【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正ありがとうございます!!m(_ _)m

皆様、お祝いと暖かい応援ありがとうございます(/ _ ; )
ちょっと元気になった気がします。
少し筆が乗りましたので、更新できました。


第三十七話

遂に数時間に及ぶドライブを経て、メキシコとサウス・カリフォルニア州の国境地帯に到着した。

旧サンディエゴ市街から、東に40kmほどのところにある国を跨いだ小さい国境町が今回の目的地である。

昔はメキシコ側がかなり発展していたようだが、度重なる旧合衆国側の動乱と、それに乗じたメキシコとのいざこざに巻き込まれて市街地の大半が壊滅。

今では、人口が700人ほどの寂れた小さい町になってしまっている。

ほとんど用事で訪れる人が居ないようだが、一階が酒場になっている小さいモーテルに車を停め、データチップで読んだ内容通りに酒場で指定されている部屋を取った。

とりあえず、ジャッキーとデイビッドは隣の部屋に入ってもらう。

 

アラサカのエージェントが、御禁制品の指定物資を持ってくるにはまだ時間があるので、三人で一階の酒場で食事を取ることにした。

先輩のところから融通してもらっていて、生野菜やら肉やらの味を知っている身としては、合成食材はイマイチ満足出来ないのだけれど、出て来た料理には意外なことに白エンドウ豆が入っていて驚く。

適当に料理を頼んだのだが、まさか本物の天然食材がこんな場末の酒場の料理に入って出てくるとは思わない。

適当に頼んだのを良いことに、わざと高級な食材を使ってぼったくる気ではないだろうな…

 

「マスター、これ本物の豆が入ってるじゃ無い。まさかとは思うけど、ぼったくる気じゃないでしょうね」

 

皿を拭いていたメキシコ系の男が顔を上げる。

 

「なんだ、お客さんこれを食いに来たんじゃなかったのか?その豆はここの町で収穫されたものだから、大して高く無いんだ。安心して食ってくれ」

 

「ここで採れたの?」

 

「ん?あぁ、昔に街が破壊されたのは通常爆弾だったからな。ここらへんの土はそこまで汚染されてないのさ。だから規模は小さいが菜園を作れるって寸法さ。まぁ、ほとんどは町の住民が食べる分しか収穫は出来ないけどな」

 

もういいか?と、再び皿を拭く作業に戻ってしまう。

思わずジャッキー達と目が合うが、せっかくなので食べる事にした。

トマト味のフードペーストと白エンドウ豆を一緒に煮た料理だったが、フードペーストがバイオテクニカ製のやつを使っているのかやたらと美味い。

しかも、本物の豆を使っているからか、しっかりと腹にたまる感じがしてとても良い。

 

「ほほぉ、コイツはイケるな!お袋に言って、ウチで出すのもアリだな」

 

「エル・コヨーテ・コホで出るなら、毎日通っちゃうかも」

 

「俺も、ルーシーとレベッカに食べさせてやりたいな」

 

「マスター、これテイクアウトも出来ないかしら」

 

「出来るが、ただ汁物だからな。溢れないようにはするが、文句は言わないでくれよ」

 

テイクアウト出来るようなので、明日の早朝出発する際に四つほど包んでもらう事にした。

一通り食事をした後に、ビールを軽く嗜んでいるとサイバーパンク風な服装をした男が店内に入って来た。

さり気なく目で伺うと、向こうもこちらに気が付いたのか、軽く手を挙げて近づいて来る。

片手には黒い金属製のアタッシュケースを持っている。

 

「…ヴァレリーだな」

 

「待ちくたびれたわよ。それで…それが例のブツってわけね」

 

「そうだ。取り扱いは慎重に頼む。高分子衝撃吸収ポリマーで内容物は保護されているが、絶対は無い」

 

「了解した。明日の早朝に出発するわ」

 

「いやダメだ。今すぐここを出発しろ」

 

急にエージェントがそんな事を言い出すので、思わずマジマジと相手の眼を見てしまう。

 

「何かトラブルでもあったとか?」

 

「…あぁ、メキシコ側で問題があった。国境警備隊がグルであるかは不明だが、長居しないに越したことはないだろう」

 

やっぱり、面倒事に巻き込まれるらしい。

怒っても仕方ないので、エージェントから荷物を受け取ってから近くにいるジャッキーとデイビッドに、急いで出発する事を伝えた。

振り向くと、エージェントの姿は既になく店を出て行ったらしい。

マスターにやっぱり今4つスープを包んでもらう事にして、せっかく取った部屋の料金を多めに支払っておく。

ボトルタッパーみたいな容器に入ったスープを受け取り、ジャッキーが運転席に居るガリーナG240の助手席に乗り込んだ。

よくない連中が来るかもしれないと伝えてあるので、勢いよく走り出す。

小さい町なので、あっという間に郊外から国道に飛び出した。

真っ暗な荒野を土埃を上げながら、旧サンディエゴを目指す。

 

「せっかく、久しぶりにちゃんと寝れる筈だったのに…最悪よ」

 

「なー、アラサカって夜もまともに寝れないのか?」

 

デイビッドが、後部座席から頭だけをこちらに突き出して聞いて来る。

まぁ、アラサカの様なメガコーポに勤めていたら、誰だって良い暮らしをしていると思うわよね。

 

「甘いわね。どんな夜中だって、連絡が来たら出社は当たり前。そもそも帰れるのだって日が変わってからなんかザラだし、次の日の出社は6時半よ」

 

「げぇぇ、自分の時間なんてまったく無いじゃねぇか…」

 

「その代わり高給取りと言えばその通りよ。ただ、それの本質は会社の近くの高級住宅に住まわせて、すぐ出社させる為の家賃代みたいなものだけどね」

 

「おいおい、そりゃ夢も希望もねぇな」

 

「ジャッキー、コーポに期待するなんて無駄よ」

 

「俺、やっぱりネイトのところに就職しようかな…」

 

デイビッドが絶望したような顔で、ゆるゆると後部座席に顔を戻して行った。

気持ちはわからないでも無い。

私だって、アカデミー時代は勝ち組になれると思っていたわけだし…

いざ蓋を開けてみれば、代えの利く命の価値が低い社畜の1人。

まぁ、社用であればシャンパン付きのAVに乗って移動できたり、病気の心配が無い高級ジョイトイがいるラウンジも使いたい放題だ。

子供がいれば、アカデミーには格安で入学させられるし、自社製品も八掛けで購入出来る。

そう言った福利厚生はしっかりしているが、ミスをしたりすると最悪全財産没収が待っているので、どこまで福利厚生を使えるか微妙なところだ。

 

「デイビッド、先輩のところで働いた方が絶対に良いと思うわ」

 

「だよなぁ。もう母さんもアラサカじゃなくても文句は言わないだろうし、そうするか」

 

「貴方なら、きっとすぐに幹部社員になれると思うわよ。先輩にも気に入られてそうだしね」

 

チラッとデイビッドの首筋に見えたクロームは、きっとサンデヴィスタンに間違いない。

そんなものを普通のアカデミーの学生が入れられる訳がないので、先輩が譲ったはずだ。

そんな高級クロームを渡すって事は、かなり気に入られていないと有り得ない話だ。

本当に、あの男嫌いの先輩にどんな心変わりがあったのかしら。

 

「…ごめん、ちょっと仮眠させて…1時間ごとに交代で運転しましょう」

 

「おう、そのまましばらく寝てて大丈夫だぜ」

 

「悪いわね…」

 

 

ーーーアハハハハハハハーーー

 

先輩が笑っている声がする。

 

ーーー私に触れるな!下郎!ーーー

 

血飛沫が視界に舞う。

マンティス・ブレードを振り回して、男子生徒を切り刻んでいる。

 

ーーー後輩、ブリーチの仕方を教えてやる。よく見ておけよーーー

 

先輩が、校長のデバイスをハッキングしていた。

酷い内容のログを見て、先輩はケタケタと笑っている。

 

ーーー弱者は死に方を選べない。その様、しかとその眼に焼き付けると良い。後輩ーーー

 

燃え盛る炎を背後に、返り血を浴びた先輩が私に手を伸ばして来る。

エキゾチックな紫色の瞳が私を写してーーー

 

起きろ!

 

いつまで寝てんだ起きろ!

 

起きろ、V!!

 

 

ハッと意識が戻ると、運転席でデイビッドがハンドルに齧り付いて、必死にハンドルを切っている。

 

後部座席では、ジャッキーが狭そうに窓から身を乗り出してハンドガンを後ろに向けて連射していた。

なんだ、何が起きている?

 

「Vもジャッキーを援護しろって!」

 

言われるままに、窓に箱乗りして足元に置いてあったHJSH-18マサムネを背後に向ける。

黒塗りの高機動装輪車両と複数台のバイクが見えたので、ひとまずバイクに乗ってこちらに射撃して来る相手を向かって撃つ。

運転手を撃たなくても、バイクのタイヤをバーストさせれば向かって来れないので、的の大きいバイクの方を狙った。

バースト射撃を2連射くわえると、破壊されて制御を失ったバイクがつんのめる様に後輪をかち上げて、盛大にクラッシュする。

他のバイクも同じ様に狙うが、狙いを外そうと不規則な動きをするので、一旦狙うのをやめて黒塗りの車両のフロントガラス目掛けて発砲した。

運転手を狙って撃ったが、防弾ガラスの様で弾痕は残るが貫通しない。

助手席と後部座席に座っている黒ずくめの連中が、同じ様に箱乗りしてこちらに撃ち返してきた。

不味い、この車は普通の中古車だからこのまま撃たれ続けると破壊されてしまう。

タイヤも防弾仕様なのか、弾が命中してもバーストしない。

 

「ジャッキー!もっと強い銃頂戴!」

 

「待ってろ!!チンガード!!クソッタレ!!」

 

ジャッキーが口汚く罵りながら、伸ばした左手を使い後ろ手にMA70HBを投げてよこす。

ついでに、マガジンも二つ渡された。

 

「Vそいつを使え!70発でワンマグだから、上手に使えよ!!」

 

「分かったわ!」

 

強い反動を制御するのは私の腕だと難しいので、Bピラーにハンドガードを引っ掛けて、より身を乗り出して高機動装輪車目掛けてぶっ放す。

炸裂弾が入っていたのか、2〜3発でフロントガラスが吹き飛びエンジンブロックも大破して、後続のバイク一台を巻き込みながら横転炎上した。

 

「これは凄い!」

 

「チンガーダ・マドレ!見たかクソッタレ共!!」

 

「V!感心してる場合じゃねぇって!左のバイクを撃ってくれ!」

 

デイビッドがハンドルを切りながら、二人乗りのバイクがこちらに向けて擲弾筒を構えているのを見て、声を上げた。

慌てて、そちらにむけて照準を合わせて射撃する。

吸い込まれるようにして運転手に炸裂弾が命中するのが見えたが、ほぼ同時に擲弾発射器から榴弾が発射されるのが見えてしまった。

 

「ばっか!?」

 

真っ白な煙を吐き出しながら、こちらに向かってきているロケット弾頭がゆっくりに見える。

ああ、これはヤバいかもしれない…

直撃コースに乗っているので、もう逃げられない。

 

そう思った時、ギュッと高速で車がブレるように横滑りして、私の眼前をロケット弾が通過していく。

思わず運転席を見ると、デイビッドが首筋に抑制剤を打ち込んでいるところだった。

そのまま窓から空のシリンジを放り捨てている。

 

「持ってて良かったサンデヴィスタンだぜ…ほんとに」

 

「……デイビッド!貴方サイコーよ!後でキスしてあげる!」

 

「ハハハ…後が怖いし遠慮しとく」

 

デイビッドが、冷や汗をダラダラ流しながら引き攣った笑い顔を見せる。

何か不都合でもあるのかしら。

そのあとは、適度に残敵を掃討したら勝手に向こうが撤退して行った。

 

中古のオンボロを買って来たとは言え、ガリーナG240のボディは弾痕で更にぼろぼろになり、フロントもリアもガラスは蜂の巣で邪魔だったので取り払った。

だいぶ見窄らしい姿になってしまって、哀愁を感じざるを得ない。

良くタイヤを撃ち抜かれてパンクしなかったものだ。

デイビッドの運転技術の賜物なのか、サンデヴィスタンの恩恵なのか、はたまたその両方か…

 

「それにしても、このままこれで州境検問所を通るのは厳しいわね…」

 

「まぁ、あっちこっち穴だらけじゃあなぁ。間違いなく止められるだろうよ」

 

最高に風通しの良くなった車内で、ジャッキーが被弾した腕の部位を摩りながら、不機嫌そうに言った。

どうやら、リアルスキンがそこだけ剥げてしまったらしい。

ジャッキーも、かなり高性能な外皮系クロームを積んでいる。

これも先輩が渡したんだろう。

 

途中、旧サンディエゴで車を乗り捨てて、適当に路駐していた車を見繕う。

その中から、適度に古そうなバンを選んでブリーチプロトコルを仕掛け開錠した。

 

「へぇ、そんな事も出来るんだな。Vって」

 

「え?…あぁ、まあね。先輩が生き残る術をアカデミーで教えてくれているからね。これもそれの一環で、勿論専門家には敵わないけど、ある程度のことはなんでも出来るわ」

 

「そうなんだな。確かにネイトも大抵のことは全部自分でやっちまうし、ネットランナーよりもネット関連に強くて、ソロよりもマッシブだもんなぁ…」

 

「あー、先輩なら確かにそうかもねぇ」

 

「アダム・スマッシャーにも、殴り合いで勝ってたしな……」

 

「ん?なんて?」

 

「あ、いや、何でもない。こっちの話」

 

デイビッドが、どこか遠い目をしながら溜息をついた。

何を呟いたんだろうかと思いながらも、三人でバンの中に荷物を載せ替えて出発した。

車内は何か饐えたような臭いがして、別の車にすれば良かったかなと後悔しながら、窓を全開にして国道101号線をひたすらに北上する。

 

市街を抜けると、相変わらずだだっ広い荒野が広がっており、ここで車が故障したら枯死しそうだ。

適当に、騒ぎにならなそうなボロを車を拝借した割には燃料もかなり入っていたので、ガス欠で止まる事は考えなくてよさそうである。

窓を全開にしてエアコンを出し、車内の臭いを外に排出しながら奇跡的に銃撃戦を生き延びていたクーラーボックスからニコーラを取ってもらう。

サウス・カリフォルニアの日中は灼熱だ。

いまだにキンキンに冷えているニコーラを喉に流し込むと、殺人的な美味さに感じる。

 

「しかしよぉ、あの襲って来た連中は誰だったんだろうな」

 

「それなぁ~。Vは心当たりとか無いのか?」

 

ジャッキーとデイビッドも、クーラーボックスから思い思いに飲みたいドリンクを取り出して、一杯やりながら今回襲撃してきた相手について聞いて来た。

 

「いや、私もこれと言って心当たりは無いんだけど、十中八九コーポであるのは間違いないわね」

 

「マジかぁ、やっぱりアラサカが関わると、面倒ごとに巻き込まれるな」

 

「なんか悪いわね」

 

「いや、Vの所為じゃねえって。それに分かってて仕事を引き受けてるんだからさ」

 

グビグビと非炭酸の缶ジュースを飲み、ハァーと息を吐き出しながらデイビッドがそう言う。

飲み干した缶をそのまま空いてる窓からポイ捨てし、徐に使用済みのマガジンに弾を入れ始めた。

 

「相手がコーポだったら、また仕掛けて来そうだよなぁ」

 

「でしょうね。私は州境の検問所辺りで仕掛けてくると読んでるけど」

 

「多分だけど、アイツらミリテクな気がするんだよなぁ」

 

デイビッドがそんな事を口走った。

実際ミリテクだった場合はかなり面倒だ。

ナイトシティなら兎も角、それ以外だと新合衆国はミリテクのナワバリそのものなのだから、好きに部隊を差し向けて来れるだろう。

たかが3人に、装甲車やら戦車やらは派遣して来ないにしても、機動力のある攻撃AVや軽ガンシップを伴った遊撃隊みたいなのを送り込んで来る可能性は大いにある。

今ある武装で、はたしてなんとかなるのか?

 

「ま、来たら来たで、またぶちのめせば良いじゃねぇか!それによ。備えるのも大事だが、ずっと気を張り続けてるのも良く無いぜ」

 

「…それもそうねぇ。ジャッキーの言う通りだわ」

 

どちらにせよ、来て欲しくは無いけれども来たら来たで現状の戦力で対処しなきゃいけない。

やるしか無いのだ。

段々と州境が近づいて来る上で、ユッカと言う小さな集落で一度装備を点検する事にした。

集落の中心に近いところにあるガソリンスタンドに入り、CHOOH2を給油してもらっている間に、店舗の中に入って何を売っているか物色する。

ここでは他に商店が無い為か、食べ物や雑貨だけでは無く色々な生活必需品も売っているようだ。

勿論、銃器や弾薬も必需品の中に入っている。

 

先の戦闘で消費した弾薬を補充するために、幾つかパックで購入した。

流石に大口径であるMA70HBの12.7mm炸裂弾は売っていなかったが、マサムネ用の弾はしっかり売っていたので助かる。

ついでに、ブリトーXXLを三つ買って車に戻ると給油もちょうど終わったらしい。

ナイトシティに戻る分は心配無かったとはいえ、何事も備えておくに越したことはない。

ボンネットを開けて中を軽く点検すると、見て良かった。

ファンベルトが切れかかっていて、冷却水を冷まし損ねていたのか蒸気が漏れ出している。

ガソリンスタンドの店主に部品がありそうなところ聞くと、すぐ目の前のところが自動車整備場だったらしいので、そこに運んで部品を購入した。

田舎では少し高めであろうチップを渡したら、喜んで修理してくれた。

 

私がコーポのスーツを着ているからか、とやかく詮索して来ないのは好印象だ。

単に、藪を突いて難癖をつけられての料金未払いを警戒しているのかもしれないが…

ブリトーXXLを食べながら、整備士が修理をしてくれているのを3人で見ていると、半開きになっていたシャッターの前に誰かの足が見えて、ガラガラと上に開きながら誰かが入って来た。

口髭にテンガロンハット、保安官のバッヂをしている男だ。

 

「余所者が来たって聞いて来たんだが、お前たちか?」

 

入って来て早々、随分な口の聞きようである。

少しカチンと来るけど我慢して、首をすくめるだけで対応する。

 

「この町に何をしに来たんだ?アラサカのコーポ野郎がこの町に用があるとは思えんがな」

 

「野郎って失礼な保安官ね。こんな片田舎に居たら語彙力まで田舎者になるのかしら」

 

そう嫌味を返すと、舌打ちを一つ打って唾を足元に吐き捨てる。

 

「良いか、口には気をつけるんだなコーポ女。ここはナイトシティじゃないんだ」

 

忌々しそうに腕を組んで、サングラスの奥からこちらを睨みつけて来るので、鼻で笑ってやる。

この程度で、アラサカの保安部の人間が怯むと思ったら大間違いだ。

向こうも戦争やらを経験しているのだろうが、こっちだってほぼ毎日鉄火場に自ら飛び込まなければならない立場なのだから。

 

「それは貴方次第でしょ?それに、私たちは給油しに立ち寄っただけで、ついでにこのままだと車が壊れそうだったから整備を依頼して修理してもらってるだけよ。そうでしょう?そこのお兄さん」

 

「…マイク、ソイツの言ってるのは本当か?」

 

「お、おう。そうだな。ちゃんと前金を払ってもらったし、ファンベルトも切れかけてたからそう長くは走れなかった筈だぜ」

 

「ほら」

 

マイクと呼ばれた整備士が、私の言葉に頷きながら同意すると苦虫を噛み潰したような顔をする。

ただ、この町にお金を落としている善良な旅行者に難癖をつけている、性格の悪い保安官の図が完成した。

はっきり言ってお呼びではないので、片手で追っ払うようにシッシッとしてやる。

整備士のマイクだけが冷や汗をかいて、どっちの味方をすれば良いのか目を泳がせているが、デイビッドやジャッキーは腕を組んで保安官を威圧していた。

特に、ジャッキーの大柄な身体から発せられる圧はすごい。

 

「チッ…これだからコーポの連中は嫌いなんだ。人の町で好き放題しやがって。用が済んだらさっさと消えてくれ」

 

「おあいにく様、言われなくても車が直ればこんなチンケな片田舎出て行くわよ。私たちも何処かの誰かさんと違って、暇じゃないんでね」

 

もう一度ツバを吐き捨て、不機嫌そうに足音を立てて整備場から出て行った。

その時、こちらとマイクの方に睨むように視線を投げて来たので、中指を立ててやった。

整備士のマイクは、後々のことを考えたのか青い顔をしていたので、軽く肩を叩いて安心させてガソリンスタンドからここに行けって言われたから、保安官が周りに変な噂を言いふらす様ならガソリンスタンドも巻き込む様に助言してやった。

この集落唯一の商店が敵に回れば、さしもの保安官も肩身が狭くなる筈である。

その後この集落がどうなるかまでは、責任は持てないけど。




メキシコやサンディエゴの設定は捏造です…
ちょっと調べてみたのですが、そこら辺がどうなってるか分からなかったもので…なにか知っている方がいらっしゃいましたら、ぜひご教授下さい。m(_ _)m

あと、コーポVちゃんですが、個人的にはノーマッドVも好きなので、運び屋もさせてみました。如何でしょうか…?

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