに火をつける。

 ゆっくりと煙を吸い込んで、こちらに吐き出して来た。

 明らかに警戒心マックスなのが見て取れる。

 まぁ、揉めてる最中なんだから、そりゃそうだろうな。

 

「実は、ジュディの腕を見込んで個人的にBDの作成と感覚フィードバック調整をお願いしたいんだ」

 

「ふぅん……何でそれをする必要があるの?別に、BDの企業なんて沢山あるじゃない」

 

「…私は傭兵をやってるんだけど、自分の戦闘をBDにしたいのよ。知り合いの男の子が、スリル欲しさにサイバーサイコシスの裏BDなんかに手を出さないようにしたい訳。傭兵だから、自分の手の内はあまり大人数に見られたくないって言う事もある」

 

 こちらの話をじっと最後まで聞いたエヴリンは、またタバコを深く吸い。

 今度は顔を背けて、ゆっくりと煙を吐き出した。

 少し考えていたようだが、一理あると思ったのかクルリと背を向ける。

 

「…分かったわ。完全に信用した訳じゃないけど、着いてきて。案内するから」

 

 エヴリンに、ゲームでもあったようにリジーズ・バーの地下、サーバールームの更に奥の部屋前まで連れて行かれる。

 

 最後の扉の前で立ち止まって、再度こちらの目を覗き込むように顔を近づけてきた。

 

「ネイト、大事な話をさせて。ジュディは何度も私を助けてくれた。誰よりも信用できる子よ。発言にはくれぐれも注意して」

 

「分かった」

 

 エヴリンが一つ頷いて、自動扉を開けた。

 秘密のテックルームの中には、5年後とは明らかにタトゥーの数が少ないジュディが居た。

 髪型も少し違っていて、片側を剃り上げてない代わりにカチューシャのようなヘッドバンドで、側面の髪を後ろ側に流している。

 

 ほうほう、これはこれでかなりアリなのでは…

 顔立ちもまだ幼さを残していて、少しだけ影のある勝気な眼が、こちらをキッと睨め付けていた。

 変態の素質はないはずなんだけど、思わず首筋にゾクゾクっと来てしまった。

 

「エヴ!どう言うつもりよ!!誰もここに入れないって約束じゃない!」

 

 まだ10代後半であろうジュディは可愛かった。

 ズラッと高価な機材が並んでいる部屋の真ん中にリクライニングシートがあり、その後ろに隠れる様にして、ヌエをこちらに向けてさえなければ百点満点だったのに…

 第一印象はどう見ても最悪そうだ。

 

「おっと待ってくれ。私はネイトだ。君にBDを作って貰いに来ただけの傭兵だよ」

 

「動かないで!…信用出来ないわ!なんで大手の企業に依頼しに行かない訳!?」

 

 エヴリンと同じ質問をしてくる。

まぁ、予測できたことだ。

 さっきと同じ回答をする。

 

「エヴリンにもさっき言ったが、私はフリーの傭兵でね。依頼はよくNCPDの暴力事件やサイバーサイコ鎮圧が多いんだ。企業に自分のBDを渡すと、どこから手の内の情報が漏れ出すか分からない。そこで個人でやっているが、ここリジーズ・バーでも評判と名高い君に頼みにやってきたって事さ」

 

「……嘘よ。まだ私がここにきてからあまり時間が経ってない。それに、ここ用のBDは2本しか仕上げてない!どうやってここの場所が分かったの!?いって!!」

 

 それを聞いてハッとしたエヴリンは、さりげなく出口を塞ぐように自分の背後に移動した。

 横目で見るが、右手を背後に回しているあたり拳銃でも握っているのだろう。

 

「…言ったでしょう。大きいところはどこからか情報が漏れるって。ここにいる事がバレたのは、モックスの誰かがアナタの情報をフィクサーに売ったから。ここをたずねた理由は、私の戦闘を映したBDを調整して作って貰いたいからよ」

 

 その事を吟味するように自分に落とし込んでいるらしい。

 迷っているようで、ヌエの銃口がブレ始めた。

 沈黙が部屋を満たすが、緊張しているのかまだ人に向かって銃を撃ったことがないのか、カチャカチャとヌエが震えている。

 震えを抑える様に左手を添えるが、明らかに力が入り過ぎている。

 パソコンの画面の反射から、自分の真後ろの射線上にエヴリンが立っているのが見えた。

 避けるのは容易いが、このまま撃たれたらエヴリンに当たってしまう。

 

 自分はほぼ全身がサイボーグみたいなものなので、小口径拳銃程度脳天にくらっても何ともないが、それはそれで甘んじて銃撃されるのはちょっと違う。

 

 このままでは埒が開かないので、ここは一つ拳銃を奪いに行く事にした。

 ジリジリと両手を挙げたまま、近寄って行く。

 

「動かないで!近寄らないでよ!」

 

 ジッと銃口に集中しながら、更ににじり寄っていく。

 

「ほんとに撃つよ!!」

 

 撃発の瞬間、ジュディの両目がギュッとつぶられた。

 間髪入れずにサンデヴィスタンを発動させて、一気に近寄る。

 銃口が実にゆっくりと跳ね上がり、後ろに燃焼ガスを纏いながら弾丸が真っ直ぐに向かってくる。

 避けるとエヴリンに当たるので、手のひらで横から叩き付けるようにして掴み取る。

 もう片方の手で、ジュディの持つヌエを優しく奪い取って、背後に回り込んだ。

 

 サンデヴィスタンの発動を止め、ゆっくりと引き延ばされた時間の流れが元に戻っていく。

 

 パンッ!と乾いた銃声がなるが、目の前から私が居なくなり、飛んでいったはずの銃弾も無くなり、挙げ句の果てに手の内から拳銃すら無くなったジュディが、何が起きたか分からずに困惑している。

 

「ジュディ後ろよ!」

 

 エヴリンが背中に隠した銃を抜くが、ちょうどジュディと被るように後ろに回り込んでいるので、私を撃つことは出来ない。

 

 ジュディごと撃つなら別だが。

 エヴリンにそんな選択肢を取れない事など百も承知である。

 

 指で鉄砲の形を作り、そのままジュディの背中に押し付けた。

 

「さて、形勢逆転だね。おっとっと、動かないほうがいいよ。私はこう見えてもプロだからね」

 

「…何が目的なのよ。お金?」

 

「だからぁ、さっきから言っている通りにBDを作って欲しいだけだって。ちゃんと話を聞いてよ。ちゃんとお金だって出すし、タダ働きさせる気もない」

 

「……分かった。はぁ、私たち2人の安全は保証してくれるんでしょうね」

 

「何度も言うようだけど、君に危害を加える気は無いし、私がヒットマンなら、もう既に2人ともこの世に居ないよ。知らない間にこの世とオサラバしてる」

 

「あっそ…クソッ!」

 

「じゃあ、ゆっくりこちらを向いてもらおうかな。エヴリンも危ないから銃を下ろしたほうがいい。素人が無理に使うもんじゃ無い」

 

 ガックリとエヴリンは肩を落とし、銃から指を引き剥がすようにして机の上に置いた。

 ジュディも観念したのか、両手を挙げたままこちらにゆっくりと振り向く。

 

「バンッ」

 

 腰ダメにした指鉄砲を打つ真似をすると、ジュディも膝から崩れ落ちてガックリしていた。

 ま、じゃじゃ馬を躾けるのはこんなもんでしょ。

 上下関係をハッキリさせるのに、恐怖に勝るものは無いからね。

 ジュディとのロマンスは、これからじっくりねっとりとやっていけば良いだろう。

 ふふふ…

 

 

 作業用の椅子に座り直して、ストレスからタバコをやり出したジュディが、足を組みながらこちらに顔を向ける。

 エヴリンは、その近くの机に寄りかかって一服し始めた。

 

「それで、アンタの戦闘をBDにしたいって話だったよね」

 

「そうそう。既に幾つか撮り終えてるのがあるんだけど、クロームの使用が鑑賞者にどれだけ影響を与えるか私だと分からないから、その道の専門家に見て貰いたかったのさ」

 

「ふぅん、私も随分有名になったのね」

 

 皮肉を口に出来るくらいには、精神が落ち着いてきたらしい。

トントンとタバコの灰を灰皿に落とし、何か思案している。

 

「ちなみに、アンタが使うクロームって何よ。さっきの瞬間移動もそうだけど、明らかに普通じゃ無い」

 

「そうだね。よく使うのはミリテクの軍用規格のサンデヴィスタンと、ケレズニコフ。あとはシナプス加速器かな」

 

「えぇ?アンタ良くそんなにヤバいもの入れてて、サイバーサイコにならないわね」

 

 2人ともギョッとしてこちらを見る。

エヴリンが持ってるタバコをポロリと落とした。

 サンデヴィスタンを発動させて落下するタバコをキャッチし、元の姿勢に戻ってタバコの煙を吸い込む。

 

「ほら、こんな感じ」

 

「……全く知覚できなかった」

 

「そういうクロームだからね」

 

「まぁ、大体分かった。ちょっとネイトのBDを解析してみる」

 

 私から受け取ったデータチップを機材に接続して、内容を感覚信号増幅機や感情波モニターなどを使って、詳しく数値として出していった。

 画面には色々なグラフや数値が乱高下しているけど、ブレインダンスエディターではないのでそこまで詳しい事は分からない。

 今世の私が勉強した事以外は、私にも分からないのである。

 

 15分ほど、パソコンと睨めっこしていたジュディが、目頭を揉みながらこちらに振り返った。

 

「ある程度解析できた。ただ、感情プロフィールとかで調整をしたとしても、これをナマで他の人が見たら発狂間違いなしね」

 

「つまり?」

 

「かなり手を加えないと世に出せないって事。ネイト、アンタ何割をクロームに置き換えてるのよ」

 

「大体85%くらいかな?脳と一部内臓以外は全部クローム」

 

「はぁっ!?アダム・スマッシャーと良い勝負じゃ無い。ますます訳がわからなくなって来た…」

 

 MODを導入してない、バニラ版のゲームでも、全身にクロームをぶち込んだVは80%くらいがサイボーグだから、数枠増やしているだけの私はそんなもんだろう。

 

「私はちょっと特別だからね」

 

「特別って言ったって、限度ってもんがあるでしょ…」

 

 その後、ああじゃ無いこうじゃ無いと難しい専門用語を垂れ流しにしながら、ジュディがなんとか観れたものにするべく奮闘してくれた。

 さすがに、今の機材だとどうしても感覚フィードバックがそのままのナマモノとしては、使用できないことが分かったので、あくまでも視覚と触覚、聴覚と時間遅延の間隔だけをリミッター付きで再現したBDが完成した。

 ナマモノのBDの場合は、録画元の感情やら思考、痛覚や薬物使用時の高揚感なども本人になったようにダイレクトに体験できるのだが、私の場合はクロームの影響で人間性を一瞬で喪失してしまうらしい。

 

 一応、リミッター付きのBDをエヴリンが志願して、最終調整をする事になった。

 今回私が用意したものは、マンティス・ブレード装備のサイバーサイコシスとガチンコチャンバラ対決と、普通の銃撃戦。

 それと今回の目玉が、インフィニットジャンプMODとオマケの落下ダメージ無効を組み合わせて、コーポプラザのビルの上を次々にパルクールしながら飛び回り、最後にアラサカタワーの天辺から飛び降りて、スーパーヒーロー着地で終わるというもの。

 

 エヴリンは最後のを観て、とても興奮した様子で感想をジュディに話していた。

 まぁ、普通に生きていたらアラサカタワーの天辺からの景色なんて、そうそうお目に掛かれるものじゃ無いからな。

 警備が厳重じゃなかったかだって?

 あんなものは数のうちに入らないし、追いかけっこは案外楽しかった。

 

「エヴ、そんなに面白いもの映ってたの?」

 

「すごいなんてものじゃないわ!こんなBD、他のどんな企業だとしても絶対に作れないわよ!!」

 

 あまりの剣幕に、ジュディが少し引きながらBDを受け取る。

 パソコンからだと、部位ごとの感情波等は数値として見ることができるけど、映像としては出力出来ないらしい。

 5年後には出来ていたが、まだそこまで機材を改造出来ていないのかもしれない。

 

 次はジュディがBDのヘッドギアを装着して、ゆったりとリラックスした姿勢をとった。

 

 エヴリンがこちらに近づいて来る。

 

「貴女よくあんな事して生きてるわね。最初も言っていたけど、これを男の子に観させるんでしょう?中毒になるわよこれは」

 

「下手な裏BDなんかに手を出されて中毒になるよりはマシでしょ」

 

「それはそうだけど……そもそも、アラサカに顔を見られて大丈夫なの?」

 

「それは問題ないよ。行動インプリント連動フェイスプレートを使ってるから、カメラにも視覚にも、別人の顔が映るようになってる」

 

「完全に、軍の特殊部隊が使う軍用装備じゃない…なんでそんなもの持ってるのよ」

 

「まぁ、持ってるからとしか…」

 

 片手で顔を押さえて、さも呆れたかのようにエヴリンがやれやれとする。

 そのまま器用にタバコ吸うが、ニコチンを摂取しても全くストレスが解消されないのか、そのまま灰皿で揉み消してしまった。

 

 ジッとBDを鑑賞していたジュディが、突然声を上げて椅子ごと後ろにひっくり返った。

 ヘッドギアが外れて、すこしポカンとしたジュディがこちらに掴みかかってきた。

 

「ちょ、ちょっと!あれアダム・スマッシャーでしょ!!なんでアイツと鬼ごっこして無事な訳!?それに顔を見られたのに、ここにきて大丈夫なの!?巻き込まれるのはゴメンよ!!」

 

「エヴリンには言ったけど、顔を変えるためのクロームを使ってたからそれは大丈夫。それに、アダム・スマッシャーよりも私の方が強いから、余裕で逃げ切れるのさ」

 

「……もうアンタで驚くのはやめるわ…今日一日で、一生分びっくりした気がする……」

 

 あぁ、お労しや…

 完成した3本のBDのデータチップを受け取り、ヘッドギアも一つ貰う。

 代金として3万エディをジュディに送金し、

 エヴリンにもチップとして5千エディを支払った。

2人ともまた仰天してる。

 個人的な依頼だとしても、相場よりかなり高額な料金を支払ったみたいだ。

 

「ネイト。その……今日は、ごめんなさい」

 

「いや、別に気にしてないよ」

 

「……命なんか狙われた事無かったから、ここ数日まともに眠れてなくて…」

 

「…タイガークロウズの件は、私がなんとかして見るよ。常連予定のブレインダンスエディターが、どうこうされるのは困るからね」

 

「あ、ありがとう……いつでも来てね。私ここに居るから」

 

 なんか急にしおらしくなった。

 まぁ、彼女からしたら今日1日色々あり過ぎたんだろう。

 私としては、実害らしい害も受けてないし、なんか最後にちょっとだけジュディもデレたみたいだから、OKです。

 去り際に、エヴリンとジュディに小さく手を振ってリジーズ・バーを後にする。

 

 さて、先ずはジュディが賞金首になっているのをなんとかしないとか…

ワカコさんに間に入ってもらう…?

 いや、面識がない一傭兵が行っても、相手にしてもらえない可能性がある。

 それなら、タイガークロウズの下っ端を適当に手籠(拳で)にして、幹部の場所を聞き出して交渉した方がいいか。

 最悪、現場の人間を皆殺しにするのも検討しなきゃな。

 そうと決まれば、ジャパンタウンに向かうとしますかね。




今回はジュディ&エヴリン回でした。
なんとなく、ジュディの話を聞かない雰囲気を書いてみたんですが、文才が無くてなかなか強敵でした。

ノミの心臓がワカコさんの前で腹踊りをして来ました。
『そない、けったいなものをウチの前でせんといて』って言われました。


お気に入り登録と高評価して頂けたら、ノミの心臓がサブロウ・アラサカさんのパンツを盗みにアラサカタワーに行ってきます
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