【完結!!】Good Luck‼︎ EDGERUNNERS !!   作:持麻呂

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誤字脱字訂正、いつもありがとうございますm(_ _)m

Vちゃんの話はもう少し続きます。
ネイトはもう少しお待ちください…


第三十八話

ムカつく保安官を追っ払い、震えの治った整備士のマイクを宥めすかして、ようやく車が直ったので出発と相成った。

整備場から外に出ると、少し離れたところにパトカーが停めてあるのが見え、車内から保安官がこちらをじっと見ているのが分かる。

これ以上相手しても仕方がないので、無視して集落の外に向かうと少し後ろに追尾する様に着いてきた。

どうやら、私たちがちゃんと集落から出て行くのを確認したいらしい。

どこまでも頭に来る保安官だ。

 

集落から出て5kmも追跡して来たのには、流石に呆れるしかない。

どこまでアラサカは、UNSAの連中に信用がないんだろうか…

まぁ先の戦争の事を考えたら、当然と言えば当然なんだけど。

小競り合いはあろうが、本格的な戦場にならない今のナイトシティは楽園みたいなものなんだろう。

 

もう保安官が後ろについて来なくなるのを確認してから、遠くに見えて来ているナイトシティの摩天楼を目掛けて道路を直走る。

州境の検問所はまだもう少し先だ。

ノース・カリフォルニアからサウス・カリフォルニアに出る分には簡単なのだが、その逆は難癖をつけられたり賄賂を要求して来たりするので、中々に面倒臭い。

しかも、この州境警備隊の連中は元ミリテクの兵隊や元NCPDだったりするので、戦闘力も折り紙付きなのが厄介だ。

ノース側では、アラサカの名前が幅を利かせたとしてもサウス側では憎きあん畜生()なので、流石に正規の身分証持ちをどうこうするとは思わないけど、妨害くらいはあり得そうで頭が痛くなる。

 

検問所がギリギリ見えるくらいの所で車を停め、改めて装備を点検することにした。

後部座席でデイビッドが、ぼちぼち弾込めをしてくれていたのだがそれでも1人だと大変なので、3人で一気に片付けてしまう。

軽装甲車くらいが出て来ても良い様に、本当は小型ミサイルくらいは欲しいのだが、集落のガソリンスタンドにはそんなもの売ってなかったので、その時は諦めて火炎瓶でも投げ付けてる間にトンズラするしかない。

生き残れる確率はだいぶ低くなるだろうけど…

 

せっせと弾込めをし終えて、アタッシュケースを助手席の足元に寝かせた後は、必要な武器を各々自分の近くに置いていつでもぶっ放せるようにしておく。

それから検問所に向かった。

検問所には、何台かの車がノース・カリフォルニアに向かうために車列を作って待っている。

レーンの一つが誰も並んでいなかったので、そこに進むとバリケードがゆっくりと降りて行って進めるようになった。

2台のセントリーガンが、こちらに向かって赤色のレーザーポインターを照射して来る。

 

『前進して、枠の中で停車しろ』

 

スピーカーから指示された通りに、白い枠まで前進して停車させる。

遠隔でスキャニングされて、車内にある武器やらの説明を求められたので素直に下車した。

まぁ、普通はあれだけの武器積んでたら事情を聞かれるのは当然だ。

行きに聞かれなかったのはアラサカの身分証と、ノースからサウスに行く分の所持品については規制が緩いからである。

もちろん、きちんと下調べして来ているので、必要な書類もきっちりと用意してある。

 

「V、念の為に車のエンジンは掛けておくからな」

 

「ジャッキー、よろしく頼むわ」

 

脇の詰め所の様なところに案内されたので、そこに入ると入り口で武器を預けていけと言われた。

 

「所持している武器をここに全部置いていけ。中には持ち込むなよ」

 

「わかったわ」

 

パンツの後ろのからオーバーチュアを出し、ジャケットの内側から更にヌエを2丁、ヘアアクセサリーから小型のナイフを外してカウンターの上にドンと置く。

 

「おいおい、お前さんどんだけ持ってるんだよ。普通3丁も拳銃持ち歩くか?」

 

「アラサカ社員の中では、このくらい普通よ」

 

Tシャツの上から州境警備隊の防弾チョッキを着ている隊員は、首をすくめながらカウンターの下に武器を仕舞い込む。

 

「日系企業はイカれてるな」

 

「否定は出来ないわね」

 

同情するよと言われて、そのまま部屋番号を言われたのでそこに入って行く。

薄暗い室内には、オレンジ色のキャップを被った隊員がいて、席に座る様に促された。

 

「で、積荷の目録とあの武器の量はなんだ?」

 

とりあえず、今回密輸するアタッシュケースの中身に関しては、偽造書類を前もって用意してあるのでそれを渡す。

書類の内容としては、アタッシュケースの中身は高級クロームになっていて、形式としてはL.O.A.として扱う事になっている。

L.O.A.とはつまり、Lost on Arrivalの略で到着時紛失という意味だ。

このアタッシュケースは、州境を越えた時に紛失扱いになる。

まぁ、密輸する時の常套手段である。

 

「L.O.A.ね…それで?武器に関しては?」

 

「あれは用心棒と私の護身用の武器ね。なんせ積荷は高級クロームなんですから、いつ襲われてもおかしくないでしょう?」

 

「…いくらなんでも、護身用にMA70HBは過剰火力なんじゃないか?」

 

その正論には首をすくめて答えるしかないが、実際に役に立っているので肯定も出来ない。

あの炸裂弾がなかったら、ガリーナG240はズタボロに引き裂かれて自走不能になっていたかも知れないし。

一応、慣例として3000€$が入ったクレジットチップを相手の手元にスライドさせる。

さりげなく向こうも書類をクレジットチップの真上に乗せて、何事もなかったかの様にこちらに小さく頷いて応えた。

 

「ま、確かにこの荒野だと、物騒なノーマッドの連中も出るからな。それなりに火力は必要だろう。正当な防備に間違いない」

 

「ご理解ありがとうございます」

 

「よし、問題はない。もう行っていいぞ」

 

問題なく予定調和的に終わったので、小さく頭を下げると向こうも座って腕を組んだまま小さく頷いた。

カウンターに戻ると、3丁の銃と仕込みナイフを返却されたので元通りに身に付ける。

行きと同様に呆れた様子で、私が武器を身に付けているのを見ているので、わざと胸を強調する様にしながら2丁のヌエをしまってやった。

思わずと言った感じで口笛を吹いてくる。

じゃあねと一言だけ言って、さっさと車に戻るとジャッキーが運転席に座って私を待ってくれていた。

 

「お待たせ」

 

「おう、無事に終わったみたいで何よりだ」

 

車の前に立っていた2人の警備隊員が左右にズレたので、ゆっくりと発車してノース・カリフォルニアに入る。

 

「で、問題は無かったのか?」

 

「ええ、予定調和で終わったわ。最初は積荷についてもっと聞かれると思ってたんだけど、ジャッキーのMA70 HBの方が咎められるとは思わなかった」

 

「おおう、マジか!危うく没収されちまうところだったって訳か!?」

 

高かったんだぞ!とジャッキーがハンドルを握りながら身震いしている。

まぁ大口径の銃は基本的に高価だから、没収されたやつはそのままブラックマーケットに流されて、州境警備隊のおこずかいにされてしまうだろう。

後から書類を揃えて返却申請しに行ったとしても、その頃にはL.O.A.だ。

騒ぐと殺されるかもしれないから、基本的には泣き寝入りを強要されるだろう。

それこそ、ギャングやらコーポの連中が相手だと話は変わってくるが…

もしもそんな事があった場合は、彼らの家族の1人が忽然と姿を消して、行方不明になった没収品がそっくりそのままの形で戻って来ない限りは永久に神隠しに遭ったままになるだろう。

もちろん、誰だってそんな事は望んではいないので、州境警備隊の連中だって相手はしっかりと選ぶものだ。

 

「ジャッキーも先輩のところの社員になって社員証貰っておけば、そんな事には早々ならない筈よ」

 

「オレがコーポねぇ。あんまし想像はつかねぇが…。へへ、チーカのところなら悪くねぇかもな」

 

そこで、ふと頭をよぎった疑問を投げかけてみる。

 

「ジャッキーは先輩からリクルートされなかったの?」

 

「おう、同じチームだったし、チーカはオレがエル・コヨーテ・コホを継ぐと思っているんだろうな。だから、誘ったりしたらお袋にも悪いと考えて声を掛けて来ないに違いねぇ」

 

「なるほど……先輩は、エル・コヨーテ・コホが無くなるのを恐れているのかもしれないわね」

 

「どうだろうな。ま、オレとしてはチーカの気遣いは嫌いじゃねぇ。それを無理に無下にする必要は無いか」

 

ジャッキーが苦笑気味に笑いながら、ハンドルから片手を離して銃を取り出した。

後部座席のデイビッドもM221サラトガとグレネードを準備し始める。

向こうのほうから、複数台の黒い車が真っ直ぐにこちらに向かってくるのが見えた。

どうやら、撃退した連中はここで待ち構えていたらしい。

 

「州境警備隊の連中が、アイツらに情報を流したと思うか?」

 

「いえ、彼らがやったと言うよりも、あの中に潜り込ませているスパイだか何かから連絡が行ったと思うべきね。勝手な予想だけど、私を取り調べた警備隊員が垂れ込んだとは思えない。絶対じゃ無いけど」

 

脳裏に、先ほどの警備隊員の顔が思い浮かぶが、執拗に中身を聞いて来たりとかこちらの事を探る様な仕草は見せなかった。

私以外にも、1日にアラサカの社員が複数人越境しているので、車も乗り換えている以上詳しく聞かないと特定は難しいはずなのだ。

まぁ、真相は闇の中なのだけれども。

 

「来ちまったものはしょうがねぇな」

 

8台くらいの黒い高機動装輪車が、こちらの道を塞ぐように車線を跨いで停車する。

全身黒ずくめのフルフェイスが、拡声器でこちらに向かって警告をして来た。

 

『そこで停車しろ。お前たちは我々の所有物を不当に所持している。それを引き渡せ』

 

随伴歩兵達がゾロゾロと降車して、こちらに向かってアサルトライフルの銃口を向けてきた。

クソムカつくけど、ここで素直に渡すなんて選択肢は無い。

どうせ渡したところで殺されるのがオチだし、助かったところで私のキャリアもお終いだ。

冗談じゃない。

 

「ジャッキー!」

 

「おうよ!」

 

ジャッキーが急ハンドルを切って、アクセル全開で道から外れて荒野の中に飛び込んだ。

一斉に、私たちに向かってアサルトライフルが発砲され、数発がバンのリアドアに風穴を開ける。

デイビッドがリアドアを開けて、片手で内装に捕まりながらサラトガをフルオートでぶっ放す。

ジャッキーに比べたら細身の腕からは信じられないほど反動を抑え込み、ピッタリとブレない銃口は素晴らしい精度で弾を相手にプレゼントしていた。

一瞬で一台のフロントガラスを蜘蛛の巣だらけにして、視界確保のために窓から顔を出した運転手の顔面を蜂の巣にして無力化したのだ。

そこから、真後ろに着いてきていたもう一台に向かって、焼夷グレネードを投擲して脱落させている。

こんなにも左右に揺れているのに、よくもまあそこまで正確に攻撃出来るものだ。

これも先輩からの薫陶なのか?

 

「チンガード!このままこんな悪路を走ってたら、あっという間に足周りが壊れちまいそうだ!!」

 

オフロードを走る事を考えてないバンなので、飛んだり跳ねたりしてサボテンを轢いたりしていたら、確かにあっという間に壊れてしまいそうである。

このままでは不味いのは確かだ。

 

「ジャッキー!バッドランズの元バイオテクニカフラッツに逃げ込めない!?」

 

脳裏に、ワーム飼育用の長い建物が並んでいる場所が思い浮かんだ。

今はデラマングループに吸収されていたはずである。

 

「良い案だ!!だが、あそこまで保つと良いがな!」

 

まだかなり先の方である。

デイビッドを援護するために、また助手席から身を乗り出してMA70HBをぶっ放す。

残弾に限りがあるので、なるべくタップ撃ちで命中率の上昇を狙うが、車が上下左右に揺れるので上手く狙ったところに当たってくれない。

こんな事なら、両腕にもう少しクロームを組み込んでおけば良かった。

今更そんな事を考えても仕方がないのだけれど、そう思わずにはいられない。

 

それでも、3発ほどエンジンルームに着弾すれば、それだけで車は走行不可能になるほどの破壊力を秘めているので、何とか3台は始末できた。

それでも、サウス・カリフォルニアで襲撃を受けた時以上の戦力で攻撃されているので、デイビッドも私も数発程被弾している。

アラサカ製のスーツは高分子ポリマーとアラミド繊維の防弾仕様なので、受ける衝撃はすごいものの致命傷にはほど遠い。

デイビッドは、元からかなり防御力の高そうな装備をしていたので、それもあってか撃たれても全く堪えた様子がない。

ジャッキーもひたすらにハンドルを左右に切って、ランダムに弾を避けながらバッドランズを目指してアクセルを全開にしている。

しかし、元々がバンなのでスピードがあまり出ない。

 

増援を呼ばれてしまったのか、どこからともなく数台の高機動装輪車が追加で現れて、攻撃の密度が上がった。

負けじとこちらも撃ち返すが、多勢に無勢になってきた。

 

「V!そろそろやべぇぞ!!この車が保たねぇ!!」

 

「こっちも弾切れが近い!そっちのマサムネくれ!」

 

デイビッドにマサムネを投げ渡し、どうするか考えるが物理的に解決が難しい。

目まぐるしく色々な考えが頭をよぎっては通り過ぎていったその時、2〜3年前に先輩とした約束を思い出した。

連絡先から先輩を探してコールを掛ける。

瞬時に先輩が出てくれた。

 

『おや、後輩ちゃん。どうしたの?』

 

『先輩!助けて下さい!大ピンチです!ついでにジャッキーとデイビッドも大ピンチなんです!!』

 

スッと目付きが鋭くなった先輩は、一瞬目が光った後に頷いた。

 

『…分かった。場所は…バッドランズの先だね』

 

どうやってか、私の居場所を言い当ててすぐにコールが切れる。

先輩なら絶対に助けてくれる。

今までの経験から、私にはその確信があった。

少しでも時間を稼いで、先輩が来るのを待つしかない。

 

「いま強力な援軍を呼んだから、何とか持ち堪えるわよ!」

 

「援軍ったって、この数相手に勝てんのかよ!?」

 

「先輩を呼んだのよ!」

 

「ハハッ!そいつは良い!チーカが来たら勝ったも同然だな!!」

 

今ある残弾を全て吐き出す勢いで、相手車両にシャワーの様に浴びせかける。

一台また一台と、火を吹いたり燃料に引火して小爆発を起こしたり、徹甲弾が防弾ガラスを貫通してフロントガラスを赤く染めさせたりして、少しずつ脱落していき希望が見えてきた。

ただ、それに合わせて弾薬の残りも僅かになってしまう。

正直言ってジリ貧過ぎて、先輩は間に合ってくれるのだろうか。

MA70HBは全て撃ち尽くして文鎮に成り果て、マサムネの弾は残り2マガジン。

サラトガの弾はハンドガンと共有出来るので、こちらはまだ何とか継戦能力を維持している。

みんなの使っている武器が、スマート武器で無くて良かった。

あれは特殊な弾丸を使うので、通常の弾薬では共有が出来ないのだ。

 

最後の2台まで敵を減らせたので、武器をヌエに持ち替えてマサムネを温存する。

とりあえず、反撃し続けて相手の頭を抑えることが大切だ。

流石に、ヌエだと1、2発相手に当てても中々倒せないので、とにかく引き金を引きまくって弾幕を張るしか無い。

ようやく諦めたのか、損益分岐点を通り越したのか、しつこかった2台も反転して引き返して行った。

退けたとは言っても、こちらの車は廃車寸前のボロボロのボロになってしまった。

バンの観音開きのリアドアは、左右とも千切れ飛び側面は穴だらけ。

座席にも複数の弾痕があり、ジャッキーは痛えと言いながら背中を摩っている。

どうやら、椅子を貫通した弾を皮下アーマーで防いでいたらしい。

 

デイビッドも防弾装備の前面は被弾によりズタボロで、頬には弾が掠ったのか皮下のチタン骨だかの金属が顔を覗かせている。

途中からデイビッドが射撃をしていなかった様なのだが、どうやら刀身が赤熱するカタナで銃弾を弾いて中に飛び込んでくるのをなるべく防いでくれていたらしい。

どんなインプラントを入れれば、そんな芸当が出来るのだろうか。

まぁ、アラサカのニンジャ部隊にも出来そうな人は居るとは思うけど、そんなのは人間を辞めたタツジンくらいだろう。

 

「うぉ!?チンガード!!まだ終わってねぇぞ!!」

 

ジャッキーの慌てた声に思わず前を見ると、前方の空に武装AVが一機こちらに側面を見せていた。

側面のスライドドアが解放されていて、キャビンからは既に白煙の尾が棚引いていた。

思考が加速していく。

まるでシナプス加速器を使用しているかの様に、ゆっくりとミサイルがこちらに向けて位置を調整しながら飛んできているのが見え、その向こうには発射器を持った黒ずくめが1人。

 

逃げなくては、と頭では思うのだが体がそれに追従出来ない。

もう為す術はない。

真っ直ぐに飛んできたミサイルは、斜め上方向からバンのエンジンルームに直撃し、内蔵された高性能爆薬はHEAT効果を最大限に発揮して、高温高圧のメタルジェットは解放された力を放出、一直線にエンジンとその先にあるシャフトを融解貫通しながら地面へと解き放った。

引き伸ばされた時間が急速に元に戻り、盛大な爆音と衝撃波を伴いながらつんのめるようにバンの前輪が沈み込んだ。

ハンドルを握っていたジャッキーや、車体をしっかり掴んで装具で身体を固定していたデイビッドとは異なり、箱乗りからの振り向きざまで何の準備もしていなかった私は、慣性の力に逆らうことが出来ずになけなしのフロントガラスを突き破って車内から放り出される。

10mほど空中を飛んでいき、物凄い速度で地面に叩き付けられて何度もバウンドする。

咄嗟に痛覚を一時的に遮断するインプラントを使ったが、痛みを感じないだけで衝撃を受けた反動や怪我までは受け流せない。

四肢のクロームやらの破損警告や、内臓等の管理インプラントが重篤な状態を示す警告が視界上で赤く点滅を繰り返している。

痛みは感じないが、口からは咳と共に血が溢れ出し、全くと言っていいほど力が入らない。

 

破損して少し歪んで見える視界の先で、破壊されたバンからジャッキーが這い出してくるのが見える。

やっぱり頑丈なのか、よろめきながらも立ち上がったのだが、AVから銃撃を加えられて慌ててバンの後ろ側に回って隠れた。

影からこちらに顔だけ出して、何か叫んでいる様だが何も聞こえない。

デイビッドは?

デイビッドの姿も見えないのだが、無事なんだろうか。

 

体内内蔵型のバウンスバックが自動投与されたのか、内臓の損傷が少し回復したようで警告インジケーターの色が少し変わった。

気休めの様な物だけど。

一応、腕のクロームの損傷はそこまで酷くなかったようで、少しずつ動かせるようになった。

 

ゆっくりと岩陰の方に這いずって行く。

こんなところで、流れ弾に当たって死ぬなんてゴメンだ。

数発が身体を掠めて、地面で跳ね返って土塊と小石を飛ばす。

ジャッキーが影から、カスタムされたヌエを出してAVの方に発砲しているのが見える。

あともう少しで岩の後ろまで行ける…

 

先輩、早く来ないかな。

 

自分の脇に誰かが立つ影があり、足で仰向けにひっくり返された。

ライフルを持った黒ずくめが、銃口をこちらに向けて立っている。

相手の指先にグッと力が入ったのが分かったので、最後の力でズボンの背中側に隠してあったオーバーチュアを引き抜いて黒ずくめの顔面目掛けてぶっ放した。

 

胸に熱さと冷たさの両方を感じて、また口から血が迫り上がってきた。

息ができない。

 

どうやら、同時に銃を撃たれたようで、自分の心臓当たりをぶち抜かれたみたいだ。

 

相手も顔面をザクロにして、後ろに倒れていった。

空が青い。

 

先輩にもう一度会いたかったな…

 

スッと先輩が私の顔を覗き込んでいるのが見える。

 

あぁ、これが人が死ぬ時に見える最後の幻覚なのかな。

 

 

寒いよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーTPR.STANDBYー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーCommencement of Resuscitation and Nanomachine Recoveryー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーInstall the Construct of R.J.L.ー




TRP…R.J.L.…一体なんの略語なんだ…!!

幼女はこの小説に

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